- 1. 神経を抜いた歯が痛むのはなぜ?
- 2. 神経を抜いた歯が痛む主な原因
- 2.1. 1.根尖性歯周炎
- 2.1.1. レントゲンで根の先に黒い影が見えることがある
- 2.2. 2.噛み合わせや歯ぎしり・食いしばりによる負担
- 2.3. 3.ブリッジの支台歯に負担がかかっている
- 2.4. 4.歯根破折
- 2.5. 5.歯周病による痛み
- 3. 神経を抜いた歯の痛みを放置するとどうなる?
- 4. 神経を抜いた歯が痛むときの治療法
- 4.1. 再根管治療
- 4.2. 歯根端切除術
- 4.2.1. 骨補填材などを使用する場合
- 5. 噛み合わせの調整・ナイトガード
- 6. 抜歯と補綴治療
- 7. 自宅でできる応急処置
- 8. 早めに歯科医院を受診したほうがよい症状
- 9. 神経を抜いた歯を長持ちさせるためには
- 9.1. 定期検診を受ける
- 9.2. 被せ物や詰め物の状態を確認する
- 9.3. 歯周病を予防する
- 9.4. 歯ぎしり・食いしばりへの対策を行う
- 10. まとめ
- 10.1. 関連記事
- 11. 噛むと痛い・歯ぐきが腫れる症状はご相談ください
- 12. 【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
- 13. 筆者・院長
- 13.1. 深沢 一
- 13.1.1. メッセージ

「神経を抜いた歯だから、もう痛みは出ないはず」と思っていたのに、噛むと痛い、歯ぐきが腫れる、違和感が続くといった症状が現れることがあります。
歯の内部にある歯髄(いわゆる歯の神経)を取り除いても、歯の周囲には歯根膜や歯槽骨、歯ぐきなど、痛みを感じる組織が残っています。そのため、根の先に炎症が起きたり、噛み合わせによる負担がかかったりすると、神経を抜いた歯でも痛みを感じることがあります。
また、根管内の再感染や歯根破折などが原因となっている場合もあります。
この記事では、神経を抜いた歯が痛む主な原因や治療法、受診までの対処法について解説します。
神経を抜いた歯が痛むのはなぜ?

根管治療では、炎症や感染を起こした歯髄を取り除き、根管内部を清掃・消毒したうえで根管充填を行います。
歯髄を取り除いた歯では、歯の内部から生じる痛みは基本的になくなります。
しかし、歯の周囲には歯根膜、歯槽骨、歯肉などの組織が存在します。これらの組織に炎症や過度な負担が生じれば、神経を抜いた歯であっても痛みや違和感を感じることがあります。
そのため、「神経がない歯=痛みが出ない」というわけではありません。
神経を抜いた歯が痛む主な原因

1.根尖性歯周炎
神経を抜いた歯が痛む原因の一つが「根尖性歯周炎」です。

根管内に細菌感染が残っていたり、治療後に再感染したりすると、歯根の先端周囲に炎症が生じることがあります。
根尖性歯周炎では、次のような症状がみられることがあります。
- 噛むと痛い
- 歯が浮いたように感じる
- 歯ぐきが腫れる
- 膿が出る
- 歯ぐきにできものができる
ただし、慢性化している場合には、ほとんど自覚症状がないこともあります。
レントゲンで根の先に黒い影が見えることがある
根尖性歯周炎では、レントゲン写真で歯根の先に透過像、いわゆる「黒い影」が確認されることがあります。
これは炎症に伴って歯根周囲の骨が吸収されていることを示す所見の一つです。
ただし、レントゲンの黒い影だけで病気を確定できるわけではありません。症状や治療歴、口腔内の状態などを確認し、必要に応じて歯科用CTなども用いて総合的に診断します。
2.噛み合わせや歯ぎしり・食いしばりによる負担
神経を抜いた歯でも、強い噛み合わせの力が加わると、歯の周囲にある歯根膜などに負担がかかり、噛んだときの痛みや違和感が生じることがあります。
特に、
- 歯ぎしりがある
- 食いしばりが強い
- TCH(歯列接触癖)がある
- 被せ物を入れた後から噛み合わせに違和感がある
といった場合には、噛み合わせによる負担が症状に関係している可能性があります。
「神経を抜いた歯は感覚が鈍いため負担に気付きにくい」と単純に考えるのではなく、歯根膜などの感覚は残っているため、噛み合わせの状態を含めて原因を調べることが重要です。
3.ブリッジの支台歯に負担がかかっている
ブリッジでは、欠損した歯の部分にかかる力を支台歯で支えます。
特に延長ブリッジ(カンチレバーブリッジ)は、設計や欠損部位、噛み合わせなどによっては、支台歯に大きな力が加わることがあります。

