- 1. 歯肉圧排とは
- 1.1. 歯肉圧排の目的
- 2. ブリッジ治療における歯肉圧排の症例
- 2.1. 上顎犬歯から第一大臼歯までのブリッジ症例
- 2.2. シリコーン印象と歯肉圧排の関係
- 2.2.1. 高精度な型取りを実現するために
- 2.3. 歯肉圧排の方法
- 2.3.1. 圧排糸法(最も一般的な方法)
- 2.3.2. 化学的圧排法
- 2.3.3. 圧排ペースト法
- 3. 前歯部クラウン治療における歯肉圧排
- 4. CAD/CAM冠やデジタル印象でも重要
- 5. 歯肉圧排時の注意点
- 5.1. 歯肉退縮
- 5.2. 出血
- 5.3. 全身への影響
- 6. まとめ
- 7. 江戸川区篠崎で精密な被せ物治療をご希望の方へ
- 8. 筆者・院長
- 8.1. 深沢 一
- 8.1.1. メッセージ
歯肉圧排とは

歯肉圧排(しにくあっぱい)とは、クラウンやブリッジなどの補綴治療を行う際に、歯と歯ぐきの境目(歯肉溝)を一時的に広げて、支台歯の形成境界(マージン)を明確にする処置です。
被せ物の適合性や審美性は、型取りや口腔内スキャンの精度に大きく左右されます。歯肉圧排は、その精度を高めるために欠かせない重要な前処置です。
歯肉圧排の目的
歯肉圧排には次のような目的があります。
- 支台歯のマージンを明確に露出させる
- 精密な印象採得を可能にする
- 出血や滲出液をコントロールする
- 印象材やスキャナーによるマージン再現性を向上させる
- 適合性の高い補綴装置の製作につなげる
特に歯肉縁下まで形成したクラウンやブリッジでは、歯肉圧排の良否が最終的な補綴物の品質を大きく左右します。
ブリッジ治療における歯肉圧排の症例
上顎犬歯から第一大臼歯までのブリッジ症例
本症例では、上顎犬歯から第一大臼歯にかけてブリッジ治療を行いました。

犬歯は生活歯であり、必要最小限の形成に留めながら適切なテーパーが付与されています。歯肉縁には圧排糸が挿入され、形成境界が明瞭に確認できる状態となっています。
一方、第一大臼歯にはファイバーコアが築造されており、光透過性や接着性を考慮した支台歯設計が行われています。こちらも歯肉圧排によりマージンが露出され、精密印象に適した状態です。
犬歯と第一大臼歯の間には欠損部があり、後にポンティック(人工歯)が配置されるブリッジとなります。
シリコーン印象と歯肉圧排の関係
高精度な型取りを実現するために
歯肉圧排後に採得されたシリコーン印象では、歯頸部まで印象材がしっかり流れ込み、マージンが鮮明に再現されます。

使用される付加型シリコーン印象材は、
- 高い寸法安定性
- 優れた細部再現性
- 長期保存時の変形が少ない
といった特徴を持っています。
適切な歯肉圧排が行われると、形成されたショルダーやシャンファー形態まで正確に再現されるため、技工所で製作されるクラウンやブリッジの適合精度が向上します。
歯肉圧排の方法
圧排糸法(最も一般的な方法)
歯肉圧排で最も広く用いられているのが圧排糸法です。

細い糸を歯肉溝内に挿入し、歯肉をわずかに側方へ移動させます。
圧排糸には、
- 綿糸タイプ
- 編み込みタイプ
- 含薬タイプ
などがあります。
含薬タイプには、
- 塩化アルミニウム
- 硫酸アルミニウム
- エピネフリン
などが含まれ、止血効果を高めることができます。
化学的圧排法
止血剤や血管収縮薬を利用し、出血を抑制しながら歯肉をコントロールする方法です。
特に歯肉からの出血が予想される症例では有効です。
圧排ペースト法
近年では圧排ペーストも普及しています。
代表的な製品には、
- Expasyl
- Traxodent
などがあります。
ペーストを歯肉溝に注入するだけで圧排できるため、
- 処置時間の短縮
- 患者負担の軽減
- デジタル印象との相性向上
といった利点があります。
前歯部クラウン治療における歯肉圧排
上顎中切歯のクラウン治療では、支台歯形成後に圧排糸を歯肉溝内へ挿入します。

この処置により、
- 歯と歯ぐきの境界が明瞭になる
- 精密な型取りが可能になる
- クラウンの適合性が向上する
という効果が得られます。
その後、精密印象をもとに製作されたメタルボンドクラウンを装着すると、歯肉との境界が自然で、審美性・機能性ともに優れた補綴治療が実現できます。

CAD/CAM冠やデジタル印象でも重要
近年は口腔内スキャナーによるデジタル印象が普及していますが、歯肉圧排の重要性は変わりません。
スキャナーは歯肉の下に隠れたマージンを読み取ることができないため、
- 軽度の圧排
- 十分な乾燥
- 出血コントロール
が依然として必要です。
適切な歯肉圧排によって、デジタル印象の精度も大きく向上します。
歯肉圧排時の注意点
歯肉圧排は安全性の高い処置ですが、過度な操作はトラブルの原因になることがあります。
歯肉退縮
強すぎる圧排や長時間の圧排は歯肉退縮を招く可能性があります。
出血
歯周病や炎症がある場合は出血しやすく、印象精度が低下することがあります。
全身への影響
エピネフリン含有圧排糸を使用する場合、高血圧や不整脈などの既往歴がある患者さんでは注意が必要です。
まとめ
歯肉圧排は、クラウンやブリッジ治療の成功を支える重要な前処置です。
歯肉を一時的に排除してマージンを明瞭にすることで、型取りやデジタルスキャンの精度が向上し、適合性・審美性に優れた補綴物の製作が可能になります。
特に前歯の審美修復やブリッジ治療では、歯肉圧排の精度が最終的な治療結果を大きく左右します。見えない工程ではありますが、高品質な補綴治療を実現するための非常に重要な処置といえるでしょう。
江戸川区篠崎で精密な被せ物治療をご希望の方へ

被せ物やブリッジを長持ちさせるためには、型取りや口腔内スキャンの精度が重要です。当院では、クラウンやブリッジ治療の際に歯肉圧排を適切に行い、歯と歯ぐきの境目まで正確に再現できるよう努めています。これにより、適合性の高い補綴物の製作が可能となり、見た目の美しさだけでなく、虫歯や歯周病の再発リスクの軽減にもつながります。
江戸川区篠崎でセラミック治療やブリッジ治療、被せ物のやり直しをご検討中の方は、精密な補綴治療に対応する当院へお気軽にご相談ください。篠崎駅南口徒歩1分の通いやすい環境で、機能性と審美性を両立した治療をご提供いたします。
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。


