伝えたい! 歯の疑問:歯科全般

小学生・中学生の子供と大人で違う
歯ぎしりの原因とマウスピース対策

皆様の健康をトータルサポート。

歯ぎしりの原因は、夜間低血糖症やストレスなど様々ですが、小学生や中学生の子供と大人では原因や対策が異なります。歯ぎしりを放置すると様々なデメリットがあります。

治療には保険適用のマウスピース(ナイトガード)や自分で出来る対策法もあります。歯ぎしりなら江戸川区篠崎の歯医者。

歯ぎしりはなぜ悪いの?

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歯ぎしり・食いしばりはどんな病気

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『歯ぎしり』と『食いしばり』の違い

睡眠中に起こる歯ぎしり
歯ぎしり

歯ぎしりは睡眠中に上下の歯を擦り合わせ「キリキリ」と歯の擦れる音を出します。本人は気がつかないため、家族から指摘されて初めて気が付くことがほとんどです。

そのため、同室者の睡眠を妨げるばかりか、同室者の睡眠に悪影響を与えないかと心理的負担になり、睡眠の質が下がってしまうことが問題です。

夜間/日中問わず起こる食いしばり
食いしばり

夜間、日中問わず無意識の内に上下の歯を強く噛み締めている状態です。

スポーツ選手、例えばゴルファーがドライバーを打つ時、野球選手がボールを打つ時、ウエートリフティングの選手がバーベルを上げる時に上下の歯を強く噛み締めますが、「食いしばり」はそれらとは別の反応です。

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『歯ぎしり』と『食いしばり』の顎の動き

歯ぎしりは左右に下顎を運動させる
歯ぎしりの歯の動き

歯ぎしりは睡眠中に下顎を左右に動かし上下の歯を擦り合わせます。そのためグライディング型の歯ぎしりと呼ぶこともあります。

食いしばりは上下に力がかかる
食いしばりの歯の動き

食いしばりは垂直方向に上下の歯を強く噛み締めます。そのため、クレンチジング型の歯ぎしりと呼ぶこともあります。

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『歯ぎしり』や『食いしばり』はなぜ悪い

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知覚過敏とくさび状欠損

冷たいものや熱いもので凍みる知覚過敏
知覚過敏

冷たい物や熱いものが口の中に入るやいなや痛みを感じ30秒ほど続くのが知覚過敏です。
歯軋りや食いしばりは知覚過敏の間接的原因です。

くさび状欠損
くさび状欠損

くさび状欠損は歯の根元が削れたようになる現象です。以前は研磨剤の付いた歯磨剤を使い横磨きをすることが原因と考えられていましたが、現在では歯ぎしりや食いしばりによる歯の根元に応力の集中する事が原因と考えられています。

このくさび状欠損も歯の表面のエナメル質が剥がれ、知覚を感じる象牙質が露出することによって、知覚過敏を誘発します。

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歯の咬合面・切端のすり減りや骨隆起(外骨症)

前歯の切端のすり減りと下顎小臼歯舌側部に出来た骨隆起
大臼歯の咬合面や前歯の切端のすり減り

大臼歯の咬合面や前歯の切端が極度にすり減ってきます。歯のすり減りが象牙質まで達すると歯が凍みる知覚過敏が起こります。

また、写真の様な場所に骨の隆起が出来てきます。歯が磨り減っている患者さんでは骨隆起を伴っていることをしばしば経験します。このことからも歯ぎしりや食いしばりの存在が想像出来ます。

上顎正中部分に出来た骨隆起
骨隆起(外骨症)

上顎では口蓋部の中心に口蓋隆起、下顎では小臼歯舌側に下顎隆起という骨の添加が起こります。これは歯ぎしりや食いしばりによって、歯に強い力がかかる事で歯根周囲の骨を強化しようとする生体防御反応と考えられています。

