- 1. 差し歯とは?
- 1.1. 差し歯が必要になるケース
- 2. 差し歯治療の流れ
- 2.1. 1.虫歯や感染した部分の治療
- 2.2. 2.支台築造(土台作り)
- 2.3. 3.歯の形成
- 2.4. 4.型取り
- 2.5. 5.仮歯の装着
- 2.6. 6.クラウンの装着
- 3. 神経を失った歯が変色する理由
- 3.1. 変色した歯の治療方法
- 4. メタルコアとファイバーコアの違い
- 4.1. メタルコア
- 4.2. ファイバーコア
- 5. オールセラミッククラウンの特徴
- 5.1. 天然歯に近い見た目を再現しやすい
- 5.2. 金属を使用しない
- 5.3. 汚れが付着しにくい
- 5.4. 奥歯にも使用できる場合がある
- 6. 差し歯と継続歯の違い
- 6.1. 現在一般的に「差し歯」と呼ばれている治療
- 6.2. 継続歯とは?
- 7. 差し歯と継続歯のメリット・デメリット
- 7.1. 現在一般的なクラウンによる修復
- 7.2. 継続歯
- 8. 差し歯の寿命はどれくらい?
- 9. 差し歯を長持ちさせるポイント
- 9.1. 毎日のセルフケア
- 9.2. 定期検診を受ける
- 9.3. 歯ぎしり・食いしばりへの対策
- 10. 差し歯に起こりやすいトラブルと対処法
- 10.1. 古い差し歯の見た目が気になる
- 10.2. 差し歯が取れた
- 10.3. 歯ぐきが黒く見える
- 10.4. 痛みや違和感がある
- 11. 差し歯・ブリッジ・インプラントの違い
- 11.1. 差し歯
- 11.2. ブリッジ
- 11.3. インプラント
- 12. まとめ
- 12.1. 関連記事
- 13. 差し歯の見た目や違和感、気になっていませんか?
- 14. 【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
- 15. 筆者・院長
- 15.1. 深沢 一
- 15.1.1. メッセージ

虫歯や外傷などで歯が大きく欠けたり、根管治療によって歯冠部分の歯質が少なくなったりした場合、残っている歯根を利用して被せ物(クラウン)で歯の形や機能を回復することがあります。一般に、このような治療後の歯を「差し歯」と呼ぶことがあります。
一方、以前は「継続歯」と呼ばれる、歯根に入れるポストと人工歯が一体になった補綴装置も使用されていました。
この記事では、差し歯と継続歯の違いをはじめ、治療の流れ、メタルコアとファイバーコア、セラミッククラウン、治療後に起こりやすいトラブルや長持ちさせるポイントについて解説します。
差し歯とは?
「差し歯」は一般的に使われている呼び方で、厳密な歯科医学上の治療名ではありません。
現在では、虫歯や外傷、根管治療などによって歯冠部分の歯質が大きく失われた歯に対し、必要に応じて土台(コア)を作り、その上からクラウンを装着する治療を「差し歯」と呼ぶことがあります。
歯根や残っている歯質を利用できることが大きな特徴で、前歯から奥歯まで幅広く行われています。

差し歯が必要になるケース
クラウンによる修復は、主に次のような場合に検討されます。
- 虫歯によって歯冠が大きく失われた
- 外傷で歯が大きく折れたり欠けたりした
- 根管治療後で残っている歯質が少ない
- 古い被せ物の再治療が必要になった
- 歯の形や機能をクラウンで回復する必要がある
根管治療を行った歯では、虫歯や治療によって歯質が大きく失われていることがあります。
そのため、残っている歯質の量や位置、噛み合わせなどを確認し、必要に応じて土台を作ったうえでクラウンによる修復を行います。
差し歯治療の流れ
治療内容は歯の状態によって異なりますが、一般的には次のように進みます。

1.虫歯や感染した部分の治療
虫歯が残っている場合は感染した歯質を除去します。
歯髄まで感染が及んでいる場合や、過去に根管治療を行った歯に再感染が疑われる場合には、根管治療や再根管治療が必要になることがあります。
2.支台築造(土台作り)
歯冠部分の歯質が不足している場合は、クラウンを支えるための土台を作ります。
根管治療を行った歯では、必要に応じて根管内にポストを設置してコアを築造します。
代表的な材料には、
- メタルコア
- ファイバーコア
などがあります。
すべての歯にポストが必要なわけではなく、残っている歯質の量や歯の位置などを考慮して判断します。
3.歯の形成
クラウンを適切に装着できるよう、残っている歯や土台の形を整えます。
4.型取り
クラウンを製作するために歯型を採ります。
症例や設備によっては、口腔内スキャナーを使用してデジタルデータを採得する場合もあります。
5.仮歯の装着
最終的なクラウンが完成するまで、必要に応じて仮歯を装着します。
仮歯には見た目を補うだけでなく、形成した歯を保護したり、歯の移動を防いだりする役割があります。

