アテローム性動脈硬化とは

  • アテローム性動脈硬化の原因は、歯周病菌や虫歯菌・菌体内毒素(LPS)が血管内に入り込む歯原性菌血症と血糖値の急激な上昇によるグルコーススパイクが動脈の内皮細胞を傷つけることから始まり、アテローム性プラークが増大して動脈を狭くすることです。

アテローム性動脈硬化

動脈の構造

動脈の断面図
動脈の断面図

三層構造+血管内皮細胞

動脈の断面を見ると、三層構造で出来ています。内側から内膜、中膜、外膜です。内膜の表面を内皮細胞が覆っています。

内皮細胞は血液が固まるのを防いだり、動脈を拡張させたりする役割を持っています。

アテローム性動脈硬化の発症機序

Step

血管内皮細胞の損傷

高血糖(糖尿病)によるグルコーススパイクや口腔細菌が血管内に侵入する事により起こる歯原性菌血症によって内皮細胞は傷付けられます。

原因 ① グルコーススパイク

糖質(炭水化物)過剰の食生活や運動不足⇒血糖値の急激な上昇⇒グルコーススパイク⇒血管内皮細胞の損傷

原因 ② 口腔細菌による歯原性菌血症

歯周病や虫歯の重症化⇒血管内へ口腔細菌の進入(歯原性菌血症)⇒細菌が血管内皮細胞に定着⇒血管内皮細胞の損傷

血管内皮細胞の損傷
血管内皮細胞の損傷

Step

血管内膜の炎症

炎症の起こった内膜へ悪玉コレステロール(LDL)が侵入し、酸化されて毒性化します。酸化LDLを処理するために、単球(白血球の一つ)が内膜へ入りマクロファージに変化し凝集します。

血管内膜の炎症
血管内膜の炎症

Step

歯原性菌血症の増大

マクロファージは悪玉コレステロールを取り込んで死んでいきます。その結果、内膜にコレステロールが大量に蓄積されコブ状に膨らんだ状態になります。

この柔らかいぶよぶよの状態をアテローム性プラーク(血管内プラーク)と呼びます。そしてこの様になった血管をアテローム性動脈硬化と呼び、高血圧症を引き起こします。

アテローム性プラークの増大
アテローム性プラークの増大

Step

アテローム性動脈硬化

アテローム性プラークが大きくなると血管の伸縮性が失われると共に高血圧症を引き起こします。この様な状態が長く続くと血流が止まり、心筋梗塞や脳梗塞などを発症させます。

又、内膜が破れるとそこに血の塊(血栓)が出来て完全に血流を停止させます。又、血栓は血流に乗って脳の細い血管などに運ばれ、血管を塞ぎ、脳の一部が壊死する脳梗塞に至るのです。

また重篤な疾患として解離性大動脈瘤や大動脈解離なども起こりやすくなります。

アテローム性動脈硬化
アテローム性動脈硬化

アテローム性動脈硬化が起こす病気

急性心筋梗塞、脳卒中、解離性大動脈瘤
急性心筋梗塞、脳卒中、解離性大動脈瘤

急性心筋梗塞、脳卒中、解離性大動脈瘤

突然起こった手足顔のしびれ、言葉がうまくしゃべれない、激しい頭痛などの症状が起こったら脳卒中かも。また、胸の強い痛みや恐怖感を覚えたら急性心筋梗塞かも。

歯周病菌の菌体内毒素(LPS:リポポリサッカライド)は血管内に侵入して、免疫細胞を刺激し、サイトカインという物質を発生させます。

それにより、各臓器に広範囲に慢性の炎症や障害を引き起こします。その一つが、前述した血管の内皮細胞にダメージを与え、急性心筋梗塞、脳卒中、解離性大動脈瘤などの増悪要因となっています。

糖尿病
糖尿病

糖尿病

糖尿病の自覚症状は初期の内はほとんどありません。

糖尿病は血糖値(血管内のブドウ糖の量)が異常なほど上昇し、グルコーススパイクにより血管内皮細胞が損傷を受ける病態です。血糖値を下げる働きのインシュリンの効きが悪くなってインシュリン抵抗性が増している状態です。

血液中のLPS:リポポリサッカライドはインシュリン抵抗性を更に増大させ、塘代謝を阻害します。逆に、糖尿病が重症化し血液中のブドウ糖が増えると、血管内の細菌が増加し、歯原性菌血症が悪化するという負のスパイラルに入ります。

早産、低体重児出産
早産、低体重児出産

早産、低体重児出産

重度の歯周病(歯槽膿漏)にかかっている母親から生まれた子供は、健康な歯肉の母親に比べて、約7倍以上の確率で低出生体重児を出産しています。歯周病以外にも喫煙・過度の飲酒なども関係していると考えられています。

血糖値の改善

グルコーススパイクを起こさないようにするには

対策自分
食事① 糖質(炭水化物)の過剰摂取は控える。特に夕食。
② マグネシウムの摂取不足に注意
③ 炭水化物の単体での摂取をしない。肉や魚野菜などと一緒に摂ること。
④ 腸内環境を整えること。腸内の善玉菌を増やす。
善玉菌をふやす食材として代表的な納豆、善玉菌の餌となる水溶性食物繊維(寒天やメカブなどの海草)を欠かさない。
⑤ オメガ3系脂肪酸を摂取すること。
運動① 1日1万歩。特に食事後の運動は効果的。
② 筋肉を付けると筋肉で糖質が燃やされる。

歯科疾患の予防や治療

虫歯の予防

対策の種類自分自身で歯医者で
機械的方法歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスPMTC、エアフロー
化学的方法フッ素、キシリトール、次亜塩素酸、リカルデント3DS-グルコン酸クロルヘキシジン

歯周病の予防

対策の種類自分自身で歯医者で
機械的方法歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスPMTC、エアフロー、スケーリング
化学的方法次亜塩素酸水、プロバイオティクス乳酸菌LS13DS-グルコン酸クロルヘキシジン

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、歯科治療は保険診療を主体に診療を行っております。江戸川区篠崎の歯科にて、アテローム性動脈硬化予防を保険診療でご検討の方は当院までお気軽にご相談下さい。
保険証の期限切れにご注意ください。保険証の確認が取れない場合は保険診療として取り扱うことができません。

また、マイナンバーカードによるマイナ保険証での受診にも対応しています。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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