下顎孔伝達麻酔とは?浸潤麻酔が効かない時の強力な選択肢
痛かったら手を上げてね
虫歯の治療で削られている時、痛くて死にそうです。「痛かったら手を上げてね」って言われるんだけど申しわけなくて。
麻酔が効かない場合、虫歯で歯を削られる時の痛みや神経を抜く時の痛みはとても我慢出来るものではありませんよね。
ここでは、浸潤麻酔が効かない時に使う下顎孔伝達麻酔について解説します。
下顎孔伝達麻酔のやり方
下顎孔に打つ
下顎孔伝達麻酔は下顎骨の中を走る太い神経(下顎神経)の根元(下顎孔)に打つ麻酔方法です。下の奥歯の治療時に浸潤麻酔が効かない患者さんに使います。
大臼歯のみならず、下顎の歯の半分が麻酔され、効いている時間も浸潤麻酔に比べると長いのが特徴です。
下顎神経(下歯槽神経)とは
脳から三叉神経が降りてきます。途中で眼神経、上顎神経、下顎神経の三つに枝分れします。そのうちの一つ下顎神経が下顎孔から下顎骨の中に入り込み、下顎骨半分の領域を神経支配します。
下顎神経の走行の状態を把握することは親知らずの抜歯やインプラントの埋入にとても重要です。
下顎孔伝達麻酔を打つ位置
白い点の部位から針を挿入
写真の白丸の位置(親知らずのさらに奥) から針先を刺入し、2cm程奥に針を進めます。
下顎孔の位置は個人差が大きく外から見えないため、正確に場所を特定することは出来ません。従って、勘に頼ることになり効果的な麻酔をかけるにはかなりの熟練を要します。
下顎孔を完全に麻酔が出来れば、無痛治療が可能です。
下顎孔伝達麻酔の痛み
下顎孔伝達麻酔を打つ時の痛みはほぼありません。また、薬液を注入する時の痛みもほぼありません。
下顎孔伝達麻酔はいつ使う?
下顎奥歯の骨は緻密に出来ているため虫歯を削る治療や神経を抜く治療(抜髄) の時に浸潤麻酔がかかりにくいことがあります。この様な場合、下顎孔伝達麻酔を使います。
ただし、下記の様な下顎神経麻痺が起こるリスクがあるので、浸潤麻酔が効かない時は、歯根膜注射で対応をするなど可能な限り使用しないようにしています。
下顎神経麻痺とは?麻酔後のしびれとその対策
下顎神経麻痺
麻酔後にしびれが取れなく、喋るとロレツが回らなく顔の左半分が腫れたように感じる時は、下顎孔伝達麻酔後に起こる事があります。とは言え、その頻度は極めて稀です。
麻酔後に頬に触るとヒリヒリした痺れのような感覚が残る原因として、注射針による神経損傷が考えられます。また、下顎親知らずの抜歯の際にも神経損傷が起こることが考えられます。
前者の場合は、神経麻痺が持続することはあまりありません。一方、親知らずの抜歯の際の神経麻痺は短くて1ヶ月~2ヶ月、長くて6ヶ月~1年の期間で、その症状が消失しますが、稀ですが、それ以降も症状がつくことがあります。
下顎神経麻痺の治療にビタミンB12
下顎神経麻痺にはビタミン B12の内服が有効です。
さらに即効性があるのはマイヤーズカクテル点滴で、ビタミンB群を中心に点滴します。中でも神経細胞の一部分であるミエリン鞘の修復に有効なのがビタミンB12です。
江戸川区篠崎で痛みの少ない歯科治療を心がけています
江戸川区篠崎駅前のふかさわ歯科クリニック篠崎では、患者様が快適な治療を受けれれるよう痛みを極力抑えた歯科治療を心がけております。特に歯科麻酔のかけ方には工夫を凝らしております。「ぜんぜん痛くなかった、こんなに痛みの少ない治療なら早く来ればよかった」というご意見を頂くことも多く、大変ご好評をいただいております。
江戸川区篠崎にて、痛みに最大限配慮した快適な治療をご希望の方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。スタッフ一同お待ちしております。
【動画】表面麻酔と針なし注射器シリジェット
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。