伝えたい! 歯の疑問:歯科全般

アテローム性動脈硬化の原因となる
歯原性菌血症の改善方法

皆様の健康をトータルサポート。

アテローム性動脈硬化の原因は、歯周病菌や虫歯菌・菌体内毒素(LPS)が血管内に入り込む歯原性菌血症と血糖値の急激な上昇によるグルコーススパイクが動脈の内皮細胞を傷つけることから始まり、アテローム性プラークが増大して動脈を狭くします。アテローム性動脈硬化の改善なら江戸川区篠崎の歯医者。

目次


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アテローム性動脈硬化とは

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動脈の構造

動脈の断面図 三層構造(外膜、中膜、内膜)+内皮細胞
動脈の断面図

三層構造(外膜、中膜、内膜)+内皮細胞

■ 動脈は三層構造+内皮細胞

動脈の断面を見ると、三層構造で出来ています。内側から内膜、中膜、外膜です。内膜の表面を内皮細胞が覆っています。

内皮細胞は血液が固まるのを防いだり、動脈を拡張させたりする役割を持っています。

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アテローム性動脈硬化の機序

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血管内皮細胞の損傷

高血糖(糖尿病)によるグルコーススパイクや口腔細菌が血管内に侵入する事により起こる歯原性菌血症によって内皮細胞は傷付けられます。

原因 ① グルコーススパイク
 糖質(炭水化物)過剰の食生活や運動不足⇒血糖値の急激な上昇⇒グルコーススパイク⇒血管内皮細胞の損傷

原因 ② 口腔細菌による歯原性菌血症
歯周病や虫歯の重症化⇒血管内へ口腔細菌の進入⇒細菌が血管内皮細胞に定着⇒血管内皮細胞の損傷

歯周病菌やブドウ糖などで内皮細胞が傷つく
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血管内膜の炎症

炎症の起こった内膜へ悪玉コレステロール(LDL)が侵入し、酸化されて毒性化します。酸化LDLを処理するために、単球(白血球の一つ)が内膜へ入りマクロファージに変化し凝集します。

白血球の一種(単球)が内膜に入りマクロファージに変換
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アテローム性プラークの増大

マクロファージは悪玉コレステロールを取り込んで死んでいきます。その結果、内膜にコレステロールが大量に蓄積されコブ状に膨らんだ状態になります。

この柔らかいぶよぶよの状態をアテローム性プラーク(血管内プラーク)と呼びます。そしてこの様になった血管をアテローム性動脈硬化と呼び、高血圧症を引き起こします。

毒性化した悪玉コレステロールをマクロファージが取り組んで自壊し、コレステロールだけが残る
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アテローム性動脈硬化

アテローム性プラークが大きくなると血管の伸縮性が失われると共に高血圧症を引き起こします。この様な状態が長く続くと血流が止まり、心筋梗塞や脳梗塞などを発症させます。

又、内膜が破れるとそこに血の塊(血栓)が出来て完全に血流を停止させます。又、血栓は血流に乗って脳の細い血管などに運ばれ、血管を塞ぎ、脳の一部が壊死する脳梗塞に至るのです。

また重篤な疾患として解離性大動脈瘤や大動脈解離なども起こりやすくなります。

アテローム性プラークが大きくなって血管をふさいだり、破れて出血し血栓が出来る
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アテローム性動脈硬化の症状

急性心筋梗塞、脳卒中
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急性心筋梗塞、脳卒中

突然起こった手足顔のしびれ、言葉がうまくしゃべれない、激しい頭痛などの症状が起こったら脳卒中かも。また、胸の強い痛みや恐怖感を覚えたら急性心筋梗塞かも。

歯周病菌の菌体内毒素(LPS:リポポリサッカライド)は血管内に侵入して、免疫細胞を刺激し、サイトカインという物質を発生させます。

それにより、各臓器に広範囲に慢性の炎症や障害を引き起こします。その一つが、前述した血管の内皮細胞にダメージを与え、急性心筋梗塞、脳卒中、解離性大動脈瘤などの増悪要因となっています。

糖尿病
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糖尿病

糖尿病の自覚症状は初期の内はほとんどありません。

糖尿病は血糖値(血管内のブドウ糖の量)が異常なほど上昇し、グルコーススパイクにより血管内皮細胞が損傷を受ける病態です。血糖値を下げる働きのインシュリンの効きが悪くなってインシュリン抵抗性が増している状態です。

血液中のLPS:リポポリサッカライドはインシュリン抵抗性を更に増大させ、塘代謝を阻害します。逆に、糖尿病が重症化し血液中のブドウ糖が増えると、血管内の細菌が増加し、歯原性菌血症が悪化するという負のスパイラルに入ります。

早産、低体重児出産
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早産、低体重児出産

重度の歯周病(歯槽膿漏)にかかっている母親から生まれた子供は、健康な歯肉の母親に比べて、約7倍以上の確率で低出生体重児を出産しています。歯周病以外にも喫煙・過度の飲酒なども関係していると考えられています。

早産、低体重児出産のメカニズム歯周病菌の菌体内毒素(LPS:リポポリサッカライド) が血中に入り、血液中にサイトカインが発生します。それが羊水内に入って胎児の成長に影響を及ぼすと考えられています。

