授乳は、赤ちゃんが栄養を摂るためだけのものではありません。

母乳やミルクを飲むときには、舌・唇・顎などを協調させて動かすため、授乳は乳児期のお口の機能発達に関わる大切な活動の一つです。

そのなかで重要になるのが「ラッチオン」です。

ラッチオンとは、赤ちゃんが乳房を適切にくわえて吸着することを指します。

授乳時のお口の使い方は、舌や顎などの発達と関係します。ただし、ラッチオンだけで将来の歯並びが決まるわけではありません。

この記事では、ラッチオンの基本から、お口の発達や歯並びとの関係、気になる症状についてわかりやすく解説します。

ラッチオンとは、授乳するときに赤ちゃんが乳頭だけを浅くくわえるのではなく、乳輪を含めて深く乳房をくわえ、安定して吸着している状態をいいます。

適切にラッチオンできると、赤ちゃんは舌や顎を使って効率よく母乳を飲みやすくなります。

また、お母さんにとっても乳頭への負担が軽減され、授乳時の痛みや乳頭損傷を防ぐことにつながります。

授乳中は、次のような点を確認してみましょう。

お口を大きく開けている

赤ちゃんが口を大きく開き、乳房を深く含めているか確認します。

乳房を深くくわえている

乳頭だけを浅く吸うのではなく、乳輪を含めて深くくわえていることがポイントです。

唇が外側に開いている

上下の唇が外側に開き、乳房に密着しているか確認します。

飲み込む様子が確認できる

吸う動きだけでなく、母乳を飲み込むリズムが確認できることも大切です。

授乳中にクリック音のような音が繰り返し聞こえる場合には、吸着が外れている可能性があります。

ただし、これらはあくまで目安です。授乳の状態には個人差があるため、気になる場合は助産師や小児科などの専門家に相談しましょう。

ラッチオンが浅かったり、吸着が安定しなかったりすると、赤ちゃんとお母さんの双方に負担がかかることがあります。

母乳を十分に飲みにくい

うまく吸着できないと効率よく母乳を飲めず、授乳時間が長くなることがあります。

体重増加が十分でない場合には、授乳方法だけで判断せず、小児科などで成長や全身状態を確認することが大切です。

お母さんの乳頭に負担がかかる

浅い吸着が続くと、乳頭に強い力が加わり、痛みや傷につながることがあります。

授乳時の強い痛みが続く場合には、我慢せず助産師や医療機関へ相談しましょう。

舌や顎を十分に使いにくいことがある

ラッチオンと顎の発達と歯並びへの影響
ラッチオンと顎の発達と歯並びへの影響?

授乳では、舌・唇・顎を協調させて母乳を飲みます。

ラッチオンが安定しない背景には、授乳姿勢だけでなく、舌の動きや口腔周囲の機能などが関係している場合もあります。

赤ちゃんは授乳するとき、舌や顎、唇などを複雑に動かしています。

こうした動きは、乳児期のお口の機能を育てるうえで大切です。

一方、将来の歯並びや噛み合わせは、

  • 遺伝的な要因
  • 顎の大きさや成長
  • 歯の大きさ
  • 舌や唇の機能
  • 口呼吸
  • 指しゃぶりなどの口腔習癖
  • 乳歯から永久歯への生え替わり

