目次

✏️「歯周病が進んでいて、抜歯の可能性があると言われた…」

そんな悩みを抱える方に知っていただきたいのが、**歯ぐきや歯を支える骨を再生する「リグロス療法」**です。
リグロスとは、日本で開発され、厚生労働省により保険適用が認められた再生治療薬で、歯周病によって失われた歯周組織(歯槽骨・歯根膜など)を再生することができます。

従来は高額な自由診療でしか受けられなかった「歯周組織再生療法」も、リグロスの登場によって、より多くの方が気軽に治療を受けられる時代になりました。

本記事では、リグロス療法の効果や安全性、治療の流れや費用、他の再生療法との違いまで詳しく解説します。

「できるだけ自分の歯を残したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

「歯周病で溶けた骨は元に戻らない」と思われがちですが、近年では歯周組織の再生を目指す治療が保険診療でも可能になっています。

その代表的な治療法が、リグロス療法です。
リグロスは、日本で開発された歯周組織再生剤で、歯周病によって失われた歯槽骨や歯周組織の再生を促進する薬剤です。

🧬 リグロスとは?

保険でできる歯周組織再生療法「リグロス」とは?
保険でできる歯周組織再生療法「リグロス」とは?

リグロスは、**FGF-2(線維芽細胞増殖因子)**という成長因子を主成分とした歯周組織再生剤です。

この成長因子には、

  • 🦴 骨の再生促進
  • 🩸 血管新生の促進
  • 🧫 細胞増殖の活性化
  • 🪥 歯周組織修復のサポート

といった作用があり、歯周病で破壊された組織の回復を助けます。

2016年から保険適用となり、日本国内で広く使用されるようになりました。

🦷 リグロスはどんな歯周病に適応される?

✅ 適応しやすい症例

リグロスは、特に「垂直性骨吸収」と呼ばれるタイプの骨欠損に効果が期待されます。

下顎1番にみられる垂直性骨吸収。条件が整えば、歯周組織再生療法(リグロス)で回復を目指せます。
下顎1番にみられる垂直性骨吸収。条件が整えば、歯周組織再生療法(リグロス)で回復を目指せます。
同症例の口腔内写真:下顎前歯部の歯肉が下がり、垂直性骨欠損に対応する部位です。
同症例の口腔内写真:下顎前歯部の歯肉が下がり、垂直性骨欠損に対応する部位です。
🦴 垂直性骨欠損とは?

歯槽骨が部分的に深く破壊され、歯周ポケットが深くなっている状態です。

歯周組織再生療法の適応症:垂直性骨吸収
歯周組織再生療法の適応症:垂直性骨吸収

特に、

  • 3壁性骨欠損
  • 深い歯周ポケット(6mm以上)
  • 中等度〜重度歯周病

では、良好な治療効果が期待できます。

🚫 適応が難しいケース

以下のようなケースでは、リグロスが適応できない場合があります。

  • 📉 水平性骨吸収
  • 🚬 喫煙者
  • 🩸 コントロール不良の糖尿病
  • 💊 免疫抑制剤使用中
  • ⚠️ 重度動揺歯
  • 🦠 重度感染症例(根分岐部Ⅲ度病変)

再生療法は「骨の形態」が非常に重要です。
骨壁が少ない症例では、再生材が安定しにくく、十分な効果が得られないことがあります。

適応されない症例:水平性骨吸収
適応されない症例:水平性骨吸収
① 📉 水平性骨吸収(水平性骨欠損)症例
矢印部分:歯周病で骨が全体的に下がる“水平性骨吸収”の所見。
「矢印部分:歯周病で骨が均一に低下する“水平性骨吸収”の所見。
矢印部分:歯周病で骨が均一に低下する“水平性骨吸収”の所見。
② 📉 重度感染症例(根分岐部Ⅲ度病変)症例
根分岐部Ⅲ度病変:再生療法(リグロス)が適応できない進行例
根分岐部Ⅲ度病変:再生療法(リグロス)が適応できない進行例

