- 1. 🔬液状化検体細胞診(LBC)
- 1.1. 液状化検体細胞診(LBC)とは
- 1.2. 液状化検体細胞診(LBC)のやり方
- 1.2.1. 歯間ブラシにて細胞を抽出
- 1.2.2. ThinPrep 液状化検体細胞診(LBC)
- 1.3. 口腔癌が疑われる場合は地域中核病院へ紹介
- 2. 基底細胞から始まる癌化:口腔癌の発症プロセスを解説
- 2.1. 上皮細胞の癌化
- 2.1.1. 口腔粘膜の癌化のメカニズム
- 3. 口腔がんの治療|早期発見が治療の負担を減らす第一歩です
- 3.1. 手術が選択されることがあります
- 3.2. 首のリンパ節まで治療が必要になることもあります
- 3.3. 早期発見なら治療の負担を軽減できる可能性があります
- 4. 口腔がん治療を受ける方へ|歯科治療で知っておきたいポイント
- 4.1. 放射線治療を始める前に歯科受診が重要です
- 4.2. 抗がん剤治療中は必ず歯科医師へお知らせください
- 4.3. 放射線治療後は虫歯になりやすくなることがあります
- 4.4. 放射線性う蝕を予防するために
- 4.5. 関連記事
- 5. 口腔がん検診で、安心につながる第一歩を
- 6. 【動画】舌癌や歯肉癌の初期症状を口内炎などと比較
- 7. 筆者・院長
- 7.1. 深沢 一
- 7.1.1. メッセージ

「なかなか治らない口内炎がある」「舌に白い部分がある」「しみないのに痛みが続く」――
その症状、口腔がんの初期サインかもしれません。
液状化検体細胞診(LBC)は、口腔粘膜から細胞を採取して調べる検査法で、従来の細胞診よりも高精度なスクリーニング検査として注目されています。
口腔がんは早期発見・早期治療によって治療成績が大きく変わるため、少しでも気になる症状がある場合は早めの受診が大切です。
当院では、大学病院との医療連携を重視し、必要に応じて専門病院へ迅速にご紹介できる体制を整えています。
🔬液状化検体細胞診(LBC)

液状化検体細胞診(LBC)とは
口腔癌の診断に使う液状化検体細胞診(LBC)は、従来の細胞診より格段と診断の精度が向上した方法です。とは言え、正診率は約80%~90%で、間違った診断が下されることもあります。従って、細胞診は組織診による確定診断前のスクリーニングという位置付けが出来ます。
中核病院から距離があり受診するのが困難な患者さんに便利な方法です。
液状化検体細胞診(LBC)のやり方

歯間ブラシにて細胞を抽出
癌の疑いのある口腔粘膜細胞を歯間ブラシで強めに10回程擦ります。
やや強めに擦り取ることで、角質層・顆粒細胞、場合によっては有棘細胞まで取れてきます。

ThinPrep 液状化検体細胞診(LBC)
歯間ブラシに着いた細胞をThinPrepの容器の中で、十分に攪拌し、溶液に溶かし込みます。
口腔癌が疑われる場合は地域中核病院へ紹介
細胞診の要は診断力ということが出来ますが、当医院が医療連携をしている東京歯科大学市川総合病院臨床検査科病理は日本でもトップクラスの正診率を有しています。
当院では、東京歯科大学市川総合病院が近いので、がんの疑いのある症例は液状化検体細胞診を行わずにダイレクトに紹介しています。
基底細胞から始まる癌化:口腔癌の発症プロセスを解説
上皮細胞の癌化

