- 1. 歯の神経を抜く治療とは
- 1.1. 歯髄(神経)の役割
- 1.1.1. 痛みを感じて異常を知らせる
- 1.1.2. 歯に栄養と水分を供給する
- 1.1.3. 歯の発育を支える
- 1.2. 抜髄(神経を抜く治療)の流れ
- 1.3. 神経を抜く治療が必要になるケース
- 1.3.1. 重度の虫歯(C3以上)
- 1.3.2. 根尖性歯周炎
- 1.3.3. 外傷による神経損傷
- 1.3.4. 深い亀裂や破折
- 2. 神経を抜くことによるデメリット
- 2.1. 歯が割れやすくなる
- 2.2. 歯が変色する
- 2.3. 虫歯や異常に気付きにくくなる
- 2.4. 歯の寿命が短くなる
- 3. 歯根破折は神経を抜いた歯の最大のリスク
- 4. 根管治療後に起こる可能性のあるトラブル
- 4.1. 歯根嚢胞
- 4.2. フィステル(瘻孔)
- 4.3. 再根管治療や歯根端切除術
- 4.3.1. 上顎1番が原因の歯根嚢胞のX線写真
- 4.3.2. 歯根嚢胞摘出術と歯根端切除術のX線写真
- 5. 歯根破折で歯を失った場合のインプラント治療
- 5.1. 神経を抜いた歯は歯根破折のリスクが高くなる
- 5.2. 歯根破折した歯は抜歯が必要になることも
- 5.3. 抜歯後のインプラント治療
- 5.3.1. インプラントの埋入
- 5.3.2. インプラント埋入後のレントゲン写真
- 5.4. 審美性と機能性を回復
- 6. 変色歯をオールセラッミックで治療した症例
- 6.1.1. 抜髄後の歯の変色
- 6.1.2. オールセラミックで治療
- 7. 神経を抜くメリット
- 7.1. 強い痛みを取り除ける
- 7.2. 感染拡大を防げる
- 7.3. 歯を保存できる
- 8. 神経を抜いた後の注意点
- 8.1. 硬いものを避ける
- 8.2. 歯ぎしり・食いしばり対策
- 8.3. 定期検診を受ける
- 9. 神経を抜かないためにできること
- 9.1. 早期発見・早期治療
- 9.2. MTAセメントによる神経保存療法
- 9.3. 定期的な予防管理
- 10. まとめ
- 11. 江戸川区篠崎で歯の神経を残したい方へ
- 12. 【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル
- 13. 筆者・院長
- 13.1. 深沢 一
- 13.1.1. メッセージ
歯の神経を抜く治療とは
歯の神経を抜く治療は「抜髄(ばつずい)」と呼ばれ、虫歯や外傷によって歯髄(しずい)が重度の炎症や感染を起こした際に行われます。
歯髄とは歯の内部に存在する神経や血管を含む組織で、歯の健康を維持する重要な役割を担っています。しかし、炎症が進行してしまった場合には神経を保存することが難しくなり、抜髄によって痛みや感染を取り除く必要があります。
抜髄は歯を残すための重要な治療ですが、神経を失った歯にはさまざまな変化が起こるため、そのメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。

歯髄(神経)の役割
歯髄には次のような重要な働きがあります。
痛みを感じて異常を知らせる
虫歯や破折などの異常が起きた際に痛みとして信号を送り、早期発見につなげます。
歯に栄養と水分を供給する
血管を通じて歯に栄養を届け、健康な状態を維持します。
歯の発育を支える
特に成長期の歯では、歯根の形成や発育に重要な役割を果たします。
つまり神経は単なる「痛みの原因」ではなく、歯を生かしている大切な組織なのです。
抜髄(神経を抜く治療)の流れ
神経を抜く治療は、一般的に以下の手順で行われます。