サイトカインが異常に増えると、子宮筋を収縮させます。 又、妊娠するとプロスタグランジンが分泌され、胎児が成長すると共にその量を増します。基準を超えた時点で子宮収縮を起し、出産が開始されます。しかし、重度歯周病で血液中に細菌が侵入すると、プロスタグランジンの量が異常に増え、早期に出産が始まってしまいます。

低出生体重児に起こりやすい症状下記の理由により新生児死亡の原因となったり、新生児の健康を妨げたりします。
① 肺がふくらみにくいため、呼吸がうまく出来ずに酸素欠乏症になりやすい。
② 低体温になりやすい。
③ 感染に対する抵抗力が弱い為、病気になりやすい。
④ 栄養を取ることが難しい(乳を吸う力が弱く、吸いついてもすぐ疲れて眠ってしまう。)


歯原性菌血症

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歯原性菌血症とは

歯周病菌や虫歯菌・菌体内毒素(LPS)が血管内に入り込む

歯原性菌血症とは、簡単に言うと口の中の細菌が血管の中に入り込むことをいます。 具体的な侵入経路は、歯周病菌(グラム陰性桿菌)の菌体及び内毒素(LPS:リポポリサッカライド)が、炎症を起こした歯肉の血管の中に侵入します。

もう一つは、大きくなったう蝕に生息する虫歯菌が象牙質内の細い管を伝わって歯髄内の血管の中に侵入します。


う蝕や歯周病が重症化すると、菌の本体や菌体内毒素(LPS)が大量に血管内に入り込むことになります。歯周病や虫歯を治療せずに放置すると血管(特に動脈)は障害を受け続け、アテローム性動脈硬化を引き起こしてきます。


抜歯やルートプレーニングといった出血を伴う歯科治療においても同様に一時的な菌血症が起こります。歯周病が重症化した口腔内では更にそのリスクは増大します。

内毒素(LPS:リポポリサッカライド)
内毒素(LPS:リポポリサッカライド)

LPSは、歯周病菌が持つ毒素で、歯槽骨の破壊に関与し、歯周病の進行を早めると言われています。

LPSは血管の内壁に取り付き、血管の内皮細胞に障害を加え、動脈硬化に関わっていることがわかって来ました。

歯周病菌や内毒素(LPS)が血管の中に入り、アテローム性動脈硬化を起こす模式図
歯周病菌や内毒素(LPS)が血管の中に入り、アテローム性動脈硬化を起こす模式図

歯周ポケット内で増殖した歯周病菌や内毒素(LPS) が動脈に入り内皮細胞に炎症を起こし、そこからアテローム性動脈硬化が起きている状態を示して います。



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歯原性菌血症とアテローム性動脈硬化の関連性

メタボリックシンドロームは血管の老化

メタボリックシンドロームの病態の核心は、血管の損傷ということに尽きます。「人は血管と共に老いる」という言葉があるように、血管の損傷は、様々な病気を発症させる要因となります。

歯原性菌血症が起こるとメタボリックシンドロームによって起こった血管の損傷を更に増悪させる事になります。

アテローム性動脈硬化を改善する方法

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アテローム性プラークからコレステロールを除く方法

アテローム性プラークからコレステロールを除去する事が出来れば動脈硬化を防ぐことが出来ます。悪玉コレステロールが上昇するのはメタボリックシンドロームの1形態です。

血糖値の上昇、高脂血症、高血圧などの膵臓のβ細胞から分泌されるインシュリンを核として一連のメカニズムの異常によって引き起こされる疾患です。

内臓脂肪を減らしたり、オメガ3系の脂肪酸を摂取するなど方法があります。詳しくは歯周病とメタボリックシンドロームの関係のページをご覧ください。

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アテローム性動脈硬化を起こさない生活習慣とは

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歯科的な視点から

虫歯を予防するなら

対策の種類 自分自身で 歯医者で
機械的方法 歯ブラシ歯間ブラシデンタルフロス PMTCエアフロー
化学的方法 フッ素キシリトール次亜塩素酸リカルデント 3DS-グルコン酸クロルヘキシジン

歯周病を予防するなら

対策の種類 自分自身で 歯医者で
機械的方法 歯ブラシ歯間ブラシデンタルフロス PMTCエアフロースケーリング
化学的方法 次亜塩素酸プロバイオティクス乳酸菌LS1 抗生物質、3DS-グルコン酸クロルヘキシジン
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血糖値の視点から

グルコーススパイクを起こさないようにするには

対策の種類 自分自身で
食事 ① 糖質(炭水化物)の過剰摂取は控える。特に夕食。
② マグネシウムの摂取不足に注意
③ 炭水化物の単体での摂取をしない。肉や魚野菜などと一緒に摂ること。
④ 腸内環境を整えること。腸内の善玉菌を増やす。善玉菌をふやす食材として代表的な納豆、善玉菌の餌となる水溶性食物繊維(寒天やメカブなどの海草)を欠かさない。
⑤ オメガ3系脂肪酸を摂取すること。
運動 ① 1日1万歩。特に食事後の運動は効果的。
② 筋肉を付けると筋肉で糖質が燃やされる。
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歯原性菌血症と動脈硬化のご相談は江戸川区篠崎駅の歯医者
ふかさわ歯科クリニック篠崎

ふかさわ歯科クリニック篠崎院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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