口腔粘膜の癌化のメカニズム
上皮細胞は、基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞、角質層に分れます。基底細胞で分裂した細胞が順次表層部へ上がって行き、最後は角質層となり剥がれ落ちます。
口腔癌では基底細胞で癌化が始まり、異形成が進んだ細胞が順次表層へと移動して、角質層まで癌化した細胞で満たされると上皮内癌の発症ということになります。
口腔がんの治療|早期発見が治療の負担を減らす第一歩です
口腔がんの治療方法は、がんができた場所や広がり(ステージ)、悪性度、患者さんの年齢や全身状態などを総合的に判断して決定されます。
そのため、すべての患者さんが同じ治療を受けるわけではありません。
手術が選択されることがあります
歯ぐきや顎の骨にできた口腔がんでは、がんを取り除く手術が第一選択となることが多くあります。
一方で、舌がんでは病状によって**放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)**を組み合わせることもあり、一人ひとりに適した治療法が選択されます。
近年では、手術・放射線治療・化学療法を組み合わせることで、治療成績の向上が期待されています。
首のリンパ節まで治療が必要になることもあります
口腔がんは、進行すると首のリンパ節へ転移することがあります。
転移が認められた場合や転移の可能性が高いと判断された場合には、原発のがんを切除する手術とあわせて、**頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)**という手術が行われることがあります。
これは、首のリンパ節と周囲の組織を取り除き、がんの広がりを抑えることを目的とした治療です。
早期発見なら治療の負担を軽減できる可能性があります
口腔がんは、早い段階で発見できれば、より小さな範囲の治療で済む可能性があります。
一方で、進行すると手術の範囲が広くなったり、放射線治療や抗がん剤治療を併用したりすることもあります。
次のような症状が2週間以上続く場合は、自己判断せず歯科医院や口腔外科を受診しましょう。
- 治りにくい口内炎
- 舌や歯ぐきのしこり
- 白いできものや赤い斑点
- 出血しやすい部分がある
- 飲み込みにくい、話しづらい
- 原因が分からない痛みが続く
「様子を見よう」と思っている間に進行してしまうこともあります。
気になる症状がある場合は、早めに検査を受けることが、治療の負担を軽減する第一歩です。
口腔がん治療を受ける方へ|歯科治療で知っておきたいポイント
口腔がんの治療では、がんそのものの治療だけでなく、お口の健康を守ることも大切です。放射線治療や抗がん剤治療は、お口の環境にも影響を与えるため、歯科医院との連携が欠かせません。
放射線治療を始める前に歯科受診が重要です
放射線治療を予定している場合は、治療前に歯科検診を受けることをおすすめします。
放射線が照射される部位の歯に虫歯や重度の歯周病があると、治療前に対応したほうがよい場合があります。
放射線治療後は、顎の骨の治癒力や血流が低下することがあり、照射部位の歯を抜歯すると、顎骨骨髄炎や顎骨壊死などの重い合併症を起こすリスクが高くなるためです。
そのため、
- 放射線治療前の歯科検診
- 必要な虫歯・歯周病治療
- 抜歯が必要な歯の事前処置
を行うことで、治療後のトラブルを予防できる可能性があります。
抗がん剤治療中は必ず歯科医師へお知らせください
抗がん剤治療中は、お薬同士の相互作用や免疫力の低下を考慮して歯科治療を行う必要があります。
治療内容によっては使用できない薬剤や処置があるため、
「現在、抗がん剤治療を受けています」
ということを、必ず歯科医師・歯科衛生士へお伝えください。
安全に歯科治療を進めるために、主治医と連携しながら治療計画を立てます。
放射線治療後は虫歯になりやすくなることがあります
放射線が耳下腺や顎下腺などの唾液腺に照射されると、唾液の分泌量が減少することがあります。
唾液には、
- お口をきれいに保つ
- 細菌の増殖を抑える
- 歯を再石灰化する
といった重要な働きがあります。
そのため、お口が乾燥すると短期間で複数の歯に虫歯ができる**放射線性う蝕(放射線性虫歯)**を発症しやすくなります。
放射線性う蝕を予防するために
放射線治療後は、毎日のセルフケアと定期的な歯科受診がこれまで以上に重要になります。
予防のためには、
- 高濃度フッ素配合歯磨き剤の活用
- フッ素塗布
- キシリトールの利用
- CPP-ACP(リカルデント※牛乳由来成分を含む)の活用
- 保湿ジェルや保湿スプレーなどによる口腔乾燥対策
- 定期的なクリーニングとメンテナンス
などが効果的です。
放射線治療を受けた方は、虫歯や歯周病を予防し、お口の健康を長く維持するためにも、歯科医院で継続的な管理を受けることをおすすめします。
関連記事
口腔がん検診で、安心につながる第一歩を

治りにくい口内炎や舌・歯ぐきの変化が続く場合は、早めに確認することが大切です。当院では口腔がん検診を実施し、お口の状態を丁寧に診察します。必要に応じて大学病院などの専門医療機関と連携し、適切な診療へつなげます。
【動画】舌癌や歯肉癌の初期症状を口内炎などと比較
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





