ワイヤー矯正で歯が動く仕組みは、ワイヤーの弾性力やゴム等の補助的な弱い矯正力を持続的にかけることで歯が動きます。

ワイヤー矯正で歯が動く仕組み

マルチブラケット装置

ブラケットとワイヤーとの関係
ブラケットとワイヤーとの関係

ブラケットとワイヤーとの関係

ブラケットの溝(スロット) にワイヤーが入ります。

ブラケットとワイヤーとの間には僅かな隙間があり、それぞれが滑るようになっています。つまりブラケットのスロットの幅よりもワイヤーの太さの方が小さく設計されています。

もし両者間の滑りが悪ければ歯はなかなか動かないということができます。

ワイヤー矯正の治療ステップ

ワイヤーの形状や太さを治療ステップにより変更します。

ワイヤーは細く断面が丸い形状記憶合金

ワイヤー矯正の治療の初期段階ではワイヤーは細く断面が丸い形状記憶合金を使います。

ワイヤーをスロットの中に強引に入れ、ワイヤーが元の形に戻る時の力を使って凸凹の歯並びをおおよその位置に並べていきます。

STEP
1

ワイヤーは太く断面は長方形または正方形

垂直的な位置関係が整ってきたらワイヤーサイズを太いものに順次上げていき、断面が丸いものから長方形あるいは正方形で固めのワイヤーに変更します。

STEP
2

顎間ゴム、パワーチェーン、スプリング

次に前後的な位置関係を整えるために顎間ゴムやパワーチェーン、スプリングなどを使い一本一本の歯を前後左右に少しずつ動かします。この時歯はワイヤーに沿って動いていきます。

STEP
3

フィニッシングアーチワイヤー

最終仕上げに固く断面が長方形のフィニッシングアーチワイヤーを使い微妙な歯の移動を行います。

STEP
4

顎間ゴム、パワーチェーン、スプリングの力で歯を動かす

顎間ゴム、パワーチェーン、スプリング
顎間ゴム、パワーチェーン、スプリング

顎間ゴム

上下の歯列にゴムをかけて前後に引っ張り合います。

顎間ゴムをかけると上下の歯列の位置関係が全体的に大きく変化します。

パワーチェーン

ゴムで出来た連続した輪を各歯のブラケットに付け、それぞれが引っ張り合いをします。パワーチェーンは歯の間の隙間を詰めるのに用います。

オープンコイルスプリング

主線ワイヤーに挿入して歯の隙間を拡大させる目的に使います。

ワイヤー

ワイヤーの弾性力を使って歯を動かします。また、歯科医師がワイヤーを様々な形に曲げて、その復元力を使って歯を動かすこともあります。

代表的な装置にマルチブラケットがあります。

弱い持続的な矯正力

歯の移動には歯根膜が関与
歯の移動には歯根膜が関与

歯の移動には歯根膜が関与

歯には「歯根膜」とよばれる部分があります。歯に弱い力が持続的に加わると、この歯根膜が伸ばされる部分では骨を新生する骨牙細胞が出現し新しい骨が作られます。一方、圧迫された歯根膜に隣接する歯槽骨は破骨細胞によって溶かされます。

歯列矯正では、歯根膜のこの性質を利用して、動かしたい方向に意図的に力を加え、歯の位置を変えます。

従って一気に歯を動かすことは出来ず、歯の移動距離は1ヶ月に1mm が目安となります。

ワイヤー矯正では主線に沿って平行移動させます。

矯正力が強すぎる

矯正力が強すぎると歯は傾斜
矯正力が強すぎると歯は傾斜

歯は傾斜

歯に強い力を掛け過ぎると平行に動かしたいのに傾斜してしまったり、或いは全く動かなかったり、歯根の吸収が起こったり、歯茎が下がるなど意図しない反応が起こってしまいます。

歯根膜が生きている限りいつでも矯正ができるのです。したがって、大人になってからの歯科矯正でも問題なく行うことができます。

適正な矯正力

適正な矯正力は歯根膜の断面積に比例

歯を平行に移動するのに必要な適切な力は100~150グラム、歯を骨の中に押し込む様に移動させる時は15~25グラムとかなりの開きがありますが、いずれにしても g 単位の弱い力が必要です。

端的に言うと、動かしたい方向の歯根膜の断面積に比例するといえます。

例えば、歯根膜の断面積が広い奥歯を動かす場合は前歯よりも強い力が必要ということになります。

自分で歯を動かすことは出来る?

指しゃぶりで出っ歯やオープンバイト(開咬)に
指しゃぶりで出っ歯やオープンバイト(開咬)に

歯の移動には歯根膜が関与

自分で歯を動かせたら良いのにと思っている方は多いと思います。

理論上、自分でも歯を動かす事は可能ですが、持続的に力を加え続けなければなりません。従って、現実的ではありません。

しかし例外が1つあります。指しゃぶりです。

指しゃぶりをする子供は1日中指をくわえているので、歯が動き、前歯が出っ歯になったり、オープンバイト(開咬)になったりします。

逆に、指しゃぶりを止めれば、唇の力で自然と元に戻る場合もあります。

インプラントに力を加えても動かない理由

インプラントには歯根膜が無い
インプラントには歯根膜が無い

インプラントには歯根膜が無い

インプラントは骨と直接結合し、歯根膜は存在していません。そのため、インプラントに力が加わっても全く動きません。逆に、この性質を使って、歯を動かす時の固定源にする矯正用のミニインプラントが開発されています。

もし、インプラントに強すぎる力が加わった場合にはインプラントの周りの骨が溶けてしまいます。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、矯正装置の見た目が気になるという方でも、審美性に配慮した目立たないマウスピース矯正装置をご用意しております。患者さま一人ひとりの口腔内状況を拝見した上でご要望をしっかりと聞き、痛みの少ない無理のない治療計画をご提案いたします。江戸川区篠崎でワイヤー矯正治療をご検討の方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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