目次

矯正治療によってきれいに整えた歯並びは、矯正装置を外した直後から完全に安定しているわけではありません。

矯正治療で移動した歯は、周囲の骨や歯ぐきなどの組織が新しい位置になじむまで時間がかかるため、元の位置へ戻ろうとする「後戻り」が起こることがあります。

この後戻りをできるだけ防ぎ、整えた歯並びを安定させるために使用する装置が**リテーナー(保定装置)**です。

矯正治療は、歯を動かして矯正装置を外したら終わりというわけではありません。その後の「保定」も、治療によって得られた歯並びを維持するための大切な期間です。

この記事では、リテーナーが必要な理由や種類、使用期間、お手入れ方法、使用中に起こりやすいトラブルについてわかりやすく解説します。

リテーナーとは

リテーナーとは、矯正治療によって移動させた歯を新しい位置に安定させるための装置です。

「保定装置」とも呼ばれ、矯正装置を外した後に使用します。

矯正治療後の歯は、周囲の組織がまだ安定していないため、そのままにしておくと少しずつ動く可能性があります。

リテーナーを適切に使用することで歯の位置を保ち、矯正治療によって整えた歯並びを維持しやすくします。

歯の周囲の組織が安定するまで時間がかかる

矯正治療では、歯に持続的な力を加え、歯を支えている歯槽骨などを変化させながら歯を少しずつ移動させます。

矯正装置を外した直後は、歯の周囲の骨や歯根膜などが新しい位置に十分なじんでいません。

そのため、矯正治療終了後は特に歯が動きやすく、リテーナーを使用して歯の位置を安定させることが重要です。

歯並びは矯正後も変化することがある

歯並びは一度整えれば、その状態が生涯まったく変化しないわけではありません。

加齢による変化のほか、咬み合わせや舌・唇の癖、歯ぎしり・食いしばりなど、さまざまな要因によって歯の位置が変化することがあります。

特に、

  • 矯正前の歯並びの乱れが大きかった
  • 抜歯を伴う矯正治療を行った
  • 舌で歯を押すなどの癖がある
  • 歯ぎしりや食いしばりがある

といった場合には、歯並びの状態を確認しながら長期的な保定が必要になることがあります。

リテーナーにはいくつかの種類があります。

歯並びや咬み合わせ、矯正治療の内容、患者さんの生活スタイルなどを考慮して選択します。

固定式リテーナー

固定式リテーナーは、主に前歯の裏側に細いワイヤーを接着して固定するタイプの保定装置です。

患者さん自身で取り外す必要がないため、装着を忘れる心配がありません。また、歯の裏側に装着するため、正面からは比較的目立ちにくいという特徴があります。

固定式リテーナー
固定式リテーナー

メリット

  • 装着を忘れる心配がない
  • 正面から目立ちにくい
  • 前歯の位置を継続的に保ちやすい

注意点

  • ワイヤー周辺に汚れがたまりやすい
  • 歯磨きやフロスに工夫が必要
  • ワイヤーが外れたり変形したりすることがある
  • 定期的なチェックが必要

固定式リテーナーを使用している場合は、ワイヤー周辺を特に丁寧に清掃しましょう。

取り外し式リテーナー

患者さん自身で着脱できるタイプのリテーナーです。

食事や歯磨きの際に取り外せるため、お口の中を清潔に保ちやすいというメリットがあります。

一方で、決められた時間きちんと装着することが重要です。

ワイヤー式(ベッグタイプリテーナー)
ワイヤー式(ベッグタイプリテーナー)
取り外し式リテーナー正面:ワイヤーが目立つ
取り外し式リテーナー正面:ワイヤーが目立つ