- 虫歯や感染部分を除去する
- 神経を取り除く
- 根管内部を洗浄・消毒する
- 根管充填材で密封する
- 被せ物などで歯を補強する
根管内を確実に清掃し、再感染を防ぐことが治療成功の重要なポイントです。
神経を抜く治療が必要になるケース
重度の虫歯(C3以上)
虫歯が歯髄まで達し、強い痛みや感染を起こしている状態です。
根尖性歯周炎
神経が壊死し、歯の根の先に膿がたまっている状態です。
外傷による神経損傷
転倒やスポーツ外傷などで歯に強い衝撃が加わった場合に起こります。
深い亀裂や破折
歯の内部まで亀裂が及び、神経の保存が困難な場合です。
神経を抜くことによるデメリット
歯が割れやすくなる
神経を失った歯は血流が途絶え、水分量が減少します。
その結果、


- ヒビが入りやすくなる
- 噛む力に弱くなる
- 歯根破折を起こしやすくなる
といった問題が生じます。
特に奥歯は強い咬合力が加わるため注意が必要です。
歯が変色する
神経を抜いた歯は時間の経過とともに黄褐色や灰色へ変色することがあります。


特に前歯では審美性への影響が大きく、
- ウォーキングブリーチ
- ラミネートベニア
- オールセラミッククラウン
などによる改善を行う場合があります。

虫歯や異常に気付きにくくなる
神経がない歯は痛みを感じません。
そのため、
- 二次カリエス
- 被せ物の内部の虫歯
- 歯根破折
- 根尖病変
が進行しても気付きにくくなります。
「痛みがないから大丈夫」とは限らないため、定期検診が欠かせません。
歯の寿命が短くなる
神経を抜いた歯は健康な歯と比較すると寿命が短くなる傾向があります。
原因として、
- 歯質の脆弱化
- 再感染
- 歯根破折
- 二次カリエス
などが挙げられます。
歯根破折は神経を抜いた歯の最大のリスク
神経を抜いた歯で最も注意すべき合併症の一つが歯根破折です。
特に従来使用されてきたメタルコアは硬すぎるため、噛む力が歯根に集中しやすく、破折リスクを高めることがあります。
近年では歯に近い弾性を持つファイバーコアが広く使用されており、歯根への負担を軽減できるようになっています。
しかし、どのような土台を使用しても神経のある歯と同じ強度には戻らないため、長期的な管理が重要です。
根管治療後に起こる可能性のあるトラブル
歯根嚢胞
根管内に細菌が残存すると、歯根の先に膿の袋(歯根嚢胞)が形成されることがあります。
レントゲンでは黒い透過像として確認されます。

フィステル(瘻孔)
歯根の先に溜まった膿が歯ぐきから排出される出口です。
歯ぐきにニキビのような白いできものとして現れることが多く、痛みがない場合もあります。

再根管治療や歯根端切除術
感染が改善しない場合には、
- 再根管治療
- 歯根端切除術
- 歯根嚢胞摘出術
などの外科的治療が必要になることがあります。

上顎1番が原因の歯根嚢胞のX線写真
歯の神経を抜いた後に行う根管治療がうまくいかないと歯根嚢胞が出来ることがあります。 レントゲン写真(卵型の黒いX線透過像)は上顎1番に出来た拇指頭大の歯根嚢胞です。

歯根嚢胞摘出術と歯根端切除術のX線写真
根管治療を再度やり直し、根尖部を切断する歯根端切除術と逆根充および外科的歯根嚢胞摘出術を適用した症例です。
歯根破折で歯を失った場合のインプラント治療
神経を抜いた歯は歯根破折のリスクが高くなる
神経を除去した歯は、内部の水分量が減少して脆くなり、強い力が加わることで歯根破折を起こすことがあります。特に金属製の土台(メタルコア)が装着されている場合は、噛む力が歯根の一部に集中しやすく、破折の原因となることがあります。

歯根破折した歯は抜歯が必要になることも
歯根破折の範囲が歯ぐきの深い部分まで及んでいる場合、保存治療が困難となるため抜歯を選択せざるを得ません。歯根破折はレントゲンでは分かりにくいこともあり、精密検査によって診断されます。

