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血管迷走神経反射(けっかんめいそうしんけいはんしゃ)とは、強い緊張や痛み、不安などがきっかけで自律神経のバランスが乱れ、血圧や脈拍が急に下がってしまう反応のことです。その結果、めまいや吐き気、気分の悪さを感じたり、**一時的に意識を失う(失神する)**こともあります。

※ 以前は、三叉迷走神経反射、デンタルショック 、疼痛性ショックなどと呼ばれていたものが血管迷走神経反射に統一されました。

血管迷走神経反射とは?
血管迷走神経反射とは?

🧬 ストレス・痛み・緊張が引き金に

歯科治療では、「注射が怖い」「削る音が苦手」「治療に対する不安が強い」など、さまざまなストレスがかかります。こうした緊張や不安、痛みが引き金となり、血管迷走神経反射が起こることがあります。

🌀 めまい・冷や汗・気分不良

治療中や治療が終わった直後に、ふわっとしためまい冷や汗吐き気や気分の悪さを感じることがあります。これは血圧や脈拍が一時的に下がることで起こる自然な反応です。

😵 意識が遠のく・失神するケースも

さらに症状が強くなると、目の前が暗くなったり、意識が遠のいたりすることもあります。まれに短時間の失神を伴うこともありますが、多くの場合は数分で自然に回復します。

🛑 こんなときは注意!歯科での誘因とは

注射や抜歯で気を失いそうに?
注射や抜歯で気を失いそうに?

💉 麻酔注射・抜歯・採血など

注射の針を刺す瞬間や出血を目にしたときなどに、血管迷走神経反射が起こることがあります。痛みそのものよりも、「これから何かされる」という緊張や恐怖心が大きなきっかけになります。

🪥 歯周ポケットの処置中

歯ぐきの奥を触るような処置では、見えない場所で行われることへの不安や違和感から、緊張が高まり反射が起こる場合があります。

😷 治療への強い不安・過去のトラウマ

過去に痛い治療やつらい経験をした方は、「また同じことが起こるかも」という気持ちが反応を引き起こす原因になります。心のストレスも、体に大きく影響します。

💡 歯科医院でできる対策

🧘‍♀️① 治療を中断し、水平位+下肢挙上の体位をとる

  • 反射が疑われた場合、すぐに治療を中断します。
  • 患者さんを水平位(仰向け)に寝かせ、下肢を30cmほど上げるようにします(枕やクッションを使用)。
  • この体位により、足から心臓・脳への血流が改善し、意識回復を促します。
 治療を中断し、水平位+下肢挙上の体位をとる
治療を中断し、水平位+下肢挙上の体位をとる

🧘‍♀️② バイタルサインを観察する

  • **血圧・脈拍・酸素飽和度(SpO₂)**をモニターし、状態を観察します。
  • 多くの場合、この体位で数分以内に自然回復が見られます。

🧘‍♀️③ 意識消失時の追加対応

  • 患者が失神や重度の徐脈を伴う場合には、以下の対応を行います:
    • 酸素投与(マスクまたは鼻カニューレ)
    • アトロピン硫酸塩注0.5mgを静脈注射または筋肉注射
      (※副交感神経を遮断し、徐脈や血圧低下を改善する作用があります)

🚑 ④ 意識が戻らない場合は医療機関へ

ごくまれに、症状が長引いたり意識が戻らない場合があります。そのようなときも、当歯科医院ではすぐに医療機関へ連携できる体制が整っているため、安心して治療を受けていただけます。

🧍‍♀️ 患者さん自身ができる予防法

🚰 治療前は水分補給を

治療前にコップ一杯の水を飲んでおくことで、血圧の急な低下を防ぎやすくなります。とくに緊張しやすい方にはおすすめです。

治療前は水分補給
治療前は水分補給

🍽 空腹状態を避ける

お腹が空いていると低血糖になりやすく、反射が起こりやすくなります。治療の前には、軽く何か食べておくと安心です(ただし食後すぐの治療の場合は歯科医院に確認しましょう)。

🗣 不安があれば遠慮なく伝える

以前に気分が悪くなったことがある」「緊張しやすい」などの情報は、遠慮せずスタッフにお伝えください。事前にわかっていれば、医院側でもしっかり対応できます。

① 両者とも「血圧低下」が共通の症状

  • アナフィラキシーショック血管迷走神経反射は、いずれも急激な血圧低下や意識消失を引き起こすことがあるため、症状だけでは見分けがつきにくい場合があります。

② 鑑別が必要な理由

  • 対応や治療が異なるため、正確な鑑別が非常に重要です。
    • アナフィラキシー:アドレナリン投与が必須の緊急事態
    • 血管迷走神経反射:体位変換や経過観察で自然回復することが多い

③ 状況・誘因・皮膚症状に注目する

鑑別の手がかりとして以下の点を確認しましょう:

判別ポイントアナフィラキシー血管迷走神経反射
誘因薬剤、麻酔、食物注射、痛み、緊張
発症速度数分以内に急激比較的ゆっくり
皮膚症状発疹、かゆみ、蕁麻疹なしが多い
呼吸器症状喉の閉塞感、喘鳴通常なし

血管迷走神経反射は、誰にでも起こりうる自然な体の反応です。命に関わるものではなく、歯科医院が適切に対応することで安全に治療を受けることができます

「以前、治療中に気分が悪くなったことがある」「緊張して治療に不安がある」という方は、どうか一人で悩まずに、事前にスタッフへご相談ください。あらかじめ共有していただくことで、無理のないペースで、安心して治療を進めることが可能になります

どんな小さなことでも構いません。気になることがあれば、いつでもお気軽にお話しくださいね。

江戸川区篠崎で、緊張しやすい方も安心して通える歯科医院をお探しの方へ。

当院では、歯科治療中に起こりやすい**「血管迷走神経反射」への対応体制をしっかり整えています**。
「治療中に気分が悪くなったことがある」「注射が苦手」「緊張しやすい」といった方も、どうかご安心ください。

カウンセリングを大切にし、お一人おひとりの状態に合わせて無理のない治療を心がけております。
江戸川区篠崎で、安心して通える歯科医院をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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