- 1. 歯周病予防の基本は毎日のプラークコントロール
- 1.1. 歯周病と歯磨きの関係
- 1.2. 歯周病予防に適した歯ブラシの選び方
- 1.2.1. 毛の硬さ
- 1.2.2. ヘッドの大きさ
- 1.2.3. 毛先の形状
- 2. 歯と歯ぐきの境目を意識したブラッシング
- 2.1. バス法の基本
- 3. 歯ブラシだけでなく歯間清掃も大切
- 3.1. デンタルフロス
- 3.2. 歯間ブラシ
- 3.3. 電動歯ブラシ
- 4. 適切な歯磨きで歯肉の炎症が改善することがあります
- 4.1. 歯周病改善のビフォー&アフター
- 5. 歯周病に適した歯磨き粉の選び方
- 5.1. 殺菌成分
- 5.2. 抗炎症成分
- 5.3. フッ化物
- 6. 歯磨きの頻度とタイミング
- 6.1. 酸性の飲食物を摂った後は30分待つべき?
- 7. 歯磨きだけでは対応できない歯周病もあります
- 7.1. スケーリング
- 7.2. SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
- 7.3. 歯周外科治療
- 8. プラークスコアからわかる歯磨きの状態
- 9. よくある質問
- 9.1. 歯ぐきから出血しても磨いてよいですか?
- 9.2. 歯磨きをしているのに口臭が改善しません
- 9.3. 高齢者でもフロスや歯間ブラシは必要ですか?
- 10. まとめ
- 10.1. 関連記事
- 11. 毎日磨いているのに、歯ぐきが気になりませんか?
- 12. 筆者・院長
- 12.1. 深沢 一
- 12.1.1. メッセージ

歯周病は、歯を失う主な原因の一つです。歯周病の予防や治療では、毎日の歯磨きによってプラーク(歯垢)をできるだけ取り除き、口腔内を清潔に保つことが重要です。
ただし、歯周病が進行して歯周ポケットが深くなったり、歯石が付着したりしている場合には、歯磨きだけでは十分に改善できないことがあります。また、力を入れすぎたブラッシングは、歯肉や歯の表面を傷つける原因になることもあります。
この記事では、歯周病と歯磨きの関係、ブラッシングのポイント、歯ブラシや歯磨き粉の選び方、デンタルフロス・歯間ブラシの活用法についてわかりやすく解説します。
歯周病予防の基本は毎日のプラークコントロール
歯周病は、歯を失う主な原因の一つです。その発症や進行には、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着するプラーク(歯垢)中の細菌が深く関係しています。
プラークは多くの種類の細菌などから構成されるバイオフィルムです。プラークが歯と歯ぐきの境目に蓄積すると、歯肉に炎症が起こり、歯肉炎につながります。さらに、歯周炎へ進行すると、歯を支える歯槽骨などの歯周組織が失われることがあります。
そのため、毎日の歯磨きや歯間清掃によってプラークを適切に除去する「プラークコントロール」が、歯周病の予防や治療の基本となります。
ただし、歯磨きは長時間行えばよいわけではありません。磨き残しがあれば十分な清掃効果が得られず、反対に力を入れすぎると歯肉を傷つけたり、歯の表面を摩耗させたりする可能性があります。
自分の口腔内に合った歯ブラシを使い、適切な力と方法で磨くことが大切です。
歯周病と歯磨きの関係

歯肉に炎症があると、歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりすることがあります。
特に歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間はプラークが残りやすいため、意識して清掃する必要があります。
また、プラークが除去されずに残っていると、唾液中の成分によって石灰化し、歯石になることがあります。歯石は歯ブラシでは除去できず、その表面にはプラークが付着しやすいため、歯周病の治療では歯科医院で適切に除去することが重要です。
歯周病を予防・管理するためには、
- 歯ブラシによる適切なブラッシング
- デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間清掃
- 必要に応じた歯科医院での専門的なケア
を組み合わせることが大切です。
歯周病予防に適した歯ブラシの選び方
歯ブラシは、歯肉の状態や歯並び、磨き方などに合わせて選ぶことが大切です。
毛の硬さ
歯肉に炎症や出血がある場合には、「やわらかめ」または「ふつう」の歯ブラシが適していることがあります。
硬すぎる歯ブラシを強い力で使用すると、歯肉や歯の表面に負担をかける可能性があります。
ただし、適した硬さは口腔内の状態やブラッシング圧によって異なるため、迷った場合は歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。
ヘッドの大きさ
奥歯や細かい部分まで毛先を当てやすいよう、口の大きさに合ったヘッドを選びます。
大きなヘッドでは奥歯などに届きにくい場合があるため、小さめのヘッドが使いやすい方もいます。
毛先の形状
歯と歯ぐきの境目など、プラークが残りやすい部分に毛先を当てやすいものを選びましょう。
毛先の形状によって使用感や適した磨き方が異なるため、「細い毛先ほど歯周病に効果的」と一概にはいえません。
歯と歯ぐきの境目を意識したブラッシング
歯周病予防では、歯と歯ぐきの境目に付着したプラークを丁寧に除去することが重要です。
その方法の一つに「バス法」があります。