ワイヤー式リテーナー

歯の表側にワイヤーが通り、歯列を支えるタイプのリテーナーです。

調整しやすく、比較的耐久性があることが特徴です。

特徴

  • 歯列に合わせて調整しやすい
  • 比較的丈夫
  • 取り外して清掃できる

ワイヤーが前歯の表側を通るため、装着時に見えることがあります。

マウスピース型リテーナー

透明な樹脂で歯列全体を覆うタイプのリテーナーです。

透明で目立ちにくく、比較的違和感が少ないことから、見た目を気にする方にも使用しやすい装置です。

特徴

  • 透明で目立ちにくい
  • 歯列全体を覆って保定できる
  • 取り外して清掃できる

一方、使用状況によっては摩耗や変色、ひび割れ、変形などが起こることがあります。

トゥースポジショナー

トゥースポジショナーは、弾力のある素材で作られた上下一体型の装置です。

矯正治療後の保定に加えて、症例によっては歯の位置や咬み合わせの微調整を目的として使用することがあります。

すべての患者さんに使用する装置ではなく、歯並びや治療内容に応じて選択されます。

リテーナーの使用期間や1日の装着時間は、矯正治療の内容や歯並びの状態によって異なります。

そのため、自己判断で装着時間を減らしたり、使用を中止したりしないことが大切です。

矯正治療終了直後

矯正装置を外した直後は、特に歯が動きやすい時期です。

取り外し式リテーナーの場合、治療直後は食事や歯磨きの時間を除いて、できるだけ長時間装着するよう指示されることがあります。

装着時間については、担当の歯科医師の指示に従いましょう。

歯並びが安定してきたら

歯並びが安定してきたことを確認しながら、徐々に装着時間を短くし、就寝時を中心とした使用へ移行することがあります。

ただし、歯並びは年齢とともに変化する可能性があるため、矯正治療終了から一定期間が経過したからといって、必ずリテーナーが不要になるとは限りません。

きれいな歯並びを長く維持するため、長期的な使用をおすすめする場合もあります。

取り外し式リテーナーは毎日お口の中に装着するため、清潔に保つことが大切です。

リテーナーのお手入れ方法

毎日やさしく洗う

取り外したリテーナーは、水やぬるま湯で洗い、必要に応じて柔らかいブラシでやさしく汚れを落とします。

熱いお湯を使用すると、装置の素材によっては変形する可能性があるため注意してください。

また、研磨剤を含む歯磨き粉で強く磨くと、装置の表面に細かな傷がつくことがあります。

装置の種類によって適切なお手入れ方法が異なるため、歯科医院から説明された方法に従いましょう。

リテーナー用洗浄剤を使用する

装置の種類によっては、リテーナーや矯正装置に対応した専用洗浄剤を使用することもできます。

洗浄剤を使用する場合は、製品の使用方法や使用できる装置の種類を確認してください。

リテーナーを装着すると痛い

リテーナーを使い始めた直後には、締めつけられるような感覚や軽い圧迫感を感じることがあります。

また、しばらく装着していなかった場合、歯が少し移動してリテーナーがきつく感じることもあります。

ただし、

  • 強い痛みが続く
  • リテーナーが最後まで入らない
  • リテーナーが浮いてしまう
  • 歯ぐきや粘膜に強く当たる
  • 装着すると明らかな違和感がある

といった場合は、無理に使用せず歯科医院へ相談してください。

リテーナーを紛失した

リテーナーを紛失した場合は、そのまま長期間放置せず、できるだけ早めに歯科医院へ相談しましょう。

時間が経つと歯が移動し、これまで使用していたリテーナーと同じものが合わなくなる可能性があります。

特に、食事の際にリテーナーをティッシュやナプキンに包み、そのまま捨ててしまうケースがあります。

取り外した際は、必ず専用ケースに入れる習慣をつけましょう。

リテーナーが割れた・変形した

リテーナーにひびが入ったり、ワイヤーが変形したりした場合は、自己判断で修理しないでください。

接着剤で補修したりワイヤーを自分で曲げたりすると、装置が正しく機能しなくなるだけでなく、歯に意図しない力が加わる可能性があります。

破損や変形に気づいた場合は、使用を続けてよいか歯科医院に確認しましょう。

リテーナーが急に入らなくなった

これまで問題なく使用できていたリテーナーが急に入らなくなった場合は、歯が移動している可能性があります。

無理に押し込むのではなく、早めに歯科医院で歯並びとリテーナーの状態を確認することが大切です。

指示された時間を守ってリテーナーを使用する

取り外し式リテーナーは、装着時間が不足すると十分な保定効果が得られない可能性があります。

「もう歯並びが安定したから大丈夫」と自己判断せず、歯科医師の指示に従って使用しましょう。

お口の癖にも注意する

歯には日常生活の中でもさまざまな力が加わっています。

たとえば、

  • 舌で前歯を押す
  • 唇を噛む
  • 頬杖をつく
  • 爪やペンなどを噛む
  • 歯ぎしりや食いしばり

といった癖は、歯並びや咬み合わせに影響する可能性があります。

必要に応じて、こうした習慣についても歯科医師に相談しましょう。

虫歯・歯周病を予防する

矯正後のきれいな歯並びを維持するためには、リテーナーだけでなく、お口全体を健康に保つことも大切です。

毎日の歯磨きに加え、デンタルフロスや歯間ブラシなどを適切に使用し、定期的に歯科医院でチェックを受けましょう。

固定式リテーナーの場合は、特にワイヤー周辺にプラークや歯石が付着しやすいため、丁寧なケアが必要です。

リテーナーは一度作製すれば、その後ずっと同じ状態で使い続けられるとは限りません。

使用しているうちに、

  • ワイヤーが外れる
  • 樹脂がすり減る
  • ひびや変形が生じる
  • 歯並びが少し変化する
  • 咬み合わせが変化する

といったことがあります。

自分では問題がないように感じていても、装置が正しく機能しているか定期的に確認することが大切です。

リテーナーは、矯正治療によって整えた歯並びを安定させ、後戻りをできるだけ防ぐための大切な保定装置です。

矯正装置を外した直後は、歯の周囲の組織がまだ十分に安定していないため、特に適切な保定が重要になります。

また、歯並びは加齢や咬み合わせ、生活習慣などによっても少しずつ変化することがあります。そのため、リテーナーの使用期間や装着時間は自己判断せず、歯科医師の指示に従うことが大切です。

「リテーナーがきつくなった」「入らなくなった」「割れてしまった」「しばらく使っていなかった」「歯並びが戻ってきた気がする」といった場合は、無理に使用したり放置したりせず、早めに歯科医院へ相談しましょう。

関連記事

矯正歯科
矯正治療の流れ|初診相談から治療終了・保定まで
矯正治療の流れ|初診相談から治療終了・保定までをわかりやすく解説
矯正歯科
綺麗な歯並びの条件とは?歯並びが悪くなる原因と矯正治療
綺麗な歯並びの条件とは?歯並びが悪くなる原因と矯正治療New!!
矯正歯科
マウスピース矯正とは?メリット・デメリット、費用や治療の流れ
マウスピース矯正とは?メリット・デメリット、費用や治療の流れNew!!
江戸川区篠崎で矯正治療後の歯並びを守りたい方へ|リテーナー(保定装置)は治療成功の鍵です

リテーナーが合わない・痛い・壊れた・装着できなくなったなど、気になることはありませんか?せっかく整えた歯並びを長く維持するためには、リテーナーの適切な使用と定期的なチェックが大切です。

歯並びや咬み合わせ、リテーナーの状態を確認し、一人ひとりに合った保定方法をご提案します。リテーナーの使い方や定期メンテナンスについてもお気軽にご相談ください。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!