キスで口臭はうつりますか?

  • 生まれたての赤ちゃんのお口の中には歯周病菌はいません。
  • 歯周病は口臭を発生させます。
  • 歯周病菌は彼氏や彼女、両親やペット(犬・猫)などからうつります。当然キスをすれば歯周病菌が感染し、口臭もうつります。
  • うつる年齢は歯周病菌の種類によって異なります。
  • 歯周病原菌を移さないようにするには口腔内を徹底的に清潔に保つことです。

歯周病の人とのキスで口臭はうつります!

よくある質問

Q&A

大人同士でキスをすると歯周病菌は移るのでしょうか?

私は40代男性です。妻とは10年ほど前に結婚したのですが、当時から妻の口臭が気になっていました。歯医者さんに行くように勧めたのですが、歯医者嫌いの妻は現在に至るまで歯医者に行っていません。

しかし、最近になって歯茎が腫れ痛み出しているようです。最近では口臭もさらにきつくなりドブのような臭いがします。

私も歯医者さんにはここ数年行っていないのですが、歯周病になっているとは思われません。しかし、妻とキスをする事によって歯周病が移るのではないかと不安になるようになってきました。

また、口臭のきつい妻とキスをするのも苦痛になり、キスをしたくないという感情が伝わって、夫婦関係も良好とは言えないような状態です。

歯周病はキスをすることによって移ります。原因は、唾液を介して歯周病菌が感染することによって起こります。

生まれたての赤ちゃんの口の中にはいかなる細菌も存在していません。母親や保護者によって子供の口の中に細菌が感染していきます。例えば、口移し、同じスプーンを使い回すことなどにより感染します。これは、歯周病原因菌に限らず虫歯菌でもいえることです。

成人になるとキスによって異性から歯周病原因菌が感染します。 しかし、子供の頃に歯周病が発症することはまれで、歯周病と診断できるレベルになるには、18歳以上の方がほとんどです。

なぜ子供の頃に歯周病は発症しないのでしょうか? 原因になる歯周病菌は、数多く存在します。その中でも特に「P.g菌(Porphyromonas gingivalis)」と呼ばれている細菌が最も危険度が高いとされています。

子供の頃、保護者から感染するのは危険度の低い歯周病原因菌がほとんどで、成長に伴い、次第に強い感染力のある歯周病原因菌が感染すると言われています。

また、複数の種類の歯周病原因菌によりバイオフィルムという集合体を作っていきます。このバイオフィルムが形成されることによって、強い毒素を作り出します。そして歯周病が発症し、歯周組織を破壊していくことになるのです。

もし、彼氏・彼女や配偶者に危険度の高い歯周病原因菌が感染している場合には、キスによって感染するリスクも高まります。

しかし、一度キスをしたくらいでは簡単には感染しませんが、その接触する頻度が高ければ高いほど感染するリスクは高まります。

キスによりP.g菌が一旦感染すると、なかなか口腔内から排除することが出来ません。そのため、歯周病が発生しやすくなり、同時に(F.n菌)-フソバクテリウム・ヌクレアタムの感染が起これば口臭も強くなるものと思われます。

下記に歯周病菌の感染経路や感染時期について詳しく記述してありますので、そちらも参照してください。

歯周病の治療をすれば歯周病は移りにくくなるのでしょうか?

歯周病は移ると聞いたのですが、私の夫は重度の歯周病です。私は現在大丈夫なのですが、このまま夫と生活を続けると歯周病になってしまうか心配です。

歯医者さんで治療受け、歯周病が治れば感染しにくくなるのでしょうか。

治療で歯周病菌量を減らせばうつりにくくなります!

配偶者や恋人には、歯科クリニックで歯石を取るなど歯周病の治療を行ってもらいましょう。

また、ジスロマックという抗生剤や抗真菌剤を使うことで歯周病原因菌の除菌が出来ます。ただし、保険適用外です。

自宅ではプラークコントロールを徹底して実践し、口腔内を清潔に保つ様にします。

また、定期的に歯科医院においてメンテナンス( PMTC/エアーフロー )を行うことで歯周病原因菌の増殖を抑え、再発を防ぎます。

この様なことを実践すれば、配偶者や恋人からのキスによる歯周病原因菌の感染リスクは極めて低下します。

歯周病原因菌の感染予防にお薦めの市販の歯磨き粉は販売されていません。当院でおすすめしているのは口腔専用の次亜塩素酸水(ポイックウォーター)です。

彼女が親知らず抜歯後に口臭が強くなりました。いつになったらキスができますか?

私の彼女が下の横に埋まった親知らずを抜歯しました。数日経った頃からかなり口臭がきつくなりました。彼女とキスをいつからしても大丈夫でしょうか?

