- 1. 埋伏歯とは
- 2. 埋伏歯ができる原因
- 2.1. 歯が生えるスペースの不足
- 2.2. 歯の位置や萌出方向の異常
- 2.3. 乳歯の残存
- 2.4. 遺伝的要因
- 3. 埋伏歯の代表的な種類
- 3.1. 小臼歯の埋伏
- 3.2. 犬歯の埋伏
- 3.3. 親知らずの埋伏
- 4. 埋伏歯によって起こるトラブル
- 4.1. 埋伏歯や隣の歯の虫歯
- 4.2. 歯ぐきの炎症
- 4.3. 歯の萌出や歯列への影響
- 4.4. 隣接歯の歯根吸収
- 4.5. 含歯性嚢胞
- 5. 埋伏過剰歯とは
- 6. 埋伏歯の診断方法
- 6.1. パノラマレントゲン
- 6.2. 歯科用CT
- 7. 埋伏歯の治療法
- 7.1. 抜歯
- 7.2. 矯正的牽引
- 7.3. 経過観察
- 8. 埋伏歯は状態に応じた対応が大切
- 8.1. 経過観察が選択される場合
- 8.2. 関連記事
- 9. 「埋伏歯がある」と言われた方へ
- 10. 筆者・院長
- 10.1. 深沢 一
- 10.1.1. メッセージ

親知らずなどの歯が、歯ぐきや顎の骨の中に埋まり、生えてこない状態を**埋伏歯(まいふくし)**といいます。
埋伏歯は自覚症状がないこともありますが、位置や生え方によっては、周囲の歯や歯ぐきに影響を及ぼすことがあります。
この記事では、埋伏歯の原因や種類、起こりうるトラブル、診断方法、抜歯・矯正治療・経過観察についてわかりやすく解説します。
埋伏歯とは

埋伏歯(まいふくし)とは、歯が本来の萌出時期を過ぎても、歯ぐきや顎の骨の中にとどまり、正常に生えてこない状態をいいます。
代表的なのは親知らず(智歯)の埋伏ですが、犬歯や小臼歯、過剰歯などが埋伏することもあります。
埋伏歯は、歯がどの程度露出しているかによって、主に次のように分けられます。
- 完全埋伏歯:歯が歯ぐきや顎の骨の中に完全に埋まっている状態
- 半埋伏歯:歯の一部だけが歯ぐきから露出している状態
埋伏歯の位置や向きによっては、隣接する歯や歯周組織などに影響を及ぼすことがあります。
埋伏歯ができる原因

埋伏歯が生じる背景には、歯が生えるためのスペースや萌出方向など、さまざまな要因が関係しています。
歯が生えるスペースの不足
歯が生えるためのスペースが不足していると、正常な位置へ萌出できず、埋伏することがあります。
特に親知らずや犬歯などでは、顎の大きさと歯の大きさのバランスや、歯列内に十分なスペースがあるかどうかが萌出に影響することがあります。
歯の位置や萌出方向の異常
歯胚の位置や萌出方向に異常があると、隣の歯などに妨げられ、正常に萌出できないことがあります。
乳歯の残存
乳歯が適切な時期に抜けずに残っている場合、永久歯の萌出に影響することがあります。
一方で、永久歯の位置や萌出方向に問題があるために、結果として乳歯が長く残っているケースもあります。
遺伝的要因
歯の形成や萌出にはさまざまな要因が関係しており、遺伝的要因が関与する場合もあります。
埋伏歯の代表的な種類
小臼歯の埋伏
小臼歯が埋伏することもあり、萌出スペースの不足や歯の位置・方向など、さまざまな要因が関係します。
歯の一部だけが萌出している場合は清掃が難しくなり、周囲にプラークが蓄積して、虫歯や歯肉の炎症などにつながることがあります。

犬歯の埋伏
上顎犬歯は、噛み合わせや口元の見た目にも関わる重要な歯です。
犬歯が埋伏していると、正常な歯列への萌出が妨げられるほか、位置によっては隣接する歯の歯根吸収などを生じることがあります。
保存が可能と判断された場合には、外科処置と矯正治療を組み合わせ、埋伏している犬歯を歯列内へ誘導することがあります。
治療方針は、犬歯の位置や向き、周囲の歯との関係などを確認したうえで判断します。

親知らずの埋伏
埋伏歯の代表例が親知らずです。
特に下顎の親知らずでは、斜めや横向きなど、正常とは異なる方向に埋伏していることがあります。
位置や状態によっては、
- 智歯周囲炎
- 親知らずや隣接する歯の虫歯
- 隣接歯の歯根吸収
- 周囲の歯周組織への影響
などが生じることがあります。

