- 1. 歯科レントゲンの被ばく量はどのくらい?
- 1.1. 歯科レントゲンの被ばく量の目安
- 1.2. 自然放射線と比較すると?
- 1.3. 医科の検査との比較
- 2. 歯科で使用されるレントゲンの種類
- 2.1. デンタルレントゲン(口内法)
- 2.2. パノラマレントゲン
- 2.3. 歯科用CT
- 3. デジタルレントゲンと被ばく低減
- 3.1. デジタルレントゲンの特徴
- 4. 歯科レントゲンで大切な「正当化」と「最適化」
- 5. なぜレントゲン撮影が必要なのか
- 5.1. 虫歯や歯周病の診断
- 5.2. 親知らずや根管治療の診断
- 5.3. インプラント・矯正治療の精密検査
- 6. 子どもや妊婦でもレントゲン撮影は大丈夫?
- 6.1. お子さまの場合
- 6.2. 妊娠中の場合
- 7. 被ばくを必要最小限にするために
- 8. まとめ
- 8.1. 関連記事
- 9. レントゲン撮影について気になることはありませんか?
- 10. 【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
- 11. 筆者・院長
- 11.1. 深沢 一
- 11.1.1. メッセージ

歯科治療では、虫歯や歯周病、親知らず、インプラント治療などの診断にレントゲン撮影が欠かせません。しかし、「放射線による被ばくが心配」という方も少なくありません。
実際には、歯科用レントゲンの被ばく量は非常に少なく、適切に使用される限り健康への影響はほとんどないと考えられています。
ここでは、歯科で使用されるレントゲンの種類や被ばく量、安全性について詳しく解説します。
歯科レントゲンの被ばく量はどのくらい?
歯科で使用するレントゲンの放射線量は、一般的に低い水準です。
ただし、実際の被ばく量は、撮影装置の種類、撮影条件、撮影範囲、センサー、患者さんの体格などによって異なります。そのため、「デンタルレントゲンなら必ず○mSv」と一律に考えるのではなく、数値はあくまで目安として捉えることが大切です。

歯科レントゲンの被ばく量の目安
| 検査 | 実効線量の目安 |
|---|---|
| デンタルレントゲン(口内法) | 数μSv程度 |
| パノラマレントゲン | 数十μSv程度 |
| 歯科用CT(CBCT) | 数十~数百μSv程度 |
※1mSv=1,000μSv
※被ばく量は撮影装置、撮影範囲、撮影条件などによって異なります。
特に歯科用CT(CBCT)は、撮影範囲(FOV)や装置、撮影条件によって実効線量に大きな差が生じるため、単一の数値で示すことは適切ではありません。
自然放射線と比較すると?
私たちはレントゲン検査を受けなくても、宇宙や大地、空気、食べ物などから日常的に自然放射線を受けています。
歯科レントゲンの被ばく量を説明する際に「自然放射線の○日分」と比較することがありますが、自然放射線量には地域差があり、検査による医療被ばくとは受け方も異なります。
そのため、こうした比較は被ばく量の大きさをイメージするための目安として考えるのが適切です。
歯科レントゲンによる被ばくは一般的に低線量ですが、放射線を使用する以上、必要性のない撮影を繰り返すのではなく、診断や治療に必要な場合に適切な条件で撮影することが重要です。
医科の検査との比較
歯科用レントゲンは、一般に撮影する範囲が比較的小さいため、多くの医科のCT検査と比べると実効線量は低い傾向があります。
ただし、医療用画像検査の被ばく量は、装置や撮影部位、撮影条件によって大きく変わります。
そのため、
「胸部X線=約0.1mSv」
「頭部CT=約○mSv」
などの数値を固定値として単純比較するよりも、**「検査ごとに撮影範囲や条件が異なるため、数値には幅がある」**と説明するほうが正確です。
歯科で使用されるレントゲンの種類
歯科では診断目的に応じて複数のレントゲンを使い分けています。
デンタルレントゲン(口内法)
デンタルレントゲンは、1~3本程度の歯を高精細に撮影する検査です。

主な用途
- 虫歯の進行状態の確認
- 根管治療時の根の形態の把握
- 歯根の先の病変の診断
- 歯周病による骨吸収の評価
特徴
- 被ばく量が極めて少ない
- 歯や歯根を詳細に観察できる
- 日常診療で最も多く使用される
パノラマレントゲン
口腔全体を一枚で撮影するレントゲンです。

主な用途
- 親知らずの位置確認
- 顎の骨の状態の評価
- 歯の本数や生え方の確認
- 顎関節や上顎洞の観察
特徴
- 上下顎全体を一度に確認できる
- 初診時のスクリーニング検査として有用
- 治療計画の立案に役立つ
歯科用CT
三次元(3D)画像を取得できる高度な画像診断装置です。
主な用途
- インプラント治療
- 埋伏智歯(親知らず)の抜歯
- 根管治療
- 顎骨病変の診断
特徴
- 骨の厚みや形態を立体的に確認できる
- 神経や血管の位置を正確に把握できる
- 治療の安全性向上に大きく貢献する
デジタルレントゲンと被ばく低減
現在、多くの歯科医院ではデジタル方式のレントゲン装置が使用されています。
デジタル撮影では、高感度の受像器を使用することで、適切な撮影条件のもとでは従来の低感度フィルムより少ない線量で診断に必要な画像を得られる場合があります。