長期間にわたって過度な力が加わると、支台歯や歯周組織に負担がかかり、痛みや違和感につながる可能性があります。
ただし、延長ブリッジを装着しているからといって、必ず歯根破折や根尖性歯周炎が起こるわけではありません。
ブリッジの設計、支台歯の状態、歯周組織、噛み合わせなどを総合的に評価する必要があります。
4.歯根破折
歯根破折とは、歯の根に亀裂や破折が生じた状態です。

根管治療を受けた歯では、歯質の喪失量や修復物の状態、歯に加わる力など複数の要因によって、破折のリスクが高くなることがあります。
以前は「神経を抜くと歯の水分がなくなって脆くなる」と説明されることがありましたが、現在では、根管治療に伴う歯質の切削や虫歯による歯質の喪失など、残っている歯質の量や構造が破折リスクに大きく関係すると考えられています。
歯根破折では、
- 噛んだときに痛む
- 歯ぐきの腫れを繰り返す
- 歯ぐきから膿が出る
- 一部分だけ深い歯周ポケットがみられる
- 根管治療をしても症状が改善しない
などの症状や所見がみられることがあります。
ただし、症状だけで歯根破折と判断することはできません。
口腔内診査やレントゲン、歯科用CTなどを組み合わせて診断します。
破折の位置や範囲によって治療方法は異なりますが、歯根破折の状態によっては歯の保存が難しく、抜歯が必要になることがあります。
5.歯周病による痛み
歯周病が進行すると、歯ぐきや歯を支える歯槽骨などの歯周組織に炎症が生じます。
神経を抜いた歯であっても、
- 歯ぐきが腫れる
- 噛むと痛い
- 歯が動く
- 歯ぐきから膿が出る
といった症状が現れることがあります。
また、根管由来の病変と歯周病が関連しているケースもあります。
どこから炎症が生じているのかによって治療方法が異なるため、正確な診断が重要です。
神経を抜いた歯の痛みを放置するとどうなる?
神経を抜いた歯の痛みの原因によっては、治療をせずに放置すると症状が悪化することがあります。

例えば、根尖性歯周炎が進行すると、
- 歯ぐきが腫れる
- 膿がたまる
- 強い痛みが出る
- 歯根周囲の骨吸収が広がる
などが起こることがあります。
また、歯根破折や重度の歯周病が原因の場合には、歯を保存することが難しくなることもあります。
一方で、神経を抜いた歯の痛みがすべて重篤な病気を意味するわけではありません。
治療直後の一時的な痛みや、噛み合わせによる負担などが原因となっている場合もあります。
痛みや腫れが続く場合には自己判断で放置せず、歯科医院で原因を確認することが大切です。
神経を抜いた歯が痛むときの治療法
治療方法は、痛みの原因によって異なります。
再根管治療

過去に根管治療を受けた歯の根管内に感染が残っている、あるいは再感染していると考えられる場合には、再根管治療を検討します。
再根管治療では、必要に応じて被せ物や土台、根管内の充填材などを除去し、根管内を再び清掃・洗浄します。
その後、症状や根管内の状態を確認し、適切なタイミングで根管充填を行います。
ただし、再根管治療を行えば必ず治るわけではありません。
根管の複雑な構造、歯根破折、穿孔、除去困難な器具や土台などがある場合には、治療が難しくなることがあります。
歯根端切除術
通常の根管治療や再根管治療だけでは改善が難しい場合には、歯根端切除術などの外科的歯内療法を検討することがあります。
歯根端切除術では、歯ぐき側から病変部へアプローチし、根の先端部分と周囲の病変組織を処置します。

一般的には、
- 歯ぐきを切開する
- 必要に応じて骨を削除して病変部へ到達する
- 病変組織を除去する
- 歯根の先端を切除する
- 必要に応じて根の先端側から逆根管充填を行う
- 歯ぐきを戻して縫合する
といった流れで行います。
歯根端切除術が適しているかどうかは、病変の大きさだけでは決まりません。
歯の位置、根管の状態、被せ物や土台の状態、歯根破折の有無、歯周組織の状態などを総合的に判断します。
骨補填材などを使用する場合
歯根端切除術では、病変を除去した部分が自然に治癒していくことが基本です。
一方、骨欠損の状態などによっては、骨補填材やメンブレンなどを使用した再生療法を併用する場合があります。
すべての症例で人工骨などが必要になるわけではなく、骨欠損の状態や治療部位などを考慮して判断します。
噛み合わせの調整・ナイトガード
噛み合わせや歯ぎしり、食いしばりなどが症状に関係している場合には、原因に応じた対応を行います。

