伝えたい! 歯の疑問:痛み・腫れ・膿・出血・偶発症

高血圧症患者の歯科治療ガイドライン
偶発症防止のための注意点

皆様の健康をトータルサポート。

高血圧症患者の歯科治療の偶発症は、局所麻酔後の異常高血圧(意識障害、頭痛、吐き気)が挙げられます。

アドレナリン含有の局所麻酔薬は注意が必要です。

異常高血圧の対応は、頭部を高くしますが、血圧が下がらない場合には、ニフェジピンカプセルの内服が有効です。高血圧症患者の歯科治療なら江戸川区篠崎の歯医者。

目次


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高血圧症の歯科治療ガイドライン

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高血圧症患者の局所麻酔の注意点

高血圧症

日本の高血圧症の患者は約4300万人です。


高血圧症は本態性と二次性高血圧に分類されます。約9割の患者は本態性高血圧症ですが原因が不明です。二次性高血圧症は腎臓、内分泌系、血管病変、妊娠などが原因で起こります。


血圧が高いことで直ちに重篤な疾患になるわけではありませんが、高血圧症は脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)、心血管疾患(心筋梗塞、狭心症)、腎臓病、動脈硬化の様な命に関わる合併症が起こる可能性があるので、侮ってはいけません。


血圧の高い期間が何年も長期間に及ぶと血管壁に高い圧がかかり、血管が脆くなっていきます。血管が老いることで上記の様な合併症が発症します。


高血圧症の治療は、程度が軽ければ運動や食事に注意することで改善しますが、重症になると薬物療法が基本となります。 薬にはカルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、α/β遮断薬などを使用します。




キシロカイン(アドレナリン含有局所麻酔薬)

歯科麻酔で使う局所麻酔薬はアドレナリンを含んだもの(キシロカイン、オーラ注など)が一般的です。アドレナリンは麻酔の効きを高め、長時間作用させるために含有されるものですが、血管収縮作用、心拍出量増加作用により、血圧を上昇させる働きを伴います。そのため、高血圧症患者には、細心の注意が必要となります。


当院では、局所麻酔の痛みを可能な限り少なくするために表面麻酔や針の無い麻酔器を使用しています。


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高血圧症に使う局所麻酔薬のガイドライン

2019年 歯科麻酔学会

高血圧症の患者であっても、術前コントロールが良好であれば、アドレナリン含有の歯科用局所麻酔剤であるキシロカイン(2%リドカイン塩酸塩1/8万アドレナリン添加)を使用した歯科治療(抜歯や外科処置を含む)は可能です。ただし、血圧、脈拍、パルスオキシメーターなどの術中管理モニターが必要です。

また、アドレナリンを含有していないシタネスト・オクタプレシン(プロピトカイン-フェリプレッシン)の使用も検討対象となります。

血圧 キシロカイン シタネスト・オクタプレシン
180/110 mmHg以上 原則禁忌(大学病院へ依頼-静脈内鎮静法)
術前コントロール良好 使用OK
初回投与量は1.8 mL(1本)まで。
術中に片方でも180/110 mmHgになった場合は、
治療を中断し160mmHg以下になるのを待つ。

キシロカイン投与後に血圧,心拍数の
上昇を認めた場合の追加使用時。
β遮断薬服用者 使用OK
初回投与量は1.8 mL(1本)まで。
術中に片方でも180/110 mmHgになった場合は、
治療を中断し160mmHg以下になるのを待つ。

キシロカイン投与後に血圧,心拍数の
上昇を認めた場合の追加使用時。
α遮断薬服用者 原則禁忌(アドレナリン反転が起こり血圧の急激な低下)
(高血圧だけではなく精神疾患の薬の中にも含まれる)
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α/β遮断薬とアドレナリンの相互作用

α遮断薬服用患者にアドレナリン投与で血圧低下

α遮断薬服用患者にアドレナリン投与するとβ刺激作用が優位となり、血管拡張が起こり血圧低下を招くので、禁忌となります。

β遮断薬服用患者にアドレナリン投与で血圧上昇

β遮断薬服用患者にアドレナリンを投与するとα刺激作用が優位となり、血管収縮し血圧上昇になります。アドレナリン含有のキシロカインは1.8ml (1本)までなら使用可能です。

α/β遮断薬の例

商品名 一般名
α遮断薬 エブランチル
カルデナリン
デタントール
ミニプレス
ウラピジル
ドキサゾシンメシル酸塩
ブナゾシン塩酸塩
プラゾシン塩酸塩
非選択性β遮断薬 インデラル
ナディック
ハイパジール
カルビスケン
ミケランLA
プロプラノロール塩酸塩
ナドロール
ニプラジロール
ピンドロール
カルテオロール塩酸塩
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異常高血圧(意識障害,頭痛,吐き気)の対応

異常高血圧が起きた時 ニフェジピンカプセル5~10mg「サワイ」内服

異常高血圧とは

異常高血圧とは急激な血圧上昇(180/110 mmHg以上)により脳、心臓、腎臓、大血管などへの急性障害が生じるため直ちに血圧を下げなければいけない病態のことです。

異常高血圧の症状として意識障害,頭痛,吐き気などが現れます。

異常高血圧は痛みや不安などのストレスが加わったことにより起こりますが、歯科治療時で異常高血圧が起こり易いのは、局所麻酔後です。外科的侵襲が加わる抜歯の様な手術だけではなく、TBI(歯磨き指導)やポケット洗浄など軽い処置でも起こることがあります。

異常高血圧の対応-座位または半座位

異常高血圧時には脳への血流が高まるため、ユニットを起こして座位または半座位の姿勢にします。

酸素吸入

酸素吸入しても改善しない場合は↓

ニフェジピン5~10 mg内服

ニフェジピンカプセル(カルシュウム拮抗薬)5~10mg「サワイ」内服
(20~30分かけて徐々に降圧、舌下投与は禁忌)

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ふかさわ歯科クリニック篠崎

ふかさわ歯科クリニック篠崎院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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