大臼歯を部分的に残す選択肢「ヘミセクション」｜費用・流れ・注意点を網羅

【🎞️ 29秒】ヘミセクションとは？歯を温存する部分抜歯治療の特徴と流れ

📌 ヘミセクションとは何か？

🧬 定義と特徴

ヘミセクションとは、大臼歯など複数の歯根を持つ歯において、問題のある歯根のみを抜去し、残りの健康な歯根と歯冠を保存する治療法です。歯を丸ごと抜いてしまうのではなく、一部分だけを取り除くことで、自分の歯をできる限り長く使い続けることが目的です。

この処置は、**「歯根分割抜去法」**とも呼ばれ、保存的外科処置の一つとして位置づけられます。一般的には、歯根破折や根尖病変などの局所的な問題に限定されている場合に適応され、完全な抜歯を回避する“中間的な選択肢”として注目されています。

歯の自然な噛み心地や見た目を維持できる点において、インプラントやブリッジよりも優れた選択肢となるケースも少なくありません。ただし、高い技術力を要する処置であり、事前の診断と精密な治療計画が不可欠です。

🏛 適応される症例

ヘミセクションが適応となるのは、主に奥歯（大臼歯）です。大臼歯は上顎で3本、下顎で2〜3本の歯根を持ち、その中の一部の歯根だけが破折・感染しているが、他の歯根は健康な場合に、ヘミセクションが検討されます。

代表的な適応症は以下の通りです：

• 歯根破折（とくに近心根の破折）
• 根尖病変（根の先に膿が溜まる）
• 深い虫歯により歯根が侵された場合
• 歯周病によって一部の歯根の支持骨が喪失した場合

また、残す歯根が十分な長さと骨支持を持ち、噛み合わせの力に耐えられることが前提です。適応の可否は、レントゲンやCT画像による評価に加え、歯周組織の状態、患者の全身状態なども総合的に判断されます。

このように、ヘミセクションは「抜歯一択」と思われがちな状況でも歯を残せる可能性のある有用な手段であり、今後ますますその重要性が高まっていく治療法といえるでしょう。

🔍 どんな歯が対象？適応条件と判断基準

🦷 上顎・下顎大臼歯に限られる理由

ヘミセクションが適応されるのは、複数の歯根を持つ奥歯（大臼歯）に限られます。その理由は、大臼歯が「分割可能な構造」を持っているからです。上顎の大臼歯には通常3本の歯根があり、下顎の大臼歯には2～3本の歯根があります。

このように歯根が複数あることで、一部の歯根に問題が生じても、他の歯根が健康であればその部分を残すことが可能となります。逆に、前歯や小臼歯のように歯根が1本しかない歯では、ヘミセクションは適応外です。

🧩 残す歯根の条件（長さ、歯周支持組織の安定性など）

ヘミセクションの成功には、**残す歯根が「咬合力に耐えられるだけの構造的健全性を持っているかどうか」**が重要です。以下のような条件を満たしている必要があります：

• 十分な歯根長があること：短すぎると咬合力に耐えられず、早期脱落のリスクがあります。
• 骨の支持が安定していること：歯根を支える歯槽骨の吸収が少ないことが重要です。
• 清掃性の確保が可能な位置：残した部分に歯ブラシが届きにくいと再感染のリスクが上がります。
• クラウンやブリッジなどの補綴が可能な形態であること

これらを総合的に判断し、治療後に長期間の安定が見込める場合に限って適応されます。

🩺 患者の全身状態や生活習慣も影響する？

はい、ヘミセクションの適応判断には口腔内の状態だけでなく、患者の全身状態や生活習慣も大きく影響します。

たとえば以下のようなケースでは注意が必要です：

• 糖尿病や高血圧などの全身疾患がコントロールされていない場合
• 喫煙習慣がある場合（歯周病リスクが高く、術後の治癒にも悪影響）
• ブラッシング習慣や通院意欲が乏しい場合（長期的ケアが困難）

ヘミセクションは「抜歯より一歩手前の保存療法」ともいえる治療法であるため、患者自身の協力度やセルフケアの質が成功を大きく左右するのです。

したがって、治療計画は歯科医師との十分な話し合いのもと、個別に判断されます。

🛠 治療の流れと手術のプロセス

📋 ① 診断と検査（レントゲン／ポケット検査）

ヘミセクションを行う前には、まず精密な診断と検査が欠かせません。初診時にはレントゲン撮影により、問題のある歯根の位置や歯槽骨の状態を確認します。

また、歯周ポケットの深さや歯の動揺度の検査を通じて、歯周組織の健康状態を把握します。これらのデータをもとに、「どの歯根を残し、どの歯根を除去するのか」を総合的に判断し、患者ごとに最適な治療計画が立てられます。

