- 1. 【🎞️】歯の神経を取るってどういうこと?根管治療の全体像
- 2. 根管治療とは
- 3. 根管治療が必要になる主な症状
- 4. 歯の神経を残せるかどうかはどう判断する?
- 4.1. 歯髄を保存できる可能性があるケース
- 4.2. 根管治療が必要になる可能性が高いケース
- 5. 根管治療の流れ
- 5.1. 1.診査・診断
- 5.2. 2.麻酔
- 5.3. 3.虫歯・感染歯質の除去
- 5.4. 4.根管長の測定
- 5.5. 5.根管の形成・洗浄
- 5.6. 6.根管充填
- 5.6.1. 適切な根管充填が確認できる大臼歯の良好な根管治療例
- 5.7. 7.土台・被せ物などによる修復
- 6. 根管治療後の歯はなぜ補強が必要?
- 7. 根管治療後の歯の修復方法
- 7.1. 歯質が大きく失われている場合
- 7.1.1. 土台(コア)
- 7.1.2. クラウンなどによる修復
- 7.2. 歯質が比較的多く残っている場合
- 8. 奥歯の根管治療が難しい理由
- 9. 根管治療の回数と期間
- 10. 根管治療後に痛みが出ることはある?
- 11. 根管治療を成功させるために大切なこと
- 11.1. 根管内の感染をできるだけ減らす
- 11.2. 根管を適切に封鎖する
- 11.3. 最終的な修復を適切に行う
- 11.4. 治療を途中で中断しない
- 12. 再根管治療が必要になるケース
- 13. 当院で行った再根管治療症例
- 14. 根管治療後のメンテナンス
- 15. 根管治療の費用について
- 16. まとめ|根管治療は自分の歯を残すための重要な治療
- 16.1. 関連記事
- 17. その歯、抜かずに残せる可能性があります
- 18. 【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル
- 19. 筆者・院長
- 19.1. 深沢 一
- 19.1.1. メッセージ
【🎞️】歯の神経を取るってどういうこと?根管治療の全体像
根管治療とは
虫歯が深く進行して歯の神経(歯髄)に強い炎症や感染が生じた場合や、外傷などによって歯髄が損傷した場合に検討されるのが「根管治療(こんかんちりょう)」です。
根管治療では、歯の内部にある感染した歯髄や細菌などを取り除き、根管内を清掃・洗浄したうえで、再び細菌が侵入しにくい状態に封鎖します。
目的は、歯の内部や根の周囲の感染をコントロールし、できるだけ抜歯を避けて自分の歯を残すことです。
ただし、歯髄の炎症が比較的軽い場合には、必ずしも神経をすべて取り除く必要があるとは限りません。状態によっては、歯髄を保存する治療を検討できることもあります。

根管治療が必要になる主な症状

次のような症状がみられる場合、歯髄の強い炎症や根管内の感染が起きている可能性があります。
- 冷たいものや熱いものが強くしみる
- 刺激がなくなっても痛みが続く
- 何もしていなくてもズキズキ痛む
- 夜間に痛みが強くなる
- 噛んだときに痛みや違和感がある
- 歯ぐきが腫れている
- 歯ぐきに膿の出口(フィステル)ができている
- 深い虫歯がある
- 過去に根管治療をした歯が再び痛む・腫れる
ただし、これらの症状だけで根管治療が必要かどうかを判断することはできません。
反対に、歯髄が壊死している場合などでは、ほとんど痛みがなくても根の先に炎症が生じていることがあります。
症状だけで判断せず、歯科医院で診査を受けることが重要です。
歯の神経を残せるかどうかはどう判断する?

深い虫歯があるからといって、必ず神経を取るわけではありません。
歯科医師は、
- 痛みの種類や持続時間
- 冷温刺激に対する反応
- 歯を叩いたときの反応
- 歯髄の生活反応
- 虫歯の深さ
- レントゲン所見
- 必要に応じた歯科用CTの所見
などを総合的に評価します。
歯髄を保存できる可能性があるケース
冷たいものがしみても刺激を取り除くと短時間で治まるなど、歯髄の炎症が回復可能と判断される場合には、歯髄を保存できる可能性があります。
症例によっては、覆髄法や断髄法などの「生活歯髄療法」を検討します。
根管治療が必要になる可能性が高いケース
- 強い自発痛が続く
- 温かいものでも強く痛む
- 刺激を取り除いた後も痛みが長く続く
- 歯髄が壊死している
- 根管内に感染が認められる
- 根の先に炎症性病変が認められる
などの場合には、根管治療が必要になることがあります。
なお、症状や画像所見だけで単純に判断できないケースもあるため、複数の検査結果を組み合わせた診断が重要です。
根管治療の流れ
1.診査・診断
まず、症状や経過を確認し、口腔内診査やレントゲン撮影などを行います。
必要に応じて歯科用CTを使用し、通常のレントゲンでは把握しにくい根管の形態や根の周囲の状態などを確認することがあります。
すべての根管治療でCT撮影が必要になるわけではありません。
2.麻酔
必要に応じて局所麻酔を行い、治療中の痛みに配慮しながら処置を進めます。
炎症が強い場合などでは麻酔が効きにくいこともあるため、歯の状態に応じて麻酔方法を調整します。

