歯周病で骨が溶けたと言われた…」「歯を抜かずに治す方法はないの?
そんなお悩みに応えるのが、歯周組織を再生するGTR法(歯周組織再生療法)です。
本記事では、GTR法の
仕組み・治療の流れ・他の再生療法との違い・費用や注意点
について、わかりやすく解説します。

もう抜かなくていい?GTR法で歯を残す再生治療

🦷GTR法(歯周組織再生療法)とは?

そこで、歯茎を切開し、ダメージを受けた骨を露出させるフラップ手術(🩻歯肉剥離掻把術)を行い、**骨の欠損部分に吸収性の膜(メンブレン)**を設置します。

この再生治療を**GTR法(Guided Tissue Regeneration)**と呼びます。
歯周病で失われた組織の回復を目指す、専門的かつ高度な治療法です。

GTR法(歯周組織再生療法)
GTR法(歯周組織再生療法)

🦷GTR法(歯周組織再生療法)の適応症とは?

GTR法は、すべての歯周組織再生療法(🔬リグロス法や🧪エムドゲイン法など)と共通して、以下のようなケースに効果的です。

垂直性の骨吸収がある部位
大臼歯の根の分かれ目(分岐部)に骨の欠損がある場合

📉一方で、全体的に骨が水平に失われている場合は、GTR法の適応とはなりません。

🦷GTR法で歯槽骨や歯根膜が再生される理由

歯周病によって溶けてしまった歯槽骨は、基本治療(歯石取りなど)だけでは自然には元に戻りません

治療後にそのまま経過を見ていると、歯肉の上皮が約1週間でポケットの奥まで入り込み、本来再生すべき歯槽骨歯根膜のスペースをふさいでしまいます。

そこで、スケーリング・ルートプレーニングでポケット内部を清掃したあと、**「メンブレン(吸収性膜)」**という膜を設置します。
これにより、上皮の侵入を防ぎながら、歯周組織が再生するためのスペースを確保できます✨

膜の下では、歯槽骨や歯根膜が1ヶ月で約1mmのペースで再生していきます。
GTR法は、こうしたメカニズムで歯を支える組織を取り戻す再生療法です。

🦠GTR法におけるリスクについて

GTR法では、吸収性膜(メンブレン)を正確に設置する高度な技術が求められます。
もし設置が不十分な場合、膜が歯ぐきの外に露出してしまい、細菌感染のリスクが高まることがあります。

そのため、豊富な経験と専門的な技術を持つ歯科医師による施術が重要です。

🩺GTR法(歯周組織再生療法)の手順

STEP

✂️吸収性膜(メンブレン)の試適について

手術部位に適した形で吸収性膜を使用するために、あらかじめさまざまなサイズや形の試適用メンブレンが用意されています。

実際の処置前に、手術部位に合わせて膜をあてがいながら、✂️適切な形にトリミングして調整を行います。これにより、より正確なフィットが可能となり、治療効果を高めます。

吸収性膜(メンブレン)の試適

STEP

✂️吸収性膜(メンブレン)のトリミングについて

あらかじめ調整した✏️試適膜の形に合わせて、本番用の**吸収性膜(メンブレン)**を鋏で正確にカットします。

この吸収性膜は🩸血液を吸収しやすく、すぐに形が変わってしまう性質があるため、直接お口の中で形を合わせてカットすることはできません。

そのため、あらかじめ試適膜で形を決めておくことが重要です。

吸収性膜(メンブレン)のトリミング

STEP

🦷垂直性骨吸収があるケースがGTR法の対象です

歯周ポケット内に黒い🪨歯石や🦠歯垢(プラーク)が沈着することで、歯槽骨が垂直的に吸収され、同時に歯根膜もポケットの底まで破壊されている状態です。

また、歯ぐきには🔴赤みや腫れが見られ、軽度の出血も確認されます。

こうした症例に対して、失われた歯槽骨や歯根膜の再生を促す治療法が、**GTR法(歯周組織再生誘導法)**です。

垂直性骨吸収

STEP


🔧フラップ手術(歯周外科)による歯石と不良肉芽の除去

歯周病の進行部位に対しては、まず**歯茎を切開・剥離して術野をしっかり確保(フラップ手術)**します。

そのうえで、スケーリング・ルートプレーニングを行い、目に見える範囲だけでなく、歯の根元や歯周ポケットの奥深くまで歯石や不良な肉芽組織を丁寧に取り除きます

また、歯周病菌に侵された歯槽骨の表面も必要に応じて削除し、感染源を徹底的に除去して清潔な状態に整えます。

	
フラップ手術(歯周外科)で歯石と不良肉芽の除去

STEP

🧫吸収性膜(メンブレン)を骨欠損部に設置します

歯槽骨や歯根膜が失われた部分には、専用の人工膜「吸収性メンブレン」を覆うように設置します。
この膜は、再生する組織が入り込むためのスペースを確保する重要な役割を果たします。

