永久歯がなかなか生えてこない、乳歯がいつまでも残っている――その原因は「先天欠損歯」かもしれません。先天欠損歯とは、生まれつき永久歯が作られていない状態を指し、特に小臼歯や前歯に多く見られます。放置すると、すきっ歯や噛み合わせの乱れ、将来的な歯周病リスクにつながることもあります。

この記事では、小臼歯の先天欠損によって生じる歯並びや咬合異常の特徴、子どもの頃からの管理の重要性、治療方法について詳しく解説します。

今回の症例では、下顎左右の第一小臼歯(4番)が先天的に欠損しており、上顎には異常が認められませんでした。

永久歯が存在しないため、本来小臼歯が並ぶはずのスペースが残り、歯列全体のバランスが崩れています。

【正面観と下顎咬合面観】

小臼歯欠損により前歯が広がり、すきっ歯が生じている状態:正面観
小臼歯欠損により前歯が広がり、すきっ歯が生じている状態:正面観
左右の第一小臼歯が先天欠損し、前歯部にスペースが余っている:咬合面観(下顎咬合面)
左右の第一小臼歯が先天欠損し、前歯部にスペースが余っている:咬合面観(下顎咬合面)

【右側面観と左側面観】

右側4番欠損により犬歯と側切歯の間に大きな空隙が残存:右側面観
右側4番欠損により犬歯と側切歯の間に大きな空隙が残存:右側面観
左側も4番欠損があり、前歯のすき間が固定化している歯列:左側面観
左側も4番欠損があり、前歯のすき間が固定化している歯列:左側面観

前歯にすき間(空隙歯列)が生じる

小臼歯が欠損すると、歯列の連続性が失われます。その結果、前歯が左右に広がりやすくなり、前歯部にすき間ができることがあります。

特に下顎前歯では空隙歯列となりやすく、見た目の問題だけでなく発音や咀嚼機能にも影響を与える場合があります。

犬歯や奥歯の位置異常

欠損部位の周囲では、犬歯や大臼歯が空いたスペースへ移動しようとします。

その結果、

  • 犬歯の傾斜
  • 奥歯の前方移動
  • 歯のねじれ
  • 正しい咬合関係の崩壊

などが起こることがあります。

先天欠損歯が引き起こす問題
先天欠損歯が引き起こす問題

審美性の低下

前歯にすき間ができることで、口元の見た目が気になる方は少なくありません。

咬み合わせの不安定化

歯が本来の位置に存在しないため、噛む力のバランスが乱れます。

長期間放置すると、

  • 咬耗(歯のすり減り)
  • 顎関節への負担
  • 特定の歯への過剰な力

などが起こる可能性があります。

歯周病リスクの増加

歯と歯の間に大きな隙間があると食べ物が詰まりやすくなります。

その結果、

  • プラークの蓄積
  • 歯肉炎
  • 歯周病
  • 歯肉退縮

のリスクが高まります。

先天的に第二小臼歯(5番)が欠損

先天欠損歯は、乳歯から永久歯へ生え変わる時期に発見されることが少なくありません。

特に第二小臼歯が欠損している場合、後継永久歯が存在しないため、乳歯(E)が長期間残存することがあります。

小臼歯の先天欠損が引き起こす前歯スペースと咬合異常の可能性がある症例
小臼歯の先天欠損が引き起こす前歯スペースと咬合異常の可能性がある症例

乳歯を活用したスペース管理

成長期に適切な管理を行えば、乳歯をできるだけ長く保存しながら歯列の安定を図ることが可能です。

矯正治療で歯のスペース管理が適切にできる

先天欠損した第二小臼歯を考慮して行う矯正治療のレントゲン
先天欠損した第二小臼歯を考慮して行う矯正治療のレントゲン

矯正治療では、

  • 乳歯を保存する
  • スペースを維持する
  • 将来の治療に備える

ことを目的に治療計画を立てます。

歯並びの乱れを予防できる

成長期から管理することで、

  • 前歯のすき間を予防
  • 犬歯の傾斜を防止
  • 奥歯の倒れ込みを予防
  • 噛み合わせの安定

といったメリットがあります。

将来の治療が有利になる

成人後に欠損部を補う場合、

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 部分入れ歯

などの治療法が選択肢となります。

小児期から適切なスペース管理が行われていれば、

  • インプラント埋入に必要な幅を確保できる
  • 骨や歯肉の形態を維持できる
  • 治療計画が立てやすい

など、多くの利点があります。

先天欠損歯の治療方法
先天欠損歯の治療方法

矯正治療によるスペース閉鎖

欠損部のスペースを矯正治療で閉鎖し、歯列全体のバランスを整える方法です。

欠損部位や咬み合わせによっては、非常に有効な治療法となります。

インプラント治療

成人後に十分な骨量が確保できている場合は、インプラントによる欠損補綴が可能です。

天然歯に近い機能と審美性を回復できます。

ブリッジ治療

隣接する歯を利用して欠損部を補う方法です。

治療期間が比較的短い反面、健康な歯を削る必要があります。

部分入れ歯

複数歯欠損や全身状態などにより、インプラントが適応できない場合の選択肢となります。

先天欠損歯は単に歯が足りないだけではなく、歯並びや噛み合わせ、将来的な口腔機能に大きく影響する可能性があります。特に小臼歯の欠損では、前歯のすき間や咬合異常が生じやすく、放置すると治療が複雑化することがあります。

成長期に発見できれば、矯正治療によるスペース管理や乳歯の活用によって将来の選択肢を広げることが可能です。永久歯がなかなか生えてこない、乳歯が長く残っているといった場合には、早めに歯科医院でレントゲン検査を受けることをおすすめします。

江戸川区篠崎で小臼歯欠損やすきっ歯の治療をご検討の方へ

下顎の小臼歯先天欠損によるすきっ歯や噛み合わせの乱れは、成長期の対応や大人になってからの治療方法によって大きく改善が可能です。江戸川区篠崎の当院では、矯正治療からインプラント・ブリッジまで、欠損部に合わせた最適な治療プランをご提案しています。

歯並びや噛み合わせのご相談は、経験豊富な歯科医師が丁寧に診断し、一人ひとりに合わせてサポートいたします。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!