💉 リグロスの調製方法|無菌的な薬剤の準備手順

リグロスの調製

リグロスは、薬剤(粉末)と溶解液(液体)がセットになった歯周組織再生剤です。
専用シリンジ内で無菌的に調合できる構造となっています。

🔁 シリンジ内で均一に混合

シリンジ両端のプランジャーを交互に押すことで、薬剤と溶解液が内部で均一に混ざります。
外部に触れずに調製できるため、清潔かつ安全に準備可能です。

⏱ 術前準備が重要

リグロスの調製は手術直前ではなく、事前準備が基本です。
スムーズな手術進行のため、温度管理・使用期限を含め、マニュアルに沿った適切な管理が重要となります。

🦷 上顎犬歯遠心部における深い歯周ポケットの経過と対応

上顎犬歯に深い歯周ポケット

🔎 上顎犬歯遠心部の深い歯周ポケット症例

上顎犬歯遠心部に深い歯周ポケットが認められ、局所的な進行性歯周炎が疑われる症例です。

🪥 歯周基本治療を実施

まず、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)を行い、炎症コントロールを目的とした歯周基本治療を実施しました。

🔁 メンテナンスへ移行

初期治療後も深いポケットが残存しているため、ポケット内のディブライトメント(感染組織除去)を継続し、現在はSPT(メンテナンス)へ移行しています。

⚠️ 今後の治療方針

炎症症状は安定しているものの、深い歯周ポケットは改善しておらず、再発リスクが残る状態です。

今後は再評価を行い、フラップ手術や歯周組織再生療法(リグロス適応を含む)の必要性を検討していきます。

🦷 犬歯遠心部の歯周ポケットに対するX線所見と処置経過

犬歯歯周ポケットのデンタルエックス線

🖼 上顎犬歯遠心部の3壁性骨欠損症例

デンタルX線検査により、上顎犬歯遠心部に**3壁性の垂直性骨吸収(骨欠損)**を確認しました。
この骨形態は、リグロスなどの歯周組織再生療法が適応となる可能性があります。

📌 現在の評価

3壁性骨欠損を活かし、将来的な再生療法も視野に入れながら、メンテナンスによる歯周ポケット管理を継続しています。

✂️ フラップ手術(リグロス併用)における歯肉剥離の経過

フラップ手術-歯肉剥離

📏 深い歯周ポケットの経過観察

炎症症状は安定しているものの、歯周ポケットの改善はみられず、プロービング値8mmの深いポケットが残存していました。

🦴 リグロス適応となる垂直性骨欠損

X線および臨床所見で垂直性骨吸収(骨欠損)を確認。
骨再生が期待できる形態のため、リグロス併用によるフラップ手術を選択しました。

✂️ フラップ手術の実施

犬歯部に縦切開を加え、第1小臼歯方向へ歯肉を剥離し、骨欠損部と歯根面を明視下に露出しました。

📌 術中評価と今後の管理

術中の再測定でも歯周ポケットは8mmを示しており、典型的な再生療法適応症例と判断されました。

今後は、術後のポケット改善や骨再生の経過観察が重要となります。骨再生の確認が重要です。

🔬 不良肉芽組織除去と歯根面滑沢化|再生療法に向けた外科的前処置

不良肉芽組織除去と歯根面滑沢化

💢 不良肉芽組織の除去

フラップ手術では、炎症性の不良肉芽組織を徹底的に除去します。
感染源を取り除くことで、歯周組織再生療法の成功率向上が期待されます。

🦷 歯根面の滑沢化

歯石や汚染されたセメント質を除去し、歯根面を滑らかに整えます。
これは、リグロスなどの再生材が作用しやすい環境を作る重要な処置です。

🪥 SRPとの違い

通常のSRPではセメント質を可能な限り保存しますが、再生療法を伴うフラップ手術では、感染したセメント質を十分に除去し、清潔な再生環境を優先します。

📌 再生療法では、組織保存よりも「再建しやすい環境づくり」が重要となります。存”より“再建のための準備”が優先される場面があります。
術式に応じた歯根面管理が、予後を左右する重要なポイントです。

💉 リグロスの塗布手順と人工骨併用の考察

リグロスの塗布

🛠 リグロスの塗布方法

リグロスは、投与ホルダーに貼薬針(カニューレ)を装着し、垂直性骨欠損部へ直接注入します。
骨欠損内部を満たすように丁寧に塗布することが重要です。

💧 リグロス使用時の注意点

リグロスは粘調性のあるゲル状薬剤ですが、骨壁が少ない1壁性・2壁性欠損では流出しやすい場合があります。

🧱 人工骨併用のメリット

人工骨(骨補填材)を併用することで、リグロスの滞留性が向上し、再生環境を安定させやすくなります。

📌 骨欠損の形態に応じて、リグロス単独または人工骨併用を選択することが、再生療法成功のポイントとなります。

🧵 歯肉の縫合|再生療法併用時の切開範囲と材料使用部位

歯肉の縫合

✂️ フラップ手術の切開範囲

第二小臼歯(5番)遠心部の深い歯周ポケットに対し、骨欠損を十分に確認・処置するため、第一大臼歯(6番)近心まで切開範囲を拡大しました。

💉 リグロスと人工骨を併用

垂直性骨欠損部には、

  • リグロス(再生因子)
  • Bio-oss(骨補填材)

