虫歯が神経まで達してしまった場合、これまでは神経を取る「抜髄」が一般的な治療でした。しかし近年では、MTAセメントという高機能な歯科材料の登場により、神経を保存できる可能性が大きく高まっています。

神経を残すことができれば、歯の寿命を延ばし、将来的な抜歯リスクを減らすことにもつながります。

今回は、MTAセメントの特徴や治療の流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

虫歯が神経まで達したC3とは?
虫歯が神経まで達したC3とは?

C3とは、虫歯が歯の神経(歯髄)まで進行した状態を指します。

この段階になると、冷たいものや甘いものがしみたり、何もしなくてもズキズキ痛んだりすることがあります。

特に重要なのは症状の違いです。

冷たいものだけがしみる場合

神経への感染が比較的浅い段階であれば、MTAセメントを用いた治療によって神経を保存できる可能性があります。

温かいものもしみる場合

神経内部まで炎症が進行している可能性が高く、神経保存の成功率は低下します。

症状が軽いうちに受診することが、神経を残すための重要なポイントです。

MTAセメントとは?
MTAセメントとは?

MTAセメントは、「Mineral Trioxide Aggregate(ミネラルトリオキサイドアグリゲート)」の略称です。

歯科治療において高い評価を受けている歯科用セメントで、主に神経の保護や根管治療に使用されます。

MTAセメントの特徴

高い封鎖性

細菌の侵入を防ぐ優れた密閉性を持ち、再感染リスクを低減します。

強いアルカリ性

硬化時にpH約12の強アルカリ環境を作り出し、細菌の増殖を抑制します。

生体親和性が高い

歯や周囲組織との相性が良く、炎症を起こしにくい特徴があります。

組織再生を促進

歯髄や硬組織の修復を促し、神経の保存に有利に働きます。

1. 虫歯を徹底的に除去

麻酔を行い、感染した虫歯部分を丁寧に取り除きます。

神経に近い部分は専用器具を用いて慎重に除去し、歯髄へのダメージを最小限に抑えます。

虫歯を徹底的に除去
虫歯を徹底的に除去

2. MTAセメントで神経を保護

虫歯を除去した後、神経の近くや露出した部分にMTAセメントを置きます。

この処置を「直接覆髄(ちょくせつふくずい)」と呼びます。

 MTAセメントで神経を保護
MTAセメントで神経を保護

3. 仮封して経過観察

MTAセメントの硬化と神経の反応を確認するため、一定期間経過を観察します。

仮封して経過観察

4. 最終修復

痛みやしみる症状がなければ、コンポジットレジンや被せ物で最終的な修復を行います。

MTAセメントが活躍する治療
MTAセメントが活躍する治療

神経保存治療(直接覆髄)

虫歯治療中に神経が露出した場合でも、神経を残せる可能性があります。

根管治療

根の先端の封鎖や再根管治療の成功率向上に役立ちます。

穿孔修復

治療中に歯根に穴が開いてしまった場合の修復材として使用されます。

歯根端切除術(逆根管充填)

感染した歯根の先端を切除した後、MTAセメントで封鎖することで再感染を防ぎます。

歯根端切除術の手順|歯根嚢胞の露出

上顎5番部に対して切開を行い、歯根嚢胞を露出した術中所見。嚢胞壁の一部が確認され、周囲骨の吸収を伴う病変が認められる。適切な掻爬および原因歯への処置が必要となる。

嚢胞摘出および歯根端切除術(MTA封鎖)

上顎5番部において歯根嚢胞を摘出後、歯根端切除を施行した術中所見。感染源となる歯根端部を切除し、逆根管充填としてMTAセメントを用いて封鎖を行っている。術後の再感染防止と骨治癒の促進を目的とした処置である。
上顎5番部において歯根嚢胞を摘出後、歯根端切除を施行した術中所見。感染源となる歯根端部を切除し、逆根管充填としてMTAセメントを用いて封鎖を行っている。術後の再感染防止と骨治癒の促進を目的とした処置である。

術後X線像(人工骨填入)

嚢胞摘出および外科的処置後の術後デンタルX線像。骨欠損部には人工骨を填入しており、周囲骨との境界に顆粒状の不透過像が認められる。骨再生の促進と欠損部の安定化を目的とした処置である。
嚢胞摘出および外科的処置後の術後デンタルX線像。骨欠損部には人工骨を填入しており、周囲骨との境界に顆粒状の不透過像が認められる。骨再生の促進と欠損部の安定化を目的とした処置である。

神経を残せる可能性が高い

従来の材料よりも高い成功率が報告されています。

歯の寿命を延ばせる

神経を保存できることで歯が脆くなりにくく、長期的な保存につながります。

再感染を防ぎやすい

高い封鎖性によって細菌の侵入を抑制します。

治療後の炎症が少ない

生体親和性が高く、術後のトラブルを軽減できます。

適応できない場合がある

神経がすでに壊死している場合や、感染が広範囲に及んでいる場合は適応外となります。

高度な技術が必要

治療結果は術者の経験や技術に大きく左右されます。

費用が高額になることがある

使用する材料や治療内容によっては自費診療となる場合があります。

MTAセメントは、神経を残すための歯科治療を大きく進歩させた画期的な材料です。

虫歯が神経近くまで進行していても、早期に治療を受ければ神経を保存できる可能性があります。

「冷たいものがしみる」「虫歯が深いと言われた」「できるだけ神経を残したい」という方は、早めに歯科医院へご相談ください。神経を守ることは、将来ご自身の歯を長く使い続けるための大切な選択です。

江戸川区篠崎で「歯の神経を残したい方へ」|MTAセメントによる歯髄保存治療

虫歯が神経近くまで進行した場合でも、すぐに神経を取らなければならないとは限りません。MTAセメントは、高い封鎖性・殺菌性・生体親和性を持つ先進的な歯科材料で、歯の神経(歯髄)を保護しながら治療できる可能性があります。

神経を残すことで歯の寿命を延ばし、将来的な破折や抜歯のリスクを軽減できるケースもあります。

江戸川区篠崎で「できるだけ歯を削りたくない」「神経を残したい」「他院で神経を取ると言われた」という方は、一度ご相談ください。歯の状態を精密に診査し、MTAセメントによる神経保存が可能かを慎重に判断いたします。

大切な天然歯を長く守るために、早期発見・早期治療をおすすめします。

【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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