上顎の前歯を失うと、見た目だけでなく、食べ物を噛み切ることや発音などに影響することがあります。特に前歯は会話や笑顔の際に見えやすいため、欠損の範囲によっては日常生活にも影響を及ぼします。

今回は、上顎前歯部が広範囲に欠損し、左右の側切歯(2番)が残存していた患者様に、**保険適用のレジン床義歯(部分入れ歯)**を製作した症例をご紹介します。

初診時には、上顎前歯部の多くが失われ、左右の側切歯(2番)が残存している状態でした。

上顎前歯部が広範囲に欠損している治療前の状態です。

上顎前歯が大きく欠損し、左右の上顎側切歯(2番)のみが残存している状態。義歯装着前のため、咀嚼・発音・審美に影響が出ている口腔内です。
上顎前歯が大きく欠損し、左右の上顎側切歯(2番)のみが残存している状態。義歯装着前のため、咀嚼・発音・審美に影響が出ている口腔内です。
上顎の残存歯は左右2番のみで、広い無歯顎部が確認される状態。レジン床義歯を装着する前の上顎粘膜と歯の配置を示しています。

前歯を広範囲に失うと、状態によっては、

  • 前歯で食べ物を噛み切りにくい
  • 発音しにくい音が生じる
  • 見た目が気になる
  • 口唇の支えが変化する

などの問題が生じることがあります。

欠損している歯の本数や位置、残っている歯の状態などを確認したうえで、治療方法を検討します。

本症例では、残存歯や顎堤などの状態を確認し、保険診療によるレジン床義歯(部分入れ歯)を製作しました。

上顎にレジン床義歯を装着した状態。残存している上顎の両側切歯を支台として、前歯部の見た目と噛む機能が改善されています。
上顎にレジン床義歯を装着した状態。残存している上顎の両側切歯を支台として、前歯部の見た目と噛む機能が改善されています。
レジン床義歯の上顎咬合面観。左右の歯にワイヤークラスプ(矢印)がかかり、義歯をしっかりと保持・安定させる構造が確認できます。
レジン床義歯の上顎咬合面観。左右の歯にワイヤークラスプ(矢印)がかかり、義歯をしっかりと保持・安定させる構造が確認できます。

上顎にレジン床義歯を装着し、欠損していた前歯部を補った状態です。

残存歯にクラスプ(留め具)をかけ、義歯の維持・安定を図っています。

義歯を装着することで失われていた前歯部が補われ、前歯部の形態や噛み切る機能などの回復を図りました。

義歯の装着後は、噛み合わせや粘膜への当たり、義歯の安定性などを確認し、必要に応じて調整を行います。

レジン床義歯の構造と特徴

保険診療で製作する部分入れ歯では、一般的にレジン(歯科用樹脂)で作られた義歯床と人工歯、義歯を維持するためのクラスプなどが用いられます。

クラスプには、残存歯にかけることで、義歯が外れたり浮き上がったりするのを抑える役割があります。

ただし、部分入れ歯の安定にはクラスプだけでなく、残存歯の状態、欠損部の範囲、顎堤や粘膜の状態、噛み合わせ、義歯の設計など、さまざまな要素が関係します。

特に欠損している歯が多い場合には、残っている歯や粘膜への負担にも配慮しながら義歯を設計することが重要です。

費用を抑えて歯を補える

保険診療の適用条件を満たす場合、患者様の費用負担を抑えて欠損した歯を補うことができます。

幅広い欠損に対応できる

部分的に歯を失ったケースから多数の歯を失ったケースまで、お口の状態に応じて適用を検討できます。

ただし、残存歯や顎堤、噛み合わせなどの状態によって適した治療方法は異なります。

修理や調整に対応しやすい

レジン床義歯は、破損や口腔内の変化などに応じて、修理や人工歯の追加などに対応できる場合があります。

ただし、義歯の状態や設計によっては修理が難しく、新たに製作が必要になることもあります。

義歯床にある程度の厚みが必要

レジン床義歯は、必要な強度を確保するために義歯床に一定の厚みが必要です。

そのため、装着当初は異物感や話しにくさなどを感じることがあります。

金属のクラスプが見える場合がある

保険の部分入れ歯では、残存歯に金属製のクラスプを使用することがあります。

クラスプの位置によっては、笑ったときや会話の際に金属部分が見えることがあります。

慣れるまで時間がかかることがある

入れ歯を初めて使用する場合には、異物感や噛みにくさ、発音のしにくさなどを感じることがあります。

使用しながら必要な調整を行い、徐々に慣れていくことが一般的です。

保険の部分入れ歯以外にも、口腔内の状態や希望によって自費診療の義歯を検討できる場合があります。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは、一般的な部分入れ歯で使用する金属製のクラスプを目立つ部分に使用しない義歯です。

金属の留め具が見えにくいため、審美性を重視する方に選択されることがあります。

ただし、すべての症例に適しているわけではなく、欠損の範囲や残存歯、噛み合わせなどによって適応が異なります。

金属床義歯

金属床義歯は、義歯床の主要部分に金属を使用した入れ歯です。

レジン床義歯と比較して床を薄く設計しやすく、熱が伝わりやすいことなどが特徴です。

一方で自費診療となり、口腔内の状態によっては適応できない場合があります。

部分入れ歯は、製作して終わりではありません。

使用している間に、顎堤や粘膜の状態、残存歯、噛み合わせなどが変化し、義歯が合わなくなることがあります。

特にクラスプがかかる歯は汚れが残りやすくなる場合があるため、毎日の歯磨きと義歯の清掃が重要です。

また、

  • 入れ歯が外れやすくなった
  • 噛むと痛い
  • 粘膜に当たって痛い
  • クラスプが緩くなった
  • 入れ歯が割れた・欠けた

などの症状がある場合は、ご自身で調整せず歯科医院にご相談ください。

定期的に義歯と残存歯の状態を確認することが、入れ歯を安定して使用し、残っている歯を守ることにつながります。

上顎前歯を広範囲に失うと、見た目だけでなく、食べ物を噛み切る機能や発音、口唇の支えなどに影響することがあります。

今回の症例では、上顎前歯部の欠損に対して、保険適用のレジン床義歯(部分入れ歯)を製作し、失われた前歯部の形態と機能の回復を図りました。

保険の部分入れ歯は、費用を抑えながら失った歯を補う治療方法の一つです。

一方、見た目や装着感などを重視する場合には、口腔内の状態によってノンクラスプデンチャーや金属床義歯などを検討できる場合もあります。

適した治療方法は、失った歯の本数や位置、残存歯、顎堤、噛み合わせ、全身状態、ご希望などによって異なります。

前歯を失って「見た目が気になる」「食べ物を噛み切りにくい」とお悩みの方は、歯科医院でご相談ください。

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前歯の欠損は、見た目だけでなく、食べ物の噛み切りにくさや発音にも影響することがあります。お口の状態やご希望を確認し、保険の部分入れ歯をはじめ、適した治療方法をご提案します。

前歯の欠損でお悩みの方は、江戸川区篠崎の当歯科医院へお気軽にご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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