滑舌が悪い・食べにくいと感じたら口腔機能低下症かも?
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【動画 32秒】口腔機能低下症・オーラルフレイルの予防と対策
口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症とは、加齢や生活習慣などにより、口腔のさまざまな機能が低下する状態を指します。具体的には、咀嚼(噛むこと)、嚥下(飲み込むこと)、発音、そして唾液の分泌機能などが徐々に衰えていくことが特徴です。オーラルフレイルは、口腔機能低下症の前段階とも言え、口の健康が少しずつ悪化していく状態を指します。
口腔機能低下症が進行すると、食べ物をうまく噛めなくなる、飲み込みづらくなるなど、生活の質に大きな影響を及ぼします。現代社会では、高齢化が進む中でこの口腔機能低下症が重要な課題となっており、早期の予防と対策が求められています。
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オーラルフレイルと
感じたら歯科の受診を
オーラルフレイルは、口腔機能が衰え虚弱した状態を表す言葉で、口腔機能低下症はその病名です。
具体的には、口輪筋や舌の筋力が衰えるため滑舌が悪くなり食べる機能が少しずつ低下します。
噛めない食品が増加し栄養が低下するため患者さんの生活の質(QOL)にも影響を及ぼす可能性があります。
2018年に50歳以上であればオーラルフレイルの診断や治療が保険で受けられるようになりました。
50歳未満であっても、パーキンソン病や脳卒中で口腔機能低下状態の人は保険診療の対象になります。
口腔機能低下症の主な症状
口腔機能低下症にはいくつかの特徴的な症状があります。まず、噛み力の低下があります。これは、硬い食べ物が噛みにくくなることを意味し、食事の楽しみが減少する原因にもなります。また、発声の問題も見られることがあり、言葉がはっきりと発音できなくなることで、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
さらに、唾液分泌の低下も重要な症状です。唾液の分泌が減ると、口の中が乾燥しやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、食事の際の飲み込みにも影響が出ます。これらの症状が組み合わさることで、日常生活にさまざまな問題を引き起こすことが多いです。
口腔機能低下症のセルフチェック
- 硬いものが食べにくくなった。
- 汁物を飲むとき時々むせるようになった。
- 口の中が乾くようになった。
- 口臭があるようになった。
- 薬を飲み込みにくくなった。
- 活舌が悪くなった。
- 食べこぼしをするようになった。
- 食事をするのに時間がかかるようになった。
- 食後に口の中に食べ物が残るようになった。
一つでも該当すれば口腔機能低下症の疑いがあります
老化だから仕方ない?とあきらめるのではなく、一つでも当てはまったら当院にお越しください。50歳以上であれば口腔機能低下症の検査や治療が保険で受けられます。
口腔機能低下症の原因
口腔機能低下症の原因にはさまざまなものがありますが、主な要因の一つが加齢です。加齢に伴い、筋力が低下することで、口の周りの筋肉も衰えます。また、歯科疾患、例えば虫歯や歯周病が進行することで噛み合わせが悪くなり、口腔機能が低下します。
さらに、不適切な口腔ケア習慣も原因の一つです。毎日の歯磨きが不十分であったり、定期的な歯科検診を受けていない場合、口腔内環境が悪化し、機能の低下に繋がります。また、生活習慣や全身疾患も影響を与えます。喫煙や不規則な食生活、糖尿病などの全身疾患が口腔機能低下のリスクを高めます。
口腔機能低下症の診断方法
口腔機能低下症の診断には、まず歯科医師による問診と検査が行われます。口腔内の状態を確認し、過去の病歴や生活習慣についてのヒアリングを通じて、機能低下のリスクを評価します。また、唾液量の測定や咬合力(噛む力)、発声力の検査など、専門的な口腔内機能検査も実施されます。
さらに、自宅で簡単にできる診断方法として、硬い食べ物を噛むテストなどがあります。こうした診断を通じて、口腔機能低下症の有無や進行度を評価し、適切な対策を講じることが重要です。
口腔機能低下症の影響
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口腔機能低下症が進行すると、まず食生活に大きな影響を与えます。食べ物を噛む力が弱くなることで、硬い食材を避けるようになり、栄養バランスが偏りがちになります。この結果、栄養不足により全身の健康にも悪影響が及び、フレイル(虚弱)状態に繋がるリスクが高まります。
また、発声に問題が生じることでコミュニケーションが円滑に行えなくなり、社会的な孤立感や心理的なストレスを抱えることもあります。口腔機能低下症は、単に口の問題に留まらず、全身の健康や生活の質に深く影響を与える重要な課題です。
口腔機能低下症との関連疾患
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日頃の健康管理において、口腔ケアの重要性をご存知でしょうか?口腔機能低下症は、単にお口の中の問題にとどまらず、全身の健康にも深く関わっています。
