- 1. 【🎥40秒】抗癌剤・骨粗鬆症治療中の方へ ― 顎骨壊死を防ぐために大切な歯科管理とは
- 2. 🦴 骨代謝調整薬(BMA)とは
- 2.1. 🔍 BMAの基本情報
- 2.2. 💊 主なBMAの種類
- 2.3. 🧬 BMAの適応疾患
- 2.3.1. ✅ 使用される代表的な疾患
- 2.4. ⚠️ 顎骨壊死のリスク
- 2.4.1. 📸 ビスフォスフォネート製剤による顎骨壊死
- 2.5. 🧪 顎骨骨髄炎のリスクファクター
- 2.5.1. 🦷 局所的リスクファクター
- 2.5.2. 💉 全身的リスクファクター
- 3. 骨髄抑制期における口腔ケアの重要性とリスク管理
- 3.1. 🩸 骨髄抑制期とは
- 3.1.1. 🧪 抗癌剤投与後に起こる骨髄抑制
- 3.2. 🦷 骨髄抑制期に起こる歯科的な問題
- 3.2.1. ❗ 免疫力低下による感染と症状
- 3.3. ✅ 歯科処置が可能な血液データの目安
- 3.3.1. 💉 観血的処置(出血を伴う治療)の条件
- 3.4. ⚠️ 抗癌剤投与で歯周病が急性化するリスク
- 3.4.1. 🦷 歯周病と全身治療の関係
- 3.5. 🩻 重度歯周病で歯槽骨が吸収
- 3.5.1. 📌 赤丸で示された歯の周囲に注意
- 3.6. 🦷 抗癌剤投与前の口腔管理が重要
- 3.6.1. 🏥 治療前に行うべき対応
- 3.7. ⚠️ 抗癌剤投与でインプラント周囲炎が急性化するリスク
- 3.7.1. 🧬 免疫低下により炎症が急激に悪化
- 3.8. 🦷 インプラント周囲炎とは?
- 3.8.1. 🦠 歯周病に似た炎症がインプラント周囲に発生
- 3.9. 🦴 骨吸収と「骨の裂開」の進行リスク
- 3.9.1. 📉 インプラント支持骨の喪失
- 3.10. 🛑 抗癌剤投与前の対策
- 3.10.1. 🏥 状態によってはインプラント撤去が必要
- 3.11. ⚠️ 抗癌剤投与で根尖病巣が急性化
- 4. 江戸川区篠崎で抗癌剤や骨粗鬆症治療中の方へ
- 5. 【動画】舌癌や歯肉癌の初期症状を口内炎などと比較
- 6. 筆者・院長

抗癌剤や骨粗鬆症治療に使われる「骨代謝調整薬(BMA)」は、骨の健康を守る一方で、歯科治療において注意が必要な薬です。とくに抜歯やインプラント、歯周病治療などの外科処置を行う際には、顎骨壊死のリスクが高まる可能性があります。安全に治療を受けるためには、事前の口腔ケアと歯科医院との連携が重要です。本記事では、BMA使用中の歯科治療におけるリスクと対策について詳しく解説します。
【🎥40秒】抗癌剤・骨粗鬆症治療中の方へ ― 顎骨壊死を防ぐために大切な歯科管理とは
🦴 骨代謝調整薬(BMA)とは
🔍 BMAの基本情報
- BMA(Bone Modifying Agents)は、破骨細胞の働きを抑え、骨の代謝を調整する薬剤
- 骨転移の進行を防ぐ目的で使われる

💊 主なBMAの種類
- ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)
- デノスマブ(抗RANKL抗体)
🧬 BMAの適応疾患
✅ 使用される代表的な疾患
- 乳癌・肺癌・前立腺癌・腎臓癌の骨転移予防
- 多発性骨髄腫の骨関連合併症の予防・軽減
- 悪性腫瘍による高カルシウム血症の治療
- 骨粗鬆症
⚠️ 顎骨壊死のリスク
📸 ビスフォスフォネート製剤による顎骨壊死
- BMA使用後に外科的歯科処置(抜歯・歯周外科)を行うと、顎骨壊死や骨髄炎を起こす可能性あり
- 処置前の歯科管理が重要

