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舌に黒い点がある…と気づくと、「口腔がんではないか」「放っておいて大丈夫なのだろうか」と不安になる方は少なくありません。

しかし、実際には舌の黒い点の多くは、舌を噛んだことによる血豆や一時的な色素沈着、黒毛舌など、比較的心配の少ない原因によって生じます。一方で、ごくまれに悪性黒色腫(口腔メラノーマ)などの重大な病気が隠れていることもあり、長期間治らない場合や大きくなる場合には注意が必要です。

この記事では、舌に黒い点ができる原因や見分け方、受診の目安、歯科・口腔外科で行う検査や治療について、専門的な内容をわかりやすく解説します。

まずお伝えしたいのは、舌の黒い点=がんではありません。

実際には、次のような原因が多くを占めます。

  • 舌を噛んでできた血豆
  • 食べ物や飲み物による着色
  • メラニン色素による黒い斑点
  • 黒毛舌
  • 金属による色素沈着

これらは自然に改善したり、経過観察のみで問題ないことも少なくありません。

ただし、次のような症状がある場合は、自己判断せず歯科・口腔外科の受診をおすすめします。

  • 2週間以上治らない
  • 徐々に大きくなる
  • 色が濃くなってきた
  • 出血する
  • 潰瘍ができる
  • しこりや硬さがある

① 舌を噛んでできた血豆(口腔内血腫)

舌にできた血豆(口腔内血腫)
舌にできた血豆(口腔内血腫)
舌の血豆 ― 1週間後の経過所見
舌の血豆 ― 1週間後の経過所見

もっとも多い原因の一つです。

食事中に誤って舌を噛んだり、尖った歯や被せ物が繰り返し当たったりすると、舌の内部で出血が起こり、血豆になります。

血液がたまるため、

  • 暗赤色
  • 紫色
  • 黒色

に見えることがあります。

特徴

  • 急にできる
  • 少し盛り上がる
  • 数日〜2週間程度で自然に改善することが多い

(症例写真:発症時)

(症例写真:1週間後)

② 食べ物や飲み物による色素沈着

舌の表面は細かな乳頭で覆われています。

そのため、

  • コーヒー
  • 紅茶
  • 赤ワイン
  • カレー
  • チョコレート

などの色素が付着すると、黒い点のように見えることがあります。

喫煙習慣がある方では、タールによる着色が加わることもあります。

特徴

  • 痛みがない
  • ブラッシングで薄くなる
  • 一時的なことが多い

③ メラニン色素による黒い斑点

皮膚にほくろができるように、舌にもメラニン色素が沈着することがあります。

多くは良性であり、治療が不要なケースです。

特徴

  • 平ら
  • 痛みがない
  • 昔からある
  • 大きさが変わらない

④ 黒毛舌(こくもうぜつ)

黒毛舌は、舌の表面にある糸状乳頭が通常より長く伸び、細菌や真菌、色素が付着することで黒く見える状態です。

黒毛舌
黒毛舌

起こりやすい原因

  • 抗菌薬の服用
  • 喫煙
  • 口腔乾燥
  • 舌の清掃不足
  • 全身状態の低下

黒い「点」というより、舌全体が黒っぽく毛羽立って見えるのが特徴です。

⑤ 金属による色素沈着(メタルタトゥー)

銀歯や金属製の詰め物・被せ物から溶け出した金属イオンが粘膜内に沈着し、黒色や青黒い点として見えることがあります。

歯ぐきに多く見られますが、舌に認められることもあります。

⑥ 外傷や口内炎のあとに残る色素沈着

口内炎や軽い外傷が治ったあと、一時的に黒っぽい色素沈着が残ることがあります。

通常は時間とともに目立たなくなります。

⑦ 血管の異常(静脈瘤・血管病変)

加齢とともに舌の裏側などに静脈瘤ができることがあります。

血液が透けて見えるため、

  • 紫色
  • 黒色

に見える場合があります。

⑧ 悪性黒色腫(口腔メラノーマ)

