患者さんからのご質問

40代男性の方から次のようなご相談をいただきました。

前歯2本が完全になくなっています。両隣の歯も根だけが残っている状態です。

インプラントしかないと思っていますが、費用はいくらくらいかかるのでしょうか?

また、インプラントが骨と結合するまでの数か月間、前歯がない状態で過ごさなければならないのでしょうか?

仕事上、人前に出る機会が多く、前歯がない状態だけは避けたいです。

同じようなお悩みを抱えている方は少なくありません。

結論から言うと、前歯がない状態で数か月過ごす必要はほとんどありません。また、インプラント以外の選択肢も残されている可能性があります。

前歯2本が失われ、さらに両隣の歯も大きく破折しているとのことですが、実際に拝見してみないと治療方法は確定できません。

一般的には以下のような選択肢があります。

① インプラント治療

前歯2本がなくなってしまった…インプラントしか方法はない?
前歯2本がなくなってしまった…インプラントしか方法はない?

失った歯の部分に人工歯根を埋め込む方法です。

メリット

  • 周囲の歯を削らない
  • 噛む力が強い
  • 見た目が自然
  • 長期的な安定性が高い

デメリット

  • 外科手術が必要
  • 治療期間が長い
  • 自費診療になる

② ブリッジ

残っている両隣の歯を利用して人工歯を固定する方法です。

ただし今回のケースでは、

  • 両側の歯の状態が悪い
  • 土台が破折している

とのことですので、長期的な予後を考えると難しい可能性があります。

③ 部分入れ歯

比較的費用を抑えられる方法です。

ただし前歯部の場合、

  • 違和感がある
  • 金属のバネが見える場合がある
  • 噛みにくい

といった問題があります。

当院の場合、前歯部インプラントの費用は症例によって異なりますが、

インプラント1本あたり

  • インプラント手術 220,000円
  • アバットメント 11,000円
  • 上部構造 92,400~115,500円

合計

約32万円~35万円程度(税込)

が目安になります。

ただし前歯部では骨が不足しているケースが多く、

  • GBR(骨造成)
  • 結合組織移植
  • 審美的な歯肉形成

などが必要になることもあります。

そのため最終的な費用はCT検査後に判断します。

患者さんが最も心配されるのがこの点です。

結論から言えば、

通常は前歯がない状態で生活することはありません。

仮歯を使用します

前歯部インプラントでは、

  • 仮歯
  • テンポラリークラウン
  • 治療用義歯

などを使用しながら治療を進めます。

周囲から見れば歯が入っているように見える状態を維持できます。

もちろん可能です。

骨とインプラントが結合するまでの期間は、

  • 治療用部分入れ歯
  • ノンクラスプデンチャー
  • 仮歯付きの装置

などを使用します。

そのため、

  • 接客業
  • 営業職
  • 人前で話す仕事

の方でも問題なく日常生活を送れるケースがほとんどです。

前歯のインプラント治療は、単に歯を入れれば良いわけではありません。

重要なのは

  • 歯ぐきのライン
  • 歯の長さ
  • 左右対称性
  • 唇とのバランス
  • 笑った時の見え方

です。

奥歯のインプラント以上に審美性への配慮が必要になります。

そのためCTによる診断と綿密な治療計画が非常に重要です。

患者さんは

「ほったらかしにしていた自分が悪い」

とおっしゃっていますが、長期間放置されていた症例でも治療できるケースは数多くあります。

確かに、

  • 骨が痩せている
  • 歯ぐきが下がっている
  • 噛み合わせが崩れている

などの問題が生じていることはあります。

しかし現在では、

  • 骨造成術(GBR)
  • 軟組織移植
  • インプラント治療
  • 補綴治療

を組み合わせることで改善できるケースが少なくありません。

ブリッジ除去から骨造成(GBR)、仮歯装着まで

前歯は見た目だけでなく、発音や食事にも大きく関わる重要な部位です。今回ご紹介する症例は、長期間使用したブリッジが限界を迎え、広範囲の前歯欠損に対してインプラント治療を行ったケースです。