6.クラウンの装着
完成したクラウンの色や形、適合状態、噛み合わせなどを確認し、問題がなければ装着します。
神経を失った歯が変色する理由
歯髄が壊死した歯や根管治療を受けた歯では、時間の経過とともに歯が灰色や褐色などに変色することがあります。

原因としては、
- 外傷による歯髄壊死
- 深い虫歯による歯髄の壊死
- 根管治療後の歯の内部の変化
などが挙げられます。
歯髄組織や血液由来の成分などが歯の内部に入り込み、象牙質が変色することで、歯全体が暗く見えることがあります。
変色した歯の治療方法
歯の状態や変色の程度によって、
- 必要に応じた根管治療・再根管治療
- ウォーキングブリーチ(失活歯の内部漂白)
- ラミネートベニア
- セラミッククラウン
などを検討します。
ただし、根管治療は歯の色を白くするために行う治療ではありません。根管内に感染などの問題が認められる場合に必要となります。
メタルコアとファイバーコアの違い
歯冠部分の歯質が大きく失われている場合には、クラウンを支えるためのコア(土台)が必要になることがあります。
メタルコア
メタルコアは、金属を使用した土台です。

メリット
- 強度が高い
- 長年使用されてきた実績がある
デメリット
- 金属色が歯や歯肉から透けて見える場合がある
- 使用する金属によっては歯肉の変色に関係する場合がある
- 歯根より硬い材料のため、条件によっては歯根に力が集中する可能性がある
歯根破折には残存歯質の量や歯根の形態、ポストの長さ・太さ、噛み合わせ、歯ぎしりなど複数の要因が関係するため、「メタルコアを使用すると歯根破折を起こす」と一概にはいえません。
ファイバーコア
ファイバーコアは、グラスファイバーを使用した白色系の土台です。

メリット
- 金属を使用しない
- 歯の色に近く、審美的なクラウンと組み合わせやすい
- 金属製ポストと比較して象牙質に近い弾性を持つ
デメリット
- 残存歯質や噛み合わせなどによって適応が異なる
- すべての症例で使用できるわけではない
特に前歯など審美性が求められる部位では、セラミッククラウンなどと組み合わせて使用されることがあります。
オールセラミッククラウンの特徴
前歯など、見た目を重視する部位ではセラミック系材料を使用したクラウンが選択肢となります。

天然歯に近い見た目を再現しやすい
セラミックは透明感や色調を調整しやすく、周囲の歯に合わせた自然な見た目を目指すことができます。
金属を使用しない
メタルフリーのクラウンでは金属を使用しないため、金属色が透けて見える心配がありません。
また、金属アレルギーが心配な方にとって選択肢の一つになります。
汚れが付着しにくい
セラミックは表面が滑沢で、適切に研磨された状態ではプラークなどの汚れが付着しにくい特徴があります。
ただし、セラミックにすれば歯周病にならないわけではありません。クラウンと歯の境目を含め、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスが重要です。
奥歯にも使用できる場合がある
ジルコニアなど強度に優れたセラミック系材料は、奥歯にも使用されることがあります。
ただし、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせ、残存歯質などを考慮して材料を選択する必要があります。
差し歯と継続歯の違い
「差し歯」と「継続歯」は同じ意味のように使われることがありますが、厳密には異なります。
現在一般的に「差し歯」と呼ばれている治療
現在では、必要に応じてコア(土台)を作り、その上にクラウンを装着する方法が一般的です。
土台とクラウンが別々の構造になっている点が特徴です。

