- 1. なぜ顎間ゴムが必要なのか
- 2. 顎間ゴムは矯正治療の仕上がりにも関係します
- 3. 顎間ゴムをサボるとどうなる?
- 4. 顎間ゴムの装着時間は?
- 5. 顎間ゴムを使用する主な症例
- 5.1. 上下の歯列の前後的なズレ
- 5.2. 受け口(反対咬合)
- 5.3. 開咬
- 5.4. 正中線のズレ
- 6. 顎間ゴムの正しい使い方
- 7. ワイヤー矯正とマウスピース矯正での違い
- 7.1. ワイヤー矯正の場合
- 7.2. マウスピース矯正の場合
- 8. よくある質問
- 8.1. 顎間ゴムは痛いですか?
- 8.2. 食事中もつけますか?
- 8.3. ゴムが切れたらどうすればよいですか?
- 8.4. 寝るときだけではダメですか?
- 8.5. つけ忘れた場合はどうすればよいですか?
- 9. 顎間ゴムを続けるコツ
- 10. まとめ|顎間ゴムは噛み合わせを整える大切な装置です
- 10.1. 関連記事
- 11. 顎間ゴムの使い方に迷ったら、お気軽にご相談ください
- 12. 【動画】アデノイド顔貌
- 13. 筆者・院長
- 13.1. 深沢 一
- 13.1.1. メッセージ

矯正治療中に、
「顎間ゴムを毎日つけるのが大変」
「1日くらいサボっても大丈夫?」
「寝るときだけではダメなの?」
と感じる方は少なくありません。
顎間ゴムとは、上の歯と下の歯の装置にかけて使用する小さなゴムです。
見た目は小さな装置ですが、上下の歯の位置関係を調整し、噛み合わせを整えるために重要な役割を果たします。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正だけでは、上下の歯を理想的な位置関係まで動かすことが難しい場合があります。そのようなときに顎間ゴムを使用し、適切な方向へ持続的な力を加えて噛み合わせを調整します。
また、顎間ゴムは患者さんご自身で着脱する装置です。そのため、指示された位置・時間を守って使用できるかどうかが、治療の進み方に影響します。
なぜ顎間ゴムが必要なのか

矯正治療の目的は、歯並びをきれいに整えることだけではありません。
上下の歯がバランスよく噛み合う状態をつくることも大切な目的の一つです。
前歯がきれいに並んでいても、奥歯の噛み合わせがずれていたり、上下の歯が十分に接触していなかったりする場合があります。
顎間ゴムは、このような上下の歯の前後・左右・上下方向の位置関係を調整するために使用します。
たとえば、
- 上下の歯列の前後的なズレ
- 受け口(反対咬合)
- 開咬
- 上下の正中線のズレ
- 奥歯の噛み合わせの微調整
などに使用されることがあります。
どこに、どの方向へゴムをかけるかは、患者さんの歯並びや噛み合わせによって異なります。
顎間ゴムは矯正治療の仕上がりにも関係します
顎間ゴムは、矯正治療の途中だけでなく、歯並びがある程度整った仕上げの段階で使用することもあります。
見た目には歯がきれいに並んでいても、上下の歯が適切に噛み合っているとは限りません。
そこで顎間ゴムを使用して上下の歯の位置関係を細かく調整し、より安定した噛み合わせを目指します。
そのため、顎間ゴムを指示通りに使用することは、矯正治療を計画通りに進め、より良い仕上がりを目指すうえで大切です。
顎間ゴムをサボるとどうなる?

顎間ゴムは、一定時間継続して力をかけることで歯を少しずつ動かします。
そのため、装着時間が不足すると、予定していた歯の移動が十分に進まないことがあります。
使用したり外したりを繰り返したり、指示された装着時間を守れない状態が続いたりすると、
- 歯の動きが予定より遅くなる
- 噛み合わせの調整に時間がかかる
- 治療計画の変更が必要になる
- 結果として治療期間が延びる
といった可能性があります。
「1日くらいなら大丈夫」と自己判断するのではなく、できるだけ担当医から指示された装着時間を守ることが大切です。
装着できなかった日があっても、自己判断でゴムを増やす必要はありません。気づいた時点から通常の使用に戻し、長期間使用できなかった場合は担当医へ伝えましょう。
顎間ゴムの装着時間は?
顎間ゴムの装着時間は、治療目的や歯の動きによって異なります。
1日20時間以上の装着を指示されることもあれば、就寝時のみ使用する場合もあります。
そのため、「顎間ゴムは必ず1日○時間」と一律に考えるのではなく、担当医から指示された装着時間を守ることが最も重要です。
長時間装着するよう指示されている場合は、食事や歯磨きのときに外し、それ以外の時間はできるだけ装着します。
また、顎間ゴムは使用しているうちに伸びて弾性が低下します。交換するタイミングについても担当医の指示に従い、古いゴムを何日も使い続けないようにしましょう。
顎間ゴムを使用する主な症例