3.虫歯・感染歯質の除去
虫歯や感染した歯質を取り除き、歯の内部にある根管へアプローチします。
歯髄に回復が見込めない強い炎症や感染がある場合には、歯髄を除去します。
すでに歯髄が壊死している場合には、根管内の感染組織などを取り除いていきます。

4.根管長の測定
根管治療では、根管の長さを適切に把握することが重要です。
電気的根管長測定器やレントゲンなどを利用し、処置を行う範囲を確認します。

5.根管の形成・洗浄
細い器具を使用して根管内を清掃・形成します。
症例に応じてニッケルチタンファイルなどを使用し、洗浄液によって根管内の細菌や感染組織の減少を図ります。
根管は非常に細く複雑な構造をしているため、機械的な清掃と化学的な洗浄を組み合わせることが重要です。

6.根管充填
根管内の状態が整ったら、ガッタパーチャなどの根管充填材料を用いて根管を封鎖します。
根管充填は、根管内への細菌の再侵入を防ぎ、治療後の状態を安定させるために行います。
レントゲンなどで根管充填の状態を確認しますが、レントゲン上の充填状態だけで治療の成否が決まるわけではありません。
症状や根の周囲の組織の経過なども含めて総合的に評価します。

適切な根管充填が確認できる大臼歯の良好な根管治療例


7.土台・被せ物などによる修復
根管治療が終了した後は、失われた歯質の量や歯の位置、噛み合わせなどに応じて最終的な修復を行います。
根管治療そのものだけでなく、治療後に歯をしっかり封鎖・修復することも再感染や歯の破折を防ぐうえで重要です。
根管治療後の歯はなぜ補強が必要?
「神経を抜くと歯が脆くなる」と説明されることがあります。
ただし、歯が弱くなる原因は神経を取ったことだけではありません。
多くの場合、根管治療が必要な歯では、虫歯や過去の治療によってすでに多くの歯質が失われています。さらに、根管へアクセスするために歯を削る必要があるため、残っている歯質の量が少なくなることが破折リスクに大きく関係します。
そのため、根管治療後は残存歯質の量や歯の位置、噛み合わせなどを考慮して修復方法を選択します。
根管治療後の歯の修復方法
歯質が大きく失われている場合
虫歯などによって歯質が大きく失われている場合には、必要に応じてコア(土台)を作り、その上からクラウンなどで修復します。
土台(コア)
残っている歯質の状態に応じて、ファイバーコアなどを使用して被せ物を支えるための土台を作ります。
症例によっては、根管内にポストを設置せず修復できることもあります。

クラウンなどによる修復
特に奥歯では強い咬合力が加わるため、残っている歯質の量などを考慮して、歯を覆うタイプの修復方法が選択されることがあります。
使用できる材料や治療方法は、保険診療・自費診療によって異なります。

歯質が比較的多く残っている場合
残っている歯質が十分な場合には、すべての歯をクラウンで覆うとは限りません。
歯の位置、残存歯質、亀裂の有無、噛み合わせなどを評価し、部分的な修復を選択できる場合があります。

根管治療後の最終修復方法は、単純に「虫歯が大きいか小さいか」だけではなく、歯全体の状態から判断することが大切です。
奥歯の根管治療が難しい理由
一般的に、大臼歯の根管治療は前歯より複雑になる傾向があります。
前歯では根管が比較的少ないことが多い一方、大臼歯では複数の根や根管が存在します。


さらに根管には、
- 非常に細い
- 大きく湾曲している
- 複雑に枝分かれしている
- 根管同士がつながっている
- 石灰化によって狭くなっている
など、さまざまな形態があります。
根管の数や形態には個人差があり、肉眼や通常のレントゲンだけでは把握しにくいこともあります。
そのため、奥歯や再根管治療などの難しい症例では、より慎重な診査と処置が求められます。
根管治療の回数と期間
根管治療に必要な通院回数や期間は、歯の種類や感染の程度、初回治療か再治療かなどによって大きく異なります。
比較的単純な症例では少ない回数で終了することもありますが、
- 感染が強い
- 根管の形態が複雑
- 根管が石灰化している
- 症状が続いている
- 再根管治療である
といった場合には、治療回数が増えることがあります。
そのため「根管治療は必ず○回で終わる」と一律に決めることはできません。
治療開始時に、おおよその見通しを歯科医師に確認するとよいでしょう。
根管治療後に痛みが出ることはある?
根管治療後には、一時的に噛んだときの違和感や軽い痛みなどが生じることがあります。
根の周囲の組織に刺激が加わることなどが原因で、多くは時間の経過とともに落ち着いていきます。
ただし、
- 痛みが強くなっている
- 強い腫れが出た
- 顔まで腫れてきた
- 発熱や体調不良を伴う
などの場合には、早めに歯科医院へ連絡してください。
根管治療を成功させるために大切なこと

