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ご飯を食べているときや、ふとした瞬間に頬の内側を噛んでしまった経験はありませんか?
一度ならまだしも、何度も同じ場所を噛んでしまう、寝ている間に噛んでしまう、噛んだところが白く跡になっている――そんなお悩みを抱えている方も多いはずです。

実はこの症状、ストレスや無意識の癖、噛み合わせの乱れなど、さまざまな原因が関係していることがあります。さらに、繰り返すことで炎症や粘膜の病変につながる恐れもあるため、放置はNGです。

この記事では、頬の内側を噛んでしまう原因やセルフチェック方法、歯科医院での治療法、再発を防ぐトレーニングまで、わかりやすく解説します。
「また噛んだ…」を卒業したいあなたへ、正しい対処法をお届けします。

頬の内側を何度も噛んでしまうのは、一時的な不注意だけではありません。実は、口腔環境や身体的・精神的な要因が複雑に絡んでいることが多いのです。以下で主な原因を詳しく解説します。

頬の内側を繰り返し噛む
頬の内側を繰り返し噛む

🧠 無意識の癖やストレスが影響している?

仕事や人間関係のストレスが溜まっていると、知らず知らずのうちに食いしばりや歯ぎしりといった無意識の癖が現れることがあります。これらの習慣により、頬の内側を噛みやすくなることがあります。

特に、睡眠中に頬を噛んでいる人はストレス反応によって筋肉が緊張し、歯の位置がズレて噛み込むことが原因と考えられます。

🦷 噛み合わせ・歯並びの乱れによるもの

上下の歯の接触が正しくない「不正咬合」や、歯並びのズレは頬の粘膜を巻き込みやすく、繰り返し噛んでしまう大きな要因です。特に、

  • 歯が一部だけ飛び出している
  • 詰め物や被せ物が合っていない
  • 歯の高さが不均一

といったケースでは、意識していても頬を噛みやすくなります。

👄 口の中が狭くなる要因(頬のたるみ・肥満など)

加齢や生活習慣によって頬の筋肉がたるんだり、体重増加により頬の内側の粘膜が厚くなると、歯との接触面が増えてしまいます。その結果、ちょっとした咀嚼や会話でも頬を噛んでしまうようになります。

また、姿勢の悪さや猫背も咬筋や舌の位置に影響し、噛みやすくなる原因になることがあります。

頬の内側を一度だけ噛む程度であれば大きな問題はありませんが、頻繁に繰り返す場合や症状が悪化している場合は注意が必要です。以下のようなケースは、歯科医院でのチェックをおすすめします。

🚨 同じ場所を繰り返し噛む

毎回、同じ場所ばかり噛んでしまう場合は、歯の位置や噛み合わせに問題がある可能性があります。たとえば、

  • 被せ物や詰め物が高すぎる
  • 特定の歯だけ尖っている
  • 顎のズレにより噛み合わせが偏っている

といった状況が考えられます。粘膜に慢性的な刺激が加わると炎症や潰瘍を起こすリスクもあるため、早めの対処が大切です。

🌙 寝ている間に噛んでしまう

朝起きたときに頬の内側に痛みや腫れがある場合は、寝ている間に無意識で噛んでいる可能性があります。これは「歯ぎしり(ブラキシズム)」や「食いしばり(クレンチング)」が原因となっていることが多く、

  • ストレス
  • 噛み合わせの不調
  • ナイトガードの未使用

などが関係しています。睡眠時の無意識な動きは放置せず、歯科医師に相談して対策することが重要です。

💥 噛んだところが白く跡になっている

頬の内側に**白い線状の跡や硬くなった部分(白斑・角化)**がある場合、それは慢性的に噛み続けているサインです。さらに、

  • その部分がなかなか治らない
  • 出血やしこりがある
  • 痛みや違和感が長引いている

という場合は、**粘膜の病変や初期のがん(頬粘膜癌)**などのリスクも否定できません。放置せず、専門の診察を早めに受けることをおすすめします。

頬の内側を噛んでしまう原因を見極めるには、日常的なセルフチェックとちょっとしたケアの積み重ねが重要です。以下の方法を参考に、自分の口の状態を確認し、早めの対策を始めましょう。