を併用しました。

リグロスの再生促進作用に加え、人工骨による空間維持と薬剤の安定化を目的としています。

🧵 歯肉縫合のポイント

補填材を安定させるため、創部を緊密に縫合し、感染や材料流出のリスクを抑制します。必要に応じて歯周パックを併用することもあります。

📌 再生療法では、切開・剥離・縫合を精密に行い、再生環境を安定させることが重要です。定性を見越した縫合法が求められます。

✅ 保険適用の条件

リグロスは、一定の条件を満たした場合に保険診療で使用可能です。

保険適用までの流れ

  1. 初診・歯周検査
  2. スケーリング
  3. SRP
  4. 再評価
  5. 歯周外科適応と診断
  6. リグロス使用

つまり、「いきなりリグロスを希望する」だけでは保険適用になりません。
歯周基本治療を段階的に行った上で適応が判断されます。

💴 費用の目安

🦷 保険診療(3割負担)

  • 1歯:約7,000〜9,000円
  • 2歯:約13,000円前後

※別途、

  • レントゲン
  • 再診料
  • 投薬
  • 歯周検査

などが必要になります。

🚫 口腔癌の既往がある方は原則禁忌

リグロスは細胞増殖を促進する薬剤のため、口腔癌の既往がある方には原則使用できません。

⚠️ 主な副作用

術後には一時的に、

  • 🔴 歯肉の腫れ
  • 💢 軽度疼痛
  • ⚪ 歯肉白色化
  • 🩸 発赤

などが見られることがあります。

通常は経過観察で改善しますが、感染兆候がある場合は早めの受診が必要です。

📈 リグロス治療を成功させるポイント

再生療法は、術後管理が非常に重要です。

🪥 成功率を高めるために重要なこと

  • 正しいブラッシング
  • 禁煙
  • 糖尿病コントロール
  • 定期メンテナンス
  • SPT継続

再生療法は「治療して終わり」ではなく、その後のメンテナンスによって長期予後が大きく左右されます。の後のメンテナンスによって長期予後が大きく左右されます。

歯周組織再生療法は科学的根拠に基づいた治療ですが、100%成功する治療ではありません。治療効果やリスクについて正しく理解しておきましょう。

📈成功率と予後の研究データ

過去の臨床研究では、以下のような再生療法の有効性が報告されています。

  • 🔬 エムドゲイン法:平均で2〜3mmの歯槽骨再生が見込める
  • 📊 GTR法:適切な症例であれば70〜80%以上の成功率
  • リグロス療法:日本国内の大規模研究で約70%の改善例

※「成功」の定義は、歯周ポケットの改善、骨の再生、動揺の安定など複合的に評価されます。

再生療法の有効性:2〜3mmの歯槽骨再生
再生療法の有効性:2〜3mmの歯槽骨再生

📖各大学でのリグロスによる歯周組織再生療法の効果の研究

歯周病で「抜歯しかない」と言われた歯でも、骨の状態によっては再生療法で保存できる可能性があります。

特にリグロスは、保険診療で受けられる先進的な歯周組織再生療法として、多くの歯科医院で導入されています。

歯ぐきの腫れや深い歯周ポケット、歯のグラつきが気になる方は、早めに歯周病専門的な診査を受けることが大切です。

江戸川区篠崎で「抜歯は避けたい」「できるだけ自分の歯を残したい」とお考えの方へ

当院では、**歯周病で失われた骨や歯ぐきを再生させる先進治療「歯周組織再生療法」**に対応しています。

特に当院では、保険適用の再生因子「リグロス」を用いた治療も行っており、高額な自費治療に比べて経済的な負担を抑えながら、本格的な再生療法を受けられます

専門的な検査と診断のもと、一人ひとりに合った治療プランをご提案いたします。
「歯を抜かずに治療したい」とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
江戸川区篠崎で、あなたの歯を守るための最善の選択肢をご案内いたします。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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