- 1. アテローム性動脈硬化とは
- 2. 歯周病と血管の関係
- 2.1. 歯周病菌が血管に与える影響
- 2.2. 歯周病に関連する細菌成分と血管への影響
- 3. アテローム性動脈硬化が進行する主な仕組み
- 3.1. ① 血管内皮の機能が低下する
- 3.2. ② LDLコレステロールが血管壁に入り込む
- 3.3. ③ アテローム性プラークが形成される
- 3.4. ④ 血管が狭くなり、血栓が形成されることがある
- 4. 歯周病と全身の炎症との関係
- 5. 妊娠中の歯周病にも注意
- 6. お口と血管の健康を守るためにできること
- 6.1. 歯周病を予防・治療する
- 6.1.1. 歯石除去前後
- 6.2. 血圧・血糖・脂質を適切に管理する
- 6.3. 適度な運動を続ける
- 7. まとめ
- 7.1. 関連記事
- 7.2. 江戸川区篠崎で歯周病が気になる方へ
- 8. 筆者・院長
- 8.1. 深沢 一
- 8.1.1. メッセージ

歯周病は歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こる病気ですが、近年では全身の健康との関係についても研究が進んでいます。なかでも注目されているのが、動脈硬化や心血管疾患との関連です。
歯周病は慢性的な炎症を伴うため、口腔内の細菌や炎症反応が血管など全身に影響する可能性が研究されています。
ただし、歯周病が動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を直接引き起こすと証明されているわけではありません。 両者には、喫煙、糖尿病、加齢など共通するリスク因子もあります。
この記事では、歯周病と動脈硬化の関係や、歯周病に関連する細菌・炎症が血管に及ぼす可能性のある影響について、わかりやすく解説します。
アテローム性動脈硬化とは
アテローム性動脈硬化とは、動脈の血管壁にLDLコレステロールなどの脂質や炎症細胞が蓄積し、**アテローム(粥腫)**が形成されることで進行する動脈硬化の一種です。
病変が進行すると血管の内腔が狭くなり、血流が妨げられることがあります。
さらに、不安定なプラークが破綻すると、その部分に血栓が形成され、血管が急に詰まることがあります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる場合があります。
動脈硬化は初期には自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行することがあります。
歯周病と血管の関係
歯周病によって歯周組織に炎症があると、歯周病に関連する細菌やその成分が血流に入り込むことがあります。
また、歯磨きや咀嚼、歯科処置などをきっかけに、一時的な菌血症が起こることもあります。
口腔内の細菌が血液中に侵入して生じる菌血症は、口腔由来の菌血症として全身との関係が研究されています。
歯周病菌が血管に与える影響

歯周病に関連する細菌成分と血管への影響
一部の歯周病関連細菌に由来する**LPS(リポ多糖)**などの細菌成分は、炎症反応を促す作用をもち、血管内皮の機能に影響する可能性が研究されています。
血管内皮細胞は血管の内側を覆っており、
- 血管の収縮・拡張
- 血液凝固の調節
- 炎症反応の調節
など、血管の健康を維持する重要な役割を担っています。
この血管内皮の機能が低下する「血管内皮機能障害」は、動脈硬化の発症・進行に関わる重要な要因の一つと考えられています。
ただし、血管内皮機能障害は歯周病だけで起こるものではありません。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙など、さまざまな要因が関係します。
アテローム性動脈硬化が進行する主な仕組み
① 血管内皮の機能が低下する
高血圧、喫煙、高血糖、脂質異常症など、さまざまな要因によって血管内皮の機能が低下します。
慢性的な炎症も、血管内皮機能に影響する要因の一つとして研究されています。

② LDLコレステロールが血管壁に入り込む
血管内皮の機能が低下すると、LDLコレステロールが血管壁に入り込み、酸化などの変化を受けることで炎症反応が進みます。

③ アテローム性プラークが形成される
血管壁では、マクロファージなどの免疫細胞が変性したLDLを取り込み、泡沫細胞となって蓄積します。
こうした炎症反応が続くことで、アテローム性プラークが形成されていきます。

④ 血管が狭くなり、血栓が形成されることがある
プラークが大きくなると血管の内腔が狭くなり、血流が妨げられることがあります。
また、不安定なプラークが破綻すると、その部分に血栓が形成され、血管が急に詰まることがあります。
動脈硬化が進行する部位や程度によって、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患につながることがあります。

