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「親知らずの抜歯って、どれくらい時間がかかるの?」
初めて抜歯を受ける方にとって、治療時間や当日の流れが見えないのは大きな不安要素です。
実は、親知らずの抜歯にかかる時間は、歯の生え方や埋まり具合、抜く本数、健康状態などによって大きく変わります。
本記事では、親知らず抜歯の所要時間の目安はもちろん、受付から帰宅までの流れ、パターン別の処置時間、通院回数の例まで、初めての方にも分かりやすく解説しています。
抜歯の予定がある方、迷っている方は、ぜひ最後まで読んで不安を解消してください。

親知らずの抜歯にかかる時間は、「歯の状態」や「抜歯の難易度」によって大きく変わります。抜歯自体は短時間で終わることもありますが、術前の準備や術後の処置まで含めると、全体では1〜2時間程度かかることも。ここでは抜歯時間の目安とポイントを詳しく解説します。

抜歯の所要時間は個人差が大きい
抜歯の所要時間は個人差が大きい

💡抜歯自体の平均時間(10〜60分程度)

親知らず1本の抜歯時間は、平均して10〜60分程度です。
簡単なケースでは10〜15分で終わることもありますが、歯ぐきを切開したり、歯を砕いて取り出す必要がある難症例では30分以上かかることも。

  • まっすぐ生えている親知らず:10〜20分
  • 横向き・埋伏している親知らず:30〜60分

抜歯本数が増えれば時間も比例して長くなります。

🦷歯の状態で大きく変わる(まっすぐ/横向き/埋伏など)

親知らずの状態が抜歯時間に最も影響します。

  • まっすぐ生えている親知らず
     → 歯科用ペンチで比較的簡単に抜歯可能。短時間で終わります。
  • 横向きに生えている場合(水平埋伏)
     → 歯ぐきを切開し、歯を分割して抜歯。時間も手間もかかります。
  • 骨の中に完全に埋まっている場合(完全埋伏)
     → 大学病院レベルの処置が必要になるケースもあり、手術時間が長くなる傾向に。

このように、親知らずの「向き」「埋まり具合」「根の形状」などが大きく関わります。

🏥即日抜歯できるケースとできないケース

当日中に抜歯ができるかどうかも時間の見積もりに関わります。

  • 即日抜歯が可能なケース
    • 歯の状態が単純(例:まっすぐ生えている)
    • 持病や服薬などのリスクがない
    • 事前の検査(レントゲン)が済んでいる
  • 即日抜歯が難しいケース
    • 血液サラサラの薬を飲んでいる
    • 骨の中に深く埋まっている
    • 痛みや腫れが強く、炎症がある

こうしたケースでは、初回は診察と検査のみ行い、後日改めて抜歯のスケジュールを組むことになります。

親知らずの抜歯当日は、抜歯そのもの以外の工程にも時間がかかるため、全体の所要時間を把握しておくことが大切です。とくに初診の方は、検査や問診などの準備も含めて1時間〜1時間半ほど余裕を見ておくと安心です。

📝初診 or 再診での流れの違い

  • 初診の場合(初めての来院)
     → 問診、レントゲン撮影、血圧測定、歯科医師の説明などが加わります。
     💡全体で90分〜120分ほどかかるケースが一般的です。
  • 再診(抜歯のみ)
     → すでに検査・説明が済んでいるため、受付〜帰宅まで60〜90分前後で済むことが多いです。

※まれに、炎症の有無や持病の確認などで再診でも診察時間が伸びることがあります。

💉麻酔や検査など、抜歯前準備にかかる時間

抜歯前には、安全かつ痛みを最小限に抑えるために以下の準備が行われます。

  • 問診・血圧測定(5分〜10分)
  • レントゲン or CT撮影(10分〜15分)
  • 治療内容の説明と同意(5分〜10分)
  • 局所麻酔(効果が出るまで約5〜10分)

