- 1. 小臼歯の先天欠損が認められる症例
- 1.1. 【正面観と下顎咬合面観】
- 1.2. 【右側面観と左側面観】
- 1.3. 前歯などにすき間(空隙歯列)がみられることがある
- 1.4. 周囲の歯が移動・傾斜することがある
- 2. 先天欠損歯によって生じる可能性のある問題
- 2.1. 口元の見た目が気になることがある
- 2.2. 噛み合わせに影響することがある
- 2.3. お口の清掃が難しくなる場合がある
- 3. 子どもの時に発見された場合はどうなる?
- 3.1. 第二小臼歯(5番)が先天的に欠損している場合
- 3.2. 残っている乳歯を活用できる場合がある
- 3.3. 矯正治療を含めてスペースを管理する
- 3.4. 歯並びの変化を確認しながら成長をみていく
- 3.5. 将来の治療を見据えて計画する
- 4. 先天欠損歯の治療方法
- 4.1. 矯正治療によるスペース閉鎖
- 4.2. インプラント治療
- 4.3. ブリッジ治療
- 4.4. 部分入れ歯
- 5. まとめ
- 5.1. 関連記事
- 6. 先天欠損歯の治療でお悩みの方へ
- 7. 【動画】アデノイド顔貌
- 8. 筆者・院長
- 8.1. 深沢 一
- 8.1.1. メッセージ

永久歯がなかなか生えてこない、乳歯がいつまでも残っている――このような場合、永久歯の「先天欠損」が関係していることがあります。
先天欠損歯とは、永久歯のもとになる歯胚が生まれつき形成されていない状態です。永久歯の先天欠損は小臼歯や前歯などにみられ、欠損する部位や本数によっては、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。
この記事では、小臼歯の先天欠損がある場合にみられる歯並びの特徴や、成長期から経過をみる重要性、矯正治療や成人後の治療選択肢について解説します。
小臼歯の先天欠損が認められる症例
今回の症例では、下顎左右の第一小臼歯(4番)の先天欠損が認められ、上顎には同様の欠損は認められませんでした。
永久歯の欠損がある場合、歯の本数や歯の大きさ、乳歯の残存状態、周囲の永久歯の位置などによって、歯列内にスペースが生じたり、周囲の歯が移動・傾斜したりすることがあります。
【正面観と下顎咬合面観】


【右側面観と左側面観】


前歯などにすき間(空隙歯列)がみられることがある
小臼歯などの永久歯が先天的に欠損している場合、歯の本数と顎の大きさとの関係などによって、歯列内にスペースが残ることがあります。
ただし、先天欠損があるからといって、必ず前歯が左右に広がったり、すきっ歯になったりするわけではありません。欠損部位や歯の大きさ、周囲の歯の位置などによって歯並びへの影響は異なります。
前歯部に比較的大きな空隙がある場合には、見た目が気になることがあるほか、空隙の位置や程度によっては発音などに影響することもあります。
周囲の歯が移動・傾斜することがある
歯列内にスペースがあると、成長や歯の萌出に伴って周囲の歯の位置が変化することがあります。
そのため、
- 周囲の歯が欠損部側へ傾斜する
- 歯と歯の間にスペースが残る
- 歯が回転する
- 上下の歯の噛み合わせに変化が生じる
などがみられる場合があります。
どのような変化が起こるかは症例によって異なるため、先天欠損が確認された場合には、歯の萌出や顎の成長をみながら経過を確認することが重要です。
先天欠損歯によって生じる可能性のある問題

口元の見た目が気になることがある
先天欠損に伴って前歯などにスペースが生じると、歯と歯のすき間が目立ち、口元の見た目が気になる場合があります。
一方、先天欠損があっても目立つスペースが生じないこともあり、審美面への影響は欠損部位や歯並びによって異なります。
噛み合わせに影響することがある
永久歯が欠損している場合、周囲の歯の移動や傾斜などに伴って、上下の歯の噛み合わせが変化することがあります。
ただし、先天欠損があるだけで噛む力のバランスが必ず乱れたり、顎関節に障害が生じたりするわけではありません。
歯並びや噛み合わせへの影響については、欠損部位や本数、残っている乳歯の状態、上下顎の関係などを総合的に評価する必要があります。
お口の清掃が難しくなる場合がある
先天欠損そのものが歯周病を引き起こすわけではありません。
ただし、欠損に伴って歯が傾斜したり、歯と歯の間に清掃しにくい部分が生じたりすると、プラークを除去しにくくなる場合があります。
歯肉炎や歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)です。そのため、先天欠損の有無だけで歯周病リスクを判断するのではなく、歯並びや清掃状態、歯周組織の状態などを確認しながら適切な口腔ケアを行うことが大切です。
子どもの時に発見された場合はどうなる?
第二小臼歯(5番)が先天的に欠損している場合
永久歯の先天欠損は、乳歯から永久歯へ生え変わる時期のレントゲン検査などで確認されることがあります。
第二小臼歯が先天欠損している場合には、その前に生えている第二乳臼歯(E)が通常より長く残ることがあります。
ただし、後継永久歯がないからといって乳歯が必ず長期間残るとは限りません。乳歯の歯根吸収、虫歯、歯周組織の状態、歯の位置などによって予後は異なります。

