伝えたい! 歯の疑問:歯科全般

歯根破折を放置して膿と臭い痛みが出た!
歯の根っこが割れたら保存治療か抜歯?

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歯の根っこが割れて放置した時の初期症状は、歯茎が腫れ、約1週間後には咬合痛やズキズキする強い痛みが出るばかりか膿が出て臭いが発生します。

歯根破折は、差し歯に起こりやすく放置しても自然治癒しません。

一旦、割れた根っこを抜歯して口腔外で接着し再植する口腔外接着再植法があります。

■ 数年前に神経を抜いて被せ物をしてある歯が歯根破折と思われるのですが、「痛くなるまで様子見しよう。」と歯医者に言われました。これはおかしいでしょうか?

■ 虫歯を治療してクラウンを被せてある歯が歯根破折かもしれません。クラウンを取れば歯の割れやヒビは分かるものなのですか?


■ 前歯4本の神経を取って差し歯にしています。すべてメタルコアが入っているので歯根破折が起こらないか心配です。


神経を抜いてしまった歯は枯れ木の様に脆くなってしまうことはご存知の通りです。差し歯が少しでも痛いと感じたら早めに歯医者を受診することをお薦めします。歯根破折の診断が早めにつけば保存出来る可能性があるからです。

ここでは、歯根破折を起こすとどのような初期症状の変化が起こるのか、歯根破折した歯を抜歯しなくて治す治療方法などを解説します。

目次


歯根破折の症状

1

歯根破折の初期症状

歯根破折が起きた時に初期症状
当日

歯根破折の瞬間はパッキと音がする

歯根破折が起こった瞬間はパッキと音がして「あっ痛い!」程度の症状です。


1日目

咬合痛-噛んだ時の痛みを感じ始めます

1日経つと徐々に歯のグラグラが現れ、ズキズキとした痛みはあまり起こりませんが、噛んだ時の痛みが次第に強くなってきて食事がしにくくなります。


3日目

咬合痛-歯茎が腫れ、強い痛みの発生

3日目には歯茎が腫れ動揺も大きくなり食事が出来ないほどの痛みになります。

※ 歯根の割れ方によりますが、ここまでの症状の変化は、もう少し長い経過(1週間程度)を辿る場合もあります。


1週間後

歯茎から膿が出て臭いが発生

歯根破折から1週間放置すると、歯茎はさらに腫れて膿が出てドブの様な臭いを自覚する様になります。歯のグラグラが強まり、咬合痛だけではなく自発痛も起こります。

2

歯根破折を放置しても自然治癒しません

歯根破折の疑いがあれば歯医者の受診は早いほど良い

歯根破折の初めは歯根に小さなひびが入った程度ですが、噛んでいるうちにヒビが大きく広がってきます。そのため、歯根破折した歯は自然治癒しません。

歯根破損を放置すると炎症が歯槽骨から顎骨まで及び、場合によっては入院しなければいけなくなります。歯根破折の疑いがあれば速やかに歯医者で治療を受けてください。


歯根が割れた初期であれば割れ方にもよりますが、一旦抜歯し、口腔外で割れた歯根を接着し、再植する口腔外接着再植法が出来る場合もあります。


レントゲンでは歯根破折の診断は難しい

歯根にひびが入った程度ではレントゲンに写りません。そのため、初期の歯根破折の診断は自覚症状などの問診が頼りです。

また、詰め物や被せ物を取ればヒビが確認出来ることもあります。


※ 症状が進行すれば歯根膜腔の拡大などのレントゲン像が現れます。

歯根にひびが入った場合、早期に口腔外接着再植法を適用すれば、長く持つ可能性が出ますが、一旦抜歯するというリスクを受容する必要があります。

3

歯根破折で歯茎から膿や臭いが出る理由

細菌感染

歯周ポケット内の口腔内細菌が歯根のヒビの間に入り増殖します。細菌が作り出す毒素により歯槽骨の炎症が起こり歯茎に膿が溜まり腫れます。炎症反応が起こると当然のことながら強い痛みを伴います。

歯周ポケットから膿が徐々に口腔内に漏れ出し、臭いの原因になります。

フィステルというでき物

割れた歯の根の先端に相当する歯茎にフィステルという小さな腫れ(でき物)が出来ることがあります。これは膿の出口です。フィステルからの排膿も臭いの原因となります。歯根嚢胞が出来ている時にも作られます。

4

差し歯の根っこが割れ安い理由

差し歯の歯根にヒビが入る
原因1

差し歯の歯根がもろくなっている

神経を取った歯はセラミック冠などを被せるために歯根の中にメタルコアまたはファイバーコアといった土台を差し込みます。

神経の無い歯は栄養が行き渡らずにもろくなっています。枯れ木の様にもろくなった歯の根っこの中に歯根破折のリスクの高い土台(メタルコア)を入れると歯根の一点に応力が集中し、歯根が折れ安くなります。

歯根破折は1根管の前歯に起きやすく、縦方向にナタで割ったように真っ二つになることがほとんどです。

従って、奥歯の様に複数の歯根によって構成されている歯では、歯根が割れる頻度は下がります。

原因2

歯根が根元から折れる

差し歯が根元から折れる場合があります。殆どの場合、メタルコアの金属が銀合金(保険適用)で作られている場合です。金合金は強度が弱く歯根の根元から折れます。治療は折れたメタルコアを外して再製作します。

