歯ぐきの腫れや出血は、歯肉炎や歯周病でみられる症状の一つです。歯周病の主な原因は、歯の表面や歯周ポケットに蓄積する歯垢(プラーク)であり、予防や治療の基本は毎日の適切な口腔ケアと歯科医院での専門的なケアです。

一方、歯ぐきを含む口腔組織の健康を維持するためには、バランスのよい食生活も大切です。ビタミンやたんぱく質、ミネラルなどは、歯ぐきや歯を支える組織の健康維持に関わっています。

この記事では、歯ぐきの健康を支える栄養素や食べ物、見直したい食習慣について、歯科医療の視点からわかりやすく解説します。

「歯ぐきが腫れる」「歯みがきのたびに出血する」といった症状は、歯肉炎や歯周病によって起こることがあります。

歯周病は、歯垢(プラーク)中の細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、進行すると歯を支える歯槽骨などの歯周組織が破壊される病気です。

そのため、特定の食品や栄養素を摂取するだけで歯周病を予防・改善できるわけではありません。

ただし、歯ぐきをはじめとする組織の健康を維持するには、十分な栄養を摂ることも重要です。極端な栄養不足や偏った食生活に加え、喫煙などの生活習慣は、歯周組織の健康状態に影響することがあります。

ビタミンC

ビタミンCは、コラーゲンの生成に必要な栄養素で、歯ぐきを含む結合組織の健康維持に関わっています。

極端に不足すると歯ぐきからの出血などがみられることがありますが、ビタミンCを多く摂れば歯周病を治療・予防できるという意味ではありません。日々の食事から適量を摂ることが大切です。

多く含む食品

  • ブロッコリー
  • キウイ
  • パプリカ
  • いちご

ビタミンA・ビタミンE

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に関わり、ビタミンEは抗酸化作用を持つ栄養素です。

これらも歯周病を直接治療するものではありませんが、さまざまな食品からバランスよく摂取することで、全身や口腔組織の健康維持につながります。

多く含む食品

  • にんじん
  • かぼちゃ
  • 魚類
  • アーモンド

カルシウム・マグネシウム

カルシウムは、歯や骨を構成する重要な栄養素です。マグネシウムも骨の形成やさまざまな代謝に関わっています。

ただし、カルシウムなどを摂取することで、歯周病によって失われた歯槽骨が元に戻るわけではありません。歯周組織の健康を維持するための栄養素の一つとして、適切に摂取しましょう。

多く含む食品

  • 乳製品
  • 豆腐
  • 小魚
  • 海藻類

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や皮膚だけでなく、歯ぐきなどの組織を構成する材料となります。健康な組織を維持するためにも、日常の食事から適量を摂取することが大切です。

