歯髄炎とは

  • 虫歯C3を放置すると細菌が歯髄に入り歯髄炎を起こします。
  • 歯髄炎の激痛対策に正露丸を詰めると効果があります。
  • 歯髄炎を放置すると歯の神経が死ぬ歯髄壊疽(歯髄壊死)に至ります。一旦痛みが消失しても再発し自然治癒しません。
  • 歯髄壊疽(歯髄壊死)を放置すると歯根嚢胞が出来、再び激痛が始まります。
  • 歯の神経が死ぬと無症状であっても神経を取る処置(根管治療)が必要です。

虫歯を放置していたら、突然歯が欠け、ズキズキ痛み出したという経験のある方は多いと思います。それは虫歯菌が歯の神経まで侵入し歯髄炎を起こしたからです。

江戸川区篠崎駅前の歯医者・ふかさわ歯科クリニック篠崎では、出来るだけ歯の神経を抜かない治療を心掛けています。また、虫歯治療では可能な限り削らない・極力痛くない無痛治療にこだわっています。歯の神経を抜く必要がある場合、精密根管治療で再発防止に努めています。根管治療が必要な虫歯が出来てお悩みの方はぜひ、当院に遠慮なくご相談ください。

歯髄炎の見た目

【画像】色や穴による見分け方

歯髄炎の虫歯は茶色~黒色に変色します。歯に穴が空きます。

前歯の歯髄炎の見た目


上顎前歯にできた虫歯C3です。少し歯が欠け穴が空き始めています。茶色から黒色に変色しています。

ズキズキする自覚症状があり歯髄炎と診断します。

第二乳臼歯の歯髄炎の見た目


第二乳臼歯にできた子供の虫歯C3です。穴は茶色に変色し、痛みが出ています。

歯髄炎となっているため根管治療(神経を取る)が必要です。

歯髄炎の症状

歯髄炎の原因

虫歯が大きくなり虫歯菌が歯髄に侵入して歯髄に炎症が起きた状態を歯髄炎と言います。虫歯以外にも歯に強い力が加わった場合(外傷や歯ぎしりなど)や極めて熱い刺激が加わった時にも歯髄炎を発症する事があります。

歯科で治療しない限り自然治癒はありません。

歯髄炎の痛みの特徴

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冷水痛

歯髄炎の初期の状態は、冷たいものや甘いものに凍みたり、虫歯部分に物が詰まったりすると一時的に痛みを感じるー程度です。知覚過敏との鑑別が必要です。


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温水痛

冷水痛がしばらく続いた後、温かい食べ物でも凍みるようになります。細菌感染が歯髄全体に及んだ証拠になります。


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自発痛

ズキズキとした拍動性の痛み(心臓の動きと同調する様な痛み)が起こります。


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激痛が始まる

次第に激痛が始まります。夜眠れないほどの激痛の期間は1週間から数週間続く可能性があります。

歯が浮いたような感覚と共に噛んで痛いといった症状も起こります。この場合、冷湿布(冷えピタなど)で患部を冷やすと一時的に痛みは和らぎます。


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激痛が消失

神経が死ぬと次第に痛みが治まってきます。



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 歯茎が腫れて自発痛

細菌が根管内で増殖して、ガスを発生させます。ガスの圧力で内圧が高まり再び激痛が起こり始めます。この間は、歯茎が腫れて強い自発痛と共に、上下の歯を少し触れただけでも飛び上がるような痛みになることもあります。


歯髄炎の応急処置

正露丸を虫歯に詰める

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歯ブラシで虫歯の中の食べカスを除去

痛みが起こらない範囲で、やさしく歯ブラシで食べカスを除去します。余り強くやり過ぎると痛みが起こる場合があるので注意してください。

正露丸の効果が出る場合とは?