特に、口腔機能低下症は以下の疾患と深い関連があります:
- 脳梗塞:口腔内の細菌が血流に乗り、脳血管に悪影響を及ぼすことがあります。
- 動脈硬化:口腔内の炎症が全身に広がり、血管の硬化を促進するリスクがあります。
- 糖尿病:糖尿病患者は口腔内感染症にかかりやすく、その結果、糖尿病の管理が困難になることがあります。
- 心筋梗塞:口腔内の細菌が心臓の血管に到達し、炎症を引き起こすことがあります。
これらの疾患は互いに影響を及ぼし合い、悪循環を招くことがあります。例えば、糖尿病が悪化すると動脈硬化のリスクが高まり、さらに心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増加します。
口腔機能低下症の予防法
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口腔機能低下症を予防するためには、まず正しい口腔ケアの習慣化が必要です。毎日のブラッシングやフロスの使用を徹底し、定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることが効果的です。また、食事の際には咀嚼トレーニングを意識することが推奨されます。硬めの食材をしっかり噛むことで、咀嚼筋を鍛えることができます。
さらに、唾液腺をマッサージすることで唾液の分泌を促し、口腔内の潤いを保つことも重要です。加えて、定期的な歯科検診を受けることで、口腔内の状態をチェックし、早期の異常発見に努めることが予防に繋がります。
- 定期的な歯科検診:少なくとも半年に一度は歯科医の検診を受け、早期に問題を発見・治療しましょう。
- 適切な歯磨き:食後に歯磨きを行い、歯垢や食べかすをしっかりと除去しましょう。
- バランスの取れた食事:栄養バランスの良い食事を心がけ、口腔内の健康を保ちましょう。
- 禁煙:喫煙は口腔内の健康を損ない、全身の疾患リスクを高めます。禁煙に取り組みましょう。
口腔機能低下症の治療法
口腔機能低下症の治療には、歯科医院で行われるリハビリテーションが有効です。これは、口腔周囲の筋肉を鍛えるトレーニングや、咀嚼や嚥下の練習を含みます。また、専用機器を使ったトレーニングも治療に用いられることがあります。例えば、噛む力を測定しながら行う訓練や、嚥下機能を改善するための機器を用いた練習などです。
さらに、補綴治療の活用により、失われた歯を補うことで口腔機能の回復を図ります。適切な治療を受けることで、口腔機能を向上させ、日常生活の質を高めることが可能です。
口腔機能低下症の最新研究と今後の展望
最近の研究では、口腔機能低下症の診断技術が進化しており、より精度の高い診断が可能になっています。例えば、AI(人工知能)を活用した口腔内画像の解析により、早期に問題を発見し、適切な対策を取ることができます。また、地域や自治体では、口腔機能低下症の予防に向けた取り組みが進められています。例えば、高齢者向けの口腔ケア教室や、歯科検診の普及活動がその一例です。こうした取り組みを通じて、口腔機能低下の予防と早期治療が期待されています。
参考:老齢歯科学会
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よくある質問
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何歳から注意すべきですか?
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一般的には、中高年になると口腔機能低下のリスクが高まるため、40代以降からの予防が推奨されます。
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歯科医院以外で予防する方法はありますか?
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日常的な口腔ケアの充実や、咀嚼力を高める食生活が効果的です。
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治療費はどれくらいかかりますか?
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治療内容によって異なりますが、保険適用の有無によっても費用は変わるため、事前に歯科医院での相談が必要です。基本的に50歳以上であれば保険適用になる可能性があります。
江戸川区篠崎で口腔機能低下症の治療をご検討の方へ
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口腔機能をしっかりと維持することで、全身の健康を守り、長寿を全うすることが可能になります。ご自身の健康のため、今一度、口腔ケアの重要性を見直してみましょう。口まわりの筋力や舌の筋肉が低下し、食事において咀嚼や嚥下が上手くいかないと感じたらオーラルフレイルかもしれません。
当院では、50歳以上の方であれば保険の範囲で口腔機能低下症の診断や治療を行なっております。ご希望の方は、ぜひ一度お気軽にご相談下さい。
筆者・院長
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深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。