- 1. 口腔バイオフィルムとは?歯垢が引き起こす歯周病と虫歯のメカニズム
- 1.1. バイオフィルムとは
- 1.2. 口腔バイオフィルムと歯垢の違い
- 2. 歯垢(プラーク)の形成過程
- 2.1. 歯の表面にペリクルが付着
- 2.2. ペリクルに善玉菌が付着し歯垢を形成
- 3. 口腔バイオフィルムの形成過程
- 3.1. 善玉菌の上に悪玉菌が結合
- 3.2. 口腔バイオフィルムの形成
- 4. 歯石の形成
- 5. 口腔バイオフィルム除去の最新技術:エアフローから3DSセラピーまで
- 5.1. 機械的にバイオフィルムを除去する方法
- 5.2. 化学的に口腔バイオフィルムを除去する方法
- 6. 江戸川区篠崎で口腔バイオフィルムを除去したい方は当院へ
- 7. 【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
- 8. 筆者・院長
江戸川区篠崎駅前の歯医者・ふかさわ歯科クリニック篠崎では、出来るだけ歯の神経を抜かない、歯を抜歯しない治療を心掛けています。また、虫歯治療では可能な限り削らない・極力痛くない無痛治療にこだわっています。歯周病治療にも力を入れ、治療が完了した方は歯科衛生士による定期的なメインテナンスに通っていただいております。
当院で実施する口腔バイオフィルムの除去は、PMTC、エアフローなど機械的方法と次亜塩素酸水、歯科3DSなど化学的方法を用いています。虫歯や歯周病でお悩みの方はぜひ、当院に遠慮なくご相談ください。
口腔バイオフィルムとは?歯垢が引き起こす歯周病と虫歯のメカニズム
バイオフィルムとは
バイオフィルムは、浴槽・台所のシンク・水槽内などに出来たヌメリを想像してもらうと分りやすいです。このヌメリは微生物で出来ています。
バイオフィルムの中に生息する微生物は一種類の細菌だけでなく、性格や形の違う様々な細菌たちで構成されています。
バイオフィルムの中で生活する細菌からは細菌外多糖体( EPS )という物質を出してシールド(防御膜)を作ります。
このシールドは抗生物質などの抗菌薬を作用させても跳ね除けてしまう強力なディフェンス力を持っています。
シールドにより守られた相互共存できる仕組みが出来上がっています。それぞれの細菌に十分な栄養が供給されるように、お互いシグナルを出し合い、数が増えすぎないように調整された棲みやすい環境が作り出されています。
そして、栄養や水が増えればバイオフィルム内の細菌の数も増していきます。
口腔バイオフィルムと歯垢の違い
新しい歯垢(プラーク)
子供の前歯に歯垢が付着した状態です。2~3日歯磨きをしないだけで白っぽいプラーク(新しい歯垢)が出来てしまいます。
特に、歯と歯茎の境目辺りに多くの歯垢が認められます。
このまま歯磨きをしない状態が続くとその歯垢周辺の酸性度が高まり虫歯が発生します。
古い歯垢が口腔バイオフィルムを形成
大臼歯の金属冠にべっとりと付着した古い歯垢(プラーク)。相当長い期間ブラッシングが出来ていないことを示しています。
ここまで歯垢が成熟すると強固なバイオフィルムとなり毒性を増します。
金属冠は虫歯にはなりませんが、金属冠に挟まれた天然歯(第二小臼歯)の隣接面には虫歯が発生していました。
虫歯菌の代表であるミュータンス菌は、エナメル質表面に強く付着します。この細菌は、砂糖を分解し不溶性グルカンを作り出します。
不溶性グルカンが出来ると他の細菌もこれを足がかりとして歯の表面に付着するようになります。この柔らかくて白っぽい付着物がプラーク(歯垢)です。
歯磨きが不十分であったり免疫力が低下するとプラーク(歯垢)が成熟し口腔バイオフィルムを作ります。
バイオフィルムが成熟することで歯周ポケット内では歯周病を起こすP.g菌(Porphyromonas gingivalis)が、エナメル質表面では虫歯の原因菌のミュータンス菌やラクトバチラス菌などの毒性の強い細菌が増殖します。
デンタルプラーク(歯垢)を放置すると歯周病や虫歯の原因になるばかりか口臭の原因ともなり、適切なプラークコントロールが求められます。
歯垢(プラーク)の形成過程
歯の表面にペリクルが付着
ペリクル(獲得皮膜)とは