埋伏歯によって起こるトラブル

埋伏歯があっても、必ず問題が起こるわけではありません。
一方で、埋伏している位置や周囲の歯との関係によっては、次のようなトラブルが生じることがあります。
埋伏歯や隣の歯の虫歯
半埋伏歯など、歯の一部が口腔内に露出している状態では清掃が難しく、埋伏歯や隣接する歯に虫歯が生じることがあります。
特に見えにくい部分に虫歯ができると、自覚症状がないまま進行する場合があります。
歯ぐきの炎症
半埋伏歯では、歯と歯ぐきの間に汚れや細菌がたまりやすく、周囲の歯ぐきに腫れや痛みなどの炎症を起こすことがあります。
親知らずの周囲に生じる炎症は「智歯周囲炎」と呼ばれます。
歯の萌出や歯列への影響
埋伏歯の位置によっては、ほかの永久歯の萌出を妨げたり、歯列内に正常に生えるためのスペースに影響したりすることがあります。
隣接歯の歯根吸収
埋伏歯が隣接する歯根に近接している場合、隣の歯に歯根吸収が認められることがあります。
特に埋伏犬歯では、隣接する前歯の歯根への影響を確認することが重要です。
含歯性嚢胞
埋伏歯の歯冠を取り囲むように、**含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)**が形成されることがあります。
嚢胞が大きくなると、周囲の顎骨や歯に影響を及ぼす場合があるため、適切な診断が必要です。
埋伏過剰歯とは
通常の歯の本数より多く形成された歯を過剰歯といい、その歯が顎の骨や歯ぐきの中に埋まっている状態を「埋伏過剰歯」といいます。
位置や向きによっては、
- 永久歯の萌出障害
- 歯列への影響
- 隣接歯の歯根吸収
- 嚢胞形成
などが生じることがあります。
ただし、埋伏過剰歯が見つかったからといって、必ず抜歯が必要になるわけではありません。
周囲の歯への影響や抜歯に伴うリスクなどを考慮して治療方針を決めます。
埋伏歯の診断方法
埋伏歯の診断では、口腔内の診察とともに、レントゲンなどの画像検査を行い、歯の位置や向き、周囲組織との関係を確認します。
パノラマレントゲン
パノラマレントゲンでは、上下の歯列や顎骨を広く確認でき、埋伏歯の有無やおおよその位置・向きを把握できます。
歯科用CT
必要に応じて歯科用CTを使用し、埋伏歯と顎骨、隣接歯、神経などとの位置関係を三次元的に確認します。
特に下顎の親知らずが下顎管に近接していることが疑われる場合など、通常のレントゲンだけでは位置関係を十分に判断できないケースでCT検査を検討します。
埋伏歯の治療法

埋伏歯の治療は、すべて同じ方法で行うわけではありません。
歯の種類や位置、症状、周囲への影響などを確認し、抜歯・矯正的牽引・経過観察などから適切な方法を検討します。
抜歯
埋伏歯の位置や症状、周囲の歯への影響などを総合的に評価し、次のような場合には抜歯を検討します。
- 痛みや腫れなどの炎症を繰り返している
- 隣接する歯に虫歯や歯根吸収などの影響がある
- 清掃が難しく、虫歯や歯周組織の問題が生じている
- 嚢胞などの病変を伴っている
埋伏している位置や向きによっては、歯ぐきを切開したり周囲の骨を一部削除したり、歯を分割したうえで抜歯することがあります。
矯正的牽引
犬歯など、歯列内への誘導が可能と判断された埋伏歯では、歯ぐきを開いて歯の一部を露出させ、矯正装置を用いて少しずつ適切な位置へ誘導する「矯正的牽引」を行うことがあります。
すべての埋伏歯に適応できるわけではなく、歯の位置や向き、歯根の状態、周囲の歯との関係などを確認して判断します。
経過観察
症状がなく、周囲の歯や顎骨への影響が認められず、治療によるメリットよりもリスクが上回ると判断される場合には、定期的に状態を確認しながら経過観察することがあります。
埋伏歯は状態に応じた対応が大切
埋伏歯は、症状がないまま問題なく経過することもあります。
一方、位置や状態によっては、虫歯や炎症、隣接歯の歯根吸収、嚢胞などが生じることがあります。
そのため、「埋伏歯がある=抜歯が必要」ではありません。
レントゲンなどで埋伏歯の位置や周囲への影響を確認し、治療が必要なのか、経過観察が適しているのかを判断することが大切です。
永久歯が生えそろう時期になっても生えてこない歯がある場合や、親知らずの位置が気になる場合には、歯科医院で状態を確認してもらうとよいでしょう。
自覚症状がなくても、歯科検診などで埋伏歯が見つかった場合には、その位置や周囲への影響を確認し、必要に応じて経過をみていきます。
経過観察が選択される場合
経過観察が選択されるケースとしては、
- 痛みや腫れなどの症状がない
- 周囲の歯や顎骨への明らかな影響が認められない
- 深い位置にあり、抜歯による神経や周囲組織へのリスクが高い
などがあります。
埋伏歯の種類や位置、年齢、全身状態なども考慮して、治療の必要性を総合的に判断します。

赤い矢印が示しているのは、顎の骨の中に埋まっている埋伏過剰歯です。
過剰歯とは、通常の歯の本数より多く形成された歯をいいます。位置や向きによっては、永久歯の萌出を妨げたり、隣接歯の歯根吸収や嚢胞形成などに関係したりすることがあります。
抜歯が必要か経過観察が適しているかは、画像検査で周囲との位置関係を確認したうえで判断します。
関連記事
「埋伏歯がある」と言われた方へ

レントゲンなどで歯の位置や周囲への影響を詳しく確認し、抜歯・矯正治療・経過観察など、お口の状態に合わせた治療方針をご提案します。
親知らずや埋伏歯が気になる方、歯ぐきの腫れや違和感を繰り返している方は、症状が悪化する前にお気軽にご相談ください。
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





