歯の正中線

  • 歯の正中線が合っていれば奥歯の噛み合わせは綺麗になります。
  • 正中線を合わせにはワイヤー矯正で顎間ゴムを使います。
  • 正中のずれの許容範囲は2mm以内と言えます。
  • 顔の中心と歯の正中を合わせることは必須ではありません。
  • 自力で正中線を合わせるのは不可能です。

歯の正中線のずれの治し方

顎間ゴムで正中線のずれを治す

顎間ゴム

正中線のズレは全ての歯にブラケットを装着して、ワイヤー矯正で治します。

動かしたい方向に向けて斜めに上下の歯に顎間ゴムをかけます。イラストでは右上第1大臼歯と右下の犬歯の間に顎間ゴムが入っています。片側だけではなく反対側にも顎間ゴムを入れます。

このように矯正医が関与しなければ正中のズレを治すことはできません。従って自分で正中のズレを治すことは不可能です。

正中線のずれの許容範囲

正中線のずれ
正中線のずれ

許容範囲は2mm以内

写真は、上下の歯列の正中に4ミリほどのズレがあります。 このずれは奥歯の噛み合わせに影響を与え、左右共に適切な噛み合わせになっていません。(写真では分かりません。)

正中線のズレはその部分だけの問題にとどまらないということです。ずれが大きいほどその歪みが奥歯の噛み合わせに影響を与えます。

従って正中線のずれの許容範囲は最大でも2mmということが出来ます。2mm以内であれば中心がずれたままでも一本一本の歯が少しずつずれを吸収することで、歯並びの問題は起こりにくくなります。

また、顔の中心と歯列の正中とのズレはまた別の問題です。

正中線のずれで起こる奥歯の噛み合わせ異常

約5mmの正中線のズレがある症例
約5mmの正中線のズレがある症例

正中線のズレは奥歯まで影響し、上下の歯はきちっと噛み合っていません。

約6mmの正中線のズレがある症例
約6mmの正中線のズレがある症例

向かって右側の犬歯、小臼歯、大臼歯全ての上下の歯が噛み合っていません。

よくある質問

Q&A

質問

 顎関節症の治療の為、矯正歯科治療をしています。

現在、顎関節症の治療の為、矯正歯科治療をしています。 今回、不安を感じている事がありまして、ご相談があります。

現在通っている先生の診断の下、矯正治療を始めて一年半経ちある程度並んできたのですが、まだ不定愁訴改善(関節が痛いなど)への手応えを感じていないので不安を感じています。 で、気付いたことがありました。

上の歯の正中が顔の中心ライン(鼻、鼻下筋など)より3~4mm程度、左にずれている事に気付きました。 このずれは矯正前の写真から判断して以前からずれていたと思われます。 顔自体も左に歪んでいます。 下顎の位置は上の歯の正中を基準と考えている為、下顎も顔の中心ラインより左にずれる事になります。

先生にこのずれを指摘して、上の歯の正中を顔の中心ラインに合わせた方が良いのではと尋ねた所、貴方の上あごの歯の正中はこの位置で問題ありませんと言われました。

患者の立場からすると、顔の中心ラインに正中を合わせた方が良いのではと感じてしまうのですが。

現在の不定愁訴

  • 右側の側頭筋~首筋~肩にかけての痛み、突っ張り感。(常時)
  • 右顔の表情がとれない。
  • 症状の程度は、日常生活、仕事にかなりの支障があり、かなり辛い。
  • 口を開閉すると、顎のクリック音はしますが、顎自体に痛みは無く、普通に開く。


    質問内容
  • ① 上顎の正中を顔の中心ラインに合わせるべきなのか否か。またそれが技術的に可能なのかどうか。(骨格的に歪んでしまっている場合は)
  • ② 上顎が顔の中心ラインより左にずれている状態だとした場合、下顎の位置はどこに設定するべきなのか。
  • ③ 正しい正中の位置の確認の仕方は。

回答

 ①の回答

簡単に上の歯の正中を顔の中心ライン合わせることが出来るのであれば、行った方がよいでしょうけれど、技術的にはマルチブラケットによる矯正歯科治療だけでは不可能でしょう。

一般的に上下歯列の正中の不一致を合わせることは顎間ゴムを使えば出来ますが、すでに正中がそろっている歯列を顔の中心ライン(鼻、鼻下筋などの中心)に合わせるために、ワイヤー矯正で上顎・下顎同時にどちらか片側に動かすことは固定源が無いので出来ません。

外科矯正(上下の顎の骨を切断し、左右にずらした後に矯正歯科治療を行う)を行うと可能ですが、質問者の場合、無意味な事です。

また、ヘッドギアを使って上顎の正中を片側に動かし、その後に下顎の正中を上顎の正中に合わせるという事も可能ですが、同様です。

 ②の回答

上顎が顔の中心ラインより左にずれている状態だとした場合、下顎の位置はそのずれた状態の上顎に合わせます。

 ③の回答

前後方向のセファロレントゲン写真の分析により脳頭蓋(頭の骨)に対しての上顎骨、下顎骨の左右的な位置関係を診断できます。つまり、歯の正中を決める基準は頭蓋骨となります。

 補足

顎関節症は自然治癒する疾患であることが近年は分かってきています。以前は顎関節症の治療を矯正で行う試みがしばしばありましたが、現在では余り行われなくなっています。同様に、顎関節の外科的整復やスプリント治療なども行われなくなってきております。

顎関節症の主たる原因はTCH(歯牙接触癖)にあるのではないかという学説が主流になりつつあります。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、矯正装置の見た目が気になるという方でも、審美性に配慮した目立たないマウスピース矯正装置をご用意しております。患者さま一人ひとりの口腔内状況を拝見した上でご要望をしっかりと聞き、痛みの少ない無理のない治療計画をご提案いたします。江戸川区篠崎にて歯の正中線のずれの治療をご検討の方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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