など、さまざまな要因が複雑に関係して決まります。

そのため、「正しくラッチオンできれば歯並びが良くなる」「ラッチオンが浅いと歯並びが悪くなる」と単純に判断することはできません。

授乳は、あくまで乳児期のお口の機能発達に関わる要素の一つとして考えることが大切です。

舌は、食べる・飲み込む・話すといった機能だけでなく、成長期のお口の環境にも関わっています。

授乳時には、赤ちゃんが舌と顎を動かしながら母乳を飲み込みます。

成長とともに、舌は食事や嚥下、発音などさまざまな役割を担うようになります。

舌が動かしにくい、いつも低い位置にある、お口が開いたままになっているなどの状態が続く場合には、鼻づまりなどの呼吸の問題を含め、原因を確認することが重要です。

授乳中の赤ちゃんは、乳房をくわえているため、基本的には鼻で呼吸しながら哺乳します。

そのため、鼻づまりが強い場合には授乳しにくくなることがあります。

また、成長後も口が開いていることが多い場合には、

  • 鼻づまり
  • アレルギー性鼻炎
  • 扁桃・アデノイドなどの問題
  • 舌や口唇の機能
  • 習慣

など、さまざまな要因が考えられます。

口呼吸をラッチオンだけの問題として考えないことが大切です。

お口が常に開いている、いびきをかく、鼻づまりが続くといった症状がある場合には、必要に応じて小児科や耳鼻咽喉科などと連携して原因を確認します。

舌の裏側には、「舌小帯(ぜつしょうたい)」と呼ばれる薄い膜状の組織があります。

舌小帯が短い、あるいは付着の状態によって舌の動きが制限されている場合、授乳に影響することがあります。

ただし、舌小帯が短く見えるからといって、必ず治療が必要になるわけではありません。

見た目だけではなく、

  • 舌をどの程度動かせるか
  • 実際に授乳へ影響しているか
  • 体重増加に問題がないか
  • お母さんに強い乳頭痛がないか

などを総合的に評価することが重要です。

次のような状態が気になる場合には、お口の機能を確認してみることも選択肢の一つです。

□ 授乳に時間がかかる
□ うまく吸いつけない
□ 授乳中にクリック音がする
□ お母さんの乳頭痛が強い
□ 舌の動きが気になる
□ 舌小帯が短いように見える
□ お口がいつも開いている
□ いびきをかく
□ 鼻づまりが続いている
□ 将来の歯並びや噛み合わせが気になる

なお、体重が増えない、母乳やミルクを十分に飲めない、元気がないなどの症状がある場合には、まず小児科などで全身状態を確認することが重要です。

近年、小児歯科では歯が生えてからの虫歯予防だけでなく、「食べる・飲み込む・話す・呼吸する」といったお口の機能にも注目するようになっています。

当院では、お子さまの年齢や発達段階に応じて、

  • お口の発達状態
  • 舌の動き
  • 舌小帯の状態
  • 唇や顎の動き
  • 口呼吸の有無
  • 歯並びや噛み合わせ

などを確認します。

必要に応じて、成長を見守りながら小児矯正などについてご相談いただくこともできます。

授乳や体重増加などについて専門的な支援が必要な場合には、小児科や助産師など適切な専門職への相談も重要です。

母乳育児なら歯並びは良くなりますか?

母乳育児だけで将来の歯並びが決まるわけではありません。

歯並びには、遺伝、顎や歯の大きさ、成長、舌や唇の機能、口腔習癖など多くの要因が関係します。

授乳は乳児期のお口の機能発達に関わる大切な活動ですが、「母乳なら歯並びが良くなる」と考えるのは適切ではありません。

哺乳瓶でも問題ありませんか?

哺乳瓶を使用すること自体が問題というわけではありません。

大切なのは、赤ちゃんが無理なく必要な栄養を摂取し、健やかに成長できていることです。

授乳や哺乳について心配なことがある場合には、小児科や助産師などに相談してください。

舌小帯が短ければ切ったほうがよいですか?

舌小帯の形だけで治療の必要性を判断することはできません。

舌の動きや授乳への影響、年齢、症状などを総合的に評価したうえで判断します。

歯が生える前でも歯科医院に相談できますか?

歯が生える前でも、お口の動きや舌小帯などについて相談できる場合があります。

ただし、授乳そのものの問題や体重増加については、小児科や助産師などとの連携が大切です。

何歳頃まで相談できますか?

乳児期だけでなく、幼児期や学童期にもお口の機能は発達していきます。

「口がいつも開いている」「舌の位置が気になる」「歯並びが心配」など、成長に伴って気になることがあればご相談ください。

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赤ちゃんのお口の発達が気になったら、早めのチェックをおすすめします

授乳時のお口の使い方は、舌や顎などの機能発達と関係しています。

「舌の動きが気になる」「お口がいつも開いている」「将来の歯並びが心配」など、気になることがあれば一度ご相談ください。

当院では、お子さまの成長段階に合わせてお口の機能や歯並びを確認し、必要に応じて適切な対応をご提案します。

【動画】指しゃぶりや指吸いを止めさせる方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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