専門家による歯面清掃—PMTCと他のクリーニング方法の違い
歯をクリーニングして綺麗にしたいが「歯石取り」「スケーリング」「pmtc」「エアフロー」などの違いがわからないという方が多く居られます。
また、健康保険が効くのかどうかなど疑問にお答えします。
歯のクリーニング
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
歯のクリーニングという診療科目はありません。クリーニングという言葉は「歯石取り・スケーリング」「PMTC」「エアフロー」などの歯の掃除を総称的に呼んだもので、「歯を綺麗にする」「歯の掃除」という理念的なもので、治療用語ではありません。従って、その内容に付いて厳密に定義されたものではありません。
特に、歯科医師、歯科衛生士によって、歯面に付着した歯垢(プラーク)を機械的に除去することをPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。
分りやすく言うと、専門家の手による(Professional )、機械的(Mechanical )、歯面清掃(Tooth Cleaning)ということです。
つまりpmtcは歯のクリーニングの一種ということができます。
pmtcは痛みもなく、術後の爽快感が得られ、歯科医院で行うプラークコントロールの中核をなすものです。
予防先進国のアメリカや北欧諸国では、大半の人が定期的に「PMTC」を受けており、虫歯の罹患率や歯周病による歯の喪失数が日本と比べて圧倒的に少なく済んでいます。
当院がPMTCを積極的に行わない理由
エアフローによる歯のクリーニング施術例
施術前
ステインが大量に付いています。通常の歯磨きではなかなか落ちません。
施術後
エアフローによる歯のクリーニングでステインは綺麗に取れています。
ホワイトニング後
歯のクリーニング後のホワイトニングを行いました。歯の内部から白くなっています。
PMTC、スケーリング、エアフローの違い
PMTC
pmtcは、歯面や歯根に付着した歯垢(プラーク)やバイオフィルムをラバーカップや専用ブラシで機械的に破壊し除去することを言います。
スケーリング
スケーリングは歯面や歯根に付着した歯垢が石灰化し、歯石となったものをを超音波スケーラーなどで除去することをいいます。
エアフロー
アミノ酸の一種であるグリシンを主成分とした微粒子を歯面に吹き付けてミュータンス菌や歯周病菌などによるバイオフィルムを除去します。
歯周ポケット内のバイオフィルムの除去にも有効です。
歯のクリーニングの目的
一般的に歯のクリーニングは、歯科衛生士が専門的な機械を使って、歯磨きなどでは取りにくい古い歯垢(バイオフィルム)を徹底的に除去する事を指しています。機械的にバイオフィルムを極限まで減量し、浮遊細菌やマイクロコロニーの状態にすることが目的です。
つまり、細菌同士が手と手を結び協力し合う事で共同生活を営んでいる細菌の集団(バイオフィルム)を破壊することで細菌がバラバラになり、菌力をほぼ失い、毒素や酸の発生を抑えることが出来るという分けです。
歯科衛生士による歯のクリーニングは、虫歯及び歯周病の予防に大変効果的です。
クリーニングの例として歯のクリーニングの代表的なものにPMTC、エアフロー、ポケットディプラーキングなどがあります。
歯石取り(スケーリング)も歯や歯根に付いている歯石を取って綺麗にするわけですから狭義の意味で歯のクリーニングの一種と言えるかもしれません。
日常のケアとPMTCの相乗効果
日常のケアの重要性
毎日のブラッシング
- 毎日の正しいブラッシングとデンタルフロスの使用が、PMTCの効果を高め、お口の健康維持に役立ちます。特に、丁寧なブラッシングは歯垢を取り除くのに重要です。
定期検診とケアの重要性
- 定期的な歯科検診とPMTCを組み合わせることで、むし歯や歯周病の早期発見と予防が可能です。歯科医師からのアドバイスに従い、適切なケアを行うことが大切です。
効果
虫歯への効果
ミュータンス菌の感染を強く受けた人の歯面にはミュータンス菌を中心とした数多くの口腔内細菌の集合体(バイオフィルム)が形成されます。これは膜状になり、エナメル質表面に強固に結合します。
通常、我々が歯磨きをしっかりしても、このバイオフィルムを完全に除去するまでには至っていません。バイオフィルムの上に形成された歯垢(プラーク) を除去しているに過ぎません。