抜歯した所が正常に治れば約一週間後にキスしても OKです。

骨の中に真横に埋まった親知らずを抜歯すると、抜歯後に穴が出来て、なかなか塞がらないことがあります。

このような時には抜歯後の穴に食べかすが詰まって口臭の発生原因になります。穴が塞がるまでに長いケースで半年から1年必要ですが、抜歯後の穴の清掃を適切に行えば特にキスをしたからと言って問題ではありません。

ドライソケットができると強い口臭が発生する可能性があります。

横に埋まった親知らずを抜歯した時、 穴に血餅がたまらずにドライソケットが形成されることが稀にあります。

この時は感染を伴っているので、かなり強い口臭が発生する可能性があります。 ドライソケットが治ってからキスをしてくださいね。

歯周病菌がうつる年齢

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小学校低学年頃にうつる低リスクの歯周病菌

初期のコロニー形成をする歯周病リスクの低い細菌群(Biue、Purple、Green、 Yellow complex)は、小学校低学年頃から感染が始まります。

子供の時期に感染する低リスクの歯周病原因菌では歯周病まで発展することは殆ど無く、歯肉に限局して発症する歯肉炎で止まることが一般的です。

ただし、この時期にA.a菌(Green complex)の感染が起こると歯周組織を急速に破壊する侵襲性歯周炎を発症するとも言われています。

しかし、感染率(1%以下)は低いもののRed complexのなかでも最も悪性度の高いP.g菌の感染が小学生でも起きているという報告がされています。

感染経路は主に親子・犬間

コップやペットボトルの回し飲み、家族みんなで鍋や大皿料理を箸でつついたり、くしゃみや咳などでも感染します。

基本的に歯周病原因菌の感染は唾液を介しての接触感染です。また、犬などのペットを介して感染する事もあります。

小学校低学年頃にうつる低リスクの歯周病菌
Biue、Purple、Green、 Yellow complexの感染

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中学生~高校生頃にうつる中リスクの歯周病菌

Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア)に代表されるOrange complex(オレンジコンプレックス)は、中学生から高校生頃に感染し、毒性は中リスクで、中間コロニー形成病原体として知られています。

感染経路は主に家族・友達・犬間

主に家族間での感染ですが、学校の部活などでペットボトルの回し飲みを友人と行うなど接触頻度が高い場合、感染リスクが高まります。

また、ペットの犬は飼い主の口をペロペロと舐め回すので、家族A→ペットの犬⇒家族Bといった感染経路が考えられます。

中学生~高校生の年齢でうつる中リスクの歯周病菌
Orange complex(オレンジコンプレックス)の感染

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大学生(18歳)頃にうつる高リスクの歯周病菌

Red complex(レッドコンプレックス)は、大学生(18歳)の頃に感染し、毒性は高リスクで、後期コロニー形成病原体と呼ばれています。

そして、20歳代前半から30歳代前半にかけて成熟した歯周病原因菌による細菌叢が形成されます。

感染経路は主に夫婦・恋人間

主に夫婦・恋人間の感染です。大人同士でキスをすることで唾液を介して歯周病原因菌(Red complex)が感染します。

一旦感染するとその歯周病原因菌を駆逐出来ないのが難点です。

大学生(18歳)頃にうつる高リスクの歯周病菌
Red complex(レッドコンプレックス)の感染

歯周病はいきなり発症しません

歯周病は慢性疾患

歯周病原因菌は小学生の頃にローリスクのものが感染し、徐々にハイリスクリスクのものが感染し、長い年月をかけて歯周病菌によるバイオフィルムが完成します。

しかし、この様に歯周病菌が感染したとしても歯周病の発症は1年や2年で急激に発症するものではありません。

イラストの様に歯槽骨が吸収し、出血して歯茎が腫れるような重度歯周病まで進行するには10年、20年、30年という長い年月がかかります。

従って、患者さん自身の口腔内の清掃管理が行き届いていれば、歯周病菌の増殖は起こりにくく、歯周病の発症はないといえます。

歯周病の初期症状は歯肉が腫れる、発赤するという歯肉炎の状態から始まり、殆ど痛むことはありません。

一旦歯周病が発症してしまった方は、定期的に歯石除去や歯周ポケット内の歯周病原因菌のコントロールを歯科医院で行うことをお薦めします。

歯周病は慢性疾患

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、患者様の大切な歯を1本でも延命するため、軽度歯周病から重度歯周病に至るまで様々な対策を行い、歯周病予防をはじめ、早期発見・早期治療で症状の改善・維持を行い、抜歯回避に努めております。

歯周病の治療と歯科医院でのメインテナンスで歯周病の彼氏・彼女とのキスでも感染しにくくなります。江戸川区篠崎で歯周病予防・歯周病治療をご希望の方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】歯石は自分で取れる?

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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