抜歯後のインプラント治療
抜歯後の欠損部を補う方法の一つがインプラント治療です。症例によっては抜歯と同時にインプラントを埋入する「抜歯即時埋入」が可能な場合もあります。
インプラント体を顎の骨に埋入した後は、数か月かけて骨と結合する「オッセオインテグレーション」を待ちます。骨との安定した結合が確認できた後、土台(アバットメント)と人工歯(クラウン)を装着します。

インプラントの埋入
抜歯した歯の所にインプラントを埋入した直後の状態です。

インプラント埋入後のレントゲン写真
インプラント埋入後、数ヶ月経過した時点のX線です。 インプラントと骨の結合が確認できます。
次にインプラントを土台として冠をかぶせます。
審美性と機能性を回復
クラウンを装着することで、天然歯に近い見た目と噛む機能を回復できます。特に前歯部では審美性が重要となるため、歯ぐきや周囲組織との調和を考慮した治療計画が必要です。
変色歯をオールセラッミックで治療した症例

抜髄後の歯の変色
根管治療は歯の裏側に穴を開けて行いますが、根管治療が終了した時点で穴をコンポジットレジンで塞ぎます。
その後、経年的に歯の色の変色が起こります。

オールセラミックで治療
二本の変色した歯をオールセラミックで治療した写真です。
コア(土台)を歯根の中に差し込み、被せ物をした状態です。
神経を抜くメリット
強い痛みを取り除ける
歯髄炎による激しい痛みは日常生活に大きな支障をきたします。
抜髄によって炎症の原因を除去できるため、症状の改善が期待できます。
感染拡大を防げる
感染した神経を放置すると、
- 顎の骨への感染
- 顔面の腫脹
- 歯根嚢胞の形成
などにつながることがあります。
抜髄はこれらのリスクを防ぐための重要な処置です。
歯を保存できる
抜歯せずに自分の歯を残せることは大きなメリットです。
適切な根管治療と補綴治療を行うことで、長期間機能させることが可能になります。
神経を抜いた後の注意点
硬いものを避ける
治療直後は歯が弱くなっているため、
- 氷
- ナッツ
- せんべい
など硬いものは控えましょう。
歯ぎしり・食いしばり対策
神経を抜いた歯は破折しやすいため、歯ぎしりや食いしばりがある方はナイトガードの使用が推奨されます。
定期検診を受ける
神経のない歯ほど定期的なレントゲン検査が重要です。
当院では3~6か月ごとのメンテナンスを推奨しています。
神経を抜かないためにできること
早期発見・早期治療
虫歯が小さい段階で治療すれば、神経を残せる可能性が高くなります。
「少ししみる」「違和感がある」と感じたら早めに受診しましょう。
MTAセメントによる神経保存療法
近年はMTAセメントを用いた覆髄療法によって、従来なら抜髄が必要だった症例でも神経を保存できる可能性があります。
MTAは封鎖性と生体親和性に優れ、歯髄の治癒を促進する材料として注目されています。
定期的な予防管理
- 正しいブラッシング
- フロスや歯間ブラシの使用
- フッ素の活用
- 定期クリーニング
これらを継続することで神経を守れる可能性が高まります。
まとめ
歯の神経を抜く治療は、激しい痛みや感染から歯を守るために必要な処置です。しかし、神経を失った歯は割れやすくなり、変色や再感染、歯根破折などのリスクが高まります。
そのため最も重要なのは「できるだけ神経を残すこと」です。虫歯や歯周病を予防し、異常を感じたら早めに受診することで、大切な歯の寿命を延ばすことができます。
江戸川区篠崎で「神経を抜くと言われた」「できるだけ神経を残したい」とお考えの方は、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。適切な診断と治療によって、歯を長く守れる可能性があります。
江戸川区篠崎で歯の神経を残したい方へ

神経を抜いた歯は適切な治療とメンテナンスを行えば長期間使用できますが、治療の精度によって将来の寿命が大きく変わります。
当院では、再感染や歯根破折のリスクを抑えるため、丁寧な根管治療とファイバーコアによる補強を行い、できるだけ歯を長く残せるよう努めています。歯の神経を抜くべきか悩んでいる方、根管治療後の経過が気になる方はぜひご相談ください。
【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。