📷 写真:上顎骨の露出・壊死(徳島大学病院提供)
🧪 顎骨骨髄炎のリスクファクター
🦷 局所的リスクファクター
- 抜歯・歯周外科などの侵襲的処置
- 不良な口腔衛生
- 歯周病・根尖病巣
- 不適合義歯の使用
💉 全身的リスクファクター
- 悪性腫瘍の存在
- 化学療法・放射線療法の併用
- ステロイド薬の服用
骨髄抑制期における口腔ケアの重要性とリスク管理
🩸 骨髄抑制期とは
🧪 抗癌剤投与後に起こる骨髄抑制
- 抗癌剤投与後1〜3週間の間に、白血球・好中球が大きく減少
- 特に2週間後が最も低下し、感染リスクが急上昇
- 慢性炎症部位が急性化しやすく、顎骨骨髄炎や顎骨壊死の可能性も

🦷 骨髄抑制期に起こる歯科的な問題
❗ 免疫力低下による感染と症状
- 歯性感染症のリスク増加
- 歯周病
- インプラント周囲炎
- 根尖病巣
- 智歯周囲炎(親知らず周囲の炎症)
- 血小板減少による出血傾向
- 歯肉からの出血などのリスク
- 赤血球減少による貧血
- 口腔カンジダの発症
- 口腔乾燥や粘膜炎の増加
✅ 歯科処置が可能な血液データの目安
💉 観血的処置(出血を伴う治療)の条件
- 白血球数(WBC):2,000/μl以上
- 好中球数:1,000/μl以上
- 血小板(PLT):40,000〜50,000/μl以上
⚠️ 抗癌剤投与で歯周病が急性化するリスク
🦷 歯周病と全身治療の関係
- 抗癌剤は免疫機能を抑えるため、口腔内の慢性炎症が急性化しやすくなる
- 特に歯周病がある部位は、骨髄炎や腐骨形成のリスクが高まる
🩻 重度歯周病で歯槽骨が吸収
📌 赤丸で示された歯の周囲に注意
- 歯周病菌がバイオフィルムを形成し、慢性炎症を持続
- 歯槽骨がほとんど吸収され、抜歯が必要なケース

🦷 抗癌剤投与前の口腔管理が重要
🏥 治療前に行うべき対応
- 重度の歯周病歯は事前に抜歯を検討
- 中等度以下の歯周病でも、口腔内細菌叢をできるだけ健全に整えることが望ましい
⚠️ 抗癌剤投与でインプラント周囲炎が急性化するリスク
🧬 免疫低下により炎症が急激に悪化
- 抗癌剤によって免疫が低下すると、慢性のインプラント周囲炎が急性化する恐れあり
- 骨髄炎や感染拡大のリスクが高まる
🦷 インプラント周囲炎とは?
🦠 歯周病に似た炎症がインプラント周囲に発生
- インプラントを支える**骨の周囲に炎症(インプラント周囲炎)**が起こる
- 歯周病菌がバイオフィルムを形成し、慢性的な炎症を引き起こす
🦴 骨吸収と「骨の裂開」の進行リスク
📉 インプラント支持骨の喪失
- 炎症が進行すると、インプラント周囲の骨が溶ける(骨吸収)
- 「骨の裂開」状態にまで悪化する可能性がある

🛑 抗癌剤投与前の対策
🏥 状態によってはインプラント撤去が必要
- 軽度のインプラント周囲炎であれば歯周病と同様の処置で管理可能
- 進行している場合は、抗癌剤投与前にインプラントの撤去を検討
⚠️ 抗癌剤投与で根尖病巣が急性化

根尖病巣
虫歯が歯髄(神経)まで達すると根管内は細菌に感染します。その状態を放置すると細菌は根管から歯槽骨へ出て、炎症を引き起こします。
慢性化すると骨に膿の袋を形成します。これを根尖病巣といいます。上写真の根の周りの黒い部分が根尖病巣です。
抗癌剤の投与前に根尖病巣の治療を完了しとく必要があります。

根管治療で根尖病巣が治癒
根管治療により根の周りの黒い影が消えているのが分ります。この状態なら抗癌剤の投与により問題が起こることはありません。
根管治療には一定の治療期間が必要な為、抗癌剤の投与のタイミングを待っていられない場合があります。そんな時は、事前に抜歯が推奨されます。
江戸川区篠崎で抗癌剤や骨粗鬆症治療中の方へ

抗癌剤や骨粗鬆症治療に用いられる薬(BMA)は、抜歯や歯周病治療のタイミングによって顎の骨に深刻な影響を与えることがあります。治療中の方は、事前に口腔内の状態をしっかりチェックすることが大切です。篠崎駅近くの当院では、医科との連携のもと、安全な歯科治療をご提案しています。どうぞお気軽にご相談ください。
【動画】舌癌や歯肉癌の初期症状を口内炎などと比較
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。