伝えたい! 歯の疑問:痛み・腫れ・膿・出血

歯茎の腫れフィステルは市販薬や
針で潰し膿を出しても治りません

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生え変わり時期の子供の乳歯に出来たフィステルの治療は、根管治療が基本です。

フィステルを放置すると歯根嚢胞が大きくなり過ぎて抜歯の可能性も。

フィステルは市販薬を飲んだり付けても自然治癒しません。また、自分で潰すと感染リスクが増すのでNGです。

■ フィステルは歯茎に出来るニキビの様もの聞きましたが、口の中に出来る小さい水泡(口内炎)との違いが分りません…

■ 歯の治療が怖いのでフィステルが出来てから半年以上放置しています。膿が出てかなりの悪臭を放っていないか心配です。どのようにして治すのでしょうか?

■ 子供の奥歯に虫歯があり少し削り詰めました。1ヶ月後、乳歯の歯茎に丸いできものが出来ました。多分フィステルだと思います。神経を取ってないのに出来るものでしょうか?

痛みが無いのに歯茎にぷくっとした腫れが出来れば、このまま放置しても治るのか、或いは歯医者に行かなければいけないのか悩みますよね。

ここでは、フィステルの原因や歯根嚢胞が急性化すると強い痛みが起こること、フィステルを治すための根管治療などを解説します。

目次


歯茎が腫れるフィステル

1

フィステルとは虫歯が原因の膿の出口

歯茎の白いぶよぶよした腫れから膿が出た! それはフィステルです。

虫歯が進行し、細菌が歯の神経の中まで入り、さらに根の先端を超えて骨まで感染が波及すると歯根の先端部分の骨に膿の袋を作ります。これを歯根嚢胞と言います。


疲れやストレスなどが引き金となり炎症が急激に進むと歯根嚢胞内で膿が沢山作られます。膿を溜める袋は手狭になり、内圧が高まります。この状態は激痛が続きます。


しばらくすると圧力を下げる為に骨の柔い所を選んで歯茎の表面まで膿を排出するための管が作られます。


歯茎に出来たぷくっとした白っぽい”できもの”は、フィステルと呼ばれる膿が出る場所です。フィステルが形成されると同時に、それまで激痛であったものが嘘の様に痛みが消えていきます。


フィステルは、根管治療が上手くいきづらい奥歯(特に大臼歯)に多く発生します。


歯周病でフィステルは作られる?

歯周病で歯茎に炎症が起き慢性化した場合でも、稀にフィステルが作られることがあります。虫歯が原因のフィステルとの鑑別が必要です。

2

虫歯菌が歯槽骨まで波及する根尖性歯周組織炎

2-1

歯茎にフィステルが出来ると痛みは止まる

奥歯の歯茎にフィステル(白いできもの)が形成される
奥歯の歯茎にフィステル形成

歯根の先端に膿の袋(歯根嚢胞)を作る病気を根尖性歯周組織炎と言います。

膿で満たされた歯根嚢胞は内圧が上がります。そこで、内圧を下げようとして、膿を出すための管が歯茎の表面に向かって自然と伸びます。

歯茎に白いできものの様なフィステルが形成されると、それまでズキズキと激しく痛み上下の歯が触っただけでも激痛が起こっていた歯は、内圧が下がることで一気に痛みが解消されます。

虫歯が原因で奥歯の歯茎にフィステル(白いぶよぶよとした腫れ)が出来きた画像
奥歯の虫歯が原因で歯茎にフィステル(白いぶよぶよとした腫れ)が出来き膿が出る画像

奥歯の差し歯の根の先端近くに歯茎にぶよぶよと腫れた白っぽい小さな腫れがあります。これがフィステルです。

白く見えるのは、中の膿が透けて見えるからです。フィステルには小さな穴が開いていて、そこから徐々に膿が出ています。

フィステルから出る膿の量は極めて少量とは言え、口臭の原因ともなります。

この状態は慢性的な状態で、膿が徐々に出ることで歯根嚢胞内の圧力が抜け痛みは起こりません。


3

疲れやストレスが引き金となり歯根嚢胞が急性化

3-1

歯根嚢胞は慢性疾患

歯根嚢胞は慢性疾患
慢性期には歯茎の腫れは起こらない

歯根嚢胞は慢性疾患のため何年もの間、自覚症状なく経過します。その間、フィステルは自然消滅したり、再び出来たりを繰り返します。

しかし、フィステルが消えても歯根嚢胞自体が治ったわけではありません。疲れなど体調の変化で免疫力が下がり急激に歯根嚢胞が大きくなると歯茎が広範囲に腫れ激痛が起こることがあります。