継続歯とは?
継続歯は、歯根に入るポストと人工歯冠部分が一体となった補綴装置です。

かつては歯冠部分の歯質を大きく失った歯の修復方法として使用されていました。
現在では、支台築造とクラウンを分けて製作する方法が一般的となり、継続歯が新たに製作される機会は少なくなっています。
差し歯と継続歯のメリット・デメリット
現在一般的なクラウンによる修復
メリット
- 残っている歯根や歯質を利用できる
- 材料によって自然な見た目を目指せる
- 土台とクラウンが分かれているため、状態によっては再治療しやすい
デメリット
- 虫歯が再発する可能性がある
- 歯根や残存歯質の状態によって予後が左右される
- 歯根破折などが起こると保存が難しくなる場合がある
継続歯
メリット
- 歯冠部分の歯質が大きく失われた歯の修復方法として利用されてきた
デメリット
- ポストと歯冠が一体となっているため、再治療が複雑になる場合がある
- 歯根や装置の状態によっては撤去が難しい
- 金属を使用したものでは、審美面が問題になることがある
差し歯の寿命はどれくらい?
「差し歯は何年持ちますか?」という質問は多くありますが、一律に「○年」と決めることはできません。
差し歯の経過は、
- 残っている歯質の量
- 歯根の状態
- 虫歯や歯周病の有無
- クラウンの適合状態
- 噛み合わせ
- 歯ぎしり・食いしばり
- セルフケア
- 定期的なメンテナンス
などによって大きく異なります。
長期間問題なく使用できるケースがある一方で、二次虫歯や歯根破折、根管内の再感染などによって再治療が必要になることもあります。
年数だけで判断せず、定期的に状態を確認することが重要です。
差し歯を長持ちさせるポイント
毎日のセルフケア
クラウンそのものは虫歯になりませんが、その下にある天然歯は虫歯になる可能性があります。
特にクラウンと歯の境目にはプラークが残りやすいため、
- 丁寧なブラッシング
- デンタルフロス
- 歯間ブラシ
などを適切に使用しましょう。
定期検診を受ける
定期検診では、
- クラウンの適合
- 二次虫歯
- 歯周病
- 噛み合わせ
- 根の状態
などを確認します。
受診間隔はお口の状態や虫歯・歯周病のリスクによって異なるため、歯科医師や歯科衛生士と相談して決めましょう。
歯ぎしり・食いしばりへの対策
強い歯ぎしりや食いしばりがあると、クラウンや歯根に大きな力が加わることがあります。
必要に応じてナイトガードなどを使用し、歯にかかる負担を軽減します。
差し歯に起こりやすいトラブルと対処法
古い差し歯の見た目が気になる

経年劣化した硬質レジン前装冠。歯ぐき付近の変色や黒い境界が目立ち、審美性が低下しています。
古いクラウンでは、材料の変色や歯肉の退縮などによって、歯とクラウンの境目が目立ってくることがあります。
原因を確認したうえで、クラウンの再製作などを検討します。
差し歯が取れた
取れたクラウンを市販の接着剤などで戻すことは避けてください。
内部に虫歯がある場合や歯が割れている場合もあるため、外れたクラウンを保管して早めに歯科医院を受診しましょう。
状態によっては再装着できることもあります。
歯ぐきが黒く見える
金属を使用した土台やクラウン、歯肉の退縮などによって、歯ぐき付近が黒っぽく見えることがあります。
原因によっては、メタルフリーの材料を使用した再治療などで見た目の改善を目指せる場合があります。
痛みや違和感がある
差し歯に痛みや違和感がある場合には、
- 二次虫歯
- 根管内の感染
- 歯周組織の炎症
- 噛み合わせの問題
- 歯根破折
など、さまざまな原因が考えられます。
放置せず、早めに原因を確認することが大切です。
差し歯・ブリッジ・インプラントの違い
これらは似た治療に見えますが、適応となる状態が異なります。
差し歯
歯根を保存できる場合に、残っている歯を利用してクラウンを装着します。
ブリッジ
歯を失った部分の両隣などの歯を支えとして、連結した人工歯を装着する方法です。
症例によって支えとなる歯の本数や設計は異なります。
インプラント
歯を失った部分の顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋入し、その上に人工歯を装着する方法です。


どの治療が適しているかは、歯根を保存できるかどうか、周囲の歯や顎の骨の状態、噛み合わせ、患者さんの希望などによって異なります。
まとめ
「差し歯」は一般的な呼び方で、現在では、残っている歯や歯根を利用し、必要に応じて土台を作ってクラウンを装着する治療を指して使われることが多くなっています。
一方、継続歯は歯根に入るポストと人工歯冠が一体となった補綴装置で、現在では新たに使用される機会は少なくなっています。
差し歯を長く使用するためには、治療時の適切な診断だけでなく、治療後のセルフケアや定期的なメンテナンスも重要です。
差し歯が取れた、歯ぐきとの境目が黒くなった、噛むと痛い、見た目が気になるなどの変化がある場合には、早めに歯科医院で状態を確認しましょう。
関連記事
差し歯の見た目や違和感、気になっていませんか?

差し歯の変色や歯ぐきの黒ずみ、ぐらつき、痛みなどが気になる場合は、歯や歯根の状態を確認することが大切です。現在の差し歯をできるだけ活かせるか、作り替えが必要かを診断し、お口の状態やご希望に合わせた治療法をご提案します。
見た目の美しさだけでなく、長期的な予後まで考えた差し歯治療を行っています。まずはお気軽にご相談ください。
【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