例えば、
- 必要に応じた噛み合わせの調整
- ナイトガード(マウスピース)の使用
- TCH(歯列接触癖)への生活指導
などがあります。
ただし、噛み合わせを削って調整すれば必ず症状が改善するわけではありません。
根尖性歯周炎や歯根破折など、ほかの原因がないかを確認したうえで治療方針を決定することが重要です。
抜歯と補綴治療
歯根破折や重度の歯周病などによって歯を保存することが難しい場合には、抜歯を検討することがあります。
抜歯後に歯を補う主な方法として、
- インプラント
- ブリッジ
- 入れ歯
などがあります。
それぞれメリット・デメリットがあり、口腔内の状態や残っている歯、全身状態、費用、希望などを考慮して治療方法を選択します。
自宅でできる応急処置
神経を抜いた歯が急に痛み始めた場合には、受診までの間、できるだけ患部に負担をかけないようにしましょう。

- 痛む側で硬いものを噛まない
- 強く噛みしめない
- 歯ぎしり・食いしばりを意識して避ける
- 腫れや熱感がある場合は、外側から軽く冷やす
- 使用できる場合は市販の鎮痛薬を用法・用量を守って服用する
強く冷やし続けたり、自分で歯ぐきを押して膿を出そうとしたりすることは避けてください。
また、市販の鎮痛薬は一時的に症状を和らげるものであり、原因そのものを治療するものではありません。
早めに歯科医院を受診したほうがよい症状
次のような症状がある場合には、早めに歯科医院へ相談しましょう。
- 痛みが続いている
- 噛むと強く痛む
- 歯ぐきが腫れている
- 膿が出ている
- 歯ぐきにできものができた
- 歯が浮いたような感じが続く
- 痛みや腫れを繰り返している
顔まで大きく腫れている、発熱や強い倦怠感を伴う、飲み込みにくい、口が開きにくいなどの症状がある場合には、炎症が広がっている可能性があるため、早めの受診が必要です。
神経を抜いた歯を長持ちさせるためには
根管治療を受けた歯をできるだけ長く維持するためには、治療後の継続的な管理が重要です。
定期検診を受ける
神経を抜いた歯では、虫歯が再発しても歯髄由来の痛みが生じないため、気付きにくいことがあります。
定期的に歯科医院で状態を確認することが大切です。
被せ物や詰め物の状態を確認する
修復物や補綴物の状態に問題があると、二次う蝕や根管内への再感染につながる可能性があります。
適合状態や破損の有無などを定期的に確認します。
歯周病を予防する
歯周病によって歯を支える組織が失われると、根管治療が成功している歯でも保存が難しくなることがあります。
毎日の歯磨きに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスなどを適切に使用することが重要です。
歯ぎしり・食いしばりへの対策を行う
強い力が長期間加わると、歯や修復物に負担がかかります。
歯ぎしりや食いしばりがある場合には、必要に応じてナイトガードなどを検討します。
なお、すべての神経を抜いた歯について、定期的にレントゲン撮影を行う必要があるわけではありません。
症状や過去の治療歴、口腔内の状態などに応じて、歯科医師が必要性を判断します。
まとめ
神経を抜いた歯でも、歯の周囲には歯根膜や歯槽骨、歯ぐきなどの組織が残っているため、痛みが生じることがあります。
主な原因として、
- 根尖性歯周炎
- 噛み合わせによる負担
- 歯ぎしり・食いしばり
- 歯根破折
- 歯周病
などが考えられます。
原因によって、再根管治療、歯根端切除術、噛み合わせへの対応、歯周治療など必要な治療は異なります。また、歯根破折などで保存が難しい場合には、抜歯が必要になることもあります。
「神経を抜いているから大丈夫」と自己判断せず、噛むと痛い、歯ぐきが腫れる、膿が出る、違和感が長く続くといった症状がある場合には、歯科医院で原因を確認することが大切です。
関連記事
噛むと痛い・歯ぐきが腫れる症状はご相談ください

神経を取った歯でも痛みが出ることは珍しくなく、放置すると抜歯が必要になる場合もあります。江戸川区篠崎の当i院では、レントゲン検査による原因の特定を行い、再根管治療や歯根端切除術など、できる限り歯を残す治療をご提案しています。神経を抜いた歯の痛みでお悩みの方は、お早めにご相談ください。
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筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