デジタルレントゲンの特徴
- 撮影後すぐに画像を確認できる
- 画像の拡大や濃度調整などができる
- 適切な撮影条件によって被ばく低減につながる
- 画像を保存・共有しやすい
ただし、「デジタルなら被ばく量が必ず1/4~1/10になる」などと一律にはいえません。
実際の線量は、使用する装置、センサー、撮影条件、撮影範囲などによって異なります。
歯科レントゲンで大切な「正当化」と「最適化」
レントゲン検査では、単純に「放射線量をできるだけ少なくすればよい」というわけではありません。

大切なのは、
「その撮影によって診断や治療に必要な情報が得られるか」
を検討したうえで、必要な場合に撮影することです。
そして撮影する場合には、診断に必要な画像情報を確保しながら、撮影範囲や撮影条件を適切に設定し、不必要な放射線被ばくをできるだけ抑えます。
この考え方は放射線防護における**「正当化」と「最適化」**と呼ばれます。
従来から「ALARA(As Low As Reasonably Achievable:合理的に達成可能な限り低く)」という考え方が用いられてきました。
近年の歯科画像診断では、単に線量を下げるだけではなく、診断に必要な画質を確保したうえで線量を適切に最適化することが重要視されています。
そのため、
- 患者さんごとに撮影の必要性を判断する
- 過去の画像が利用できる場合は活用する
- 必要な範囲に撮影領域を限定する
- 患者さんの体格や年齢に応じて撮影条件を調整する
- 歯科用CT(CBCT)は2次元画像では十分な診断情報が得られない場合など、必要性を検討して使用する
といった対応が重要です。
なぜレントゲン撮影が必要なのか

虫歯や歯周病の診断
歯と歯の間の虫歯や歯を支える骨の状態などは、肉眼による診察だけでは十分に確認できない場合があります。
必要に応じてレントゲン撮影を行うことで、診察だけでは把握しにくい病変の発見や診断に役立ちます。
親知らずや根管治療の診断
親知らずの位置や歯根の状態などを確認する際にも、画像検査が重要です。
特に親知らずと下顎管との三次元的な位置関係など、通常のレントゲンだけでは十分に判断できない場合には、歯科用CT(CBCT)が検討されることがあります。
インプラント・矯正治療の精密検査
インプラント治療では、顎の骨の形態や重要な解剖学的構造との位置関係などを確認するため、必要に応じて歯科用CTを使用します。
矯正治療でも、治療計画に応じてパノラマレントゲンやセファログラムなどの画像検査を行います。
ただし、「精密な画像診断が治療成功の鍵」「CTによって治療の安全性が保証される」といった表現は避けるのが適切です。
画像検査は、診断や治療計画を立てるための重要な情報の一つです。
子どもや妊婦でもレントゲン撮影は大丈夫?

お子さまの場合
歯科用レントゲンは、子どもの虫歯や永久歯の発育状態、歯の位置などを確認するために必要となることがあります。
ただし、子どもは成人と体格などが異なるため、年齢や体格、診断目的に応じて撮影条件を適切に調整し、必要な範囲に限定して撮影することが重要です。
「定期検診だから毎回撮影する」のではなく、診察所見や虫歯リスク、過去の画像などを考慮して、必要性を判断します。
妊娠中の場合
妊娠中でも、診断や治療のために必要と判断された歯科レントゲン撮影は行うことができます。
歯科レントゲンは主に顎や口腔周囲を撮影するもので、胎児がX線の照射野に直接入る検査ではありません。
また、歯科レントゲンによる胎児への線量は非常に低いと考えられています。
そのため、妊娠しているという理由だけで、必要な歯科レントゲン検査を一律に避ける必要はありません。
一方で、不必要な撮影を行わないことは妊娠の有無にかかわらず重要です。
妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、あらかじめ歯科医師やスタッフに伝えてください。症状や治療の緊急性、撮影によって得られる診断上のメリットなどを考慮して、撮影の必要性を判断します。
被ばくを必要最小限にするために
歯科レントゲンでは、患者さん自身が「被ばく量の少ない医院」を探すこと以上に、必要性に基づいて適切な画像検査を選択することが重要です。
歯科医院では、
- 診察所見に応じて撮影の必要性を判断する
- 過去の画像が診断に利用できる場合は活用する
- 必要な範囲に撮影領域を限定する
- 年齢や体格などに応じて撮影条件を調整する
- 歯科用CTは必要性を検討したうえで使用する
などにより、不必要な被ばくを避けながら診断に必要な情報を得ることが求められます。
他院で最近撮影したレントゲンやCTがある場合は、診断に利用できる可能性があるため、受診時に歯科医師へ伝えるとよいでしょう。
まとめ
歯科レントゲンによる放射線被ばくは、一般的に低い水準です。
しかし、「線量が少ないから何回撮影しても問題ない」ということではありません。
大切なのは、診断や治療に必要な場合に撮影し、必要な画像情報を得られる範囲で放射線量を適切に抑えることです。
虫歯や歯周病、親知らず、根管治療、インプラント治療などでは、肉眼による診察だけでは分からない情報をレントゲンから得られることがあります。
被ばくを過度に恐れて必要な検査を避けるのではなく、撮影の必要性やメリットについて歯科医師から説明を受け、納得したうえで検査を受けることが大切です。
関連記事
レントゲン撮影について気になることはありませんか?

歯科レントゲンは、虫歯や歯周病、親知らずなど、目で見るだけでは分かりにくい状態を確認するために役立つ検査です。当院では、症状や治療内容に応じて撮影の必要性を判断し、必要な範囲・条件で撮影します。被ばく量や検査の必要性が気になる方は、遠慮なくご相談ください。
【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