初診時の状態

前歯のブリッジを除去
前歯のブリッジを除去

患者様は上顎前歯部に長年ブリッジを使用されていましたが、支台歯の状態悪化によりブリッジの継続使用が困難となり来院されました。

ブリッジを除去すると、右上3番・右上1番・左上5番のみが残存しており、それぞれに金属製の土台(メタルコア)が確認できました。

一方で、右上2番から左上4番までの広い範囲で歯が失われており、歯槽骨の吸収による陥凹も認められました。

長大ブリッジの問題点

これまで使用されていたブリッジは、少数の支台歯で多数の人工歯を支える設計でした。

このような長大ブリッジでは、

  • 支台歯への負担が大きい
  • 歯根破折のリスクが高まる
  • 歯周病が進行しやすい
  • 清掃が難しくなる

といった問題が起こりやすくなります。

今回も長年にわたり過大な負担がかかった結果、ブリッジの再製作ではなくインプラントによる再建が適切と判断しました。

治療計画

失われた歯を補うため、以下の部位にインプラント治療を計画しました。

  • 右上2番
  • 左上1番
  • 左上2番
  • 左上3番
  • 左上4番

合計5本のインプラントを埋入することで、咬合力を分散させながら長期的な安定を目指します。

また、前歯部では骨吸収が進行していたため、インプラント埋入と同時に骨造成(GBR)を併用する治療方針としました。

インプラント埋入と骨造成(GBR)

インプラント埋入と骨造成(GBR)
インプラント埋入と骨造成(GBR)

手術では左上1番から4番までの4本のインプラントを埋入しました。

術中写真では、インプラント体が歯列に沿って適切な位置に配置されていることが確認できます。

さらに、骨が不足している部分には人工骨を充填し、GBR(骨造成術)を同時に実施しました。

GBRとは

GBR(Guided Bone Regeneration)は、失われた骨を再生させるための治療法です。

インプラント周囲に人工骨を補填することで、

  • インプラントの長期安定性向上
  • 骨量不足の改善
  • 審美性の向上
  • 歯肉ラインの自然な回復

が期待できます。

CGFを併用した再生療法

当症例では患者様ご自身の血液から作製したCGF(Concentrated Growth Factor)も併用しました。

CGFには多くの成長因子が含まれており、

  • 骨の再生促進
  • 歯肉の治癒促進
  • 術後の炎症軽減

などの効果が期待できます。

その後、人工骨を吸収性膜で覆い、粘膜を縫合して治癒期間へ移行しました。

治療期間中も前歯がない状態にはしません

インプラント治療では骨とインプラントが結合するまで4~6か月程度の治癒期間が必要です。

しかし、前歯がない状態で生活する必要はありません。

本症例では、右上3番・右上1番・左上5番を利用してプロビジョナルブリッジ(仮歯)を製作しました。

仮歯(プロビジョナルブリッジ)の役割

仮歯には単なる見た目の回復以上に重要な役割があります。

仮歯(プロビジョナルブリッジ)を装着
仮歯(プロビジョナルブリッジ)を装着

1. 審美性の回復

前歯部の見た目を改善し、仕事や日常生活での不安を軽減します。

2. 発音機能の維持

前歯は発音にも大きく関わるため、仮歯によって自然な会話が可能になります。

3. 咬合の調整

噛み合わせを確認しながら最終補綴物の設計に反映します。

4. 歯肉形態の形成

前歯部では歯肉ラインの美しさが重要です。

仮歯によって歯肉の自然なカーブを誘導し、最終的な審美性を高めることができます。

治療後の予定

今後はインプラントと骨造成部の治癒経過を慎重に観察します。

骨とインプラントが十分に結合した段階でアバットメントを装着し、仮歯で確認した形態や咬合を参考にしながら最終補綴物を製作します。

前歯部インプラントでは、単に歯を入れるだけではなく、歯肉のラインや笑った時の見え方まで考慮した総合的な設計が重要です。

広範囲の前歯欠損であっても、適切なインプラント治療と骨造成を組み合わせることで、機能面だけでなく審美面も回復することが可能です。

また、治療期間中も仮歯を装着することで、前歯がない状態で生活する必要はほとんどありません。

前歯のブリッジがぐらつく、支台歯が折れた、見た目や噛み心地に不安があるという方は、早めに歯科医院へご相談ください。

 江戸川区篠崎で前歯のインプラント治療をご検討の方へ

前歯を失った場合、「もう抜歯しかない」「インプラントしかない」と思い込んでいる方も多くいらっしゃいます。しかし実際には、残せる歯が残っている場合もあれば、複数の治療法から選択できる場合もあります。

当院ではCTによる精密検査を行い、まずは歯を残せる可能性を慎重に検討したうえで、インプラント・ブリッジ・入れ歯などの選択肢をご説明しています。また、インプラント治療中も仮歯や治療用義歯を使用するため、前歯がない状態で生活する心配はほとんどありません。

篠崎駅南口徒歩1分の当院では、見た目と機能の両方を重視した前歯部インプラント治療を行っています。前歯を失ってお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

【動画】奥歯を抜歯したまま放置すると?

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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