バス法の基本
- 歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に向けて斜めに当てる
- 毛先が適切に当たっていることを確認する
- 強く押しつけず、小刻みに動かす
- 数本ずつ位置をずらしながら丁寧に磨く
一般にバス法では毛先を歯の長軸に対して約45度の角度で歯肉側へ向けます。
ただし、歯周ポケットの深い部分まで歯ブラシで清掃できるわけではありません。深い歯周ポケットや歯石がある場合には、歯科医院での歯周治療が必要になります。
また、歯肉を「マッサージする」こと自体を目的とするのではなく、歯と歯ぐきの境目にあるプラークを適切に除去することを意識しましょう。
歯ブラシだけでなく歯間清掃も大切
歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークを十分に除去することが難しい場合があります。
「歯ブラシだけでは約60%しか落とせない」といった数値が紹介されることもありますが、プラーク除去率は歯並びやブラッシング方法、評価方法などによって異なるため、一律の数値で示すことはできません。
大切なのは、歯ブラシに加えて、口腔内の状態に合った歯間清掃用具を使用することです。
デンタルフロス
歯と歯の接触部や、その周囲のプラークを除去するために使用します。
歯間が比較的狭い部分の清掃に適しています。
歯間ブラシ
歯と歯の間にある程度の隙間がある場合に適しています。
特に歯肉退縮がある方や歯周病治療後の方では有用な場合がありますが、サイズが大きすぎると歯肉を傷つけることがあるため、適切なサイズを選ぶことが重要です。
電動歯ブラシ
電動歯ブラシも、適切に使用すればプラーク除去に役立ちます。
ただし、電動だから自動的に磨き残しがなくなるわけではありません。製品ごとの使用方法を守り、毛先を必要な場所に正しく当てることが大切です。
適切な歯磨きで歯肉の炎症が改善することがあります
プラークの蓄積によって生じた歯肉炎は、適切なプラークコントロールによって改善が期待できます。
一方、歯を支える骨などにまで影響が及んだ歯周炎では、セルフケアだけでは十分ではなく、歯科医院での歯周治療が必要になることがあります。
また、歯周病治療によって炎症や腫れが改善すると、以前より歯ぐきが下がったように見える場合があります。
これは、腫れていた歯肉が引き締まったことによって生じる場合もありますが、歯周炎による組織の喪失や治療方法など複数の要因が関係するため、「歯ぐきが下がった=治療が成功した」と一概には判断できません。
歯周病改善のビフォー&アフター


適切なブラッシングや歯周治療によって歯肉の炎症が改善すると、
- 歯磨き時の出血が減る
- 歯肉の腫れや赤みが軽減する
- プラークを除去しやすくなる
- 歯周病に関連した口臭が軽減することがある
といった変化が期待できます。
ただし、口臭には舌苔、口腔乾燥、虫歯、食生活、全身的な要因などさまざまな原因があるため、歯磨きだけですべての口臭が改善するわけではありません。
歯周病に適した歯磨き粉の選び方
歯磨き粉は、歯ブラシによるプラーク除去を補助するものです。
歯周病予防を目的とした歯磨き粉には、さまざまな薬用成分が配合されています。
殺菌成分
CPC(塩化セチルピリジニウム)など、口腔内の細菌に作用する成分が配合された製品があります。
抗炎症成分
トラネキサム酸やグリチルリチン酸系の成分など、歯肉の炎症に対する作用を目的として配合されている製品があります。
フッ化物
フッ化物は主に虫歯予防を目的として配合され、歯の再石灰化を促進するとともに、脱灰を抑える働きがあります。
歯周病の方でも虫歯や根面う蝕のリスクがあるため、フッ化物配合歯磨剤の使用が役立つ場合があります。
歯磨き粉はあくまで補助的なものです。特定の成分が配合されているだけで歯周病が治るわけではなく、適切なブラッシングや歯間清掃、必要な歯周治療と組み合わせることが重要です。
歯磨きの頻度とタイミング
歯磨きは回数だけでなく、毎日プラークを十分に除去できているかが重要です。
一般には1日2回以上の歯磨きが推奨されることが多く、特に就寝前は丁寧に磨くことが大切です。
睡眠中は唾液の分泌量が低下するため、就寝前に口腔内のプラークをできるだけ減らしておくことは、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。
酸性の飲食物を摂った後は30分待つべき?
「酸性の飲食物を摂った後は、30分待ってから歯を磨いたほうがよい」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、すべての方・すべての食事について、一律に30分間歯磨きを控える必要があるとはいえません。
通常の食事後であれば、時間を厳密に空けることよりも、毎日の歯磨きを習慣として継続し、プラークを適切に除去することが重要です。
一方、酸性飲料を頻繁に摂取する方や酸蝕症が疑われる方などは、歯の状態や生活習慣に応じたケアが必要になることがあります。気になる場合は歯科医院で相談しましょう。
歯磨きだけでは対応できない歯周病もあります
歯石は歯の表面に強固に付着しているため、通常の歯磨きで除去することは困難です。
また、歯周炎が進行して歯周ポケットが深くなると、自宅での歯磨きだけではポケット内部の原因を十分に取り除けないことがあります。
その場合には、歯科医院で歯周病の状態を検査し、必要に応じた治療を行います。