多く含む食品

  • 肉類
  • 魚介類
  • 大豆製品

ポリフェノール・カテキン

緑茶などに含まれるカテキンや、果物などに含まれるポリフェノールには、抗酸化作用などが知られています。

口腔内の細菌や歯周組織との関係についても研究されていますが、これらを含む食品を摂取することが歯周病治療の代わりになるわけではありません。

食品として日常の食生活にバランスよく取り入れる程度に考えるとよいでしょう。

ここで紹介する食品は、「食べれば歯周病を予防できる食品」ではなく、歯ぐきや全身の健康維持に必要な栄養素を摂取しやすい食品です。

1.ブロッコリー

ビタミンCなどを含み、バランスのよい食生活に取り入れやすい野菜です。

2.鮭

たんぱく質やビタミンD、脂質など、さまざまな栄養素を摂取できます。

3.納豆・豆腐

植物性たんぱく質を摂取しやすく、豆腐にはカルシウムを多く含む製品もあります。

4.ほうれん草・小松菜

ビタミンやミネラルを含み、日々の栄養バランスを整えるのに役立ちます。

5.緑茶

カテキンなどのポリフェノールを含みます。ただし、緑茶を飲むだけで歯周病を予防できるわけではありません。

6.りんご

噛むことで唾液の分泌が促されます。ただし、りんごを食べることは歯磨きの代わりにはなりません。

7.卵

良質なたんぱく質をはじめ、さまざまな栄養素を摂取できる食品です。

8.海藻類

種類によってマグネシウムなどのミネラルを含みます。ほかの食品と組み合わせてバランスよく摂取しましょう。

9.チーズ

カルシウムやたんぱく質を含む食品です。歯や骨の健康維持に必要な栄養素を補う食品の一つとして取り入れられます。

10.ヨーグルト・味噌などの発酵食品

発酵食品は食生活の一部として取り入れることができます。ただし、発酵食品を食べることで歯周病を直接予防・改善できると考えるのは適切ではありません。

糖分の多い食品や飲み物

糖分を含む食品や飲料を頻繁に摂取する習慣は、虫歯のリスクを高める要因になります。

歯周病についても、特定の食品だけに注目するのではなく、間食の回数や食事全体のバランス、日々の口腔ケアを含めて見直すことが大切です。

栄養バランスの偏った食生活

特定の食品に偏った食生活では、歯ぐきを含む全身の組織を健康に保つために必要な栄養素が不足することがあります。

「歯ぐきにいい食品」だけを積極的に食べるのではなく、主食・主菜・副菜などを組み合わせた食生活を心がけましょう。

喫煙

喫煙は歯周病の重要なリスク因子の一つです。歯周組織への影響だけでなく、歯周病治療後の反応にも影響することがあります。

歯ぐきの健康を考えるうえでは、食生活だけでなく禁煙について考えることも重要です。

過度な飲酒

過度な飲酒は生活習慣や口腔ケアの乱れにつながる場合があります。また、アルコールの摂取状況によっては口腔内の乾燥を感じることもあります。

適量を意識するとともに、飲酒後の口腔ケアも忘れないようにしましょう。

歯ぐきの健康を守るために大切なのは、特定の食品や栄養素に頼ることではありません。

次のような習慣を組み合わせて継続することが重要です。

  • 栄養バランスのよい食事を心がける
  • 毎日適切に歯を磨く
  • デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
  • 喫煙している場合は禁煙を検討する
  • 定期的に歯科検診やクリーニングを受ける

特に歯周病では、歯垢(プラーク)を適切に取り除くことが基本です。食生活の改善は大切ですが、歯磨きや歯科医院での歯周病治療の代わりにはなりません。

毎日のセルフケアに加えて、歯科医院で定期的にお口の状態を確認することも大切です。

自分では落としきれない歯垢や歯石が付着している場合は、歯科医院で必要に応じて専門的なクリーニングや歯周病治療を行います。

歯ぐきからの出血や腫れが続いている場合は、「栄養が足りないのかもしれない」と食生活だけで対処せず、歯周病などがないか歯科医院で確認してもらいましょう。

歯ぐきを強くする生活習慣のコツ|定期的なクリーニングの効果

歯ぐきを守る第一歩|定期的なクリーニング前の口腔内状態
歯ぐきを守る第一歩|定期的なクリーニング前の口腔内状態
歯ぐきを強くする習慣|定期クリーニング後の健康的な口腔内
歯ぐきを強くする習慣|定期クリーニング後の健康的な口腔内

毎日の歯磨きに加え、歯科医院での定期的なクリーニングを取り入れることで、歯ぐきは健康を保ちやすくなります。歯ぐきの腫れや出血を防ぎ、将来的な歯周病リスクを下げるためにも、継続的なケアが大切です。

歯ぐきの健康を維持するためには、ビタミンC、たんぱく質、カルシウムなどを含む食品をバランスよく摂取することが大切です。

ただし、特定の食べ物を摂取するだけで歯周病を予防したり、治したりすることはできません。

歯周病対策の基本は、歯垢(プラーク)を適切に取り除く毎日のセルフケアと、必要に応じた歯科医院での専門的なケアです。

食生活はそれらの代わりではなく、歯ぐきや全身の健康を支える生活習慣の一つとして考えましょう。

歯ぐきの腫れや出血が続く場合や、口臭、歯のぐらつきなどが気になる場合は、早めに歯科医院で原因を確認することをおすすめします。

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筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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