- 1. 重度歯周病治療後の歯肉退縮とプラークコントロールによる長期安定症例
- 1.1. 歯周病治療後に歯が長く見えるのはなぜ?
- 1.2. 正面観
- 1.2.1. 重度歯周病治療後の口腔内所見
- 1.3. 右側面観・左側面観
- 1.3.1. 上顎臼歯部の歯肉退縮と歯根面露出
- 1.3.2. 上顎臼歯部のT-FIXによる暫間固定
- 1.4. 上顎咬合面観
- 1.4.1. 臼歯部動揺に対するワイヤー併用暫間固定
- 1.5. 下顎咬合面観
- 1.5.1. 前歯部のみの暫間固定
- 2. 良好なプラークコントロールが歯を守る
- 3. まとめ
- 4. 江戸川区篠崎で重度歯周病治療後の歯ぐきの下がりが気になる方へ
- 5. 筆者・院長
- 5.1. 深沢 一
- 5.1.1. メッセージ

重度歯周病の治療後、「歯ぐきが下がった」「歯が以前より長くなったように見える」と感じる患者さんは少なくありません。しかし、これは必ずしも歯周病が悪化したわけではなく、炎症が改善した結果として現れる正常な変化であることが多くあります。
今回ご紹介する症例では、重度歯周病に対する治療後、歯肉退縮が認められるものの、良好なプラークコントロールと暫間固定により安定した歯周組織を維持しています。
重度歯周病治療後の歯肉退縮とプラークコントロールによる長期安定症例
歯周病治療後に歯が長く見えるのはなぜ?

歯周病が進行すると、歯ぐきには慢性的な炎症が起こり、発赤や腫脹が生じます。
歯周治療によって炎症が改善すると、
- 腫れていた歯ぐきが引き締まる
- 歯周ポケットが浅くなる
- 歯根面が露出する
といった変化が起こります。
特に重度歯周病では歯槽骨の吸収が大きいため、炎症が消失すると歯肉退縮が目立ち、歯が長く見えるようになります。
これは歯周病治療が成功し、歯ぐきが健康な状態へ回復した証拠でもあります。
正面観
重度歯周病治療後の口腔内所見

正面観では全体的に歯肉退縮が認められます。
歯周病治療により歯ぐきの腫れが改善した結果、歯根面の露出が明瞭になっています。しかし、歯肉の発赤や腫脹は認められず、歯周組織は安定した状態です。
また、歯面へのプラーク付着は少なく、患者さんが日常的に良好なセルフケアを継続していることが確認できます。
下顎前歯部では歯周病による骨吸収の影響で動揺が認められたため、スーパーボンドを用いた暫間固定を行い、咬合時の負担軽減と歯の保存を図っています。
右側面観・左側面観
上顎臼歯部の歯肉退縮と歯根面露出


側面観では上顎臼歯部に著しい歯肉退縮が認められます。
歯周病により歯槽骨が大きく失われた部位では、治療後に歯根面が露出しやすくなります。写真でも歯根面の露出が明瞭に確認でき、歯周病による組織破壊の大きさがうかがえます。
一方で、歯肉の色調は健康的で、炎症所見は認められません。
現在は適切なプラークコントロールが維持されており、歯周病の活動性は低く、安定した経過を示しています。
上顎臼歯部のT-FIXによる暫間固定
上顎臼歯部では歯槽骨吸収が高度であり、歯の動揺が認められたためT-FIXによる暫間固定を行っています。
暫間固定には、
- 動揺の軽減
- 咬合力の分散
- 歯周組織の安静維持
- 咀嚼機能の改善
といった効果があります。
重度歯周病では、歯を抜かずに保存するための重要な補助療法のひとつです。
上顎咬合面観
臼歯部動揺に対するワイヤー併用暫間固定

上顎咬合面観では、左右の臼歯部にワイヤーを用いた固定装置が確認できます。
この症例では、歯槽骨吸収による支持組織の減少によって臼歯部の動揺が生じていました。
そこで、咬合面側からワイヤーを配置し、スーパーボンドで固定することで、
- 咬合力を複数歯へ分散
- 個々の歯への負担軽減
- 歯周組織の保護
を行っています。
固定後は咀嚼時の安定性が向上し、患者さんの日常生活における不快感も軽減されています。
下顎咬合面観
前歯部のみの暫間固定

下顎咬合面観では、前歯部に限局した暫間固定が認められます。
下顎では上顎ほど骨吸収が進行しておらず、臼歯部の支持組織は比較的良好に保たれていました。
そのため、
- 動揺が認められる前歯部のみ固定
- 臼歯部は固定不要
- 咬合バランスを維持
という方針で管理しています。
現在は歯周組織も安定しており、継続的なメインテナンスによって良好な状態が維持されています。
良好なプラークコントロールが歯を守る
重度歯周病は治療終了後も再発リスクが残る慢性疾患です。
そのため長期安定には、
- 正しいブラッシング
- 歯間ブラシやフロスの活用
- 定期的な歯科クリーニング
- SPT(歯周病安定期治療)
が欠かせません。
本症例では、患者さん自身のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアによって、良好なプラークコントロールが維持されています。
まとめ
重度歯周病治療後に歯ぐきが下がり、歯が長く見えるようになるのは、炎症が改善して歯肉が健康な状態へ回復した結果です。
本症例では、
- 歯肉退縮による歯根面露出
- 良好なプラークコントロール
- 上顎臼歯部のT-FIX固定
- ワイヤー併用暫間固定
- 下顎前歯部の部分固定
によって歯周組織の安定が維持されています。
重度歯周病であっても、適切な治療と継続的なメインテナンスを行うことで、多くの歯を長期間保存できる可能性があります。歯ぐきが下がったからといって悲観する必要はなく、その後の管理こそが歯を守る最も重要なポイントです。
江戸川区篠崎で重度歯周病治療後の歯ぐきの下がりが気になる方へ

「歯周病治療をしたら歯が長くなった気がする」「歯ぐきが下がって心配」という方は少なくありません。
重度歯周病では、治療によって炎症が改善すると腫れていた歯ぐきが引き締まり、歯肉退縮や歯根面の露出が目立つようになります。これは歯周病が改善した結果として現れることが多く、必ずしも悪化を意味するものではありません。
江戸川区篠崎で歯周病治療に力を入れている当院では、歯周基本治療からメインテナンスまで一貫して行い、歯をできるだけ長く残すことを目指しています。重度歯周病による歯の動揺に対しては暫間固定を併用しながら、適切なプラークコントロールと定期的なクリーニングによって歯周組織の安定維持をサポートします。
「歯ぐきが下がった」「歯がグラグラする」「歯周病を繰り返している」とお悩みの方は、早めのご相談をおすすめします。歯周病は治療後のメインテナンスが将来の歯の寿命を大きく左右します。江戸川区篠崎で歯周病治療や予防管理をご検討の方はぜひご相談ください。
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。


