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「歯が伸びる」という現象をご存知ですか?歯が伸びるとは、歯が本来の位置から上や下に伸びているように見える状態のことを指します。この現象は特に歯が抜けたまま放置された場合に起こりやすく、歯並びや咬み合わせに悪影響を与えることがあります。

この記事では、歯が伸びる原因やその治療方法、予防策について詳しく解説していきます。この症状を無視すると、日常生活に大きな不便をもたらす可能性があるため、早期の対処が重要です。症状に心当たりのある方は、ぜひ参考にしてください。

【動画 31秒】歯が勝手に伸びる「挺出」とは? 放置のリスクと対策

歯が勝手に伸びだす!挺出歯のメカニズム

挺出(ていしゅつ)とは

歯が伸びる、または挺出するという現象は、歯の自然な動きに関連しています。歯は常に一定の位置を保つために、隣接する歯や噛み合わせの歯との相互作用によって支えられています。しかし、これらの歯が何らかの理由で欠けたり抜けたりすると、その支えがなくなり、歯が伸びることになります。

特に噛み合っていた歯がなくなると、その対合する歯が反対方向に伸びてくることがあります。この現象は「挺出(ていしゅつ)」と呼ばれ、放置していると他の歯や歯列全体に悪影響を与えることがあります。

歯が伸びた症例

挺出
挺出

パノラマレントゲン写真の赤印の3本の歯(向かって左から第一大臼歯、第二小臼歯、第一小臼歯)が伸びて下に降りてきています。

歯が伸びる原因にはいくつかの要因があります。まず第一に、歯が抜けた状態で放置されることが挙げられます。歯を失うと、その周囲の歯や噛み合っていた歯が支えを失い、時間とともに動いてしまうことがあります。

また、歯周病が進行すると歯を支える骨が溶け、歯が浮いたように見えることもあります。さらに、咬み合わせが悪いと、一部の歯に過剰な力がかかり、その結果として歯が移動したり伸びたりすることがあります。これらの原因を理解することは、症状を予防し、適切な対処をするために重要です。

放置するリスク

歯が伸びることは、見た目だけでなく機能面でも問題を引き起こします。まず、見た目の問題として、歯列が乱れることで口元の印象が変わってしまうことがあります。特に前歯が伸びると、笑ったときや話すときに目立ちやすく、見た目のコンプレックスになることがあります。

また、機能的な面でも、歯を支える能力が低下し噛む能力が低くなります。また、最終的には複数の歯に影響を及ぼし、治療による噛み合わせの回復を複雑化させます。

レントゲン写真の状態は、下の歯茎まで噛み込んでしまって入れ歯を入れるスペースが無くなってしまっています。

また、噛み合わせの問題だけでなく、さまざまな症状が現れる可能性があります。例えば、肩こりや目の疲れ、頭痛、顎関節の異音・痛み、背中の凝り、胃腸の弱さ、鼻づまり、生理痛、手足の冷え性などが挙げられます。

予防策

歯が伸びるのを防ぐためには、歯を失ったらすぐに治療を行うことが最も効果的です。インプラントやブリッジ、部分入れ歯などの治療法を使って失った歯を補うことで、周囲の歯が動くのを防ぐことができます。

また、定期的な歯科検診を受けることも重要です。歯周病や虫歯が原因で歯が抜けることを防ぐために、定期的に歯科医に診てもらい、必要に応じて治療を受けることが予防に繋がります。また、適切な噛み合わせを保つために、咬み合わせの調整を行うことも重要です。

治療法

もし既に歯が伸びてしまった場合でも、いくつかの治療法があります。まず、歯周病が原因であれば、歯肉の治療や骨再生療法を行うことで歯を安定させることが可能です。また、挺出した歯に対しては、咬合調整と呼ばれる歯を削って高さを調整する方法や、補綴による冠を被せる方法、また、矯正治療を行って元の位置に戻す方法などがあります。場合によっては、影響が大きい場合には抜歯が必要になることもありますが、その際は他の健康な歯に負担がかからないような計画的な治療が求められます。

1.補綴による治療例

上顎7番・8番が挺出
上顎7番・8番が挺出

上顎7番・8番が挺出して下の歯茎を噛んでいます。上顎7番・8番があっても下の歯がないため、勝手に下がってきてしまいました。

治療法

上顎8番(親知らず)は全く噛み合わせに参加していないため抜歯を行いました。上顎7番は根管治療を行ない歯の高さを低くして、上顎6番と金属の被せ物で連結しました。

2.矯正による治療法

矯正で挺出歯を治すには、周りの歯にブラケットを付けてワイヤー矯正で治します。ただし、すべての挺出歯を治せるわけではありません。固定源となる天然歯と挺出歯との関係で可否を診断します。

残念ながら、歯が一度伸びてしまった場合、自然に戻ることはほとんどありません。専門的な治療が必要です。

伸びた歯は放置するとさらに挺出が進み、他の歯にも影響を与えます。できるだけ早く歯科医に相談してください。

治療法によって費用は異なります。インプラント、矯正、ブリッジなど、それぞれの治療法のコストを考慮し、自分に合ったものを選びましょう。

歯が伸びる症状は、見た目や機能面に悪影響を与える可能性があります。しかし、早期に原因を特定し、適切な治療を行うことで、症状の進行を防ぐことができます。定期的な検診や早期治療、専門家のアドバイスを活用することで、自分の歯を長く健康に保つことが可能です。歯に異変を感じたら、江戸川区篠崎の当院までお気軽にご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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