🔎合計すると、抜歯前の準備だけで30分〜40分程度かかることもあります。

⏳抜歯後の止血・安静時間も含めて考える

抜歯後すぐに帰宅できるわけではなく、止血や体調のチェックのためにしばらく院内で安静にします。

  • ガーゼで圧迫止血(15分〜30分)
  • 痛み止めや抗生剤などの薬の処方説明(5〜10分)
  • 術後の注意事項の説明(5分程度)

🛋 トータルで抜歯後にも30分前後かかると見込んでおくと安心です。

親知らずの抜歯にかかる時間は、歯の生え方や本数、位置によって大きく異なります。ここでは代表的な3つのパターン別に、おおよその治療時間を紹介します。

親知らずの抜歯パターン別|時間の目安
親知らずの抜歯パターン別|時間の目安

✅通常の縦向き→約15~30分

歯が真っすぐ生えている場合は、抜歯が比較的簡単です。

  • 歯ぐきを大きく切開する必要がなく、専用の器具で引き抜けるケースが多い
  • 麻酔が効いてから抜歯完了まで、15〜30分程度で終わることが一般的

💡レントゲンで歯の向きを確認するだけで、事前に「早く終わりそうか」が分かります。

⚠️横向き・埋伏→30分〜1時間以上

歯が横向きに生えている(水平埋伏)、あるいは歯ぐきや骨に埋まっている場合は難易度が高くなります。

  • 歯ぐきの切開、骨の一部除去、歯の分割が必要
  • 麻酔が効いてから抜歯完了まで30分〜60分以上かかることも

🦴顎の骨に近い位置にある場合は、より慎重に処置を行うため、時間も長引きます。

🧑‍⚕️複数本・上下同時抜歯→60分以上

複数の親知らずを同時に抜歯する場合は、当然ながら処置時間も延びます。

  • 上下2本の場合:60〜90分程度
  • 4本すべて同時抜歯(静脈内鎮静法など使用):90分〜2時間超

🛌静脈麻酔や全身麻酔を併用する場合は、麻酔の導入・覚醒時間も含めてトータル2〜3時間程度を見込んでおきましょう。


このように、**「どの歯を何本抜くか」×「どう生えているか」**で所要時間は大きく変動します。抜歯前に撮影したレントゲンやCTで、歯科医師から明確な目安をもらうことが安心への第一歩です。

🔹① 萌出角度(生え方の角度)

下顎の親知らずが水平に近いほど、抜歯は難しく時間がかかる傾向があります。

萌出角度難易度(★)
水平  ★★★★★
20度  ★★★
30度  ★★
45度以上

🔹② 歯根の本数と形状

歯根の形が複雑なほど、抜歯には時間がかかります。
特に根が2本で大きく広がっている場合は要注意。

歯根のタイプ難易度(★)
二本で広がり極めて強い  ★★★★★
二本で広がり強い     ★★★★
二本で広がり弱い     ★★★
一本で太い        ★★
一本で漏斗状       

🔹③ 骨の中への埋まり方

歯が骨に埋まっているほど、骨の削除が必要となり時間もかかります。

埋まり具合難易度(★)
完全に埋まっている   ★★★★★
歯冠の1/4が骨の外   ★★★★
歯冠の2/4が骨の外   ★★★
歯冠の3/4が骨の外   ★★
歯冠がすべて骨の外   

🔹④ 下歯槽神経との距離

下歯槽管(神経)との距離が近いほど、神経損傷リスクが上がり慎重な処置が必要です。

神経との距離難易度(★)
神経を巻き込んでいる     ★★★★★
歯根と神経が接触している   ★★★★
歯根と神経が1mm以内     ★★★
歯根と神経が2mm以内     ★★
歯根と神経が2mm以上     

🕒下顎親知らずの抜歯時間の目安(★の合計で判断)

★の合計抜歯時間の目安
4〜5個 約10~15分
6〜7個 約20分
8〜9個 約30分
10〜11個約40分
12〜13個約50分
14〜15個約1時間
16個以上約1時間10分以上