骨隆起自体には特に問題はありませんが、余り骨隆起が大きくなりすぎると、入れ歯を作る際に邪魔になります。そんな時には骨隆起を外科的に削除することもあります。

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歯や歯根の破折

歯の破折
歯の破折

食いしばりの強い人の歯が真っ二つに割れています。特に起こりやすいのは上顎小臼歯です。

この様に割れてしまった歯は、抜歯するしかありません。

歯根が真っ二つに割れたレントゲン写真
歯根の破折

この歯は神経を取った歯です。神経を取ると歯全体が弱くなるため、歯根が割れやすくなります。特に歯ぎしりや食いしばりなどが強い人ではその傾向が強くなります。

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歯周病の発症や重症化

歯周靭帯断裂・付着喪失

歯軋りや食いしばりの持続的な力は歯周ポケットの形成⇒歯槽骨吸収⇒歯の動揺⇒歯肉退縮⇒歯の移動といった歯周病を重症化させる一連のメカニズムの一翼を担うことになります。

ブラキシズムによる重症化した歯周病の一例
重症化した歯周病の一例

歯肉の炎症により歯周ポケットが深くなり重度歯周病となっています。

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その他の全身的不快症状や痛み

肩こり
肩こり
  • ・歯ぎしりによって咬筋や側頭筋などに負担が生じ、それらの筋肉とつながっている肩や首の筋肉に炎症が起こりやすいのが肩こりや頭痛の原因です。
頭痛
頭痛
  • ・頭痛も肩こりとほぼ同じようなメカニズムで発症します。
顎関節症
顎関節症
  • ・顎の関節の痛みやカックンという音がするのが顎関節症です。歯ぎしりや食いしばりの影響で咀嚼筋緊張⇒咀嚼筋肥大⇒咀嚼筋肉の疼痛⇒顎関節症⇒関節円板前方転移といった流れで顎関節症に発展する可能性も示唆されています。

    現在では、顎関節症はTCH(歯牙接触癖)による影響が強いことがわかっています。
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安静位空隙って何?

■ 健全な上下の歯列の状態は

食事や唾を飲み込んでいる時以外は上下の歯は接触せずに、第一大臼歯のところで2mmほどの隙間があるのが正常です。 この隙間のことを安静位空隙と呼びます。

安静位空隙は大臼歯部で約2mm
安静位空隙は大臼歯部で約2mm

■ 安静位空隙のキープが重要

寝ている時も、日中でも上下の歯は接触していないのが正常です。その時は副交感神経優位でリラックスした状態を保てますが、かみしめを続けると自律神経の交感神経の緊張が続き、前述したような全身症状まで引き起こす恐れがあります。

普段から上下の歯を接触させないようにしましょう。

歯ぎしりの原因-なぜ起こるの?

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歯ぎしりの原因は夜間低血糖症?

夜間低血糖症の特徴

■ 夜間の低血糖状態は、血糖を回復させようと交感神経優位の状態にするアドレナリンやコルチゾールなどの分泌を促進します。アドレナリンやコルチゾールは闘争ホルモンのため、恐怖の夢を見ることが多く、歯ぎしり患者は悪夢体験が多いことが特徴です。


こんな症状がある人は「夜間低血糖」の可能性が

■ 寝汗がひどい
■ 寝ても疲れが取れない
■ 朝起きた時の首のこわばり
■ 寝る前に何か食べないと眠れないことがある
■ 午後3~4時ごろにだるさや眠気、集中力の低下を感じる

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夜間低血糖症の血糖値の変動

夜間低血糖症の患者の血糖値の変動グラフ

46歳男性の2晩3日分の血糖値変動。前半は血糖値の乱高下が激しく、睡眠中は急激に低下。糖質の多い食事が原因と見られる。糖質制限弁当を食べた日は血糖値も睡眠も安定していた。
(資料提供:医療法人 回生會 新宿溝口クリニック 溝口院長

歯ぎしりの対策

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夜間低血糖症の対策

夜間低血糖症にはどんな改善法があるのか

① 早めの夕食を摂る。
② 夕食での炭水化物の非摂食。
③ 穏やかな血糖値上昇の食事スタイル(低GI値の炭水化物や野菜・肉や魚から食べるなど)