歯周病と全身の炎症との関係

歯周病は、歯を支える歯周組織に慢性的な炎症が続く病気です。
歯周病に伴って産生される炎症性サイトカインなどが全身の炎症状態に影響する可能性があり、さまざまな全身疾患との関連について研究が進められています。
特に、糖尿病や心血管疾患などとの関連が報告されています。
また、認知機能低下や認知症との関連についても研究されていますが、因果関係が十分に明らかになっていない分野もあります。
そのため、「歯周病を治療すれば全身疾患を予防できる」と単純に考えるのではなく、歯周病を全身の健康管理とあわせて適切に予防・治療することが大切です。
妊娠中の歯周病にも注意

妊娠中はホルモン環境の変化などにより、歯ぐきに炎症が起こりやすくなることがあります。
また、歯周病と早産・低出生体重児出産との関連を示す研究も報告されています。
ただし、歯周病がこれらを直接引き起こすと断定できるわけではなく、さまざまな要因が関係すると考えられています。
妊娠中も無理のない範囲でセルフケアを続け、必要に応じて歯科医院で口腔管理を受けることが大切です。
お口と血管の健康を守るためにできること
動脈硬化には、加齢、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、歯周病対策だけで動脈硬化を予防できるわけではありません。
お口の健康管理とともに、生活習慣病の予防や治療など、全身の健康管理を行うことが重要です。
歯周病を予防・治療する
歯周病の予防・治療は、歯や歯ぐきの健康を維持し、将来的に歯を失うリスクを抑えるために重要です。
また、歯周病治療によって全身の炎症指標や血管内皮機能などが改善する可能性も研究されています。
ただし、歯周病治療そのものが心筋梗塞や脳梗塞を予防するとまでは、現時点では断定できません。
歯周病予防の基本は、
- 毎日の適切な歯磨き
- デンタルフロスや歯間ブラシの使用
- 歯科医院での定期的な検診
- 必要に応じた歯石除去や歯周病治療
です。
セルフケアだけでは取り除けない歯石などもあるため、定期的に歯科医院で歯や歯ぐきの状態を確認しましょう。
歯石除去前後


血圧・血糖・脂質を適切に管理する
高血圧、糖尿病、脂質異常症は、いずれも動脈硬化に関係する重要なリスク因子です。
特に高血糖が続くことは血管への負担となるため、糖尿病がある方は適切な血糖管理が重要です。
バランスのよい食生活を心がけ、治療中の病気がある場合は、医師や管理栄養士などの指導のもとで適切に管理しましょう。
適度な運動を続ける
適度な運動は、血圧や血糖、脂質などの管理に役立ち、心血管疾患の予防にも重要です。
ウォーキングなど、年齢や健康状態に合わせて無理のない運動を継続しましょう。
高血圧や糖尿病、心血管疾患などで治療中の方は、運動の種類や強度について主治医に相談することをおすすめします。
まとめ
歯周病は歯や歯ぐきだけに関わる病気ではなく、動脈硬化や心血管疾患との関連について多くの研究が行われています。
歯周病に伴う慢性的な炎症や、口腔内細菌・細菌由来成分が血流に入り込むことなどが、全身の炎症や血管機能に影響する可能性が考えられています。
ただし、歯周病が動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を直接引き起こすと証明されているわけではありません。動脈硬化には、加齢、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙など、さまざまな要因が関係します。
毎日のセルフケアと定期的な歯科受診によって歯周病を予防・治療することは、お口の健康を守るうえで重要です。
全身の健康管理とあわせて、歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯のぐらつきなどが気になる場合は、早めに歯科医院で状態を確認しましょう。
関連記事
江戸川区篠崎で歯周病が気になる方へ

歯周病は単なるお口の病気ではありません。近年の研究では、歯周病菌や炎症性物質が血流に入り込むことで血管に悪影響を与え、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高める可能性が指摘されています。
特に歯ぐきからの出血や腫れを放置すると、慢性的な炎症が全身へ広がり、血管の健康にも影響を及ぼすことがあります。毎日の歯磨きだけでは取り切れない歯石や歯周病菌は、専門的なクリーニングや定期的なメンテナンスによる管理が大切です。
江戸川区篠崎で歯周病予防や歯周病治療をご検討の方は、お口と全身の健康を守るためにも早めのチェックをおすすめします。歯ぐきの健康を維持することは、将来の動脈硬化予防にもつながる大切な一歩です。
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