エナメル質の表面に唾液由来のペリクルが付着します。ペリクルは、粘性が高い唾液由来の糖たんぱく質(アミノ酸は、グリシン、セリン、グルタミン酸など。 タンパク質はアミラーゼ、リゾチーム、IgAなど)が成分で、厚さは0.1~1μm前後の被膜と言えます。
ペリクルには微生物は含ず、粘性が高いので細菌や食べカスなどが吸着しやすい性質を持っています。歯磨きをしてペリクルが一旦除去されても数分で再付着してしまうものです。
つまり、ペリクルとバイオフィルムは根本的に違うものです。
ペリクルに善玉菌が付着し歯垢を形成
健全な歯垢形成
ペリクルに唾液成分に親和性のある善玉菌(S.sunguinis(旧称S.sunguis)、S.alivarius、S.oraris、S. mitis、S.gordoniiといったグラム陽性レンサ球菌群や乳酸菌)が付着しコロニーを形成し、増殖して健全な歯垢(プラーク)を形成します。
ここまでの歯垢形成過程で、適切にクリーニング(歯磨き)が行われれば歯周病菌などの悪玉菌(後期付着菌)群が定着することはなく、口腔内は健康は保たれると考えられます。
この間約3ヶ月で、健全なサイクルを維持するためにも歯科医院でのクリーニングは欠かせないと言えます。
口腔バイオフィルムの形成過程
善玉菌の上に悪玉菌が結合
健全な歯垢に歯周病菌などの悪玉菌が結合
エナメル質の表面に付着した初期定着新菌群(善玉菌)の上に歯周病菌などの後期定着菌群(悪玉菌)が結合し、バイオフィルムが出来る準備が整います。
厚みは3~200μm程度に成熟した歯垢(プラーク)は、細菌が約70%と菌体間基質が約30%で出来ています。
口腔バイオフィルムの形成
悪玉菌がバイオフィルムで覆われる
バイオフィルム内は悪玉菌(グラム陰性桿菌)や内毒素=LPS(lipopolysaccharide,リポ多糖)などで満たされ、毒性は強化されて口腔内へ放出されます。
歯周ポケット内部のバイオフィルムではLPSや細菌自体が毛細血管を介して動脈内に入り、動脈の内側を覆う内皮細胞を攻撃し動脈硬化・アテローム性プラークの形成に関与していることが分かっています。
バイオフィルムに市販のうがい薬などを使っても、バイオフィルム表面の脂肪酸などを蛋白変性させるだけで、かえって内部の細菌との接触を困難にします。
歯石の形成
歯垢が石灰化し歯石が出来る
磨き残しのある所には大量のプラーク(古い歯垢)があり、唾液中のカルシウムやリン酸を取り組み、石灰化を起こしていきます。これが歯石です。 時間の経過とともに歯石は石灰化が進み、固さを増していきます。同時に歯面や歯根に強固に付着して、歯ブラシでは除去出来ないようになります。
従って、歯垢(プラーク)と歯石はまったく異なるものです。
歯石が多く付きやすい場所は、下の前歯の裏側と上の奥歯の外側です。これはともに大唾液腺が開口する所にあたり、常に大量のカルシウムやリン酸が供給されている所だからです。
口腔バイオフィルム除去の最新技術:エアフローから3DSセラピーまで
機械的にバイオフィルムを除去する方法
エアフロー
アミノ酸の一種であるグリシンを主成分とした微粒子を歯面に吹き付けてミュータンス菌を除去します。
ポケットディプラーキング
歯周ポケット内のバイオフィルムを超音波スケーラーなどで破壊し、除去することをポケットディプラーキングといます。
化学的に口腔バイオフィルムを除去する方法
次亜塩素酸水
次亜塩素酸水のポイックウォーターでうがいすることで口腔バイオフィルムの破壊を行った後、バイオフィルム内部の細菌を殺菌します。
3DSセラピー
クロルヘキシジン(0.2%)配合ジェルをリテナーに注入し、ミュータンス菌や歯周病菌を殺菌します。
江戸川区篠崎で口腔バイオフィルムを除去したい方は当院へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、天然歯の保存にこだわります。まずは虫歯を自然治癒させることを目標とし、極力抜かない・削らない・痛みの少ない低侵襲な虫歯治療が基本です。
患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎で口腔バイオフィルムを除去したい方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。
【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。