非常にまれですが、口腔内にも悪性黒色腫が発生することがあります。

早期には痛みがなく、小さな黒い点として始まることもあります。

舌背に生じた黒色斑

舌背に生じた黒色斑
舌背に生じた黒色斑
考えられる主な鑑別診断
①外傷性メラノーシス/色素沈着
  • 外傷や慢性刺激後に一時的に黒っぽく見える
  • 境界が比較的はっきり
② 悪性黒色腫(メラノーマ)

頻度は低いが除外すべき重要疾患

  • 不整形・急速な拡大・硬結・出血・治らない潰瘍を伴う場合は要注意
  • 数週間以上変化しない/大きくなる場合は生検適応

注意したい特徴

  • 徐々に大きくなる
  • 形がいびつ
  • 色が均一ではない
  • 出血しやすい
  • 潰瘍になる
  • 硬さがある

このような場合には、精密検査が必要になることがあります。

原因痛み盛り上がり自然に改善
血豆あることが多いある
色素沈着なしなし
黒毛舌なし毛状
メラニン色素なしなし多くは変化なし
メラノーマなし〜あり様々×

次の項目を確認してみましょう。

  • □ 2週間以上変わらない
  • □ 少しずつ大きくなっている
  • □ 色が濃くなってきた
  • □ 出血する
  • □ 潰瘍になっている
  • □ 硬いしこりがある
  • □ 痛みやしびれがある
  • □ 繰り返し同じ場所にできる

1つでも当てはまる場合は、歯科・口腔外科で相談することをおすすめします。

舌を強くこすらない

気になるからといって強く磨くと、粘膜を傷つけて症状が悪化することがあります。

舌ブラシは軽い力で使用しましょう。

水分をしっかり摂る

口腔乾燥は黒毛舌の原因になります。

十分な水分補給を心がけましょう。

着色しやすい飲食物や喫煙を見直す

コーヒーや赤ワイン、喫煙などは着色を強めることがあります。

刺激を避ける

血豆の場合は、

  • 舌を噛まないようにする
  • 硬い食べ物を避ける

ことで改善しやすくなります。

まずは視診と触診で、

  • 大きさ
  • 境界
  • 硬さ
  • 周囲の状態

を詳しく確認します。

必要に応じて、

  • 細胞診
  • 生検(組織検査)
  • 大学病院などへの紹介

を行い、診断を確定します。

原因主な治療
血豆経過観察・刺激の除去
黒毛舌舌清掃・生活習慣の改善
色素沈着経過観察
メタルタトゥー原因の確認・必要に応じて対応
血管病変経過観察または治療
悪性腫瘍専門医療機関で精密検査・治療

次のような症状がある場合は、できるだけ早めに歯科・口腔外科を受診してください。

  • 黒い点が大きくなっている
  • 2週間以上改善しない
  • 出血する
  • 潰瘍ができている
  • しこりがある
  • 強い痛みやしびれを伴う
  • 原因が思い当たらない

多くは心配の少ない病変ですが、まれに精密検査が必要な病気が隠れていることもあります。

Q. 舌に黒い点があります。口腔がんでしょうか?

ほとんどは血豆や色素沈着など良性の変化ですが、長期間治らない場合や大きくなる場合は歯科・口腔外科で診察を受けましょう。

Q. 血豆は自然に治りますか?

多くは1〜2週間ほどで自然に改善します。改善しない場合は診察をおすすめします。

Q. 黒毛舌は人にうつりますか?

黒毛舌は感染症ではないため、人にうつることはありません。

Q. 舌ブラシで強くこすれば治りますか?

強くこすると粘膜を傷つける恐れがあります。やさしく清掃することが大切です。

舌に黒い点ができても、多くは血豆や色素沈着、黒毛舌などの良性病変であり、過度に心配する必要はありません。しかし、2週間以上改善しないものや、大きくなるもの、出血や潰瘍を伴うものは、自己判断せず歯科・口腔外科で診察を受けることが重要です。

早めに原因を確認することで、不要な不安を解消できるだけでなく、まれな疾患の早期発見にもつながります。気になる症状がある場合は、一人で悩まず専門医へご相談ください。

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舌の黒い点の多くは血豆や色素沈着など心配の少ない変化ですが、中には詳しい検査が必要な病気が隠れていることもあります。見た目だけで判断せず、気になる症状が続く場合はお気軽にご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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