サプリメントの使用

① マグネシウムを中心としたミネラル。
② ナイアシン、ビタミンB6、マンガン、亜鉛。


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就寝時にマウスピース(ナイトガード)を装着

歯ぎしり対策用の上顎に装着するマウスピースの画像
上顎に装着するマウスピース(ナイトガード)

歯医者で歯の型を採って作成し、夜寝ている間、上の歯列に装着します。

マウスピースはハードタイプと写真のようなソフトタイプの2種類があります。(通常保険適用になります。)

マウスピースの治療目的

上顎の歯列を覆うマウスピースの様なものをナイトガードと言います。ナイトガードは下顎を安静にするために歯ぎしりを抑制する効果があると考えられています。また、歯ぎしりの音を防止する目的で用いられたりもします。

ナイトガードは上下の歯のクッションの役割を果たすため顎関節や歯を保護する目的でも使用されます。

マウスピースの欠点

① マウスピースを長期化使用すると顎位に変化が起こってしまう危険性があります。マウスピースをやめると多くは再発します。

② 強い歯ぎしりを有する患者さんは、1ヶ月ほどでハードタイプマウスピースであっても穴が開いてしまることもしばしばです。(保険では作り替えは不可です。)

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自分で歯ぎしりを治す方法

1.自己暗示療法

睡眠前に「唇は閉じ、上下の歯はわずかに離れている」と心の中で30回唱えてください。  自己暗示療法が有効なケースが数多く報告されていますので試してみてください。


2.意識改革

「唇を閉じて上下の歯が接触しない状態を保つこと」を常に意識する。


3.夜間低血糖の予防

糖質制限など、夜間低血糖の予防に努める。

子供の歯ぎしりの原因と対策

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乳幼児期・小学生の子供の歯ぎしり原因と対策

乳幼児期

生まれて5~10カ月すると、上下の乳中切歯が生えてきます。この頃、歯ぎしりが起こることがあります。

赤ちゃんの歯ぎしりは、生えたての乳歯が気になったり、どこで噛んだらいいのか試行錯誤をする生理的現象だと考えられています。赤ちゃんの歯ぎしりは成長するに従い自然と消失するものですから心配せずのんびりと構えても差し支えありません。


小学生(児童・学童期)

2歳を過ぎた頃に乳歯列は完成します。この頃から顎の成長が活発になり、口腔周囲筋や顎関節も様々な影響を受けながら発達します。こういった成長の過程で歯ぎしりが癖になってしまうことがあります。

しかし、子どもの身体組織は柔軟性があり、症状が出る事は少ないと思われます。また、乳歯は永久歯に比べやわらかいため、すり減りが顕著に現れることがありますが、心配する必要ありません。

しかし、極度の歯ぎしりがある場合には、骨格的な歯列不正が原因のこともあります。その場合には、早期に専門医を受診されることをお薦めします。

子供の歯ぎしりの口腔内写真
子供の歯ぎしりの口腔内写真

歯ぎしりによって前歯が磨り減って短くなっていますが、心配する必要はありません。

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中学生(思春期)の歯ぎしり原因はストレス

中学生(思春期)に起こる歯ぎしりの原因はストレス
中学生(思春期)に起こる歯ぎしり
ストレスが原因で起こる歯ぎしり

中学生の12歳を過ぎる頃、乳歯はすべて抜け落ち永久歯へと交換します。中学生や高校生になると友人関係や受験勉強などで強いストレスが加わると歯ぎしりが起こることがあります。

歯ぎしりは上下の歯をする強く擦り合わせることで歯に負担がかかります。そのため、知覚過敏の症状が出たり、虫歯でもないのに硬い物を噛んだ時に痛いといった症状が出る事があります。

ストレスが原因であれば、ストレスが除去されれば、自然治癒することがほとんどです。ただし、歯ぎしりが習慣化してしまった場合には上記の処置が必要になります。


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ふかさわ歯科クリニック篠崎

ふかさわ歯科クリニック篠崎院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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