伝えたい! 歯の疑問:痛み・腫れ・膿・出血・偶発症

歯科治療時にアナフィラキシーショックが
起こる原因と症状と対応

皆様の健康をトータルサポート。

歯科でのアナフィラキシーの原因は歯科麻酔薬などアレルゲンの暴露。症状は蕁麻疹、腫れなどの皮膚症状、呼吸器症状です。

血圧低下と頻脈、重症化で徐脈から心停止することも。

対応は生体情報モニタ、水平位+下肢の挙上、酸素投与、アドレナリンの筋注、AEDでの心肺蘇生など。

目次


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歯科でのアナフィラキシーの原因と症状

1

アナフィラキシーの原因

アナフィラキシーショックとは


アレルギーの原因となるアレルゲン(抗原)が体内に入ることにより、複数の臓器にアレルギー症状が起こり、生命に危険を与える状態のことをいいます。

歯科における原因物質

アレルゲン(抗原)として局所麻酔薬、抗生物質、鎮痛薬、ラテックスなど主な原因となります。

その他、ホルムアルデヒド含有根管治療剤、水酸化カルシウム系根充剤、止血用ゼラチン貼付剤など。

アナフィラキシーショックの機序

免疫をつかさどる肥満細胞の表面に存在するY抗原特異的IgE抗体に抗原(アレルゲン)が結合(抗原抗体反応)することで肥満細胞内の化学伝達物質が血中に放出(脱顆粒)されます。

放出された化学伝達物質(ケミカル・ メディエーター)が血管などに影響を与え、様々な症状が発現します。

2

アナフィラキシーショックの症状

血圧低下と頻脈(初期)から徐脈(末期)

化学伝達物質(ロイコトリエン、ヒスタミンなど)が血中に放出されることによって、血管透過性亢進と漏出が起こります。分りやすく言うと血管壁がスカスカになり、血管内の液体成分(血液など)が血管壁から外に漏れ出す状態です。


血管内の液体成分が少なくなることで血圧低下が起こります。また、化学伝達物質の中には血管拡張作用を持ったものもあります。


これらのメカニズムによりアナフィラキシーショックが起こった時には急激な血圧低下が起こります。代償性に血流を増やす必要で初期には頻脈となります。※ 症例の中には最初から徐脈となる場合もあります。


アナフィラキシーショックに対する対応が適切に行われないと、病態は悪化し、徐々に脈はゆっくり(徐脈)となり、最終的には心停止となります。


アナフィラキシーは、このように循環器系に大きなダメージを与えます。

アナフィラキシーショックで血圧低下、脈拍は頻脈、酸素飽和度低下
アナフィラキシーで血圧低下、頻脈(初期)、酸素飽和度低下

正常血圧:120mmHg未満/80mmHg未満

脈拍の正常値:60〜100回/分

酸素飽和度(SpO2)の正常値:99~96%

アナフィラキシーの主要症状 皮膚・粘膜症状(蕁麻疹や腫れ)
皮膚・粘膜症状(蕁麻疹や腫れ)

血管から液体成分が外に漏れ出すことにより、体表面から見ると、赤く腫れているように見えたり、ブツブツの蕁麻疹となって現れます。皮膚・粘膜症状はアナフィラキシーの主要症状です。

腫れる(浮腫)が舌や喉、咽頭部で起こると上気道を閉塞させ、窒息の危険性があります。

気管支収縮による呼吸器症状(喘息や呼吸困難)
気管支収縮で呼吸器症状(喘息や呼吸困難)

化学伝達物質のロイコトリエンには気管支収縮作用があります。そのため、喘息の様な症状となり、息を吐くときに喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイする音)が起こります。

気管支が狭くなっているので息が苦しくなり、呼吸困難となります。

血管収縮や呼吸状態が悪いので酸素飽和度は低下します。

3

アナフィラキシーと血管迷走神経反射の鑑別

歯科麻酔学第7版第14章

アナフィラキシーと血管迷走神経反射は発現状況や血圧低下など似ている点があります。最大の鑑別ポイントは皮膚症状(蕁麻疹、腫れ、痒み)の有無です。

アナフィラキシー 血管迷走神経反射
発生率 極めて少ない。
歯科麻酔(リドカイン)による発症割合
1/100~150万人
極めて多い。
既往歴 既往歴が無い場合がある。 7~8割に既往歴がある。
発現状況 アレルゲン(抗原)の
暴露後(局所麻酔や投薬後)。
緊張・痛みなどのストレスが与えられた直後。
症状 皮膚症状(蕁麻疹、腫れ、痒み)
血圧低下
頻脈(初期)から徐脈(末期)
※ 例外:最初から徐脈もあり
呼吸症状(喘息様、呼吸困難)
「意識消失(失神)」「顔面蒼白」「発汗」
徐脈(心拍数が60回/分以下)⇒血圧低下
経過 持続的で、ショックへと移行し、
自然回復はない
一過性で、通常自然回復。

歯科でアナフィラキシーが起きた時の対応

119番に通報

アナフィラキシーと疑った場合には必ず救急車を呼ぶ必要があります。専門病院での処置が必要だからです。救急車が到着するまでに歯科医院で出来ることを下記に列挙します。


2相性アナフィラキシー

治療が上手くいって症状が改善した患者であっても、数十分~数時間後に症状が再発する事があります。これを2相性アナフィラキシーといます。原因ははっきりとしませんが、少なくとも24時間は入院した上、経過観察が必要です。

1

生体情報モニタ

生体情報モニタ

バイタルサインの評価

生体情報モニタは、人間のバイタルサイン(心拍数、血圧、酸素飽和度など)をモニタリングする装置です。バイタルサインを継続的に測定して記録し、患者の状態に異常が起こった時に警告音などで知らせます。

アナフィラキシーと診断したら生体情報モニタをセットし、継続的にバイタルサインの評価を行います。

2

水平位+下肢の30cm挙上

水平位+下肢の30cm挙上

頭部への血液量を増やす

血圧低下で頭部への血流量が低下します。寝たまま足を30cm程持ち上げる(クッションなどの支えを入れる)ことで、足の血液を心臓に戻しやすくし、頭部への血流量を増加させる効果が期待出来ます。

3

酸素投与

酸素投与

十分な量の酸素吸入

上気道や舌の浮腫があったりすると呼吸困難になっている場合があります。また、酸素飽和度が低下しているため、十分な量の酸素投与(6~8リットル/分)を行います。

4

アドレナリン(エピペン)の筋肉注射

アドレナリン(エピペン)の筋肉注射

アドレナリン0.01mg/kgの筋注

アドレナリン0.01mg/kgを大腿前外側部に筋注します。(最大量:成人0.5mg、小児0.3mg )

エピペンは、ペン形アドレナリン自己注射器として開発されたもので、太ももの外側部に強く押し当て数秒間待てば自動的に必要量が注入される仕組みになっています。

黄色の製剤:アドレナリン0.3mg-体重30kg以上の方

緑色の製剤:アドレナリン0.15mg-体重15kg~以上30kg未満の方

5

心停止時の心肺蘇生

AEDによる心停止時の心肺蘇生

AEDによる心肺蘇生

AEDは、自動体外式除細動器のことで、心臓が痙攣を起こして止まってしまった時に電気ショックを与える装置です。

当院に設置してあります。

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アナフィラキシーショックのご相談は

ふかさわ歯科クリニック院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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