🧼 ② 手術手順（切開・分割・抜去・縫合）

診断の結果、ヘミセクションが適応と判断された場合、次に手術を行います。手術は局所麻酔下で行われ、以下のような手順で進行します：

1. 問題のある歯根の明示と分割
2. 病的な歯根の除去（抜去）
3. 必要に応じて周囲の骨の整形
4. 歯肉の縫合と止血

この処置はミリ単位の精度が要求されるため、経験豊富な歯科医による施術が望まれます。

🦷 ③ 修復処置（ブリッジ・クラウン装着）

歯根の一部を除去した後は、残された歯の部分に対して補綴処置を行います。代表的なのは以下の2つです：

• クラウン（被せ物）：1本単位での補強に有効
• ブリッジ：隣在歯と連結して機能を補う構造

これにより、噛み合わせや審美性が回復され、通常の食生活や会話が可能になります。保険診療で対応できる場合もあり、経済的な負担も比較的抑えられます。

🔁 ④ 術後ケアと経過観察（腫れ・感染管理）

手術後には、数日間腫れや軽度の痛みが出ることがありますが、多くは鎮痛剤や抗生物質でコントロール可能です。医師の指導に従い、口腔内を清潔に保つことが重要です。

また、術後の状態を定期的に確認するため、数週間～数ヶ月に一度の経過観察が必要となります。レントゲンでの骨の再生状況や補綴物の安定性をチェックし、必要に応じて調整が行われます。

ヘミセクションの成功には、このアフターケアが大きな鍵を握っています。

🛠 実際のヘミセクションの治療の流れ

✅ STEP 01：初期診断と必要な検査

• 歯科医による詳細な診査・診断を実施
• レントゲンやCTスキャンで歯根や骨の状態を立体的に評価
• 歯周ポケットの深さや感染の有無もチェック
• 残す歯根が機能的に問題ないかを確認
• 例：下顎6番の近心根が破折。遠心根は保存可能と判断

✅ STEP 02：手術の具体的なプロセス

• 局所麻酔後、歯肉を切開し問題のある歯根を明示
• 歯根を縦に分割し、損傷した根のみを抜去
• 周囲の骨や歯肉に極力ダメージを与えずに処置
• 健康な歯根を温存し、補綴物（クラウン・ブリッジ）で機能を補強
• ※高い技術が求められるため、経験豊富な歯科医が担当することが望ましい
• 例：下顎6番を縦に半分に切り、近心根のみを抜歯

✅ STEP 03：手術後の回復と経過観察

• 術後に腫れや痛みが出る可能性あり（数日〜数週間）
• 処方された鎮痛剤・抗生物質でコントロール可能
• 適切なブラッシング・洗口指導あり
• 定期検診で回復状態・歯の安定性をチェック
• 必要に応じて再調整や追加処置を実施
• 例：5番と6番遠心根を支台とした3連ブリッジを装着（保険適用）

📊 ヘミセクションと他治療法の比較

🔄 インプラント・抜歯・根管治療との違い

ヘミセクションは、「できるだけ歯を残す」ことを目的とした保存的外科処置です。これに対し、抜歯は歯全体を取り除く最終的な処置であり、その後にはインプラントやブリッジなどの補綴治療が必要になります。

また、**根管治療（歯の神経の治療）は歯根内部の感染を除去し、歯を残すための治療ですが、歯根自体が破折している場合には適応外となります。
ヘミセクションはこの「根管治療では対応できないが、全抜歯は避けたい」**というケースにおいて、有効な選択肢となります。

さらに、ヘミセクションは自分の歯根を活かす治療であるため、噛み心地の自然さや感覚の維持という点でも、インプラントや義歯に比べて優れています。

💰 費用比較と保険適用の有無

ヘミセクションは、日本では健康保険の適用対象となる治療です。そのため、3割負担の患者様であれば、手術と補綴を含めても数千円〜1万円台で受けられることも多いです（医院により異なります）。

これに対し、インプラントは自由診療であり、1本あたり30〜50万円程度かかるのが一般的です。また、ブリッジは保険適用されることもありますが、削る歯の状態や材質によっては自費となるケースもあります。

費用の面で見ても、ヘミセクションは経済的負担を抑えながら歯を延命できる選択肢として魅力的です。

🤕 身体への負担・侵襲性の違い

治療の身体的負担（侵襲性）の観点でも、ヘミセクションは比較的低侵襲な部類に入ります。局所麻酔下で処置が行えるうえ、顎の骨を大きく削る必要がないため、術後の腫れや痛みもコントロールしやすいのが特徴です。

一方、インプラントは外科手術が必須であり、骨造成が必要な場合もあります。抜歯後に時間をおいてからの2回法手術となるケースも多く、治療期間も数ヶ月～半年以上に及びます。

