歯髄再生の新時代:再生医療がもたらす希望
虫歯が深く、神経を抜いた歯の歯髄を再生する研究が進んでいます。長寿医療研究センターでは、世界初の歯髄再生治療に成功しています。
国立長寿医療研究センターの再生医療研究部の中島美砂子先生は、5症例の歯髄再生の成功例を発表しています。
※ まだ研究段階なので、当院での臨床応用は行なっておりません。
以下は、簡単にまとめた治療の流れです。
※下記根管の模型は1本の単純な形をしていますが、実際の根管は木の幹と枝のように複雑になっています。
虫歯により細菌感染した歯髄を除去
虫歯が神経まで達すると「抜髄」と言って神経を取る治療が必要です。通常、ファイルという針のような治療器具を使って細菌感染した象牙質を掻き取る治療を行います。
奥歯になるほど根管治療は難しくなります。特に大臼歯では歯根(神経)の数が3~4本あり、更に神経の走行が複雑で根管治療は困難を極めます。その為、完全なる根管の無菌化は不可能で、根尖病巣が出来ることがしばしば起こります。
そこで数年後、痛みが起こり再根管治療が必要となります。これが現在までの根管治療の実情です。そこで、再生医療による歯髄の再生治療に期待がかかるわけです。
細菌感染した根管内のナノバブル薬剤導入無菌化法による洗浄殺菌
ナノバブルは、直径約100~300nmの泡で、ナノ多孔質フィルムに加圧気圧(0.1~0.25Mpa )を通過させて発生させます。
ナノバブルと薬剤(抗生物質)の混合物を根管内に入れると薬剤が象牙細管内に深くまで入り込み除菌します。
ナノバブル薬剤導入無菌化法で根管内を完全に除菌
ナノバブル薬剤導入システムで犬感染根管歯の歯髄再生に成功しています。ナノバブルと抗生剤を併用した群では3回の導入治療で菌が検出されなくなりました。
一方、抗生剤のみの群(従来の治療法の根管貼薬)では4回の治療でも菌が検出されました。
感染根管治療においては根管内の無菌化が歯髄再生治療の成功のカギを握っていると言っても良いでしょう。
自家歯髄幹細胞を培養し、無菌化した根管内に移植
幹細胞膜分取法
幹細胞は遊走性が高いことを利用し、歯髄未分取細胞を膜を通すことで歯髄膜分取幹細胞の培養を行います。
知歯(親知らず)などの不用歯から自家歯髄幹細胞培養を行い、無菌化した根管内に移植します。根管上部はコンポジットレジンなどで密封します。
これにより歯髄内の神経や血管が再生され、歯根に栄養が行き渡るため、強度が復活します。
従来の治療法では、ここでガッタパーチャーポイントで出来るだけ根管を緊密に封鎖し、細菌の生息環境を出来る限り狭くする様に努めます。
土台を作り印象採得
コンポジットレジンで充填密閉した上部は、強度を取る為に金属製のコア(土台)を立てて、通法に従いプレパレーション(人工の冠を被せる為の土台の形を削る)を行います。
続いて印象採得(石膏模型を作る為の型どり)行います。
従って、虫歯で歯冠が大きく崩壊したケースでは、深いポスト(根っこの中深くに立てる芯棒の様なもの)が作成出来ないので、この治療の対象とはならないでしょう。
人工歯冠をセメンティング
技工士によって作られた冠をセメンティングして治療は終了します。被せ物にはポーセレン、ジルコニア、金属など様々な種類があります。
ステップ6~ステップ7にかけては、通常の治療と同じです。
神経が再生されれば、従来しばし起こっていた歯根破折のリスクから解放されることになります。
江戸川区篠崎で天然歯の保存にこだわった虫歯治療は当院へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、天然歯の保存にこだわります。まずは虫歯を自然治癒させることを目標とし、極力抜かない・削らない・痛みの少ない低侵襲な虫歯治療が基本です。
患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎で天然歯の保存にこだわった削らない自然治癒を目指す虫歯治療をご希望の方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。
【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。