🪞 鏡でチェック!口腔内の左右差や腫れ

まずは鏡の前で、頬の内側・歯の接触面を観察してみましょう。

  • 頬の内側に白い線や盛り上がりがある
  • 一部だけ腫れている、赤くなっている
  • 左右で頬のふくらみ方が違う

といった症状があれば、無意識に特定の場所を噛んでいるサインかもしれません。日々チェックすることで、悪化する前に気づくことができます。

🧴 保湿や口腔ケアで粘膜を守る

口の中が乾燥していると、粘膜が歯に引っかかりやすくなり、噛みやすくなる傾向があります。特に以下のケアを意識しましょう。

  • こまめな水分補給
  • 口腔用の保湿ジェルやスプレーの使用
  • 刺激の少ない歯磨き粉や洗口液の選択

唾液の分泌が減りがちな方(高齢者・薬の副作用がある方など)は、唾液腺マッサージもおすすめです。

🧘‍♀️ ストレス軽減やリラクゼーション法の活用

ストレスが原因で食いしばりや歯ぎしりが起きている場合、心身の緊張をほぐすことが予防につながります

  • 軽いストレッチやヨガ
  • 就寝前の深呼吸や瞑想
  • スマホ・パソコンを就寝前に見ない(ブルーライトカット)

また、寝る前に**「歯を食いしばらない」と声に出して自分に言い聞かせる**だけでも、無意識の癖を減らす手助けになります。

頬の内側を頻繁に噛んでしまう場合、自己判断では限界があります。歯科医院では、原因に応じた専門的なアプローチで根本的な改善を図ることが可能です。

🛠 かぶせ物や詰め物の調整

歯科治療後にかぶせ物(クラウン)や詰め物(インレー)がわずかに高すぎると、噛み合わせが変化し、頬を巻き込む原因になります。

  • 歯を削った直後に噛みやすくなった
  • 片側ばかり噛んでしまう
  • 食後や会話中に違和感がある

といった症状があれば、歯科医による咬合(こうごう)調整が必要です。調整は短時間で済むことが多く、早期に違和感が軽減します。

🪥 矯正治療で歯並びを整える

根本的に歯並びや噛み合わせのズレが原因になっている場合は、矯正治療を検討することで再発を防ぐことができます。

  • 一部の歯が飛び出している
  • 上下の歯の接触がアンバランス
  • 顎のズレによるかみ合わせ異常

矯正は見た目だけでなく、口腔内の機能面の改善にもつながる治療です。成人でも対応可能な矯正法が増えているため、気になる方は歯科医にご相談ください。

🛌 ナイトガード(マウスピース)の活用

寝ている間に頬の内側を噛んでしまう方には、**就寝時専用のマウスピース(ナイトガード)**が有効です。

  • 歯ぎしり・食いしばりの緩和
  • 頬や舌の粘膜保護
  • 顎関節への負担軽減

歯科医院では、自分の歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースを作成でき、違和感が少なく長期的に使用できます。

頬や舌の筋力が弱かったり、舌の位置が不安定だったりすると、口腔内のバランスが崩れ、頬を噛みやすくなることがあります。以下の簡単なトレーニングで、噛みにくい口内環境をつくりましょう。

👅 舌の正しい位置を意識する「ポスチャートレーニング」

舌の位置が下がっていると、頬が歯に巻き込まれやすくなります。以下のポイントを意識しましょう:

  • 舌先を上あご(スポット:上前歯の少し後ろ)に軽く当てる
  • 舌全体を上あごにつけるように持ち上げる
  • 口を閉じた状態でそのまま5〜10秒キープ

1日数回行うことで、舌の位置が安定し、口腔内のスペース配分が整います

😊 頬の筋肉を鍛える「ぷくぷく体操」

頬の筋肉を鍛えると、口の中が広く保たれ、頬が歯に巻き込まれにくくなります

やり方:

  1. 口を閉じた状態で、左右の頬に空気を入れてふくらませる
  2. 右→左→中央と、空気をゆっくり移動させる
  3. これを10回繰り返す(朝晩が理想)

表情筋も一緒に鍛えられ、口角が上がりやすくなる効果もあります。

🧼 舌・頬の動きを促すガムトレーニング

無糖キシリトールガムなどを使って、以下のトレーニングも効果的です:

  • ガムを片側だけで噛まず、左右均等に噛む
  • 舌でガムを上あごや歯の裏に押し当てて動かす

この動作で、舌・頬・咀嚼筋がバランスよく使われるようになります

頬の内側を噛む癖について、不安に感じている方が多くいらっしゃいます。ここでは、患者さんからよくいただくご質問にお答えします。

❓ 頬を噛むとガンになるって本当?

「頬の内側を何度も噛むとがんになる」と聞いて心配される方は少なくありません。

実際、粘膜が長期間にわたって繰り返し傷つく状態が続くと、慢性刺激がリスク因子となり、「頬粘膜癌(きょうねんまくがん)」という口腔がんの一種を引き起こす可能性も指摘されています。

とはいえ、1〜2回噛んだ程度でがんになることはありません。**「同じ場所を何度も噛む」「傷が何週間も治らない」「白く硬い部分がある」**などが見られる場合は、念のため専門医の診察を受けましょう。

❓ 放置しても自然に治る?