これが根尖性歯周組織炎の急性化という症状です。

3-2

歯根嚢胞が急性化したら歯茎を切開し膿を出す

急性化した歯根嚢胞は歯肉切開で排膿
急性期には歯茎全体が腫れる

フィステルが出来るまでの急性期は、歯茎全体がぶよぶよと大きく腫れ、強い痛みを伴うことがあります。

上下の歯が触れただけでも飛び上がるような痛みです。そんな時は腫れた周囲に浸潤麻酔をかけて歯茎を切開します。

切開すると黄色っぽい大量の膿が出てきます。それにより内圧が下がり痛みは消失します。同時に痛み止めや抗生物質の投与も行います。

そして、症状が安定してから根管治療を行います。

4

フィステルや歯根嚢胞の治療には根管治療

レントゲンで歯根嚢胞の確認

フィステルがあると必ず歯根嚢胞が出来ています。レントゲン撮影で歯根嚢胞の大きさを確認します。歯根嚢胞が大きすぎると根管治療だけでは治癒出来ないケースがあるからです。


レントゲンに歯根嚢胞が写らない時がある

根管内が感染していても急性期には歯根嚢胞の形成が不十分で、レントゲン撮影しても歯根嚢胞が写らないことがあります。


根管治療では痛みは起こらない

根管治療をう行う歯は神経が死んでいるので歯を削ったり、ファイルを差し込んでも痛みは起こりません。


※ただし、急性症状が出ている場合、根管治療のために人工歯を外す時など、少しの振動を加えるだけでも痛みが起こることがあります。

根管治療
根管治療
  • ・ファイルと呼ばれる針のような器具を使い、感染した根管壁を削り取り、消毒を繰り返します。これを根管治療といいます。
    急性症状がある時、根管治療すると根管内から大量の膿がどくどくと出ることがあります。膿が排泄されると同時に痛みが消失します。
    また、歯髄炎が起きた時に神経を抜く治療の事を抜髄と呼びます。抜髄も根管治療も行う行為は同じです。
ファイル試適のレントゲン画像
ファイル試適
  • ・歯根の長さを正確に測るためにファイルを入れたままでレントゲンを撮ります。これを根管長測定といい、電気的な根管長測定器も併用します。
    根尖部に黒い影が認められます。歯根嚢胞の膿の袋です。
    右手の白いネジのようなものはインプラントです。
根充後のレントゲン写真
根充
  • ・根管内が無菌的な状態になったら最終的な薬で根管内を密閉します。これを根充といます。
    根充が完了し数ヶ月後には歯根嚢胞は消え、以後フィステルは出来ません。
5

市販薬ではフィステルは自然治癒しない

1) フィステルは、自然治癒しません

前述した様にフィステルが作られる原因は、根管内に細菌感染が起こるためで、市販薬を塗ったり飲んでもフィステルは自然治癒しません。

また、フィステルを一生懸命歯磨きしても、消えることはありません。

2)根尖性歯周組織炎は良性疾患

フィステルが作られる根尖性歯周組織炎は良性疾患なので、放置しても癌化する様なことはありません。

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自分でフィステルを針で潰し膿を出すことはNG

奥歯の歯茎が腫れてフィステルが出来る画像 針を針を刺して潰してはダメ
フィステルに針をさして潰してはダメ!
歯茎のフィステル(白いぶよぶよとした腫れ)を自分で針で潰すことはNG

自分で歯茎の腫れ(フィステル)を針の様なもので潰し、膿を出す行為はNGです。

全く意味がないばかりか、感染のリスクを高めるだけです。

フィステルを放置しても治りませんが、自分で治すことは不可能です。


7

外科的摘出⇒歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術

歯根嚢胞が大きくなりすぎたら?

