リテーナー(保定装置)とは

  • リテーナー(保定装置)は、歯列矯正で整った歯並びの後戻りを防ぐ装置です。
  • 欠点はしゃべりにくい、嘔吐反射など。
  • トゥースポジショナー、ベッグタイプリテーナー、フィックスドリテーナーなどの種類があります。
  • 使用期間は動的治療期間と同じです。
  • 清潔にリテーナーを使うには義歯ブラシや洗浄剤が有効です。

リテーナーの役割とは?ー

歯列矯正後に必要な保定装置の重要性

歯列矯正は極めて弱い力を連続的にかけることで、歯の移動を無理なく行うものです。

徐々に歯を動かすことで歯槽骨と歯根との関係を壊さないようにすることは極めて重要なことです。

しかし、長い時間をかけて動かした歯は元の位置に戻ろうとする反応が起こります。もちろん、矯正前の状態まで戻るわけではありませんが、仮にリテーナーを付けなければ矯正で動かした量の半分くらいは戻ってしまうでしょう。この後戻りを防ぐ装置がリテーナー(保定装置)です。

矯正後に起こる歯の後戻りのスピードは、特に矯正装置を外した直後の頃が最も強く、数日間リテーナーを付けないだけでリテーナーがきつくなり入らなくなるほどです。

ベッグタイプリテーナーのメリット・デメリットを知ろう

ベッグタイプリテーナー
ベッグタイプリテーナー

ベッグタイプリテーナーとは

最も広く使われているリテーナーです。内側はレジンで作られ、外側のワイヤーで歯列を抑える構造になっています。

メリット

利点

 取り外し

患者さん自身で取り外しが出来るので、しっかりと洗うことによって清潔に保つことが出来ます。そのため虫歯や歯周病になりにくいのが利点です。

デメリット

欠点

ワイヤーが目立つ

前歯の前面を太いワイヤーが横断するような構造になっているため、会話をした時に目立ちます。審美的には決して良いものではありません。

残念ながらこの問題に対する対策はありません。

欠点

しゃべりにくい

上顎に使うリテーナーは、口蓋部分をレジンで覆っています。 そのため舌の動きを阻害します。舌の先端が口蓋に触れて発音する「さ行」「た行」「 な行」「ら行」などの発音がしづらくなります。

通常は一週間ほど使うと慣れてきますが、どうしても慣れない場合には強度が低下しない範囲で、最後部のレジンを少しだけ削除します。

欠点

嘔吐反射や吐き気

リテーナーを装着すると嘔吐反射や吐き気が出るという方が稀にいます。これは「しゃべりにくい」 原因とほぼ同じです。つまり上顎口蓋を被っているレジンが異物感となりこのような不快症状が出るわけです。

通常は徐々に慣れてきますが、どうしても使えないという方は、レジン部分を徐々に削除して異物感の減少を図ります。

注意点

point

 飲食

食事中はリテーナーを外すのは当然ですが、飲み物でも砂糖を多く含んだコーラやジュースなどは虫歯の原因になるのでリテーナーを装着したままでの飲用は控えて下さい。お茶やコーヒーなどは問題ありませんが、レジンは若干着色するのでしっかり洗浄して下さい。

point

 痛み

リテーナーの装着当初は歯茎に痛みが起こることがあります。もし、痛みが起こるような早めに来院してください。リテーナーの調整で痛みは治まります。

point

 紛失

リテーナーを紛失したり、不注意で壊したしまった場合の作り直しの費用は実費を頂きます。

point

 破損

リテーナーは正しい位置に装着されない状態で噛むと破損する危険性があります。 リテーナーを装着したらゆっくりと噛んで正しい位置に装着されているか確認してください。違和感がなければ大丈夫です。

使用方法

time

 時間

1日のリテーナーの使用時間は食事や歯磨きの時間を除いてすべて装着します。1年経過したら、夜だけの使用に切り替えるなど、徐々に使用時間を減らしていきます。

特にリテーナーの使用開始当初は1日数時間の使用では次に入れた時に入りづらくなることがあります。僅かの時間でも歯が後戻りしているのです。

特に保定開始初期にリテーナーを数日間全く使わないと完全に入らなくなってしまいます。動いた歯を元に戻す処置とリテーナーの再作成に別途費用がかかります。注意しましょう。

period

  期間

歯を動かす矯正治療期間が2年とすれば、リテーナーの使用期間も約2年です。リテーナーを装着して1年間は極めて重要です。歯が動いた直後の歯根周りの歯槽骨は完全に形成されていないからです。