スケーリング
専用の器具を使用して、歯面に付着した歯石やプラークなどを除去します。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
歯周ポケット内の歯根面に付着した歯石やプラークなどを除去し、歯根面を清掃する処置です。
従来「感染したセメント質や感染組織を取り除く」と説明されることもありましたが、現在では健康な歯質を必要以上に削るのではなく、原因となるバイオフィルムや歯石を除去することが重視されています。
歯周外科治療
基本的な歯周治療を行っても深い歯周ポケットなどが残る場合には、病状に応じて歯周外科治療を検討することがあります。
すべての重度歯周病に外科治療が必要になるわけではなく、歯周組織の状態や歯の保存可能性などを総合的に判断して治療方法を選択します。
また、喫煙は歯周病の重要なリスク因子の一つです。禁煙に加えて、全身の健康状態を良好に保つことも歯周病の管理において重要です。
プラークスコアからわかる歯磨きの状態
歯科医院では、染め出し液などを使用して、歯のどの部分にプラークが残っているかを確認することがあります。
プラークスコアは、その付着状況を数値化し、日頃のセルフケアを評価するための指標の一つです。

特に、
- 歯と歯ぐきの境目
- 歯と歯の間
- 奥歯
- 歯並びが重なっている部分
- 被せ物やブリッジの周囲
などはプラークが残りやすいため、注意して磨く必要があります。
染め出しを利用すると、自分では磨けていると思っていた場所にプラークが残っていることに気づくことがあります。
磨き残しやすい場所を把握し、自分に合ったブラッシング方法を身につけることが大切です。
よくある質問
歯ぐきから出血しても磨いてよいですか?
歯肉炎や歯周炎による出血の場合、出血するからといってその部分の清掃を避けてしまうと、プラークがさらに蓄積する可能性があります。
強くこするのではなく、毛先を適切に当ててやさしく清掃することが大切です。
ただし、出血が続く場合や出血量が多い場合、痛みや腫れを伴う場合などは、歯周病以外の原因も含めて確認する必要があるため、歯科医院を受診してください。
歯磨きをしているのに口臭が改善しません
歯周病が原因の口臭では、歯周ポケット内のプラークや歯石などが関係している場合があり、歯磨きだけでは十分に改善しないことがあります。
また、舌苔や口腔乾燥、虫歯など、歯周病以外の原因が関係していることもあります。
口臭が続く場合には、歯周病検査などによって原因を確認することが大切です。
高齢者でもフロスや歯間ブラシは必要ですか?
年齢だけで使用の必要性が決まるわけではありません。
歯と歯の間の状態に応じて、デンタルフロスや歯間ブラシを使用すると、歯ブラシだけでは届きにくい部分のプラーク除去に役立ちます。
特に歯肉退縮によって歯間部が広くなっている場合や、歯周病治療後などでは、歯間ブラシが適していることがあります。
どの器具を使用すればよいかわからない場合は、歯科医院で適切な種類やサイズについて指導を受けるとよいでしょう。
まとめ
歯周病の予防や治療では、毎日の適切なプラークコントロールが重要です。
歯ブラシだけでは清掃しにくい歯と歯の間には、デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、口腔内の状態に合った方法で清掃しましょう。
ただし、歯石が付着していたり歯周炎が進行していたりする場合には、セルフケアだけでは十分に対応できません。歯科医院で歯周病検査を受け、必要に応じてスケーリングやSRPなどの専門的な治療を受けることが大切です。
歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯の揺れなどが気になる場合は、自己判断せず、早めに歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
関連記事
毎日磨いているのに、歯ぐきが気になりませんか?

歯ぐきの腫れ・出血・口臭は、歯周病のサインかもしれません。歯磨きだけでは取り除けない歯石や、深い歯周ポケットの状態を確認し、一人ひとりに合ったケアや治療をご提案します。「歯ぐきからの出血が気になる」「正しい磨き方を知りたい」「口臭が心配」など、どんな小さなお悩みでもお気軽にご相談ください。
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