歯根嚢胞を放置し、親指の大きさよりも大きくなった場合には根管治療での治癒が望めない時があります。その時は歯根嚢胞摘出術及び歯根端切除術により歯根嚢胞を摘出し、歯根の先端部も切除します。

抜歯または経過観察

特に奥歯(大臼歯)で起きやすいですが、根管治療をしても治らない時や歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術後に再発したなどの場合、抜歯することもあります。そういったケースでは痛みが起こらない限り、経過観察ということもあり得ます。

8

歯根嚢胞やフィステルが抗生物質では治らない理由

歯根嚢胞まで抗生物質が届かない

抗生物質は血流に乗って患部に届き、一定以上の濃度が保たれて初めて効果が出ます。1日に3回飲むのは血中濃度を一定に保つためです。(例外としてジスロマックは1日1回で3日間飲めば効く )

歯根嚢胞内には血管が入り込んでいません。そのため、歯根嚢胞内まで抗生物質が届かないのです。これが抗生物質では歯根嚢胞が治らない理由です。

ただし急性症状が起こった場合に抗生物質を投与する目的は、顎骨に広範囲に炎症が広がるのを防止するためです。

9

子供の乳歯のフィステルの治療

乳歯の虫歯の特徴

乳歯の虫歯は進行が急激ですが、余り痛みが起こらないので、相当に進行しないと症状を訴えません。


乳歯は永久歯と交換する準備として歯の根の先が徐々に吸収されます。そんな時に歯髄まで達する虫歯になると歯が植わっている周りの組織(歯根膜、歯槽骨)などに炎症が起こり、歯槽骨は大きく吸収されます。


レントゲンを撮ると広範囲に渡って歯根周辺に黒い影が見られます。この様に殆ど歯根が残っていない状態で感染根管になると根管治療をしてもなかなか治りません。乳歯の下から永久歯の頭が近くまで登ってきていれば抜歯が適当です。


乳歯は詰め物をしただけでフィステルが形成されやすい

乳歯の虫歯は外から見るよりも中で大きく広がっていることがあります。


虫歯を削って詰め物をする際、完全に虫歯を取ると神経が露出してしまうことがあります。5歳以下の治療に非協力的な子供では神経を取る治療が困難です。そこで少し虫歯を残した状態で詰め物をすることがあります。こうすれば急性症状が起こりにくいからです。


この様な時に数ヶ月後に神経が死んでフィステルが出来ることがあります。


乳歯のフィステルの治療には酸化カルシウム製剤のビタペックスを入れる
乳歯のフィステルの治療法

乳歯のフィステルは大きい

乳歯に虫歯が出来てばい菌が神経まで到達すると、永久歯同様、フィステルが形成されます。

子供の歯茎に出来るフィステルの直径は5ミリを超えることもあり、永久歯よりも大きくなるのが特徴です。

乳歯のフィステルの治療法

治療法は根管内を消毒し、水酸化カルシウム製剤のビタペックスをフィステルから押し出す様にします。

間もなく永久歯が生えてくるような時期は、歯根の吸収が進み、根管治療が上手くいかないことがあります。そのような時は抜歯しても問題ありません。

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フィステルと口内炎の見分け方

舌に出来た口内炎
舌の側面に出来た口内炎
口内炎の見た目や痛み

一般的に口内炎と呼ばれるアフター性口内炎の見た目は、直径2~3mm 程度の白っぽい潰瘍を作り周囲が赤くなるのが特徴です。

好発部位は唇、頬の粘膜、舌などで、触るとピリピリした痛みを感じます。

長くても1週間ほどで自然治癒するのが普通です。


フィステルの見た目や痛み

主に差し歯の根元の歯茎に直径1~3mm程度の半球状の腫れが現れます。全体的に赤っぽく一番高い部分は白っぽく見えます。

触れた程度では痛みが起こりませんが、強く押すとやや痛みが起こります。大きくなったり、消えて無くなったりしますが自然治癒はしません。


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フィステルや根管治療の治療費

フィステルや根管治療は保険適用

内容 保険点数
感染根管治療 感染根管を綺麗にし、消毒する。根管が1本から3本以上で治療費が異なる 1根管:150点
2根管:300点
3根管以上:438点
根管貼薬処置 1歯1回につき 1根管:38点
2根管:34点
3根管以上:46点
根管充填(加圧根充) 加圧根充を行った時の点数 1根管:276点
2根管:340点
3根管以上:414点

※ 根管治療が完了するまでの総保険点数は、大臼歯を例にすると(治療が最短で終わった場合)898点なので、一部負担金が3割とすれば2,694円となります。これに、初診料、再診料、処方箋料、レントゲン料、電気的根管長測定、冠やポストを除去した場合には除去費用などがかかります。薬は投薬内容により費用が異なりますが、薬局に支払う必要があります。

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ふかさわ歯科クリニック院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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