✅ 歯を支えるために欠かせない組織「歯根膜(しこんまく)」をご存じですか?🦷
普段は目に見えませんが、噛む力を分散したり、歯と骨をつなぎとめたりと、歯を守るために大きな役割を果たしています。

大臼歯(奥歯)が欠損していると、残っている歯に噛む力が過度に集中しやすくなります。そこに日常的な食いしばりが加わると、歯根膜に負担がかかり、歯根膜炎や咬合性外傷を引き起こす原因になります。噛むと痛い、歯が浮くと感じる場合は要注意です。

本記事では、歯根膜の役割から炎症の原因、治療法、予防方法まで詳しく解説します。

歯根膜とは?

歯根膜(しこんまく)は、歯の根っことあごの骨の間にある薄い膜状の組織です。🧩
この部分には血管や神経が通っており、歯をしっかり支えるクッションのような役割を果たしています。

歯根膜
歯根膜

歯根膜の役割 🛡️

  • 力を分散する:食べ物を噛んだときの力を吸収して、歯や骨に過度な負担がかからないよう守ります。
  • 接着の働き:歯と骨をしっかりつなぎ、グラグラせず安定させます。
  • 感覚センサー:硬いものを噛んだとき「痛い」「強く噛んでいる」と感じられるのは歯根膜のおかげです。
  • 微調整機能:歯の位置を自然に整える働きもあります。

歯根膜と関係の深い病気 ⚠️

歯根膜炎

虫歯が神経まで進行したり、強い噛み合わせで負担がかかったりすると炎症が起き、歯根膜炎になります。

歯周病

歯周病が進むと歯根膜が破壊され、歯を支えられなくなり歯がグラつく原因に。

外傷・噛み合わせ異常

強い外力や食いしばり・歯ぎしりによってもダメージを受けることがあります。

歯根膜炎の症状 🩺

  • 噛むとズキッと痛む
  • 歯が浮いたように感じる
  • 歯ぐきが腫れる、膿が出る

こうした症状があるときは、放置せず歯科医院を受診することが大切です。

歯根膜の治療法 🏥

  • 根管治療:炎症の原因となる感染を取り除きます。
  • 噛み合わせの調整:歯ぎしりや食いしばりによる負担を減らします。
  • 薬による治療:抗生物質や消炎薬で症状を和らげます。
  • 抜歯:重度で保存が難しい場合は抜歯が必要になることも。

歯根膜を守るためにできること 🌿

  • 毎日の歯磨き+デンタルフロス
  • 定期的な歯科検診・歯石除去
  • 歯ぎしり・食いしばり対策(マウスピースなど)
  • 違和感があれば早めに歯科へ相談
赤矢印部に歯根膜腔の明らかな拡大を認め、咬合性外傷および歯根膜炎が疑われる所見。大臼歯欠損により負担が前方歯に集中し、根尖部には透過像を認め根尖病巣が示唆される。
赤矢印部に歯根膜腔の明らかな拡大を認め、咬合性外傷および歯根膜炎が疑われる所見。大臼歯欠損により負担が前方歯に集中し、根尖部には透過像を認め根尖病巣が示唆される。

画像では、赤い矢印で示された複数の部位において歯根膜腔が明らかに拡大しています。これは、歯の周囲の組織に炎症や負担がかかっている際によく確認されるX線所見です。

🦷① 歯根膜腔の拡大(矢印部)

歯根の周囲にある黒く細い隙間(歯根膜腔)が通常より太く写っており、
「歯根膜炎」の疑いが高い状態です。

歯根膜腔の拡大は以下のような状態で生じます:

  • 歯に強い咬合力がかかり続けたとき
  • 周囲の骨が炎症で溶け始めているとき
  • 根尖に感染が広がっているとき

🦷② 咬合性外傷の可能性

大臼歯が欠損している(左側に歯がない)ため、
残っている歯に過剰な力が集中していると考えられます。

結果として:

  • 歯根膜が炎症反応を起こす
  • 噛んだ時に痛みや違和感が出る
  • 歯が浮いたような感覚が出る

という「咬合性外傷」につながりやすい状態です。

🦷③ 根尖病巣の形成(根の先端の黒さ)

矢印で示された歯の根尖周囲に、**境界やや不明瞭の透過像(黒い部分)がみられます。
これは
根尖性歯周炎(根尖病巣)**を疑う典型的なX線所見です。

原因としては:

  • 根管治療が不十分
  • 再感染
  • 過重負担による炎症拡大

などが考えられます。

🦷④ 大臼歯欠損による咬合バランスの崩れ

画像左側に大臼歯が欠損しているため、

  • 手前の歯に過度な負担
  • 咬合バランスの不均衡
  • 結果として歯根膜腔の拡大
  • さらには動揺や根尖病巣の悪化

といった悪循環が生じている可能性があります。

歯根膜は、歯の根とあごの骨をつなぐクッションの役割をもつ重要な組織で、噛む力を分散し、感覚を伝え、歯を安定させています。虫歯の進行、強い噛み合わせ(咬合性外傷)、歯周病などで炎症が起きると、歯根膜が傷み「歯根膜炎」を引き起こします。症状は、噛むと痛い・歯が浮く・歯ぐきの腫れなどが典型的です。

画像では、歯根膜腔が通常より広く写っており、歯根膜炎や咬合性外傷の所見が確認できます。特に大臼歯欠損により前方の歯に過度な力が集中し、根尖部の黒い透過像から根尖病巣(根尖性歯周炎)も疑われます。このように噛み合わせのバランスが崩れると、炎症・動揺・根尖病変が悪化する悪循環に陥りやすくなります。

治療には、根管治療、噛み合わせの調整、薬物療法、必要に応じて抜歯などが行われます。日常のケアとして、歯磨き+フロス、定期検診、食いしばり・歯ぎしり対策(マウスピース)が歯根膜を守ることにつながります。

江戸川区篠崎で歯根膜炎や噛むときの痛みにお悩みの方へ

「噛むと痛い」「歯が浮いた感じがする」…その原因、歯根膜の炎症かもしれません。⚠️
歯根膜は、歯を支えたり感覚を伝えたりする大切な組織です。しかし、虫歯や歯周病、強い噛みしめなどでトラブルが起きると、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

江戸川区篠崎の当歯科クリニックでは、歯根膜炎や歯周病などの歯の土台に関わるトラブルを早期に発見・治療し、健康な歯を長く保てるようサポートします😊。

【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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