5

差し歯の歯根が縦に割れてグラグラした症例

歯根破折の例
歯根破折の例
  • ・差し歯の歯根が中心で縦に二つに割れています。神経の無い歯はもろいため歯根が割れてしまうことがしばしば起きます。歯根膜腔の拡大により、歯根の周りが黒く写っています。これは炎症によるもので、歯槽骨の吸収が始まっています。同時に歯茎も腫れています。
差し歯が外れたケース
差し歯が外れたケース
  • ・歯根に破折線が見られます。差し歯が外れた原因は歯根破折によるものです。この様なケースは抜歯するか口腔外接着再植法で治療します。
左:金属の土台、右:歯根が割れて抜歯したケース
左:金属の土台、右:歯根が割れて抜歯したケース
  • ・左側が金属製の土台です。土台の先端部に応力が集中する傾向があります。右側は真っ二つにナタで割ったようになった歯根を抜歯したものです。

歯根破折の治療法

1

歯根破折を抜歯しない治療法

歯根破折の口腔外接着再植法が出来る条件

1)歯槽骨の吸収が起きていないこと。
歯根破折をして時間が経過すると、周りの歯槽骨が破壊され吸収されてしまいます。治療は、歯根破折してから3日以内が目安です。


2)割れた歯がしっかりしていること。
割れた歯が薄く強度がなければ、再植しても予後不良となります。


上記の様な条件が揃えば、歯根破折した歯を抜歯しないで保存することが可能です。



長期の予後は期待薄

条件がよければ、数年から10年ほどの予後が期待出来ますが、絶対ではありません。


良い条件とは割れた歯根が厚く強固であり、割れた歯の部分に強い噛み合わせの力が加わっていない。(歯ぎしりや食いしばりTCHなどがない)などです。

2

口腔外接着再植法の手順

割れた歯根を抜歯後、口腔外で接着し再植
割れた歯根を抜歯後、口腔外で接着し再植

抜歯を行わずにひびが入った部分に直接、接着剤を流す方法も考えられますが、浸出液が少しでもあったり、接着面がプラーク(歯垢)などで汚染されていると接着が不十分で予後不良となることが多いです。

歯根破折の口腔外接着再植法の手順

① 浸潤麻酔を行い歯根破折した歯を出来るだけ歯根膜を傷付けないように抜歯します。

② 破折した歯の接着面を綺麗に清拭して、接着剤で接着します。

③ 抜歯窩に再植します。再植した歯根が動かないように歯茎を縫合するなどして固定します。

④ 2~3か月後に破折リスクの低い土台(ファイバーコア)を立てて仮歯を作ります。

⑤ 3~6ヶ月後に最終的な被せ物を行います。

口腔外接着再植法は保険適用外です。

3

口腔外接着再植法の費用

保険適用外(自費)

治療内容 費用
口腔外接着再植法 縦に割れた歯根を浸潤麻酔下で一旦抜歯し、口腔外で接着して抜歯窩に再植する方法 39,000円 (消費税別)
42,900円(消費税込み)

※ 治療費には、接着再植治療代、根管治療料、薬代、レントゲン診断料などが含まれます。



4

歯根破折を長期間(1週間以上)放置すると抜歯?

歯根破折を放置した状態 歯槽骨の吸収、歯茎の腫れ、歯周ポケットからの排膿
歯根破折を放置した状態

破折した所が細菌感染を起こし、歯槽骨の吸収や歯茎の腫れ、歯周ポケットから膿が出る、臭いが強くなるなどの症状になります。

抜歯

歯根破折を起こして放置期間が1週間以上になると歯根を支えてる骨が溶けてきます。こうなると前述した保存治療は不可能で、抜歯の一択になります。

抜歯後は、膿や歯茎の腫れを抑える抗生物質と痛み止めの投与を行います。


抜歯後の補綴治療

歯を抜歯した後は、ブリッジ、取り外しの入れ歯インプラントなどの治療法が選択出来ます。

歯根破折を起こしやすい人

1

咬合力(噛む力)が強い人

咬合力(噛む力)が強い人

横顔の矢印の部分に注目してください。この角度が90度に近くなればなるほど、咬合力の強い人という事が出来ます。俗に言うエラが張った顔です。

専門用語でいうと、こういった顔のパターンをブレーキーフェイシャル(短顔型)と言います。ブレーキーフェイシャルの方は筋肉が垂直方向に走っているため、噛み込む力が強いのです。

健康な歯であるにもかかわらず、歯が真っ二つに縦に割れているのを稀に見ます。

特に頻発するのは上顎の第1小臼歯と第二小臼歯です。

2

歯ぎしり・食いしばり・噛みしめをする人

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりは、夜寝ている時に起こるもので、自覚症状はありません。家族から指摘されて初めて分るものです。歯ぎしりにより強い力が上下の歯に長時間にわたってかかっていることで歯根の耐久性が次第に失われてきます。

朝起きてみると歯茎が腫れ奥歯がグラグラしています。とても痛くて食事が出来る状態ではありません。

これは歯ぎしりによって歯根が縦に割れたところへ細菌が感染したのが原因です。

強い歯ぎしりがある人は就寝時にマウスピース(ナイトガード)を使用することも考慮に入れる必要があります。

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執筆者 院長 深沢一

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