✅★の合計9個 → 抜歯時間:約30分

★の合計9個 - 抜歯時間約30分
★の合計9個 - 抜歯時間約30分
要素難易度(★)
萌出角度★★★★
歯根の形
骨の埋まり方
神経との距離★★★

✅【H3】★の合計16個 → 抜歯時間:約1時間10分

★の合計16個 - 抜歯時間約1時間10分
★の合計16個 - 抜歯時間約1時間10分
要素難易度(★)
萌出角度★★★★★
歯根の形★★★★
骨の埋まり方★★★★
神経との距離★★★

⏱上顎親知らずの抜歯時間は短めです

上顎の親知らずは、骨が比較的柔らかく、神経との距離も遠いため処置が容易です。
ほとんどのケースで、★7個以下に相当し、20分以内に抜歯できることが多くなっています。

「親知らずの抜歯にどれくらい時間がかかるのか分からない…」という不安は多くの患者さんに共通しています。実は、抜歯の所要時間が長くなるのにはいくつかの明確な理由があります。以下のポイントを押さえることで、自分がどれくらいの時間がかかりそうか、ある程度予測できるようになります。

📸レントゲン・CTでの診断が必要なケース

親知らずの位置や根の形が複雑な場合、パノラマレントゲン歯科用CTでの精密検査が必要になります。

  • 神経や血管との位置関係を把握する必要がある
  • 通常のレントゲンでは判断がつきにくい場合、CT撮影に切り替わることも

📷この検査と診断に10~20分程度プラスでかかる場合があります。

🔪歯ぐきの切開や骨の削除が必要な場合

以下のような「難抜歯」に該当する場合は、処置に時間がかかります。

  • 歯が完全に歯ぐきの中に埋まっている(埋伏歯)
  • 骨に覆われている、あるいは骨を削らないと取り出せない
  • 歯の根が湾曲している、複雑に分かれている

⏳こうした処置には**通常の倍以上(30〜60分以上)**かかることも珍しくありません。

歯ぐきの切開や骨の削除
歯ぐきの切開や骨の削除

💊持病や服薬により治療前準備が増える場合

以下のようなケースでは、抜歯前の確認や処置に時間がかかります。

  • 抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を服用している
     → 出血リスクが高いため、事前の内科医との連携が必要
  • 高血圧や糖尿病などの慢性疾患がある
     → 術中の体調変化に備えて、慎重に処置を進行
  • アレルギーや服薬歴の確認が必要な場合

💬これらの要素がある場合、事前準備や説明に時間がかかり、即日抜歯が難しくなることもあります。


患者ごとに異なる「見えないリスク」が、抜歯の時間に影響を与えることを理解しておくと安心です。信頼できる歯科医院で、しっかり診断・説明を受けることが大切です。

親知らずの抜歯は、初診日にいきなり抜くとは限りません。
歯の状態や全身の健康状態を確認しながら、数回に分けて進めることが一般的です。ここでは、代表的な3回通院パターンをご紹介します。

📅初回:検査と相談

初診では、以下のような検査とヒアリングを行います。

  • 問診(持病・服薬状況などの確認)
  • レントゲンやCTによる精密検査
  • 歯科医師からの治療方針・難易度説明

🦷この日は抜歯を行わず、診断と説明のみで終了するケースが多いです。
緊急性がなければ、患者の都合も考慮して抜歯日を設定します。

📅2回目:クリーニングや術前説明

抜歯前にお口の中を清潔に保つことは、感染予防に重要です。

  • 歯のクリーニング(歯石除去など)
  • 抜歯当日の流れ、注意点の説明
  • 抗生剤や痛み止めなどの事前処方(必要な場合)

📖このステップを挟むことで、抜歯当日のトラブルリスクを減らせます。

📅3回目:抜歯当日(+術後説明)

いよいよ抜歯当日です。

  • 局所麻酔をして抜歯を実施(15〜60分程度)
  • 術後の止血確認、薬の処方
  • 食事・運動・入浴などの注意事項を説明

🏠その後は安静にして自宅へ帰宅。翌日〜数日間は腫れや痛みがあるため、スケジュールに余裕を持っておくと安心です。


📌忙しい方や遠方の方は、1日で抜歯まで完結するケースもありますが、難易度や体調によっては分割通院が基本です。ご自身の体調や予定に応じて、最適なスケジュールを歯科医師と相談しましょう。

親知らずの抜歯は多くの人にとって初めての経験です。不安や疑問が多いのは当然のこと。ここでは、よくいただく質問をまとめて解説します。

❓何分くらい麻酔が効いてる?