2年経って保定装置を外すと僅かに後戻りすることもあるので、2年目以降は使用時間を徐々に減らすといった方法でフェードアウトしていくようにします。

interval

 調整間隔

リテーナーは脱着を繰り返すことでワイヤー部分が緩んできます。そのため定期的に通院して調整する必要があります。最初のうちは1ヶ月~2ヶ月に1回、余り変形が無いようなら4ヶ月に1回、6ヶ月に1回というふうに間隔を徐々に伸ばします。

洗浄方法

エラック義歯ブラシ

リテーナーの素材である合成樹脂は傷が付きやすいの、強くこすったり、歯磨き剤でこすったりしないでください。
エラック義歯ブラシで冷水下でリテーナーに付着した大きな汚れを洗い流します。

エラック義歯ブラシ
エラック義歯ブラシ
STEP
1

リテーナー・マウスピース用洗浄剤

矯正用リテーナー・マウスピース用洗浄剤のおすすめはポリデントの製品です。
研磨剤不配合のため、矯正用リテーナー・マウスピースを傷つけずに洗浄できます。
ニオイの原因菌、カビの一種を5分で99.9%※除去します。

リテーナー・マウスピース用洗浄剤
リテーナー・マウスピース用洗浄剤
STEP
2

洗浄剤に5分以上浸す

150ml程度のぬるま湯(約40℃)に、リテーナー用洗浄剤を1錠入れます。
5分以上洗浄液に浸し、洗浄液に浸した後は水でよくすすぎます。

洗浄剤に5分以上浸す
洗浄剤に5分以上浸す
STEP
3

リテーナーがきつくなるトラブル

付け方に問題があります。

片手でリテーナー脱着はNG
片手でリテーナー脱着はNG

リテーナーはかなり繊細な道具です。片手で脱着をするとワイヤーの変形が起こり、入りづらくなります。

両手でリテーナー脱着はOK
両手でリテーナー脱着はOK

リテーナーの両サイドに両手を添えて優しく脱着してください。そうすれば、変形は防げます。

固定式リテーナーの特徴とそのメリット・デメリット

固定式リテーナー

フィックスリテーナー
フィックスリテーナー

歯の裏側にワイヤーを接着

DBS(マルチブラケットワイヤー矯正)で歯を並べた後に歯を保定(固定)する装置で、主に下顎の前歯に使用しますが、ガタガタ度合いが強かった歯列の場合には上顎にも使います。

特に下顎前歯は歯の移動後凸凹になりやすいため、歯の裏側にワイヤーを接着剤で固定するフィックスリテーナーが多く使用されます。

利点

 メリット

患者さん自身での脱着の必要が無いのでワイヤーが外れない限り、患者さん自身の負担は少ないです。

また装置が小さいので違和感もほとんど出ません。

欠点

 デメリット

欠点としてはワイヤーの周りのプラークコントロールが不良となるため、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。そのため歯科医院での定期的なクリーニングが必要となります。

トゥースポジショナー

トゥースポジショナー
トゥースポジショナー

トゥースポジショナーとは

リテーナーの一種であるトゥースポジショナーは、上下一体となったマウスピース型の柔らかい材質で作られています。

マルチブラケット装置により所定の位置に動かされた歯を微調整することを目的とした装置です。さらに使い続けることで保定装置としての役割も果たします。

利点

 メリット

トゥースポジショナーは取り外し式なのでホワイトニングジェルを入れて歯を白くすることに使用することも出来ます。

欠点

 デメリット

欠点としては装置が大きく違和感や嘔吐反射が出るなど、症例によっては使用してもらえない場合もあります。また、痛みが出る場合もありますが、これは調整で治ります。

使用時間が短いと効果が出ません。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、矯正装置の見た目が気になるという方でも、審美性に配慮した目立たないマウスピース矯正装置をご用意しております。患者さま一人ひとりの口腔内状況を拝見した上でご要望をしっかりと聞き、痛みの少ない無理のない治療計画をご提案いたします。江戸川区篠崎にて矯正歯科をお探しの方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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