舌苔ができるメカニズム:糸状乳頭と細菌の役割
舌苔と糸状乳頭との関係
舌苔は舌の表面にびっしり生える糸状乳頭の間で出来上がります。
舌苔の構成成分
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粘膜から脱落した上皮細胞
舌苔の構成成分中で最も多いのが、粘膜から脱落した上皮細胞です。この脱落した上皮細胞に細菌が多数付着しています。
口臭が強い人では、舌苔の中に存在する嫌気性菌が揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させます。
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細菌
口腔内のいたるところで生息する細菌群。例えば歯周病菌、虫歯菌など。
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食べかす
食事後粉砕された食物のごく小さいもの。
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血球
歯周ポケットなどから滲出した白血球や赤血球など。
舌の表面を覆う糸状乳頭の働きとは?
糸状乳頭とは
舌乳頭とは
舌乳頭は、糸状乳頭、茸状乳頭、有郭乳頭、葉状乳頭の4種がありますが、舌表面に最も多く分布しているのが糸状乳頭です。
糸状乳頭の役割
糸状乳頭は舌の粘膜を保護する役割、食物を摂取した時に舌でしっかりキャッチ出来るようにするための組織だと考えられています。
糸状乳頭の先端は伸びたり削られたり
糸状乳頭の先端部は少しずつ伸びています。しかし、会話や食事をする事で削られています。
健康の人では糸状乳頭はほぼ一定の長さを保っています。
糸状乳頭が長くなり角化亢進すると
大量の舌苔付着へ
食事の時にしっかり噛んで食べられないと糸状乳頭の先端が削られることなく、どんどん伸びて角化が強まります。そして、舌の表面全体は白っぽい毛の様なもので覆われてきます。
長くなった糸状乳頭により舌の表面は毛の長い絨毯が敷かれたようになり、脱落した上皮細胞や細菌、食べカス、血球などが溜まりやすい絶好の環境となります。
最初は薄い舌苔だったものが厚い舌苔へと成長していきます。
厚い舌苔の存在は、しっかりと食べ物を噛んで飲み込んでいるかの判断基準にもなります。ただし、大量に舌苔が付いているからと言って即座に健康に問題があるという分けではありません。
もっとも、分厚い舌苔はそれ自体が臭いの元になり、口臭の最大の原因となることはいうまでもありません。
糸状乳頭が長くなりやすい病気
糖尿病、腎臓疾患、血液疾患、胃腸病、シェーグレン症候群など。嗜好品のお酒、たばこなど。
※ これら全身疾患や嗜好品と糸状乳頭が長くなる因果関係は、現在のところ確証は得られていません。
舌苔の形成メカニズム:上皮細胞の破壊から沈殿まで
舌苔が形成される過程
STEP
唾液が舌背を通過
人は頻繁に唾液を飲み込みます。唾液は舌背を必ず通過します。
STEP
唾液中の上皮細胞の破壊が進む
唾液中には粘膜から脱落した上皮細胞が含まれています。細菌によって脱落した上皮細胞の破壊が進みます。
STEP
破壊された上皮細胞の比重増加
上皮細胞の破壊が進むと比重が増加し、糸状乳頭に捕らえられやすくなります。
STEP
舌苔形成
舌背には舌乳頭(糸状乳頭)が非常に多く、破壊され重たくなった上皮細胞は容易に舌乳頭に沈殿します。
※ 上記は現在考えられる舌苔形成のメカニズムですが、完全に解明されたものではありません。
唾液分泌低下で舌苔形成が加速
唾液には自浄作用、抗菌作用、湿潤作用などがあります。舌や口の周りの筋肉を適度に動かすことで唾液分泌が促進され、機械的な舌苔除去が行われます。
しかし、唾液分泌が低下するドライマウスの患者さんや咀嚼嚥下機能が低下したオーラルフレイルの高齢者ではこのメカニズムが上手く働かず、舌苔の大量付着に繋がります。
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【動画】舌苔が出来るメカニズム
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。