「口腔機能低下症」は、咀嚼・嚥下・発音・唾液分泌などの口腔機能が加齢や疾患により衰える状態で、放置すると全身の健康にも影響を及ぼすことが知られています。
最近では、50歳以上の方を対象に、保険適用での検査・治療も可能になり、予防と早期介入の重要性がますます注目されています。
この記事では、最新の診断法や研究、予防のポイントについて詳しく解説します。

口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症とは?

口腔機能低下症とは、加齢や生活習慣、全身疾患などの影響によって、「噛む」「飲み込む」「話す」「唾液を分泌する」といった口腔機能が複合的に低下した状態を指します。単なる老化現象ではなく、医学的な診断基準が定められた疾患であり、放置すると栄養状態の悪化や全身の健康低下につながるため、早期発見と適切な対策が重要です。

オーラルフレイルとの違い

オーラルフレイルは、口腔機能低下症の前段階と考えられています。

「最近むせやすくなった」「硬いものが食べづらい」「滑舌が悪くなった」などの軽微な変化が現れる状態で、この段階で適切なケアを行えば、機能低下の進行を予防できる可能性があります。一方、口腔機能低下症は、検査によって明確に診断される病態です。

口腔機能低下症の主な原因

口腔機能低下症は、加齢だけで起こるわけではありません。以下のような複数の要因が関係しています。

  • 歯周病や虫歯による歯の喪失
  • 咬み合わせの悪化
  • 舌や口周囲筋の筋力低下
  • 唾液分泌量の減少
  • 喫煙や偏った食生活
  • 糖尿病や脳卒中、パーキンソン病などの全身疾患
  • 歯科受診不足や不十分な口腔ケア

これらが重なることで、口の機能は徐々に低下していきます。

初期には自覚症状が少ないものの、進行すると日常生活に大きな影響を及ぼします。

見逃してはいけない症状
見逃してはいけない症状

咀嚼機能の低下

硬い食べ物が噛みにくくなり、柔らかい食品ばかり選ぶようになると、栄養バランスの偏りや筋力低下につながります。

嚥下機能の低下

飲み込みが悪くなり、食事中にむせやすくなります。誤嚥が増えると、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。

発音障害・滑舌低下

舌や口唇の筋力低下により、「サ行」「タ行」が発音しづらくなることがあります。

ドライマウス

唾液分泌が減少すると、口腔内の自浄作用が低下し、虫歯・歯周病・口臭のリスクが上昇します。

口腔機能低下症は、口の問題だけではありません。

食事量の低下による低栄養や筋力低下は、フレイル(虚弱)や要介護状態につながる可能性があります。また、歯周病菌による慢性炎症は、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの全身疾患とも深く関連しています。

歯科医院では、厚生労働省が定めた評価基準に基づき検査を行います。

代表的な検査には以下があります。

  • 咬合力測定
  • 舌圧測定
  • パタカテスト(発音機能検査)
  • 唾液量測定(ムーカス、サクソンテスト)
  • 咀嚼能力検査

これらのうち、複数項目で基準値を下回ると、口腔機能低下症と診断されます。

丁寧な口腔ケア

歯磨きだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、口腔内を清潔に保つことが重要です。

よく噛んで食べる

一口30回を目安にしっかり噛むことで、咀嚼筋や舌の筋力維持につながります。

唾液腺マッサージ

耳下腺・顎下腺・舌下腺を刺激することで、唾液分泌促進が期待できます。

定期歯科検診

虫歯・歯周病の予防だけでなく、口腔機能低下の早期発見にも有効です。特に50歳以上では、保険適用で検査を受けられる場合があります。

治療方法
治療方法

治療は、低下している機能に応じて行われます。

  • 口腔リハビリテーション
  • 発音訓練
  • 舌・口唇トレーニング
  • 義歯やブリッジ、インプラントによる咀嚼機能回復
  • 唾液分泌改善指導

特に歯の欠損を放置すると、咀嚼能力がさらに低下するため、適切な補綴治療が重要です。

補綴治療による咀嚼機能の補完

歯が抜けたままの状態では、咀嚼機能が大きく低下します。そこで、義歯(入れ歯)やブリッジ、インプラントなどの補綴治療が重要になります。

  • 咀嚼機能を補うことで、噛む力が回復
  • 食事内容が広がり、栄養バランスも改善
  • 見た目や発音の回復にもつながる

「見た目よりも噛む力」を重視した設計が、口腔機能の維持には欠かせません。

インプラントによる噛む力の回復例

口腔機能低下症へのアプローチ ― インプラントによる噛む力の回復
口腔機能低下症へのアプローチ ― インプラントによる噛む力の回復

歯の欠損を放置すると、噛む力の低下や咀嚼効率の悪化が進み、口腔機能低下症の一因となります。
レントゲン画像の矢印部は、欠損部にインプラントを埋入し、咀嚼機能を回復した症例です。
インプラントは顎の骨に直接固定されるため、しっかり噛める力を取り戻しやすく、食事・発音・嚥下といった口腔機能全体の維持・改善に有効な治療選択肢の一つです。

口腔機能低下症は、「年齢のせい」と軽視されがちな疾患ですが、放置すると全身の健康や生活の質に大きな影響を及ぼします。

「食べづらい」「むせる」「滑舌が悪い」「口が乾く」といった変化は、口腔機能低下のサインかもしれません。早期発見と継続的なケアによって、健康寿命の延伸につなげることが大切です。

🧓参考:老齢歯科学会

江戸川区篠崎で口腔機能低下症の検査・治療をご希望の方へ

江戸川区篠崎にある当院では、地域の皆さまの健康寿命を支えるために、口腔機能低下症の早期発見と予防・治療に力を入れています。

「最近うまく噛めない」「滑舌が悪くなった気がする」「むせることが増えた」
そんな日常の小さな違和感は、口腔機能低下のサインかもしれません。

当院では以下のような体制で診療を行っています:

  • 口腔機能の専門検査に対応(噛む力・舌の動き・唾液量など)
  • 保険適用での検査・指導が可能(50歳以上)
  • 歯科衛生士による口腔リハビリや日常ケアの指導
  • 地域包括支援センターや医科との連携も実施中

「年のせいだから…」とあきらめずに、早めのチェックと対処で、食べる喜び・話す楽しさを守ることができます。

まずはお気軽にご相談ください。
あなたの毎日の「食べる・話す・笑う」を、私たちがしっかりサポートいたします。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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