その上から歯ぐきを元の位置に戻し、🪡丁寧に縫合します。
約1週間後に抜糸を行い、治療は完了です。膜は体内で自然に吸収されるため、取り出す必要はありません。

吸収性膜(メンブレン)を骨欠損部に設置

🧫吸収性膜を設置する目的

GTR法では、骨が失われた部分に**吸収性膜(メンブレン)**を設置します。
この膜を置くことで、歯肉の上皮が膜の上面に沿って伸びるようになり、本来の再生を邪魔しない構造が作られます。

⚠️もし膜がなければ、上皮は歯根に沿って歯周ポケットの深部まで侵入し、**「上皮性付着」というかたちで治癒が進みます。
この場合、
歯槽骨や歯根膜は再生されません**。

つまり、吸収性膜を使う理由は、再生に必要なスペースを確保し、上皮の侵入を防ぐことにあります。

新付着
新付着

🦷歯槽骨と歯根膜の再生|それが「新付着」

吸収性膜によって守られたスペースの中では、⏳歯槽骨や歯根膜がゆっくりと再生されていきます。
このように、新たに形成された歯周組織が歯根面と結びつく治癒様式を「新付着(結合性付着)」と呼びます。

再生のスピードには個人差がありますが、通常は🗓️数ヶ月かけて徐々に新しい組織が形成されていきます。

より確実な再生をめざして、人工骨を吸収性膜の内側に入れるケースもあり、これにより骨の誘導とスペースの確保がさらにスムーズに行えます。

GTR法では、使用する膜に🟡**「吸収性膜」と🔵「非吸収性膜」**の2種類があります。それぞれに特徴があり、治療方法や患者さんの負担にも違いがあります。

🔵非吸収性膜の特徴

メリット
・治療から一定期間後、膜を除去する2回目の手術を行うことで、骨の再生状態を直接確認できるという安心感があります。

デメリット
2回の手術が必要になるため、患者さんの身体的・心理的な負担が大きくなります。

🟡吸収性膜の特徴

メリット
・体内で自然に吸収されるため、1回の手術で治療が完了し、患者さんの負担を軽減できます。

デメリット
・治療後に骨の再生状況を直接確認することができない点がデメリットです。

歯周病によって失われた🦴歯槽骨や歯根膜を再生するための治療法として、
以下の3つの歯周組織再生療法があります。

  • 🧪GTR法(吸収性膜の設置による再生誘導)
  • 💉リグロス法(薬剤による再生誘導)
  • 🧴エムドゲイン法(エナメルマトリックス誘導法)

これら3つの方法の臨床的な成果には大きな差はありません

🎯GTR法:高い技術が求められる

GTR法は、吸収性膜(メンブレン)を適切な形にトリミングし、所定の位置に設置・縫合する高度な手術です。
そのため、治療結果は術者の技術力や経験に大きく左右されるのが特徴で、他の2法と比べても手術の難易度が高い治療法です。

💉リグロス法・🧴エムドゲイン法:簡便で安定した術式

リグロス法とエムドゲイン法は、歯周ポケット内に再生促進剤を塗布するだけというシンプルで術者の負担も少ない治療法です。
基本的な術式も非常に似ており、技術的な差が出にくい点がメリットです。

💰費用面も考慮すると…

現在、リグロス法は保険適用されているため、費用を抑えて治療を受けたい方にとって最も現実的な選択肢となります。

🔄GTR法とリグロス、骨移植との併用について

💉リグロスはゲル状の製剤であるため、術後に填入した部分から一部が自然に流れ出てしまうことがあります。

そのため、GTR法を併用することで、リグロスを骨欠損部にしっかりと留めておく効果が期待できます。
また、リグロスと**骨補填材(例:Bio-Oss)**を混ぜて使用し、骨移植のような形で再生を促す方法も有効とされています。

ただし、これらの併用療法は保険適用外のため、自費診療となります
治療内容や費用については、事前にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

GTR法の費用

GTR法は保険適用外です。

手術費用(税抜き)
GTR法1歯 52,000円(※ GTR法と同時に行うフラップオペレーション(フラップ手術)の費用は治療費に含まれます。また、レントゲン撮影、投薬費用なども含まれます。)
GTR法+リグロス1歯 82,000円
江戸川区篠崎で歯周病の再生治療をお探しの方へ

歯周病が進行し、歯を支える骨(歯槽骨)が失われてしまった場合も、再生療法によって歯を残せる可能性があります。
当院では、GTR法などと並ぶ再生療法のひとつとして注目されている**「リグロス」を使用した歯周組織再生治療**を行っています。

💉リグロスは保険適用の再生剤で、治療負担を抑えながら効果的な組織再生が期待できます。
江戸川区篠崎エリアで「歯を残したい」「歯周病の進行を止めたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!