つまり、身体的にも精神的にも負担を軽減しながら治療を進めたい方にとって、ヘミセクションは検討に値する選択肢といえるでしょう。

💡 メリットとデメリットを整理

✅ メリット

ヘミセクションには、他の治療法にはない独自のメリットがいくつかあります。

まず第一に、自然な噛み心地が残ることが大きな利点です。インプラントやブリッジでは人工物が介在するため、感覚が若干変わりますが、ヘミセクションでは自分の歯根を利用するため、違和感が少なく、日常の咀嚼も快適です。

また、手術は局所麻酔で行われる比較的低侵襲な処置であり、身体への負担が軽い点も安心です。特に、全身疾患のある方や高齢者にとっては、大がかりなインプラント手術よりもリスクが少ない治療法といえます。

さらに、ヘミセクションは健康保険が適用されることが多く、経済的にも負担を抑えられるのが魅力です。補綴（ブリッジやクラウン）も保険範囲で対応できるケースが多いため、費用面のハードルが低いことも患者にとって大きなメリットです。

⚠️ デメリット

一方で、ヘミセクションにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

まず、治療には高い技術力が求められるため、すべての歯科医院で対応しているわけではありません。歯根の分割や抜去、補綴処置に至るまで、熟練した歯科医師による精密な操作が必要です。

さらに、ヘミセクションで残した歯根が長期的に安定しない場合もあるため、治療の予後には個人差があります。咬合力のかかり方や歯周組織の状態によっては、数年で再治療や抜歯が必要になるケースもあります。

また、治療後に残存部に新たな病変が起こるリスクもゼロではありません。感染や破折が再発した場合には、インプラントや義歯への切り替えを検討する必要があります。

したがって、ヘミセクションを選択する際は、リスクとベネフィットをよく理解したうえで、信頼できる歯科医と十分に相談することが重要です。

🧼 ヘミセクション後のケアとメンテナンス

🪥 日常的なケア方法（歯磨き、洗口剤、フロス）

ヘミセクション後の歯を長持ちさせるためには、日々のセルフケアが非常に重要です。まず基本となるのは、正しいブラッシングです。手術後はデリケートな部位になるため、やわらかめの歯ブラシを使い、歯肉を傷つけないように丁寧に磨きましょう。

加えて、デンタルフロスや歯間ブラシの活用も効果的です。特にブリッジが入っている場合は、支台歯の周囲に汚れがたまりやすく、清掃不良が再発リスクを高めます。

また、フッ素入りの洗口剤を日常的に使用することで、残存歯の虫歯予防や歯質強化にもつながります。歯科医院で指導を受けたケア方法を、毎日の習慣として徹底しましょう。

📆 定期検診の頻度とチェックポイント

ヘミセクション後は、治療部位の経過を観察するため、定期的な歯科検診が不可欠です。目安としては、3～6か月に1回のペースで通院し、以下の点をチェックしてもらいましょう。

• 補綴物（クラウン・ブリッジ）の状態
• 歯根の安定性と骨の吸収状況（レントゲン撮影）
• 歯周ポケットの深さや出血の有無
• プラークの蓄積や咬み合わせの変化

異常の早期発見・早期対応によって、ヘミセクションの寿命を大きく延ばすことが可能です。症状がなくても、定期検診は習慣化することが大切です。

🛡 再発を防ぐ生活習慣の工夫

手術後の歯を守るには、日常生活の中でのちょっとした意識の変化も大きな影響を及ぼします。以下のような習慣を見直しましょう：

• 片側噛みに偏らないよう、両側で均等に噛む
• 過度な咬合力（くいしばり・歯ぎしり）の管理
  　→ マウスピースの装着が推奨される場合も
• 糖分の多い飲食の頻度を抑える
• 喫煙習慣を控える（歯周病リスクが高まる）

こうした取り組みにより、再感染や補綴物のトラブルを未然に防ぎ、残された歯根を長く維持することが可能になります。ヘミセクションは“終わったら終わり”の治療ではなく、治療後からが本当のスタートともいえるのです。

🏥 治療を受ける歯科医院選びのコツ

👨‍⚕️ 経験豊富な歯科医の選定基準

ヘミセクションは、精密な診断と高度な技術を必要とする治療法です。そのため、医院選びで最も重要なのは「経験豊富な歯科医が在籍しているかどうか」です。

目安としては、以下のような要素が挙げられます：

• 歯周外科や保存修復治療に詳しい医師が在籍している
• 症例数や治療実績が明確に示されている（HP等で確認可能）
• 学会所属・研修歴など、専門的な知識や技術が裏付けられている

