- 1. 妊娠中は歯周病になりやすい
- 1.1. 妊娠性歯肉炎とは
- 2. 歯周病と早産・低出生体重児との関係
- 2.1. なぜ関連すると考えられているの?
- 2.2. 「歯周病になると早産する」という意味ではありません
- 3. 早産・低出生体重児とは
- 4. 妊娠中に行いたい歯周病予防
- 4.1. 歯科健診を受ける
- 4.2. 毎日の歯磨きを無理なく続ける
- 4.3. フッ化物配合歯磨剤を活用する
- 4.4. 歯石や磨き残しは歯科医院でケアする
- 5. パートナーや家族もお口の健康管理を
- 6. 妊娠を考えたら歯科健診を
- 7. こんな症状があれば歯科医院へ
- 8. まとめ|妊娠中こそお口の健康管理を
- 8.1. 関連記事
- 9. 妊娠中の歯ぐきの腫れ・出血、早めにご相談ください
- 10. 【動画】妊娠性歯肉炎
- 11. 筆者・院長
- 11.1. 深沢 一
- 11.1.1. メッセージ

妊娠すると、「歯ぐきが腫れやすくなった」「歯磨きをすると血が出る」といった変化を感じることがあります。
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するほか、つわりによって歯磨きが十分にできなかったり、食事や間食の回数が増えたりすることで、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。
また、妊娠中の歯周病と早産・低出生体重児との関連を示す研究も報告されています。
ここでは、妊娠中に歯周病になりやすい理由や妊娠・出産との関係、妊娠中にできる予防について分かりやすく解説します。
妊娠中は歯周病になりやすい

妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが大きく変化します。
こうしたホルモン環境の変化によって歯ぐきが炎症を起こしやすくなり、プラーク(歯垢)が十分に除去できていないと、腫れや出血などの症状が現れやすくなります。
さらに、妊娠中は次のような変化も重なります。
- つわりで歯ブラシを口に入れにくい
- 吐き気のため奥歯まで十分に磨けない
- 食事や間食の回数が増える
- 体調によってセルフケアが不十分になる
そのため、妊娠前には問題がなかった方でも、妊娠をきっかけに歯ぐきの炎症が目立つことがあります。
妊娠性歯肉炎とは
妊娠中にみられる歯ぐきの炎症は「妊娠性歯肉炎」と呼ばれます。
主な症状は、
- 歯ぐきが赤くなる
- 歯ぐきが腫れる
- 歯磨きで出血する
- 歯ぐきが敏感になる
などです。
妊娠そのものだけで歯肉炎が起こるわけではなく、基本的にはプラーク中の細菌による炎症に、妊娠中のホルモン変化などが影響して症状が現れやすくなると考えられています。
そのため、妊娠中もプラークコントロールを続けることが重要です。
[妊娠性歯肉炎について詳しくはこちら]
歯周病と早産・低出生体重児との関係

歯周病は歯ぐきだけの病気ではなく、炎症が進行すると全身にも影響を及ぼす可能性があります。
これまでの研究では、妊娠中の歯周病と早産や低出生体重児との間に関連がみられることが報告されています。
なぜ関連すると考えられているの?
歯周病が進行すると、歯周組織で炎症反応が起こり、さまざまな炎症性物質が産生されます。
また、歯周病菌やその菌体成分が血流を介して全身へ影響する可能性も研究されています。
こうした炎症反応が妊娠・出産に関係する生体反応へ影響し、早産などと関連する可能性が考えられています。
ただし、その詳しい仕組みについては現在も研究が続けられています。
「歯周病になると早産する」という意味ではありません
ここは非常に重要なポイントです。
歯周病のある妊婦さんで早産や低出生体重児のリスクが高い傾向を示した研究はありますが、歯周病が直接早産を引き起こすと断定できるわけではありません。
また、妊娠中に歯周病治療を行うことで、お口の炎症を改善することはできますが、それによって早産や低出生体重児を確実に予防できることが証明されているわけでもありません。
それでも、歯周病を放置するメリットはありません。妊娠中も必要な歯科健診や歯周病の予防・治療を受け、健康な口腔環境を維持することが大切です。
早産・低出生体重児とは
一般に早産とは、妊娠22週以降37週未満での出産を指します。
また、出生体重が2,500g未満の赤ちゃんは「低出生体重児」と呼ばれます。
早く生まれたり出生体重が小さかったりする場合、在胎週数や出生体重などによっては、呼吸や体温調節、哺乳などに対する医療的なサポートが必要になることがあります。
状態によってはNICU(新生児集中治療室)などで管理される場合もあります。
ただし、必要となる医療やその後の経過には大きな個人差があります。
妊娠中に行いたい歯周病予防
妊娠中の歯周病対策で重要なのは、体調に合わせながらプラークをできるだけ蓄積させないことです。

