「親知らずが横向きに埋まっていると言われた…」「水平埋伏智歯ってどういう意味?」
そんな疑問や不安を抱えていませんか?

水平埋伏智歯(すいへいまいふくちし)とは、親知らずがあごの骨の中で横向きに埋まってしまっている状態を指します。見た目にはわかりづらいですが、放置すると虫歯や歯周病、手前の歯へのダメージなど、さまざまなトラブルの原因になることも。

この記事では、水平埋伏智歯の読み方や意味から、発生する原因、種類の違いまでわかりやすく解説します。親知らずの状態が気になる方や、抜歯すべきか迷っている方はぜひ参考にしてください。

🦷水平埋伏智歯とは?|読み方と定義

「水平埋伏智歯(すいへいまいふくちし)」とは、親知らず(第三大臼歯)があごの骨の中に水平に埋まったまま生えてこない状態を指します。一般的な親知らずは縦に生えてきますが、水平埋伏智歯の場合、完全に横向きの状態で隣の歯(第二大臼歯)に向かって押し込まれるように存在しています。

このような歯は肉眼では確認しづらく、レントゲンやCTスキャンでの診断が欠かせません。多くの場合、痛みや腫れなどの症状が出る前に発見され、予防的な抜歯が推奨されることもあります。

水平埋伏智歯
水平埋伏智歯

🪥なぜ水平に埋まるのか?|原因と成長メカニズム

水平埋伏智歯が形成される原因は主に以下の3つです。

  1. あごのスペース不足
     現代人は食生活の変化により、あごが小さくなる傾向にあります。そのため親知らずが正しく生えるためのスペースが足りず、結果として水平に押し込まれてしまうのです。
  2. 発育方向の異常
     歯胚(歯のもと)が形成される時点で、成長方向に異常があると、本来の垂直方向ではなく、横向きに成長してしまいます。
  3. 萌出時期の遅れ
     親知らずは20代前後に生えてくるため、それまでに他の歯が並び終わっており、入るスペースがなくなってしまうことが原因です。

これらが重なることで、水平に埋まった状態の親知らず=水平埋伏智歯ができあがります。

🧬親知らずの種類と埋伏の分類(水平・垂直・斜め)

埋伏智歯(まいふくちし)にはさまざまなタイプがあり、抜歯の難易度にも影響します。

埋伏タイプ特徴抜歯の難易度
水平埋伏智歯横向きに完全に埋まっている高い(⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️)
斜め埋伏智歯斜めに生えている中程度(⭐️⭐️⭐️)
部分萌出一部だけ見えている低〜中(⭐️⭐️)

特に水平埋伏智歯は、手前の歯を圧迫したり、周囲の組織に悪影響を及ぼす可能性が高く、外科的な抜歯が必要となるケースが多くあります。

🦷① 隣の歯が虫歯になるリスクが高まる

親知らずが斜めに生えて隣の第二大臼歯(金属冠の歯)に接触すると、その間に歯垢や食べかすが溜まりやすくなり、両方の歯が虫歯になる可能性が高くなります。特に金属冠の下は虫歯の進行に気づきにくく、気づいた時には大きく進行していることもあります。

隣の歯が虫歯になる
隣の歯が虫歯になる

🔥② 智歯周囲炎が進行し、歯槽骨が吸収される

親知らずの周囲に炎症(智歯周囲炎)が起こると、プラークが長期間停滞してバイオフィルムが形成され、炎症が骨にまで広がります。結果、歯を支える「歯槽骨」が溶けてしまい、第二大臼歯の根が大きく虫歯で崩壊するリスクも。これは抜歯後の回復にも影響を及ぼす深刻な状態です。

智歯周囲炎が進行し、歯槽骨が吸収される
智歯周囲炎が進行し、歯槽骨が吸収される

🦷③ 歯並びが崩れる(叢生・後戻り)

横向きに埋まっている親知らずが前方の歯を押すことで、歯並びが徐々に崩れていきます。前歯がガタガタになったり、せっかく矯正した歯並びが後戻りする原因になります。リテーナーを使用しても、親知らずの影響で歯列が乱れるケースがあるため、矯正前の抜歯が重要とされています。

歯並びが崩れる(叢生・後戻り)
歯並びが崩れる(叢生・後戻り)

😷④ 口臭の原因になる

親知らずと第二大臼歯の間に溜まった歯垢が腐敗し、揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させることで強い口臭を引き起こすことがあります。さらに、細菌の繁殖によって歯茎が炎症を起こし、膿が出ることも。見えにくい場所での細菌繁殖は、自分でも気づきにくいため要注意です。

🦷① 骨の中に完全に埋まっている親知らずは炎症リスクが低い

親知らずが骨の中に完全に埋まっていて、口腔内と接していない場合、細菌感染のリスクが非常に低くなります。そのため、智歯周囲炎(親知らず周辺の歯茎の炎症)を起こすことはほとんどなく、痛みや腫れが生じることも少ないとされています。

完全埋没した親知らずは必ずしも抜歯の対象ではない
完全埋没した親知らずは必ずしも抜歯の対象ではない

🧩② 隣の歯に影響がなければ、歯並びにも影響しにくい

完全埋没の親知らずが第二大臼歯の根に接触しておらず、かつ前方の歯を押すような力が働いていない場合は、歯並びへの悪影響(前歯のガタつきなど)も起こりにくいと考えられます。

💡③ 状況に応じて「経過観察」という選択肢も

炎症や圧迫の兆候がない完全埋没智歯は、無理に抜く必要がないケースもあります。定期的なレントゲン検査で経過を観察し、将来のトラブルに備える「見守り」が推奨されることもあります。

症状がなくても定期的なチェックを
水平埋伏智歯は、見た目では気づきにくく、自覚症状が出る頃には虫歯や炎症が進行していることもあります。レントゲンでの定期的な診断によって、トラブルの芽を早期に発見することが大切です。

不安な場合は口腔外科の受診をおすすめ
痛みや腫れがなくても、「抜くべきかどうか迷っている」「歯並びに影響があるか不安」という方は、口腔外科や親知らずの抜歯に詳しい歯科医師に相談することをおすすめします。的確な診断とアドバイスを受けることで、安心して今後の対応を決めることができます。

江戸川区篠崎で「水平埋伏智歯(横向きに埋まった親知らず)」の抜歯をご検討中の方へ

当院では、パノラマレントゲンによる正確な診断と、痛みを抑えた口腔外科的処置により、難しい親知らずの抜歯にも対応しています。
水平埋伏智歯は、放置すると隣の歯の虫歯や歯並びの乱れ、口臭の原因にもなるため、早期の診断・治療が重要です

「今は痛くないけど将来が不安…」「抜くべきか迷っている…」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
江戸川区篠崎で親知らずのことでお悩みの方は、地域密着の当院までご来院をお待ちしております。

【動画】横向きに埋没した親知らずを抜かないと?

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!