🦷局所麻酔は通常1〜3時間程度効いています。

  • 抜歯直後から1時間くらいが最も強く効いている時間帯です。
  • 個人差はありますが、唇や舌のしびれが完全に取れるまでに2〜3時間ほどかかることもあります。
  • しびれが残っている間は、誤って口の内側を噛まないように注意が必要です。

❓何時間後から食事できる?

🍽 麻酔がしっかり切れてから食事を始めるのが基本です。

  • 目安としては抜歯後2〜3時間後が推奨されます。
  • しびれがある状態で食べると、頬や舌を噛んでしまう恐れがあります。
  • 食事は柔らかいもの(おかゆ・うどん・ヨーグルトなど)から始め、熱いもの・刺激物・アルコールは避けましょう。

❓仕事や学校にどれくらい影響する?

🗓 抜歯当日は安静をおすすめします。

  • 軽いケース(まっすぐな親知らず)なら、翌日から通常の生活が可能な場合もあります。
  • 一方で、横向きや埋伏歯の場合は2〜3日程度の腫れ・痛みが続くことが多く、できれば1〜2日の休暇を確保しておくと安心です。
  • 大事な予定(会議・運動・試験など)がある日は避けて抜歯日を設定するのがベストです。

💡当院では、患者様の予定やライフスタイルに合わせたスケジュール提案を行っております。お気軽にご相談ください。

親知らずの抜歯にかかる時間は、歯の生え方・本数・抜歯方法・体調など、さまざまな要素で変わります。「〇分で終わる」と一概には言えないため、事前の診断と説明がとても重要です。

📍自分の歯の状態を把握することが重要

  • レントゲンやCTを撮ることで、抜歯の難易度と所要時間がほぼ予測できます。
  • 自覚症状がない親知らずでも、横向きや埋伏しているケースは時間がかかることもあります。
  • 「何分で終わりますか?」の答えを正確に知るには、まず診断を受けることが第一歩です。

📍医師としっかり相談して不安を解消しよう

  • 当日の流れ、麻酔の効き時間、食事や仕事への影響など、不安なことは遠慮せず医師に相談しましょう。
  • 特に抜歯が初めての方や持病がある方は、スケジュールに余裕を持った通院計画が安心です。
  • 信頼できる歯科医院での事前説明は、治療の不安を軽減し、スムーズな抜歯につながります。

🦷親知らずの抜歯は「怖い・時間が読めない」と感じがちですが、正確な診断と丁寧な対応で多くの患者さんが無事に乗り越えています。
まずは一度、歯科医院でご自身の状態をチェックしてみましょう!

江戸川区篠崎で親知らずの抜歯をご検討中の方へ

「親知らずの抜歯にどれくらい時間がかかるのか不安…」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ江戸川区篠崎の当院へご相談ください。
当院では、親知らずの状態(まっすぐ/横向き/埋伏)や体調をしっかり診断し、抜歯にかかる時間の目安や通院回数を事前に丁寧にご説明しています。
治療は短時間で安全に行えるケースも多く、大学病院レベルの対応が必要な難症例にも対応可能です。
「どれくらい時間がかかるか知っておきたい」「できれば仕事や学校の合間に済ませたい」など、患者さまのスケジュールに合わせた柔軟な対応も行っております。
江戸川区篠崎で親知らずの抜歯を検討されている方は、お気軽にご予約・ご相談ください。

【動画】水平埋伏智歯の抜き方と難易度別の抜歯時間

【動画】親知らずの抜歯 上と下どっちが痛い

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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