シェーグレン症候群

  • シェーグレン症候群とはドライマウス、ドライアイを主症状とする全身性の自己免疫疾患です。
  • 診断基準は口腔症状、目の症状、シルマーテスト陽性、唾液腺障害の有無の4項目です。
  • 検査は自己抗体検査、小唾液腺生検、耳下腺造影検査など。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群はドライマウス、ドライアイを主症状とし、気管・気管支(鼻の乾燥・気管支炎)、消化管・膵臓(胃液や膵液の分泌低下)、膣分泌腺感染など全身性の自己免疫疾患です。

自分の免疫細胞は、本来、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るための免疫機能がありますが、本来なら起こるはずの無い自分のリンパ球が自分の外分泌腺に対して攻撃を加えてしまうことで起こる疾患です。

シェーグレン症候群の患者は悪性リンパ腫に移行するリスクが健常者よりも高いため、一年に一度の検診が必要です。

男女比

男女比は1対13.7と圧倒的に女性に多く、特に更年期の女性に発症しやすいのが特徴です。

好発年齢

40代から60歳代。

何科で治療?

シェーグレン症候群は様々な症状を呈します。口の渇き(ドライマウス)が主な症状なら歯科で、ドライアイなら眼科で、症状に合わせて内科、耳鼻咽喉科などの受診が必要です。

① 口腔症状

Symptoms

ドライマウス

口腔乾燥症状を訴える患者の約8%がシェーグレン症候群と診断されます。

舌の発赤、舌乳頭萎縮(舌乳頭が擦れて舌の表面が平滑に見える平滑舌)が認められることもあります。

毎日、口腔乾燥感か3ヶ月以上続くとシェーグレン症候群の診断基準の一つになります。

耳の下、顎の下の腫れ痛み

三大唾液腺が炎症を起こし、耳下腺(耳の下)、顎下腺・舌下線(顎の下)が腫れて痛みを感じることがあります。

ドライマウス
ドライマウス

② 眼症状

Symptoms

乾燥性角膜炎(ドライアイ)

白目の充血が認められます。

毎日、目に砂や砂利が入ったような鬱陶しい目の乾燥感が3ヶ月以上続くとシェーグレン症候群の診断基準の一つになります。

ドライアイ
ドライアイ

③ 関節リウマチ

Symptoms

手足の指が腫れ変形

関節リウマチは、手指の第二関節から腫れ、下方に広がり滑膜の炎症が起こる疾患です。

関節リウマチで炎症が起きると、指を曲げ伸ばしする時に、腱の動きが悪くなってときに指が伸ばせなくなる「バネ指」と呼ばれる症状が起きます。また、手足の指は様々な形に変形し、生活に支障をきたします。

膝関節も好発部位で、歩行障害が起こることがあります。

シェーグレン症候群の患者では関節リュウマチを30~40%の割合で合併します。

関節リウマチ
関節リウマチ

下記4項目をすべて満たせば確定

Standard

 口腔症状

毎日、口腔乾燥感か3ヶ月以上続く。

Standard

 眼症状

毎日続く目の乾燥感が3ヶ月以上。

Standard

 目の他覚的所見

シルマーテストで陽性。

Standard

唾液腺の障害の有無

無刺激な状態での総唾液分泌量(安静時唾液)が15分間で1.5ml以下。

シルマーテスト

シルマーテスト
シルマーテスト

涙液量検査

シルマー試験紙を麻酔薬を用いずに左右の目尻に付け5分間測定し、5ミリ以下の場合であればドライアイ陽性と判定されます。

眼科、歯科で行います。

自己抗体検査(血液検査)

自己抗体検査(血液検査)
自己抗体検査

抗核抗体(ANA)

抗核抗体(ANA)は、有核成分の核成分に対する抗体の総称です。シェーグレン症候群を含む膠原病で高率に検出します。

抗La/SS-B抗体

抗La/SS-B抗体は、膠原病を合併していないシェーグレン症候群患者の20~40%に検出されます。全身性エリテマトーデス(SLE)に合併している可能性が高まります。

抗Ro/SS-A抗体

抗Ro/SS-A抗体は、膠原病を合併していないシェーグレン症候群患者の60~80%に検出されます。

小唾液腺生検(病理検査)

小唾液腺生検(病理検査)
小唾液腺生検(病理検査)

小唾液腺のリンパ球の浸潤の有無

浸潤麻酔を行い、下唇の内側を1cm 程切開してブドウの房の様になった小唾液腺の三つを摘出し、10%中性ホルマリン液で固定します。

歯科大学病院の病理教室に送り、検査してもらいます。シェーグレン症候群の場合にはリンパ球の浸潤が認められます。

4ミリ平方の範囲にリンパ球が50個以上浸潤している場合を陽性所見とします。

さらに、腺房細胞の壊死・腺管の拡張・線維化など、組織学的検討を加えます。

ただし、シェーグレン症候群の確定診断に必須ではありません。

耳下腺造影検査

耳下腺造影検査
小唾液腺生検(病理検査)

アップルツリーアピアランス

耳下腺の開口部から造影剤を入れると組織の壊れた所に造影剤が溜まります。りんごの実の様な像になるためアップルツリーアピアランスと呼んでいます。

健康であれば唾液腺の導管部分のみしか造影剤は入りません。

耳下腺造影検査はシェーグレン症候群の確定診断には、必須ではありません。

当院では歯科口腔外科分野の処置を、適切な検査・診断の元に実施しております。できる限り痛みやリスクを抑えた施術を心がけ、術後のケアまでしっかり実施致します。江戸川区篠崎にて、シェーグレン症候群が原因でドライマウスになっている方は、ふかさわ歯科クリニック篠崎までお気軽にご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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