歯科健診を受ける
妊娠したら、症状がなくても一度は歯科健診を受けておくことをおすすめします。
妊娠中であることや妊娠週数、体調、産婦人科で治療を受けている病気や服用している薬などを歯科医師に伝えてください。
妊娠中でも必要に応じて歯科治療を受けることは可能です。
治療の内容や緊急性、妊娠週数、母体の状態などを考慮し、必要に応じて産婦人科と連携しながら治療時期や方法を判断します。
毎日の歯磨きを無理なく続ける
妊娠中は体調によって、いつも通りの歯磨きが難しいことがあります。
特につわりが強い時期は、無理に長時間磨こうとする必要はありません。
- ヘッドの小さい歯ブラシを使う
- 体調のよい時間帯に磨く
- 歯磨剤の香りや味がつらければ使用量を減らす
- フロスや歯間ブラシを活用する
- 磨けないときは、まずうがいをする
など、できる範囲から続けましょう。
体調が落ち着いてから、普段のセルフケアに戻していけば大丈夫です。
フッ化物配合歯磨剤を活用する
妊娠中は食生活の変化や歯磨き不足などによって、むし歯のリスクも高くなることがあります。
むし歯予防のためには、フッ化物配合歯磨剤を使用した毎日の歯磨きが有効です。
歯磨き後は大量の水で何度もすすぐのではなく、少量の水で軽くすすぐことで、フッ化物を口腔内に残しやすくなります。
歯石や磨き残しは歯科医院でケアする
毎日の歯磨きだけでは、すべてのプラークや歯石を取り除くことはできません。
特に歯石は歯ブラシでは除去できないため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。
歯ぐきから出血する、腫れている、口臭が気になるなどの症状がある場合は、妊娠中だからと我慢せず歯科医院へ相談しましょう。
パートナーや家族もお口の健康管理を

赤ちゃんが生まれる前に、パートナーやご家族もお口の状態を整えておくことをおすすめします。
むし歯や歯周病に関係する細菌は唾液を介して人から人へ移ることがあります。
ただし、細菌が移っただけで必ずむし歯や歯周病になるわけではありません。食生活や歯磨き、唾液の状態など、さまざまな要因が関係します。
家族全体で定期的な歯科健診と適切なセルフケアを続けることが、健康な口腔環境づくりにつながります。
妊娠を考えたら歯科健診を
可能であれば、妊娠が分かってからではなく、妊娠を計画している段階で歯科健診を受けておくと安心です。
歯周病やむし歯は初期には自覚症状が少ないことがあり、気づかないうちに進行している場合があります。
妊娠前に必要な検査や治療を済ませ、セルフケアの方法を確認しておけば、妊娠中のお口のトラブルを減らすことにもつながります。
こんな症状があれば歯科医院へ
妊娠中に次のような症状がみられた場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。
- 歯磨きのたびに歯ぐきから出血する
- 歯ぐきの腫れが続いている
- 歯ぐきから膿が出る
- 歯がグラグラする
- 強い口臭が続く
- 歯や歯ぐきに痛みがある
- つわりで歯磨きがほとんどできない
妊娠中だからといって、歯科受診を出産後まで我慢する必要はありません。
体調や妊娠週数に配慮しながら、必要な検査やケアを受けることができます。
まとめ|妊娠中こそお口の健康管理を
妊娠中はホルモン環境や生活習慣の変化によって、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。
特に、つわりなどで十分に歯磨きができない時期は、プラークが蓄積し、妊娠性歯肉炎や歯周病につながることがあります。
また、妊娠中の歯周病と早産・低出生体重児との関連を示す研究も報告されています。ただし、歯周病が早産の直接的な原因になると断定されているわけではありません。
大切なのは、必要以上に心配することではなく、妊娠前から定期的な歯科健診とセルフケアを続けることです。
歯ぐきの腫れや出血などが気になる場合は、妊娠中でも我慢せず歯科医院へご相談ください。
関連記事
妊娠中の歯ぐきの腫れ・出血、早めにご相談ください

妊娠中は歯ぐきのトラブルが起こりやすい時期です。
当院では、妊娠週数や体調に配慮しながらお口の状態を確認し、一人ひとりに合わせた予防や治療をご提案します。
妊娠中の歯科受診について不安なことがある方も、お気軽にご相談ください。
【動画】妊娠性歯肉炎
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





