歯周病は歯ぐきの病気と思われがちですが、近年では全身の健康にも深く関わることがわかってきました。特に注目されているのが「動脈硬化」との関係です。

歯周病による慢性的な炎症や細菌感染は、血管の健康に悪影響を与え、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気のリスクを高める可能性があります。

今回は、歯周病と動脈硬化の関係について詳しく解説します。

アテローム性動脈硬化とは、血管の内側にコレステロールや炎症細胞が蓄積し、「アテローム性プラーク」と呼ばれる脂質の塊が形成される病気です。

プラークが大きくなると血管が狭くなり、血流が悪化します。さらにプラークが破裂すると血栓が形成され、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険があります。

動脈硬化は自覚症状がほとんどないまま進行するため、「沈黙の病気」とも呼ばれています。

歯周病菌が血管に与える影響

歯周病菌が血管に与える影響
歯周病菌が血管に与える影響

歯周病が進行すると、歯ぐきの炎症によって毛細血管が傷つき、歯周病菌や細菌由来の毒素が血液中へ侵入しやすくなります。

これを「歯原性菌血症」といいます。

歯周病菌が産生するLPS(リポポリサッカライド)という毒素は、血管の内側を覆う血管内皮細胞に炎症を引き起こします。

血管内皮細胞は、

  • 血液をスムーズに流す
  • 血栓形成を防ぐ
  • 血管を拡張して血圧を調整する

という重要な役割を担っています。

この内皮細胞が傷つくことで、動脈硬化が進行しやすい環境が作られてしまうのです。

動脈硬化が進行するメカニズム

① 血管内皮細胞が傷つく

歯周病菌による炎症や、高血糖による酸化ストレスによって血管内皮細胞が障害されます。

血管内皮細胞が傷つく
血管内皮細胞が傷つく

② LDLコレステロールが侵入する

傷ついた血管壁には悪玉コレステロール(LDL)が入り込みやすくなります。

 LDLコレステロールが侵入する
LDLコレステロールが侵入する

③ プラークが形成される

LDLを取り込んだ免疫細胞が血管壁に蓄積し、アテローム性プラークが形成されます。

プラークが形成される
プラークが形成される

④ 血管が狭くなり血栓ができる

プラークが大きくなると血流が悪化し、さらに破裂すると血栓が形成されます。

血管が狭くなり血栓ができる
血管が狭くなり血栓ができる

その結果、

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳梗塞
  • 脳卒中
  • 大動脈疾患

などの重大な病気を引き起こす危険があります。

歯周病は全身の炎症を引き起こす
歯周病は全身の炎症を引き起こす

歯周病は単なる局所的な感染症ではありません。

歯周病によって産生される炎症性サイトカインは血流を介して全身に広がり、慢性的な炎症状態を作り出します。

この慢性炎症は、

  • 動脈硬化
  • 糖尿病
  • 心血管疾患
  • 認知症

などの発症や悪化に関与すると考えられています。

妊娠中の歯周病にも注意
妊娠中の歯周病にも注意

妊娠中はホルモンバランスの変化により歯周病が悪化しやすくなります。

重度の歯周病では、歯周病菌や炎症性物質が血流を介して胎盤へ影響を及ぼし、

  • 早産
  • 低出生体重児出産

のリスクを高める可能性が報告されています。

そのため、妊娠中の口腔管理は母体だけでなく赤ちゃんの健康を守るためにも重要です。

歯周病の予防・治療

動脈硬化リスクを減らすためには、まず歯周病を予防することが大切です。

歯石除去前後

歯石付着と歯肉の腫れが示す全身リスク
歯石除去
歯石除去
  • 正しい歯磨き
  • デンタルフロスや歯間ブラシの使用
  • 定期的な歯石除去
  • 歯科医院でのメンテナンス

を継続しましょう。

血糖値を安定させる

食後の急激な血糖値上昇(グルコーススパイク)は血管内皮細胞を傷つける原因になります。

  • 野菜から先に食べる
  • 糖質の摂りすぎを避ける
  • 規則正しい食事を心がける

ことが重要です。

適度な運動

ウォーキングや筋力トレーニングは血糖値の改善や血管機能の維持に効果があります。

特に食後の軽い運動は血糖値の急上昇を抑えるのに役立ちます。

歯周病はお口の中だけの病気ではありません。

歯周病菌や炎症性物質が血液中へ入り込むことで、血管の炎症を引き起こし、動脈硬化を進行させる可能性があります。

動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気の原因となるため、日頃からの歯周病予防が重要です。

毎日のセルフケアに加え、定期的な歯科検診や歯周病治療を受けることで、お口だけでなく全身の健康を守ることにつながります。

江戸川区篠崎で歯周病が気になる方へ|歯ぐきの炎症が動脈硬化を進める可能性があります

歯周病は単なるお口の病気ではありません。近年の研究では、歯周病菌や炎症性物質が血流に入り込むことで血管に悪影響を与え、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高める可能性が指摘されています。

特に歯ぐきからの出血や腫れを放置すると、慢性的な炎症が全身へ広がり、血管の健康にも影響を及ぼすことがあります。毎日の歯磨きだけでは取り切れない歯石や歯周病菌は、専門的なクリーニングや定期的なメンテナンスによる管理が大切です。

江戸川区篠崎で歯周病予防や歯周病治療をご検討の方は、お口と全身の健康を守るためにも早めのチェックをおすすめします。歯ぐきの健康を維持することは、将来の動脈硬化予防にもつながる大切な一歩です。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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