上下の歯列の前後的なズレ
上の歯列が下の歯列に対して前方に位置している場合などには、いわゆる**Ⅱ級ゴム(クラスⅡエラスティック)**を使用することがあります。
上下の歯に前後方向の力を加え、噛み合わせの改善を図ります。
ただし、顎間ゴムによる歯の動きは単純に「上の歯を後ろ、下の歯を前へ動かす」だけではありません。歯の傾きや固定源などにも影響するため、症例に応じて慎重に使用します。
受け口(反対咬合)
下の歯列が上の歯列より前方に位置している場合には、**Ⅲ級ゴム(クラスⅢエラスティック)**を使用することがあります。
上下の歯列に前後方向の力を加え、噛み合わせの改善を目指します。
骨格的な問題が大きい場合など、顎間ゴムだけでは十分に改善できないケースもあります。
開咬
奥歯を噛み合わせても前歯が接触せず、上下にすき間が残る状態を「開咬」といいます。
症例によっては、上下方向に顎間ゴムをかけて、歯が接触しやすい状態へ誘導します。
正中線のズレ
上の前歯の中心と下の前歯の中心がずれている場合にも、左右非対称に顎間ゴムを使用して調整することがあります。
ただし、正中線のズレには歯の位置だけでなく、顎の骨格などが関係していることもあります。原因に応じた治療が必要です。
顎間ゴムの正しい使い方
顎間ゴムで特に重要なのは、担当医から指示された場所に正しくかけることです。
矯正装置には複数のフックがあるため、似たような場所に見えても、自己判断で別の場所にかけてはいけません。
ゴムをかける位置が変わると力の方向も変わり、予定していない方向へ歯が動く可能性があります。
また、
「早く歯を動かしたいから、ゴムを2本重ねよう」
という使い方も避けてください。
ゴムを増やせば早く治療が進むわけではありません。必要以上に強い力を加えると、歯や歯周組織などに過度な負担をかける可能性があります。
顎間ゴムは、強ければ強いほど良いものではありません。
歯並びや噛み合わせに合わせて、ゴムの強さ・位置・装着時間が設定されています。必ず担当医の指示に従って使用してください。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正での違い

ワイヤー矯正の場合
ブラケットなどに設けられたフックに顎間ゴムをかけて使用します。
上下のどの歯にゴムをかけるかによって力の方向が変わるため、指定された場所を確認して装着することが大切です。
マウスピース矯正の場合
歯に装着したボタンやフック、マウスピースに設けた切れ込みなどを利用して顎間ゴムをかけることがあります。
食事などでマウスピースを外す際には、通常は顎間ゴムも外します。
マウスピースそのものの装着時間に加えて、顎間ゴムの使用時間も管理する必要があります。
どちらの矯正方法でも、指示された位置と時間を守って使用することが重要です。
よくある質問
顎間ゴムは痛いですか?
使い始めやゴムをかける位置を変更した直後は、歯が引っ張られるような違和感や痛みを感じることがあります。
多くの場合は徐々に慣れていきますが、強い痛みが続く場合や、噛むことが難しいほど痛む場合、装置に異常がある場合などは担当医へご相談ください。
食事中もつけますか?
長時間装着するよう指示されている場合でも、一般的には食事の際に外すことが多くなります。
ただし、治療内容によって指示が異なる場合がありますので、担当医の説明に従ってください。
食後は歯磨きを行い、必要に応じて新しいゴムを装着します。
ゴムが切れたらどうすればよいですか?
ゴムが切れた場合は、新しいゴムへ交換してください。
外出先で切れたり紛失したりすることもあるため、予備のゴムをケースやポーチに入れて持ち歩くと安心です。
寝るときだけではダメですか?
装着時間については治療目的によって異なります。
長時間の使用を指示されている場合、就寝中だけでは必要な装着時間を確保できません。
一方で、治療内容によっては夜間のみ使用することもあります。
自己判断で装着時間を変更せず、担当医の指示を守りましょう。
つけ忘れた場合はどうすればよいですか?
気づいた時点から、通常通り装着してください。
つけ忘れた時間を取り戻そうとして、ゴムを2本重ねたり、指示より強いゴムを使用したりしないでください。
つけ忘れが何日も続いた場合や、指示された時間をなかなか守れない場合は、次回の診察時に担当医へ伝えましょう。
顎間ゴムを続けるコツ
顎間ゴムを無理なく続けるためには、毎日の生活の中に習慣として組み込むことがポイントです。
たとえば、
- 歯磨きとゴムの交換をセットにする
- 洗面所や普段使う場所に予備を置く
- 外出用のバッグに予備を入れておく
- スマートフォンのリマインダーを利用する
などの方法があります。
特に外出時は、「ゴムを持ってくるのを忘れた」ということが起こりやすいため、複数の場所に予備を準備しておくと安心です。
まとめ|顎間ゴムは噛み合わせを整える大切な装置です
顎間ゴムは、矯正治療で上下の歯の位置関係や噛み合わせを調整するための重要な装置です。
小さなゴムですが、適切に使用できるかどうかによって、歯の動きや治療期間、噛み合わせの仕上がりに影響することがあります。
大切なのは、
「決められた場所に、決められた時間、指示されたゴムを使用すること」
です。
装着時間が不足すると治療が予定通りに進まないことがありますが、つけ忘れたからといってゴムを重ねて使用する必要はありません。
分からないことや続けにくいことがあれば、そのままにせず担当医へご相談ください。
矯正治療は歯科医師が装置を調整するだけでなく、患者さんにも毎日のケアや装置の使用にご協力いただきながら進めていきます。
顎間ゴムを正しく使用し、より安定した噛み合わせを目指しましょう。
関連記事
顎間ゴムの使い方に迷ったら、お気軽にご相談ください

顎間ゴムは、噛み合わせを整え、矯正治療を計画通りに進めるための大切な装置です。「正しく使えているか不安」「痛くて続けにくい」などのお悩みもお気軽にご相談ください。
当院では、歯並びだけでなく噛み合わせまで考えた矯正治療をご提案しています。
【動画】アデノイド顔貌
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