軽く噛んでしまった程度であれば、数日〜1週間ほどで自然に治癒することがほとんどです。

しかし、次のようなケースでは放置せず歯科を受診してください:

  • 噛み癖が続いている
  • いつも同じ場所を傷つける
  • 傷口が治らず、赤みや白斑がある

噛む原因を取り除かない限り、再発を繰り返す可能性が高くなります。「そのうち治るだろう」は危険です。

❓ どの科で診てもらえばいいの?

基本的には**歯科医院(一般歯科)**で診察が可能です。噛み合わせや歯並びの確認、必要に応じてナイトガードの処方も行えます。

以下のような場合は、口腔外科や大学病院の専門外来を紹介されることもあります:

  • 白いしこりや治らない傷がある
  • 粘膜に硬さや違和感が続く
  • 腫瘍や粘膜疾患が疑われる

まずは、かかりつけの歯科や最寄りの歯科医院で相談してみるとよいでしょう。


📚 症例紹介(ビフォーアフター)

実際に「頬の内側を繰り返し噛んでいた」患者さんの症例をご紹介します。多くの方が適切な診断と治療で改善しており、「噛むクセは治らない」とあきらめる必要はありません。


📸 繰り返し噛んでいた方の改善例

50代・女性|主訴:左頬の内側を何度も噛んでしまう

患者様は「ご飯を食べるたびに頬を噛んでしまう」と来院されました。内側の粘膜には白い線状の跡と軽度の潰瘍がありました。初診時は、痛みと食事のしづらさで日常生活にも支障をきたしている状態でした。

✅ 治療前:頬の粘膜に繰り返し噛んだ痕跡(白斑・赤み)
✅ 治療後:治療開始から2週間で痛みが軽減、4週間後には粘膜の状態も改善し、噛み癖も消失


📋 実際に行った治療内容と経過

  1. 咬合(かみ合わせ)のチェックと調整
     → 奥歯の詰め物の高さが微妙に高く、頬粘膜が巻き込まれていると判明。調整で改善。
  2. マウスピース(ナイトガード)の作成
     → 就寝中の歯ぎしりと食いしばり対策として使用開始。
  3. 粘膜保護と炎症治療
     → 軟膏を処方し、患部の炎症をケア。日常の口腔内保湿も指導。

💬 治療後、患者様からは「食事が快適になった」「夜も安心して眠れるようになった」とのお声をいただきました。

頬の内側を噛んでしまう癖は、一見些細なことのようでいて、放っておくと痛みや炎症、さらには粘膜の病変に発展する可能性もあるため、注意が必要です。

✅ 放置せず早めの対処を!

「たまたま噛んだだけ」「よくあること」と思って放置していると、慢性化して悪化するリスクもあります。とくに、同じ場所を何度も噛んだり、白く硬い跡が残っている場合は要注意です。

違和感を感じた時点で、早めのチェックと対策を心がけましょう。

✅ セルフケアとプロの治療を併用するのが理想

鏡でのセルフチェックや保湿・リラクゼーションといった自分でできるケアも効果的ですが、原因が噛み合わせや歯並び、歯科治療の影響であれば、歯科医院での専門的な調整や治療が必要です。

日常のセルフケアとプロのサポートを組み合わせることが、根本改善への近道です。

✅ 気になる方は歯科医に相談を

頬の内側を繰り返し噛んでしまう方や、傷が治らない方は、一度歯科医院で相談してみることをおすすめします。

ちょっとした調整で症状が改善することも多く、悩みを抱え込むよりも安心・安全な方法を見つけられるかもしれません。


💡頬を噛む癖=身体からのサインかもしれません。気づいた今こそ、早めの行動を!

🏥 江戸川区篠崎の皆さまへ|舌を噛むお悩みは当院にご相談ください

「最近、頬の内側をよく噛んでしまう…」「白い跡が治らない…」
そんなお悩みをお持ちの方は、江戸川区篠崎の当歯科医院で一度ご相談ください。

当院では、頬の内側を噛んでしまう原因をかみ合わせ・歯並び・生活習慣・ストレスなど多角的に診断し、症状に合わせた対策をご提案しています。
歯科用マウスピースや咬合調整、必要に応じた矯正相談まで再発を防ぐトータルケアに対応可能です。

江戸川区篠崎エリアで、繰り返す噛みグセにお悩みの方は、ぜひ一度当院にお越しください。
痛みや不快感から解放される第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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