PMTCは、この強固に付着したバイオフィルムをはぎ取り、ミュータンス菌の活動を抑えることが出来るのです。
効果
歯周病への効果
歯周病の治療が完了しても、所々に歯周ポケットの深い箇所が残る場合があります。そんな時はメンテナンスに入ってからPMTCを行うことが効果的です。
PMTCは主に歯肉縁上のバイオフィルムの抑制に効果的ですが、 某大学の研究によると、 PMTCを行う事で歯周ポケット内の細菌の量が約10分の1に低下しているとの結果を得ています。
PMTCは歯周ポケット内深くまで器具を挿入して行うものではありません。にもかかわらず歯周ポケット内の細菌量が低下しているというのは注目すべきことです。
PMTCはこんな方にお薦め
1
歯周病や歯肉炎
歯周病の治療が終わりメンテナンス(歯周病が再発しないように歯石を取ったり歯垢を取ったりすること)に入ってからの実施が有効です。
2
歯に被せ物やブリッジがある
人工物が入ると、歯ブラシが届きにくい場所が多くなり、プラークコントロールが十分になります。
3
ミュータンス菌に感染
ミュータンス菌が多く口の中にいると歯磨きをしても虫歯になりやすく、虫歯を治しても、また虫歯になるといった事を繰り返してしまいます。
PMTCの頻度
歯周病の治療が完了した後のメンテナンス(pmtcやエアーフロー) の実施間隔をどの程度にしたらいいのかというのは気になるところです。
歯周病の場合、歯石除去との関連性もあります。 pmtcの回数が増えれば歯石の沈着するスピードが遅れます。 pmtcの本来の目的はプラーク(歯垢)を完全に除去することです。そういう意味では3ヶ月に1回がちょうど良いくらいでしょうが、歯石の沈着を防止するという視点から見ると、もう少し間隔を狭めても良いかもしれません。
虫歯予防の観点からは、古い歯垢(プラーク)を新しい歯垢(プラーク)にリセットする目的からすると3~4ヶ月間隔が妥当ではないでしょうか。 何れにしても個人差がありますから、歯科医師とよく相談して決めると良いでしょう。
PMTCのプロセスと使用するツール
PMTCのプロセス
歯科医師や歯科衛生士が専用の器具とフッ素剤を使用して、歯の表面を丁寧にクリーニングします。セラミックやレジンなどの修復物も同時にチェックし、異常がないか確認します。
pmtcの使用するツール
各種形状の違ったブラシやラバーカップがあり、掃除する場所によって選択し、左の機器に装着します。用途に合わせたペーストを選択します。
高機能シリカの吸着効果
ウェルテック社製のクリーニングジェル<PMTC>は、歯面を研磨することなく、ジェルの吸着効果により歯面の汚れを除去し、滑沢にします。
PMTCの費用
保健治療の場合
機械的歯面清掃処置(70点)
機械的歯面清掃処置(70点)という項目が保険適用の中に含まれています。これは一体何なのでしょうか?
機械的歯面清掃処置は、歯科疾患に罹患している患者に対し、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、歯科用の切削回転器具及び研磨用ペーストを用いて行う歯垢除去等で、2ヶ月に1回算定出来るとなっています。
では、PMTCと同じではないかと思われるかもしれないですが、クリーニングする歯の本数に規定がありません。つまり、1本の歯をクリーニングしただけでも算定出来るということが出来ます。
現実問題として、歯科衛生士が1口腔全部の歯をPMTCをするには30分~40分の時間が必要です。当院では歯周病等の疾患がある場合で、メインテナンスに入った場合には、SPTという算定項目の中でクリーニングを行っています。
自費治療の場合
歯を綺麗にしたいといった審美的目的は保険適用外です。
項目 | 価格(税込み) |
---|---|
PMTC(30分) | 7,700円 |
江戸川区篠崎で歯のクリーニングをご希望の方へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、このように虫歯や歯周病を未然に防ぐ予防歯科に力を入れ、患者様ご自身の歯が一生持つように予防主体の歯科健診や定期的な歯のクリーニングを推奨しております。予防歯科は歯の寿命だけでなく病気の予防とも関係しています。江戸川区篠崎にて、歯のクリーニング(エアフロー)をご希望の方は当院までお気軽にご相談下さい。
【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。