根管内の感染をできるだけ減らす
根管治療では、根管内の細菌や感染組織を可能な限り減らすことが重要です。
器具による清掃だけではなく、洗浄液などを使用して複雑な根管内部を処置します。
根管を適切に封鎖する
根管内の清掃・洗浄後は、根管充填材によって封鎖し、再感染のリスクを抑えます。
最終的な修復を適切に行う
根管治療が終了しても、歯の上部から細菌が再び侵入すると再感染につながる可能性があります。
そのため、根管治療後の土台や詰め物、被せ物などによる適切な封鎖も重要です。
治療を途中で中断しない
痛みがなくなっても、根管治療が完了したとは限りません。
仮の詰め物の状態で長期間放置すると、細菌が再び侵入したり、残っている歯が割れたりする可能性があります。
治療が完了するまで、指示された間隔で通院を続けましょう。
再根管治療が必要になるケース
一度根管治療を行った歯でも、再び根の周囲に炎症が生じることがあります。
例えば、
- 根管内に感染が残っている
- 複雑な根管の一部が未処置になっている
- 詰め物や被せ物から細菌が侵入した
- 新たな虫歯ができた
などが原因となることがあります。
このような場合には、既存の根管充填材などを除去し、根管内を再度清掃・洗浄する「再根管治療」を検討します。
なお、歯根に大きな亀裂や破折がある場合など、歯の状態によっては再根管治療で保存することが難しいケースもあります。
当院で行った再根管治療症例
本症例は、過去に根管治療を受けた歯の根尖部に透過像が認められたケースです。
診査の結果、再根管治療が適応と判断し、既存の根管充填材を除去したうえで、根管内の清掃・洗浄を行いました。
その後、根管内の状態を確認し、根管充填を行っています。
治療後のレントゲンでは根管充填材の到達状態を確認しています。


ただし、根尖部の病変が改善したかどうかは、治療直後のレントゲンだけでは判断できません。
根尖部の骨の変化には時間がかかるため、治療後も一定期間、症状やレントゲン所見を経過観察することが重要です。
根管治療後のメンテナンス
根管治療によって歯髄を除去した歯では、歯髄由来の痛みを感じることはなくなります。
しかし、根の周囲の組織には感覚があるため、再感染や歯根周囲の炎症によって痛みや違和感が生じることはあります。
また、症状がほとんどないまま根の周囲に病変が生じるケースもあります。
根管治療後も、
- 毎日の丁寧な歯磨き
- フロスや歯間ブラシによる清掃
- 定期検診
- 必要に応じたレントゲンによる経過観察
を続けることが大切です。
根管治療の費用について
保険診療による根管治療の費用は、前歯・小臼歯・大臼歯など歯の種類や治療内容、初回治療か再治療かなどによって異なります。
また、根管治療そのものの費用だけでなく、
- 初診料・再診料
- レントゲンなどの検査
- 虫歯の処置
- 土台(コア)
- 詰め物・被せ物
- 必要に応じた薬剤
などの費用が加わることがあります。
まとめ|根管治療は自分の歯を残すための重要な治療
根管治療は、虫歯や外傷などによって歯髄に回復困難な炎症や感染が生じた場合に、できるだけ歯を残すために行う治療です。
一方、深い虫歯があっても歯髄を保存できる可能性がある場合には、生活歯髄療法などを検討できることがあります。
大切なのは、「深い虫歯だからすぐに神経を抜く」と考えるのではなく、歯髄の状態を適切に診断することです。
また、根管治療が必要になった場合には、根管内部の感染をできるだけ減らし、適切に封鎖するとともに、治療後の詰め物や被せ物まで含めて歯を守ることが重要です。
関連記事
その歯、抜かずに残せる可能性があります

強い痛みや噛んだときの違和感、歯ぐきの腫れ・膿は、歯の根に炎症や感染が起きているサインかもしれません。
根管治療によって感染源を取り除くことで、抜歯を避けて大切な歯を残せる可能性があります。症状が悪化する前にご相談ください。
【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