残っている乳歯を活用できる場合がある
後継永久歯が欠損していても、乳歯の状態が良好であれば、すぐに抜歯せず経過をみることがあります。
乳歯を残すかどうかは、
- 虫歯の有無
- 歯根の吸収状態
- 歯周組織の状態
- 乳歯の位置や高さ
- 将来予定している矯正・補綴治療
などを考慮して判断します。
乳歯をいつまで維持できるかを正確に予測することは難しいため、定期的な診察とレントゲン検査などによって状態を確認することが大切です。
矯正治療を含めてスペースを管理する

先天欠損歯がある場合の治療では、単純にスペースを残すだけでなく、将来どのような方法で欠損部を治療するかを考えて方針を決めます。
例えば、
- 乳歯を残して経過をみる
- 欠損部のスペースを維持する
- 矯正治療でスペースを閉じる
- 将来の補綴治療を考慮してスペースを調整する
などの選択肢があります。
年齢や歯並び、噛み合わせ、残存乳歯の状態などによって適した方法は異なります。
歯並びの変化を確認しながら成長をみていく
成長期から経過を確認することで、永久歯の萌出や周囲の歯の移動、噛み合わせの変化などを把握しやすくなります。
必要に応じて適切な時期に矯正治療などを検討できることも、早期に先天欠損を把握するメリットの一つです。
ただし、早く発見すれば必ず歯並びの乱れを予防できるというものではありません。治療を開始する時期についても、症例ごとに判断する必要があります。
将来の治療を見据えて計画する
成人後に欠損部を補う必要がある場合には、
- インプラント
- ブリッジ
- 部分入れ歯
などが選択肢になります。
また、矯正治療によって欠損部のスペースを閉鎖し、人工歯で補わない治療計画を選択できる場合もあります。
成長期から歯並びやスペースの変化を確認しておくことで、将来どの治療方法を選択するか検討しやすくなります。
一方、「スペースを維持すればインプラントに必要な骨や歯肉を維持できる」とは一概にいえません。永久歯が形成されていない部位では歯槽骨の発育も症例によって異なるため、成人後にインプラントを検討する際には、骨量や骨幅、歯肉の状態などを改めて評価する必要があります。
先天欠損歯の治療方法

矯正治療によるスペース閉鎖
欠損している永久歯のスペースを矯正治療によって閉じ、周囲の歯を移動させて歯列や噛み合わせを整える方法があります。
スペースを閉鎖できれば、欠損部をインプラントやブリッジなどで補わずに済む場合があります。
ただし、すべての先天欠損症例でスペース閉鎖が適しているわけではありません。欠損部位、上下の歯の本数、歯の大きさ、骨格、噛み合わせなどを考慮して治療方針を決定します。
インプラント治療
顎の成長が終了した後、欠損部の骨量や骨幅、周囲の歯や歯肉などの条件が整っていれば、インプラント治療を検討できる場合があります。
インプラントは隣接する歯を支台歯として削る必要がないことが特徴ですが、外科手術が必要であり、骨の状態によっては骨造成などの追加処置を検討することもあります。
また、長期的に良好な状態を維持するためには、適切なセルフケアと定期的なメインテナンスが重要です。
ブリッジ治療
欠損部の両隣などの歯を支台として、連結した人工歯で欠損部を補う方法です。
固定式のため取り外す必要はありませんが、一般的なブリッジでは支台となる歯を削る必要があります。
適応できるかどうかは、欠損部位や支台歯の状態、噛み合わせなどによって異なります。
部分入れ歯
取り外し式の装置によって欠損部を補う方法です。
インプラントやブリッジが適さない場合だけでなく、治療に対する希望、欠損している歯の本数、周囲の歯や全身状態などを考慮して選択されることがあります。
まとめ
先天欠損歯とは、永久歯のもとになる歯胚が生まれつき形成されていない状態です。
小臼歯などの永久歯が欠損している場合、歯列内にスペースが残ったり、周囲の歯が移動・傾斜したりするなど、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。ただし、現れる変化は欠損部位や本数、歯の大きさ、顎の成長などによって異なります。
子どもの時期に先天欠損が確認された場合には、残っている乳歯をすぐに抜歯するとは限りません。乳歯の状態を確認しながら経過をみたり、矯正治療によってスペースを閉鎖・調整したりするなど、将来の治療まで考えて方針を決めます。
永久歯がなかなか生えてこない、乳歯が通常より長く残っているといった場合には、歯科医院で診察を受け、必要に応じてレントゲン検査などで永久歯の状態を確認することをおすすめします。
関連記事
先天欠損歯の治療でお悩みの方へ

先天欠損歯の治療は、矯正治療・インプラント・ブリッジ・部分入れ歯など、年齢や欠損部位、歯並び、噛み合わせによって選択肢が異なります。お口の状態を詳しく確認し、将来の歯の健康も考えながら、一人ひとりに適した治療方法をご提案します。
歯並びや噛み合わせの気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
【動画】アデノイド顔貌
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