また、治療後のメンテナンスも必要なため、一貫した長期フォロー体制が整っていることも大切なポイントです。

🧪 外科対応・補綴対応の有無

ヘミセクションでは、精密な術前診断と的確な術中判断が成功のカギとなります。そのため、以下の設備・技術が揃っているかどうかを確認しましょう。

• 歯周外科に対応している：歯肉の切開や骨整形が必要な場面も
• 補綴（クラウン・ブリッジ）に強い：残った歯をしっかり使える形に整える必要あり

これらの対応がすべて1つの医院で完結できることは、患者にとって通院の手間が少なく、質の高い治療が期待できるポイントです。

📞 カウンセリング体制の重要性

高難度治療であるヘミセクションを安心して受けるためには、丁寧なカウンセリング体制があるかどうかも重要です。

• 治療の適応やリスクをわかりやすく説明してくれるか
• 治療前後の流れ、費用、期間について事前に相談できるか
• 患者の疑問や不安にしっかり向き合ってくれる姿勢があるか

特に、ヘミセクションは選択肢の一つに過ぎず、他にも抜歯・インプラント・ブリッジなどの治療が考えられます。そうした複数の選択肢を提示し、患者と一緒に最適な方針を決めてくれる歯科医院を選ぶことが、治療の満足度にも直結します。

信頼できる医院を見極めるためには、初診時のカウンセリングの質をよく観察することが第一歩です。

💬 よくある質問（FAQ形式）

❓ ヘミセクションは痛い？どのくらい腫れる？

ヘミセクションは局所麻酔を使用するため、治療中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔がしっかり効いていれば、処置中は違和感程度で済むことがほとんどです。

術後には2～3日間、軽い腫れや鈍痛が出ることがありますが、これも一般的な反応です。痛み止めや抗生物質が処方されるので、指示通りに服用すれば日常生活に大きな支障は出ません。ただし、過度な痛みや腫れが長引く場合は、早めに歯科医院に相談しましょう。

❓ 手術後に食事はどうする？

手術当日は刺激の少ない柔らかい食事を心がけましょう。たとえば、おかゆ、スープ、煮物などが適しています。熱すぎるもの、辛いもの、アルコールなどは避けた方が安心です。

また、手術部位の反対側で噛むように意識することも重要です。数日経って痛みや腫れが落ち着けば、徐々に通常の食事に戻して構いません。ただし、硬いものや粘着性のある食品は、補綴物を傷める恐れがあるため注意が必要です。

❓ 保険は使える？費用目安は？

はい、ヘミセクションは日本の健康保険が適用される治療法です。ただし、保険適用かどうかは症例や医院の方針によって異なることがあるため、事前に確認しましょう。

費用の目安としては、3割負担の方で5,000～15,000円程度になることが多いです。これには手術費用・補綴物（クラウンやブリッジ）・術後管理の費用が含まれます。自由診療のインプラントと比べて大幅に費用を抑えられるのが大きなメリットです。

❓ どれくらいの期間もちますか？

ヘミセクション後の歯の寿命は、患者のセルフケアと定期的な歯科管理に大きく左右されます。適切なケアがなされれば、5年〜10年以上持つケースも少なくありません。

ただし、もともと歯根の一部が失われているため、完全な健康な歯と比べれば耐久性に限界があるのも事実です。そのため、「最終的に抜歯になる可能性も視野に入れつつ、できるだけ延命する治療」と考えるのが現実的です。治療後のメンテナンスが何より重要です。

🏁 まとめ｜ヘミセクションは“抜かずに活かす”現代の選択肢

ヘミセクションは、歯の一部だけを抜いて、健康な部分をできる限り残すという保存的治療法です。
従来であれば抜歯が選択されていたケースでも、技術の進歩と精密な診断により、“抜かずに活かす”選択肢が現実のものとなっています。

自然な噛み心地を保ち、治療費も抑えられるヘミセクションは、自然歯を大切にしたい方にとって非常に有効な手段です。

ただし、治療後のメンテナンスとセルフケアが治療の成功を左右する最大の要因となります。
検討される方は、実績と信頼のある歯科医院で十分に相談し、長期的な視点で治療計画を立てることが大切です。

🏥 江戸川区篠崎でヘミセクションをお考えの方へ

江戸川区篠崎エリアで「できるだけ歯を抜きたくない」とお考えの方へ
当院では、自然歯を可能な限り残す保存療法として「ヘミセクション（歯根分割抜去法）」に対応しています。

歯根の一部に問題があっても、すべての歯を抜かずに済む可能性があります。
インプラントやブリッジを検討されている方も、その前に一度ご相談ください。

当院では、精密診断、保険診療の範囲内での治療提案、そして術後の丁寧なメンテナンス体制を整えております。

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