大人の歯の場合で、冷たいものに凍みる、熱いものに凍みる、ズキズキと痛むなどの症状の時です。

歯ブラシで食べカスを除去
歯ブラシで食べカスを除去

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正露丸を虫歯の穴に詰め

食べカスを除去した後、正露丸を弱い力で一粒ずつ詰め込んでいきます。強く押し込むと痛みが出る可能性があります。大盛りにしないことがポイントです。

正露丸を虫歯の穴に詰める
正露丸を虫歯の穴に詰め

正露丸が効かない場合とは

注意

神経が死んでいる時

上下の歯を噛み合わせると痛む時は、歯髄が完全に死んでしまっている歯髄壊死の可能性があるので、効果がないか、あるいは逆効果の場合もあります。

正露丸を詰めても痛みが引かない場合には、市販の痛み止め ロキソニンSを飲んでください。(12錠入り、第一三共ヘルスケア、630円)。

乳歯の虫歯

小児の乳歯の虫歯に正露丸を詰めると逆に痛みが起こってしまうリスクがあります。乳歯には使用しないでください。

歯科での歯髄炎の応急処置

CC+ネオダインの貼薬

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スプーンエキスカベーターで虫歯除去

浸潤麻酔をかけずにスプーンエキスカベーターで虫歯を除去します。この際、痛みが起こる直前まで可能な範囲で虫歯除去を行います。

仮に麻酔をかけて徹底的に虫歯除去を行うと歯髄に穴を開けてしまい、強い痛みを誘発してしまう恐れがあります。

スプーンエキスカベーターで虫歯除去
スプーンエキスカベーターで虫歯除去

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CC+ネオダインの貼薬

軟化象牙質の除去を行った後、CC(歯科用フェノール・カンフル)+ネオダインの貼薬を行います。この処置で歯髄の炎症は一時的に緩和され、痛みが和らぎます。

痛み止めの投薬

痛み止め(ロキソニン、ボルタレンなど)の投薬を行います。

CC+ネオダインの貼薬
CC+ネオダインの貼薬

歯科での歯髄炎の治療法

治療法 根管治療

抜髄(神経を抜く)

抜髄(神経を抜く根管治療)

虫歯を削ると痛いので歯科麻酔が必要です。リーマー、ファイルといった器具で神経を抜きます。

抜髄の治療期間や回数

歯髄炎の抜髄治療は、歯髄への細菌の侵入程度によって変化します。細菌の進入量が少ない急性単純性歯髄炎であれば、1日で終了する場合があります。

神経の内部で大量の細菌が増殖している急性化膿性歯髄炎の場合には、根管内の消毒が必要なため6回程度で1ヶ月程の期間になることもあります。

歯髄炎の放置で歯髄壊死(歯髄壊疽)に

歯髄壊死(歯髄壊疽)

歯髄壊疽

急性歯髄炎・慢性歯髄炎を放置すると次第に痛みが無くなってきます。これは歯髄が死んでしまった結果です。この状態を歯髄壊疽と言います。

歯髄壊疽になると歯髄腔の細菌は増殖して腐敗臭を出し口臭の原因となります。ガスの圧力で内圧が高まり再び痛みが起こり始めます。

歯髄壊疽の治療の術式は抜髄と全く同じです。ただし、強く細菌感染しているため歯管内の洗浄の回数が増えます。

歯髄壊死

歯髄が死んでしまう原因は虫歯によるものばかりではありません。外力が加わることで血流障害が起こり歯髄が死ぬことを歯髄壊死と言います。

歯髄壊死になった場合でも次第に細菌感染を起こし歯髄壊疽の状態になります。

フィステル形成

歯髄壊疽を放置すると細菌は歯根の外にまで炎症を波及させ歯根嚢胞を形成します。この間は、強い自発痛が起こり、上下の歯を少し触れただけでも飛び上がるような痛みになることもあります。

その後、歯根嚢胞から歯茎表面に向けて管が作られ、歯肉の表面にポツンとした白い高まりを作ります。これをフィステルといいます。フィステルが出来ると歯根嚢胞内の膿が外部に排出されるため内圧が下がり、痛みも消失していきます。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、天然歯の保存にこだわります。まずは虫歯を自然治癒させることを目標とし、極力抜かない・削らない・痛みの少ない低侵襲な虫歯治療が基本です。

患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎で天然歯の保存にこだわった歯髄炎の治療をご希望の方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。

【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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